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GORE-TEX最新素材「C-KNIT」を採用した注目ハードシェルジャケット7選

最新ゴアテックス素材C-KNITを採用したハードシェルが出揃ってきた

雪山や氷壁などの過酷な環境から身体を守ってくれる全天候型アウターがハードシェル。雨・雪・風や冷たい外気から完全にシャットアウトしてくれる一方、雨具よりも分厚くてゴツいという特徴から、春~秋シーズン中こそ箪笥の奥でじっとしていますが、これからのシーズンでは頼れるシェルとして絶対的な安心感を提供してくれます。

そんなハードシェルの世界では、数年前に産声を上げ、現在では世界的なブームを巻き起こしている新素材 Polartec NeoShell を採用したモデルの登場によって、これまでの「重い」「ゴワつく」「通気性がまだまだ」等といったイメージが覆されつつあります。実際、昨年編集部がテストしてみた感触でも、防水性能と耐久性を最低限に保ちながら、抜群のしなやかさと通気性を提供してくれることを確認し、よほどの限界環境でない限り十分過ぎるクオリティを持っていることが確認できました。もちろん厳冬期などのより極限状況に挑むには GORE-TEX Pro の優位はまだ揺るぎないとはいえ、ここに来てアウトドア愛好家にとって、より軽快さを優先するシーンでは NeoShell という強力な選択肢が生まれたことは間違いありません。

さて、この躍進に対して防水透湿素材のキング、GORE-TEX が黙っているはずがありません。2015年、実に4年間もの期間を経てついに満を持して登場したのが今回の GORE C-KNIT Backer。端的に何がスゴいのかというと、従来の GORE-TEX Pro のような3層生地に比べて

と(NeoShell と同じように)GORE-TEX Pro の弱点を見事に克服し、なおかつ防水耐久性では NeoShell に対して優位に立とうとしている点です(具体的数値は非公開のため実際のところははっきりしないのがもどかしい)。先行してリリースされていた春夏向けのレインウェアで、編集部でもその実力は確認済み。そしてこの秋冬シーズンでは、各メーカーそれぞれのコンセプトでこの新素材を料理したアイテムが続々と登場してきました。

そんなわけで今回編集部では2015-2016シーズンのハードシェル選びにあたって、この GORE C-KNIT Backer 採用モデルに注目。雪山縦走やバックカントリーでの使用を想定した7着のジャケットをピックアップしてみました(最後にスペック比較表あり)。それでは早速いってみましょう。

※参考価格は2015年10月28日現在のものです。

ベーシックな機能に十分な耐久性の雪山入門モデル
Marmot Cerro Torre Jacket

新しく生まれ変わったマーモットの Cerro Torre Jacket はウェア全面に GORE C-KNIT を採用。昨年まであった胸ポケットやスノースカートなども省略され、よりシンプルでベーシックな利用シーンをイメージしているようです(その意味では厳冬期アルパインクライミングやスキーツアーよりも雪山縦走よりでしょうか)。それでもワイヤー入りのフード、ピットジップ(脇下ベンチレーション)、フロント・インナーポケットなど、最低限必要な機能は整っているので、あとは重量や着心地・動きやすさ次第では非常に汎用性の高いお買い得モデルになるかも。

計算された生地遣いと軽量・高機能なオールマイティジャケット
Patagonia Refugitive Jacket

袖を通した瞬間に分かる。一目惚れというヤツです。銀世界のあらゆる冒険のためにつくられたこのジャケットは、これが GORE-TEX のジャケットかと思うくらい、衝撃的に軽く、しなやか。これはベース部分の生地を30Dと薄く仕上げ、肩や腕などの補強部分に40Dの厚みを確保し、極限まで軽量化を進めた結果で、この辺りのこだわりは NeoShell を意識しているなーという感じがビシビシ伝わってきます。2つのハンドポケット、胸ポケット、2つの内ポケットと豊富な収納は、小物の多い冬でも十分。ピットジップもしっかり付いて、通気の調整もバッチリです。

高い堅牢性と耐久性はそのままに、機動性がアップした本格アルパインジャケット
OUTDOOR RESEARCH FURIO JACKET

従来の FURIO JACKET は、ボディ部分に軽量な GORE-TEX Paclite、肩や袖上部を堅牢な GORE-TEX ProShell を使用していました。新しいモデルでは、これまでProShell であった部分とフード部分が GORE C-KNIT になったことによって、より動きやすさと着心地、必要な部分での透湿性が向上。いずれも70Dの高密度な糸を使用しているので耐久性・堅牢性は問題無いと思いますので、全体としてはパフォーマンスがアップしたと言えるのではないでしょうか。

日本の冬を熟知しデザインされた安心の一着
THE NORTH FACE Starlight Jacket

ボディと袖には軽量2層、肩とフード・肘部分に GORE C-KNIT と、こちらも特徴の違う素材を組み合わせてベストパフォーマンスを発揮するように計算されたモデル。2層部分では高い保温性を確保、3層(C-KNIT)部分では高い運動性と透湿性を確保するというコンセプトは、汗(湿気)と風(冷気)という日本の冬山を考えた、使いやすい設計だなぁと感心します。秋や初春の残雪期から冬の縦走まで幅広く活躍してくれそうです。

