MIL規格と呼ばれる過酷な15項目のテストをクリアし、70度の灼熱を耐え、−30度でも動作し、水深30mのフリーダイビングにも対応するという世界最高レベルのタフネスを誇るスマートウォッチ「Amazfit T-Rex Ultra」を導入した、その結果をみなさんにお伝えます。
目次
世界最高レベルでタフなスマートウォッチ「Amazfit T-Rex Ultra」とは?
Zepp Health Corporationが展開するAmazfitのタフネススマートウォッチ
世界最高レベルのタフネスを誇るスマートウォッチ「Amazfit T-Rex Ultra」と言われても「それは、どこのどんなメーカーやブランドのスマートウォッチなの?」という方が多いでしょう。
「Amazfit(アマズフィット)」は、中国合肥に本社を置き、米国で事業を行いカルフォルニアのクパチーノを拠点とするZepp Health Corporation(ゼップヘルスコーポレーション)が2015年9月から展開するスマートウェアラブルデバイスのブランドです。2022年3四半期では日本国内で3位の出荷台数を記録しています。
現在、世界的に展開するスマートウォッチのブランドといえるのですが、そのAmazfitブランドのなかでも、もっともタフでアウトドアに向いたスマートウォッチが「Amazfit T-Rex Ultra」です。
まずはアウトドアに向くというタフネス性能からみていくと、軍用グレードといわれるMIL規格の衝撃や湿度など15項目のテストをクリア。さらに70度の灼熱から−40度の極寒に耐え、−30度の厳しい環境下でも正常の動作し、最大100mの対水圧を実現、ダイビング用アクセサリーの国際規格であるEN13319 & ISO 6245認証取得しており、最大30mまでのフリーダイビングにも対応するといいます。
さらに頑丈で耐腐食性が高く、医療用のメスやハサミにも使われる316Lステンレススチールをボディに採用、土砂やゴミから本体を守る特許取得済みの防泥ブリッジとボタンを搭載するなど、スマートウォッチとしてどころか、普通の腕時計としても最高レベルのタフネスウォッチに仕上がっています。
また、スマートウォッチとしての機能も強力でL1およびL5信号の両方を利用するデュアルバンド測位と、6つの衛星システムをサポートする強力なGPS機能を搭載。ダウンロードしたマップを「Amazfit T-Rex Ultra」に表示するオフラインマップ機能にも対応しています。
搭載するセンサーの種類も多く、心拍数、血中酸素レベル、ストレスレベル、呼吸のリズムなどの測定が可能で、これらを利用して、運動記録や睡眠のレベルなども記録可能になっています。Zepp コーチというAIを活用したトレーニングプランとガイダンスを提供してくれる機能もあり、日頃の運動管理にも向いたスマートウォッチに仕上がっています。
アウトドア向けの機能としては、コンパス、気圧計、高度計、高度アシスタント、高度血中酸素レベルリマインダー、太陽と月の出入、潮汐、嵐アラート、フリーダイビング時の水温の確認が可能です。
これだけ、多機能だと電源、バッテリーのもちも心配になりますが、標準的な使用で最大20日間、ハードな使用で9日間、省電力モードで25日間、ロングバッテリーGPSモードで80時間、高精度GPSモードで28時間、省電力GPSモードで58時間の連続使用ができるほどバッテリー容量には余裕があります。
非常にタフで多機能な「Amazfit T-Rex Ultra」ですが、2024年7月現在の実勢価格は59,900円とコストパフォーマンスも高い。そんなアウトドア向けスマートウォッチを筆者が実際に試してみました。
おすすめのポイント
- なにをするにも気にする必要のない圧倒的なタフネス
- 氷点下30度でも動作の保証された耐寒性能
- 大げさではなく灼熱である+70度まで耐熱性
- 水深30mのフリーダイビングにも対応する耐水性
- スマートウォッチとしての高い基本性能
気になったポイント
- 89gしかないのに、意外と重く大きく感じる
- 多機能過ぎてスマートフォンとの使い分けに悩む
主なスペックと評価
項目 | Amazfit T-Rex Ultra |
---|---|
Outdoor Gearzine評価 | |
デザイン | ★★★★☆ |
タフさ | ★★★★★ |
耐寒性 | ★★★★★ |
操作性 | ★★★★☆ |
