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SALOMON X ULTRA PRO GORE-TEX レビュー 唯一無二の高い完成度はそのままに、極上のフィット感と軽快さがプラス。

2021年春、3シーズンぶりに満を持してアップデートされたサロモンのロングセラー「X ULTRA 4 GORE-TEX」の衝撃から約半年。

全面アップデートされたその本格ハイキングシューズは、これまでの魅力にランニングシューズ並みの軽快さと極上のフィット感、粘り強いグリップ、そして新たに加わった足首の捻挫を防ぐ抜群の安定性を積み上げ、日帰りハイキングから長期のトレッキングまでカバーする新しい定番の誕生として、多くのハイキング愛好家から高い賞賛をもって迎えられました。その興奮がまだ冷めやらぬこの秋、サロモンはここからさらに別バージョンとなる新作をリリースしました。

今回はそのハイエンドな新しいハイキングシューズ、SALOMON X ULTRA PRO GORE-TEXをレビューしていきます。

SALOMON X ULTRA PRO GORE-TEXの主な特徴

X ULTRA PRO GORE-TEXは、幅広いアウトドアアクティビティに対応したサロモンのロングセラーハイキングシューズ「X ULTRA」シリーズの最新モデル「4」をベースにさらなる軽量化を実現。新たに採用した伸縮するGORE-TEXブーティーとシュータンを排したアッパー形状によって、まるでソックスを履くかのような極上のフィット感と快適性を提供し、より高いパフォーマンスを可能にする同シリーズのハイエンドモデル。足首の自由を損なうことなく関節の怪我を防ぐようにサポートするミッドソールの「ADV-C Chassis」や「Active Support」、タフな地形でも確実なグリップ力を提供する「Contagrip® MA」アウトソール、クイックレースシステムなど、全面的に刷新された X ULTRA 4 GORE-TEXの魅力は健在。快適性と軽快さ、安定性・プロテクションをバランスよく兼ね備え、安全に歩きたいビギナーから厳しいルートを駆け抜ける健脚まで幅広いユーザーの要求に応える1足です。

おすすめポイント

  • アナトミカルフィット × ストレッチブーティによる抜群のフィット感
  • 柔軟性と防水透湿性を両立する「GORE-TEX フットウェア ストレッチテクノロジー」を採用
  • トレイルランニングシューズに迫る軽量性
  • 軽量&ローカットでは考えられないほどブレにくく、怪我しにくい安定性の高さ
  • 急傾斜やウェットな地形でも安定して着地・踏み込みが可能なグリップ力
  • 均一でしっかりと締め付けられ、素早く簡単に脱ぎ履きできるクイックレースシステム

気になったポイント

  • 軽量化と引き換えに若干削られたプロテクション
  • シューレースポケットがやや小さすぎる

主なスペックと評価

項目SALOMON X ULTRA 4 GORE-TEX
重量341g(27cm片足実測)
ドロップ11mm(トゥ20.5mm / ヒール 31.5mm)
アッパー
  • 合成素材/テキスタイル
  • Active Support™
  • SensiFit™
  • Quicklace™
ミッドソール
  • ADV-C Chassis
  • EnergyCell™
アウトソールContagrip® MA
防水透湿GORE-TEX フットウェア ストレッチテクノロジー
快適性★★★★★
重量★★★★☆
グリップ★★★★★
クッション性★★★☆☆
プロテクション★★★☆☆
安定性★★★★★

詳細レビュー

アナトミカルフィット × ストレッチブーティによってフィット感が大幅向上

このシューズの魅力を語るにあたって、無駄な言葉は要りません。とにかく履いてみて、その心地よさを感じてみてください。

この極上のフィット感の正体はこれまでの「SensiFit™」に加えて新たに刷新されたソックス構造のアッパーにあります。

長らく世界中のハイカーの足を魅了してきたサロモンのX ULTRAシリーズの魅力は何と言ってもその心地よいアッパーのホールド感であることは、このサイトでも何度もお伝えしてきました。それを支えてきたのはご存知、SALOMON独自の「SensiFit™」技術(下写真)です。足の裏から甲までを手の平で覆うように張り巡らされたアッパーによって、どんな形の足であれ全体を優しく包みこむような心地よいフィット感がえられます。

実はX ULTRAが今年 3 → 4 へと進化した際、より動きやすさと軽さが重視されたことによって正直フィット感については若干薄まった感じが否めませんでした。そうしたユーザーの声を知っていたかのように、サロモンはすぐにこの新しいX ULTRA PROによって「機動性を損なわずに従来の極上のフィット感」を実現してくれました。