バックカントリーに特化した高機能が満載のハイスペックジャケット
MAMMUT Alvier HS Hooded Jacket

これまで紹介してきたモデルはどちらかというとアルパインよりなのに対し、マムートの GORE C-KNIT モデルはガチのバックカントリー向け。70Dの高密度生地をふんだんに使用し、雪と冷気の侵入を防ぐ(取り外し可能な)スノースカートやハンドゲートルをはじめとして、ふんだんなポケット類、ゴーグル拭きのためのマイクロファイバークロスなど機能性は抜群。極めつけは広いベンチレーションから大胆に袖をまくり上げられる究極のベンチレーション機能(動画の0:33辺りを参照)。マムートらしからぬ(?)攻めの仕掛けがてんこ盛りです。

究極の機能美を突き詰めた最高級クラスのBC向けハードシェル
Peak Performance Heli Alpine Jacket

北欧はスウェーデンをベースに、スキー・アルパイン・アドベンチャーなどのカテゴリで妥協のない品質を追い続ける彼らの新たなるフラッグシップモデルは、着心地、耐久性、使い心地のすべてを兼ねそろえたまさにモンスター。抜群の着心地と透湿性を誇る GORE C-KNIT を70Dの堅牢な生地でまとめ上げるだけでなく、寒さを体感する部分や、また肌が直接触れる顎部分にはフリースを配置することで高い快適性を確保するなど細部にも工夫を凝らしたつくり。豊富なポケット類についても、左胸のポケットはアンテナホールが付いて無線を収納しやすくするなど、これでもかという気遣い。もちろんアルパイン用に使用しても十分使えると思いますが、オフピステの大斜面に挑むスキーヤーにとってこれ以上ないハードシェルであることは間違いなさそう。

1年を通じて活躍できるトレッキング向け万能アウター
Arc’teryx Zeta LT ジャケット

最後に高機能ウェアの常連、アークテリクスも GORE C-KNIT を独自の解釈で製品化しています。まずはじめに断っておくと、本格的な雪山用というよりも「雪も可能なレインジャケット」と考えた方が良いかもしれません。ポケットの数や、口元からフードにかけての余裕、ピットジップがないところなどは、本格的冬山用としては物足りないモノがあります。そう考えると位置付けとしては秋冬ハイキングのための高機能レインウェアといったところでしょうか。その視点から見てみると、しなやかで軽量、動きやすく、大きなポケットも便利で1年中使えるレインウェアとして非常に優秀です。

まとめ

最後に比較しやすいように、上記モデルのスペックを一覧にしてみました。まだすべてのアイテムに袖を通したわけではないので暫定的な物言いになってしまうのですが、編集部としては、今年の「買い」はやっぱり総合的な使い勝手も含めると、縦走が多い場合はパタゴニア、バックカントリーがメインの場合は、マムートかなぁといったところです。今年もこの中からいくつかのモデルをテストして、レビューしていきたいと思いますので、引き続き、乞うご期待!

アイテム Marmot Cerro Torre Jacket Patagonia Refugitive Jacket OUTDOOR RESEARCH FURIO JACKET THE NORTH FACE Starlight Jacket MAMMUT Alvier HS Hooded Jacket Peak Performance Heli Alpine Jacket Arc’teryx Zeta LT ジャケット
アクティビティ アルパインクライミング、トレッキング、バックカントリースキー アルパインクライミング、バックカントリースキー、トレッキング アルパインクライミング、バックカントリースキー、トレッキング アルパインクライミング、トレッキング フリーライディング、スノーボード、スキーツアー、バックカントリースキー フリーライディング、スノーボード、スキーツアー、バックカントリースキー ハイキング、トレッキング
生地
  • GORE C-KNIT
  • 本体:30D GORE C-KNIT
  • 袖の下側と背中の上部:40D GORE C-KNIT
  • ボディ・袖下部:70D GORE-TEX with Paclite
  • フード・肩・下部サイドパネル・袖の上部パネル:70D GORE C-KNIT
  • 身頃・袖:GORE-TEX(2層)
  • 肩・フード・肘:GORE C-KNIT
  • 70D GORE C-KNIT 
  • 70D GORE C-KNIT 
  • 40D GORE C-KNIT 
重量(g) 451 425 539 465 630 760 335
ポケット
  • ジッパー付フロントポケット×2
  • ジッパー付内ポケット
  • ジッパー付ハンドポケット×2
  • ジッパー付チェストポケット×1
  • ジッパー付内ポケット×1
  • 伸縮性内ポケット×1
  • ジッパー付ハンドポケット×2
  • ジッパー付チェストポケット×2
  • ジッパー付内ポケット×1
  • メッシュ内ポケット×1
  • ジッパー付フロントポケット×2
  • セキュリティポケット×1
  • ジッパー付内ポケット×1
  • ジッパー付胸ポケット×1
  • スキーパス用手首ポケット×1
  • ジッパー付フロントポケット×2
  • マイクロファイバークロス付スキーゴーグル用内部ファスナーポケット×1
  • マルチメディア対応内側ポケット×1
  • ジッパー付フロントポケット×2
  • ジッパー付チェストポケット×2(内1つはアンテナホール付無線ポケット)
  • ジッパー付内ポケット×1
  • スキーパス用肩ポケット×1
  • ジッパー付ハンドポケット×2
  • ジッパー付内ポケット×1
フード ヘルメット着用可能・調節ドローコード3点 ヘルメット着用可能・調節ドローコード1点 ヘルメット着用可能・調節ドローコード3点 ヘルメット着用可能・調節ドローコード3点 ヘルメット着用可能・調節ドローコード3点 ヘルメット着用可能・調節ドローコード3点 ヘルメット着用可能・調節ドローコード1点
ピットジップ ×
2wayジッパー ×  ×
スノースカート ×  × × × ×
参考価格 63,720円 64,800円 42,120円 48,600円 75,600円 92,880円 57,240円

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