長時間駆動 | ★★★★☆ |
コストパフォーマンス | ★★★★☆ |
■デザイン
- カラー アビスブラック/サハラ
- サイズ 47.3×47.3×13.45mm(心拍ベース除く)
- 重量 89g(バンド含む)/61g(バンド除く)
- ボディ素材 ステンレススチール(ベゼル・バックパネル・ブリッジ・ボタン)、ポリマーアロイ (ミドルフレーム)
- ボタン 4つ
- 防水グレード 10ATM
■ディスプレイ
- ディスプレイ素材 AMOLED
- ディスプレイサイズ 1.39インチ
- 解像度 454×454
- PPI 326
- タッチスクリーン ガラス素材+指紋防止コーティング
■バンド
- バンド素材 シリコン
- バンド長さ 140mm ~ 205mm
- バンド幅 22mm
- バンド仕様 クラシックピンバックル
■バッテリー
- バッテリー容量 500 mAh(標準値)
- 充電方法 マグネット式充電器
- 充電時間 約2時間
- スポーツ機能
■ヘルス機能
- 24時間モニタリング 心拍数/血中酸素レベル/ストレスレベル
- 手動測定 心拍数/血中酸素レベル/ストレスレベル/呼吸数/ワンタップ測定
- 睡眠の質のモニタリング 睡眠段階(REMを含む) 昼寝の時間/睡眠スケジュール/睡眠時の呼吸の質/睡眠スコア
- 健康評価システム PAI
- 呼吸エクササイズ 有
- 生理周期トラッキング 有
- 健康リマインダー 心拍数の異常/低酸素血症/高ストレスレベル/呼吸エクササイズ/座り過ぎのリマインダー
■センサー
- 健康 BioTracker™ PPG生体センサー(血中酸素に対応)
- 運動 加速度センサー、ジャイロセンサー、地磁気センサー、気圧高度計、環境光センサー
- 接続 Bluetooth 5.0 BLE / WLAN 2.4GHz
- 測位システム デュアルバンド&6衛星測位(GPS、GLONASS、GALILEO、BDS、QZSS、NavIC) ※屋内位置サービスはサポートされていません。
- モーター リニアモーター
■その他
- スピーカー なし
- マイク なし
- ミニアプリ 対応※一部日本語非対応
- Alexa(日本語対応) 無
- オフライン音声アシスタント 無
- スリープモード 有
- ウォッチフェイス 120+(10種以上のアニメーション含む)
- 音楽ストレージ 2.3GB
- アプリ Zeppアプリ ※タブレット未対応
- 搭載OS Zepp OS 2.0
- 対応デバイス Android 7.0 以上、iOS 12.0 以上
- セット内容 スマートウォッチ (純正バンドを含む)、専用充電器、取扱説明書
詳細レビュー
北海道の冬のランニングで通常仕様のスマートウォッチがギブアップ
すでに紹介したように、世界最高レベルのタフネススマートウォッチといっても差し支えのない「Amazfit T-Rex Ultra」ですが、キャンピングカーでの撮影旅行も多く、キャンプグッズのレビューもよく書き、アウトドア好きで北海道在住の筆者でも、「Amazfit T-Rex Ultra」のタフネスレベルが必要になるシーンはほとんどないと考えていました。
いうならば、アウトドアテイストのゴツいデザインが好きで圧倒的なタフネスの安心感と所有する喜びが大部分と考えていたわけです。昔からよくいう200気圧(200m)防水のサブマリーナタイプの腕時計を購入しても、実際に200m潜る人はいないし、水深200mの海の底に沈んでも動いていたとして、回収する方法がないから、非現実的なスペックくらいに思っていたと考えください。
しかし、非常にあっさりと筆者にとって「Amazfit T-Rex Ultra」の限界性能が必要になるシーンがやってきました。まさに青天霹靂です。筆者は走るときと森や山歩きをするとき、アウトドアフィールドに出掛けるときにスマートウォッチをしています。冬の北海道でも毎日を目標にランニングをするのですが、この際に一般仕様のスマートウォッチが止まったのです。
筆者もきちんと調べていなかったのですが、確かに筆者の住む、北海道千歳市は真冬の朝方などは−20度を下回ることもありますが、なにもいちばん寒い時間帯に走る必要はありません。そのため、筆者がランニングをする時間帯は、寒いといっても−10度程度、スマートウォッチが止まるほどの温度ではないと思っていたのです。
