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【OGZの やまとまち探訪記 Vol.07】長野 安曇野編 アウトドアショップ「ITOMIZU」探訪レポート

地方に山のお店が増えている――。そう感じている人はぼくだけではないはず。あまりにもニッチな動きなので統計的な裏付けはないのですが、アクティビティの多様化やキャンプブーム、小規模メーカーの躍進、ネット通販の普及などを考えると、地方での開業にもいくらかのチャンスが生まれているということは容易に想像できます。

何より実際にその道具が使われる場所で、それを使う人たちに製品を提供するということのシンプルさ、美しさみたいなものは何にも代えがたいものがありますよね。開業したい人の気持ちが僕にも何となく分かります。

その土地土地で遊ぶ最適な道具を提供するお店。そこには東京大阪などの大都市のお店にはない魅力が感じられるものです。

Outdoor Gearzineでも今年に入り、ことあるごとにそうした地方の魅力的なお店を紹介しているのですが、今回は今年の7月、長野県は安曇野に新たにオープンしたアウトドアショップ「ITOMIZU」さんにお邪魔してきました。

なお取材したのが7月中旬のため、品揃えなどは当時のものです。あらかじめご了承ください。

自然とファッションを愛する人のための山のセレクトショップ

安曇野ICを降りてしばらく国道を北上した、広大な田園風景の中にそのお店はありました。

90年代に建てられたという赤い屋根が素敵な平屋の建物は、かつてはレストラン兼住宅だったそうで。それもあってかなり広々としています。

お店の入り口にはITOMIZUのロゴがデザインされたプレートが。これを見ただけでもタダモノではないお店の雰囲気が感じられます。

お店に入ってみると、しかも外観からは想像できないほど自然光がたっぷりと入ってきて開放感があり、風通しも良い。

広々とした空間に、こだわってセレクトされたに違いないセンスの感じられる山道具たちが、これまた山道具やというよりもアパレルのセレクトショップのようないい感じの什器に飾られています。

ショップのインスタグラムから、店主曰く、

昨今のアウトドアブランドやガレージブランドは「山道具」という域を超えて一つ一つに個性があり、山というフィールドだけではなく、街着や普段使い出来るアイテムがほとんどです

そして、そんな素敵なアイテム達を引き立たせれるようなディスプレイを心掛け、見ているだけで楽しい気持ちになるようなお店になれたらと思っています

とのこと。

確かに、バックパック棚を覗いてみると、boufusやshelt、if you have、ACTIBASEなど、機能性とデザイン性を兼ね備えたブランドが並びます。

アパレルに関しても、デザインやカラーリング、柄など、素材や生地はがっつりアウトドア仕様ながら、普段着として全然違和感のない、つまり蛍光色や派手な切り返しといった「山・山」していないものばかり。山道具屋にいるということを忘れてしまいそうです。

個人的に気になっていたsheltが、ダウンジャケットやパンツ、そしてバックパックやサコッシュなどかなり充実していて惹かれました。

中には、ここではじめて知ったブランドなども。「迷迭香(マンネンロウ)」は、「生き方を楽しく、豊かにしてくれることを実践する」「都会と自然が緩やかに繋がれる」を目指した服。こんなの着て安曇野で毎日を過ごせたら楽しいだろうな、と妄想してみたり(移住して~!)。

こちらは「perm and baton」のDCF製ポーチ。軽さも機能も間違いない、でもってセンス高杉。まじで機能性高いだけでなく、なおかつシャレオツな山道具しか置いてない。

さてアイテムチェックはこのくらいにして、他の場所に目を向けてみます。

このお店の別名は「山小屋のようなセレクトショップ」。

その訳は、ついつい長居してしまいそうなくつろぎの空間が設けられているから。お店の半分のスペースを占めるのは、まだ新しい気の匂いが心地よい、靴を脱いで上がるスペース。

全面窓の前には雄大な北アルプスの峰々。今でも十分にダイナミックな絶景ですが、冬とかどうなっちゃうんでしょう。

窓を開ければ心地よい風を感じられるオープンテラス。

こちらなんと飲み物もいただけるカフェとしても営業しています。

せっかくなので店主ご自慢の水出しコーヒーをいただきました。至福です。

自由に読める本棚まであります。こうした一つひとつのこだわりに、店主の気持ちが伝わってきます。

極めつけは、展示スペースまであります。この時はまだ準備段階でしたが、この記事を書いている段階ではさまざまなアーティストの作品展示なども行われているようです。

 

 

 

以前からスタイリストとして活動していた店主の水野さん(写真左)は、2021年に蝶ヶ岳に登ったのをキッカケに山にハマり、そこからあれよあれよという間にこのような心地よい空間と素敵な山道具であふれるお店を作り上げてしまいました。その純粋さと思い切りの良さはシンプルに感心してしまうし、その勢いと熱量がお店全体に溢れていて、なんとも気持ちよいのです。

確かな機能を備えた美しいアイテムを手に取り、山々を眺め、淹れ立ての珈琲を飲みながらゆったりと一息つけるような、そんな小屋のようにほっとする空間を目指したという「ITOMIZU」。

近況を聞いてみたところ、お店にはこのたび最高峰の「高画質写真プリンター」を導入し、山で撮った写真をお店でプリントできるプリントサービスを始めとか。

またもうすぐお店の窓から三段紅葉が見れる時期が近づいているとのことなので、みなさんも登山の帰りにちょっと立ち寄ってみませんか。

より詳しいお店の情報は公式インスタグラムをチェックするといいと思います。

 

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