しかし、Apple公式サイトのApple Watchに関する説明のページを確認すると下記の表記がみつかりました。
■大半の Apple Watch モデルの使用と保管に推奨される条件
- Apple Watch は、32℉ 〜 95℉ (0℃ 〜 35℃) の気温で快適に動作するように設計されています。
- Apple Watch の保管に適した気温は -4℉ 〜 113℉ (-20℃ 〜 45℃) です。
■Apple Watch Ultra の使用と保管に推奨される条件
- Apple Watch Ultra 以降は、以下の条件下で快適に動作します。
- Apple Watch Ultra の着用時の気温:-4°F 〜 130°F (-20°C 〜 55°C)
- Apple Watch Ultra の充電時の気温:32°F 〜 95°F (0°C 〜 35°C)
- Apple Watch Ultra の保管時の気温:-4°F 〜 113°F (-20°C 〜 45°C)
- Apple Watch Ultra で水中アクティビティを行っている間の水温:32°F 〜 104°F (0°C 〜 40°C)
- 相対湿度:5% 〜 90% (結露なきこと)
上記のようになっており、筆者が普段の生活と思っている気温は、すでに一般的なスマートウォッチの動作温度を超えていたのです。その結果、ランニング中にスマートウォッチが止まり、その日のランニングの様子は正確に記録することができませんでした。
普段のランニングにも使いやすい「Amazfit T-Rex Ultra」
個人的には灼熱の70度に耐え、−30度でも正確に動作するという「Amazfit T-Rex Ultra」のスペックは、安心感と所有する喜びが大部分で、その性能に頼ってスマートウォッチを使うことはないと思っていました。しかし、北海道に住む筆者は冬の寒い日のランニングには「Amazfit T-Rex Ultra」のタフネス性能が本当に必要だったのです。
おそらく、ランニングの際はタイムやペース、心拍数などをスマートウォッチで確認しながら走っているので、文字盤が服の袖などの隠れないよう露出した状態で、腕を振っていることもあり、より寒さが厳しい状態になるのでしょう。ですが「Amazfit T-Rex Ultra」に変えてから北海道のランニングでスマートウォッチが止まることはありませんでした。ちなみにさらに寒い中国ハルビンへの旅行の際にも着けていったのですが、こちらでもトラブルはなかったのです。
ちなみに「Amazfit T-Rex Ultra」には「運動」「運動記録」といった運動管理の機能があり、スマートフォンのアプリ「Zepp」でランニングの様子を「ペース」「心拍数」「リアルタイムパフォーマンス」「パワー」「高度」「勾配分布」「ケイデンス」「ストライド」「トレーニング効果」「1kmごとの詳細」などを細かく確認することができ、自分の走りを客観的に見直すことができます。タイムが上がっているといった単純なものだけではなく、「ケイデンス」(1分あたりの歩数)や「ストライド」(歩幅)などもチェックできるので、自分の走りの変化がデータで確認できるのもうれしいところです。
なお「Amazfit T-Rex Ultra」はダウンロードしておいた地図データをオフラインでも活用できる「オフラインマップ」機能にも対応しているので「Amazfit T-Rex Ultra」単体でマップの確認もできます。ですが、筆者の場合はスマートフォンアプリの「Zepp」から「運動記録」で走った場所を地図上に表示する機能があり、これをあとから見直すと自分がどんな場所をどんなコースで走っていたかを確認できるので非常に楽しく活用しています。
さらにAIを活用した「Zeppコーチ」機能がついており、トレーニングの予定や疲労の蓄積具合なども管理してくれるので、ランニングや運動好きにはかなりおもしろい機能となっています。設定によって自分に合う、合わないがあるので、この部分はいろいろと微調整することをおすすめします。
筆者にとってランニング用のスマートウォッチとしても非常に高い性能を発揮してくれる「Amazfit T-Rex Ultra」ですが、ランニング用のスマートウォッチとして考えるなら、耐久性などの問題から仕方ないのですが、やはり少し大きく重い点は気になるところです。
アウトドアでも役立つ、さまざまな機能がうれしい
普段使いのランニング用スマートウォッチとしても十分な働きをしてくれる「Amazfit T-Rex Ultra」ですが、当然アウトドア向けの機能も充実しており、キャンピングカーでの撮影旅行などの際にその機能を発揮してくれます。
例えば「コンパス」の機能は写真を撮る筆者にとってはかなり便利。同じ「Amazfit T-Rex Ultra」の機能である「太陽と月」と組み合わせて使うことが多いのですが、まず「太陽と月」で日の出や日没の時間をチェック、そして、その夕日や朝日がどの方向に現れるかを「コンパス」でチェックするわけです。
筆者が「Amazfit T-Rex Ultra」のような多機能なスマートウォッチを使っているときに悩むのが、どこまでをスマートウォッチで行うかです。多くの場合、スマートウォッチでできることはスマートフォンでもできるわけです。そしてスマートウォッチを装着しているとき、スマートフォンが上着のポケットなどに入っていることがほとんどでしょう。
そうなると、ランニングのペースや心拍数を確認するといったシーンではスマートウォッチが圧倒的に優位ですが、地図を確認しながら歩くのは画面のサイズや操作性などの面からスマートフォンのほうが便利なことも多いでしょう。方角の確認やそのついでに日没や日の出の時間を確認するならスマートウォッチで十分ですが、時間の余裕があればスマートフォンで確認して、しっかりと計画を練るのもありだと思います。
Bluetoothイヤホンなどを使って音楽などを聴くにも、スマートフォンとスマートウォッチのどちらとリンクをしておくか、といった問題もあるのです。筆者はそういう意味では、まだまだスマートフォン中心の思考になっています。しかし、ランニングだけでなく、登山の難易度が上がれば、地図の確認などもスマートウォッチ中心になるでしょう。そういった意味ではオフラインマップや音楽の取り込みにも対応した「Amazfit T-Rex Ultra」は強い味方といえます。
このあたりのスマートウォッチとスマートフォンの使い分けについては、好みを含めて、個人個人の悩みのタネといえるかもしれません。どちらにしても「Amazfit T-Rex Ultra」は圧倒的なタフネス性能とスマートウォッチとしての高性能を両立しているので、非常に頼もしいアウトドアギアです。
まとめ:まったくオーバースペックではない「Amazfit T-Rex Ultra」
スキーやスノーボードなども考えるなら、耐寒仕様のスマートウォッチは必須
今回筆者が「Amazfit T-Rex Ultra」を実際に使ってみて驚いたのは、一般的なスマートウォッチの動作推奨温度の範囲が思っているよりもかなり狭いことです。比較的高価なApple Watchでさえ0〜35度程度なので、ちょっと寒い場所なら動作推奨範囲外。
筆者の住む北海道なら、平地でも12月になればマイナス気温は珍しくもないのですが、これでも動作推奨温度外、実際のところ北海道でApple Watchを使っていて、寒さで止まったという話を聞いたことはないので、さほど止まらないのでしょう。しかし、筆者のように真冬でもランニングしたい人やキャンプ、登山、スキー、スノーボードといった真冬でも外で活動したい人たちにとっては耐寒仕様ではない一般的なスマートウォッチはスペック不足といえそうです。
スマートウォッチは一般的に思っている以上に寒さに弱いので、寒冷地で活動する人は、購入までにこの点もしっかりチェックしておきましょう。−40度から70度の極寒高温にもたえ、−30度でも正確に動作する「Amazfit T-Rex Ultra」のようなスマートウォッチはアウトドア好きにとっては自慢のスペックというよりは、実用スペックとして非常に頼もしいものといえます。ぜひ購入候補のひとつとして検討してみてはどうでしょう。
また「Amazfit T-Rex Ultra」の機能で意外と活躍しているのが「スマートフォンを探す」です。使用するとペアリングしているスマートフォンがバイブ(振動)するといった単純な機能なのですが、キャンピングカーのなかでスマートフォンを見失ったときなどに活躍してくれています。
「Amazfit T-Rex Ultra」の詳細と購入について
製品の詳細についてはAmazfitの公式サイトをご覧ください。
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齋藤千歳(サイトウ チトセ・Saito Titoce)