上の写真は、左側が今シーズンリニューアルしたX ULTRA 4、右側がさらに今回新しくリリースされた最新バージョンX ULTRA PROの外観です。シュータン部分を排し、アッパー全体が1枚のニットで形作られたような構造になることで足首回りの密着感が段違いに向上し、まるでソックスを履いているかのように足とシューズが一体化した感覚を実現しました(下写真)。おまけに無駄な素材を切り詰めることで軽量化にも成功しています。

また細かい点ですが、個人的にX ULTRA 4で感じていた外側くるぶしの骨に足首周りの縁がやや当たる感覚も、新しいアッパーでは違和感なく、見事解消されています。誰もが、まるで自分のためにあつらえたかのようなフィット感を得られるのではないでしょうか。

新搭載「GORE-TEX フットウェア ストレッチテクノロジー」がこれまでにないしなやかさと防水透湿性を両立

ソックスタイプのアッパーを備えたシューズなんて別に新しくないという人もいるかもしれません。ただこのシューズがキラリと光るのは、このソックス構造による心地よいフィットをGORE-TEXという最も信頼性の高い防水透湿素材で実現しているということだったりします。

通常GORE-TEX搭載のシューズでは、伸縮性のないGORE-TEXラミネート(防水透湿膜を含んだ生地)をブーティ状にして靴の内側に張りつけたような構造になります。このため、いくら靴の表面が伸縮したとしても内側のブーティ部分は伸縮しないため、靴自体はどうしても伸縮しずらくなってしまいます。

それが今回の新作では、ブーティを構成するGORE-TEXラミネート自体に伸縮性が備わっているため靴全体が気持ちよく伸び縮みしてくれます。足への不自然な圧迫感も抑えられるだけでなく、ブーティにした時のしわや折り目もなくなり、結果として足へのフィット感が向上するという仕組みです。裏地に採用されている生地も肌当たりがよくしなやかで、快適な履き心地を一層引き立てています(下写真)。

その効果を最大化するかのように、今回のアッパー表素材は適度な通気性と伸縮性・柔らかさ、そして耐久性を備えたリップストップ化繊生地を採用しています(下写真)。このストレッチ生地によって程よい密着感がありながら、靴の中で指が圧迫されることなく、つま先部分もX ULTRA 4よりさらに気持ちよく動かせるのがまたお気に入りです。

もちろんGORE-TEXフットウェアによる防水透湿性能は安心の一言に尽きます。シュータンのない構造であり、さらにシューズの縁までメンブレンが行き届き、防水性はより強固に、よほどのことがない限り水たまりでも安心です(下写真)。

トレイルランニングシューズに迫る軽量性

ついこの間、X ULTRA 4の登場でその軽くなった重量を喜んでいたというのに、このX ULTRA PROはそこからさらに軽くなっちゃってます(下写真。27.0サイズ実測)。その軽さは一般的に言えば、トレイルランニングシューズにGORE-TEXを載せたモデルに迫る数字で、ハイキングに必要な耐久性を備えたシューズとしてはかなり攻めた重量といえます。

軽量&ローカットでは考えられないほどブレにくく、怪我しにくい安定性の高さ

これまで述べた新しい強化ポイントの他には、X ULTRAシリーズの特徴と、X ULTRA 4で新しく進化した性能が基本的に引き継がれています。

ADV-Cシャーシによる異次元の安定感

例えば多くの人が悩む「ハイキング中の足首等の捻挫」をとことん抑制し、常に安定した着地・踏み出しを可能にてくれる「ADV-Cシャーシ」(下写真)。

このパーツの仕組みと効果については以前のX ULTRA 4レビューで確認していただくとして、端的に言うと、これによって足の自由度・動かしやすさはそのままに、ローカットシューズにも関わらず、足首を外側にひねったりする心配が驚くほど減り、長期間のハイクでも常に安定した安全な歩行が可能になりました(下写真)。

急傾斜やウェットな地形でも安定して着地・踏み込みが可能なグリップ力

さらに足の甲をしっかりと固定して、足のブレや下りでの前への突っかかりを抑えてくれる「Active Support(アクティブ・サポート)」も健在です(下写真)。

靴の外側でミッドソールとシューレースを繋ぐ帯のように配置されたその補強材は足を正しい位置でしっかりと固定し、足が靴の中で暴れるのを防いでくれる。

悪路でもスリップしにくい、全地形対応のContagrip® MAによる高いグリップ力

X ULTRA 4になって明らかに向上した、滑りにくく踏ん張りもきくContagrip® MAのアウトソール、X ULTRA PROでも同じように採用されています(下写真)。

左がX ULTRA PRO、右がX ULTRA 4。素材もラグ形状も同じ。

土・木・砂利道といった一般的なオフロードからツルツルとした岩場やぬかるみ・濡れた岩の上などのウェットで滑りやすい地形まで、アウトドアで想定される相当困難な地形まで心配なく足を置くことができるでしょう。

均一でしっかりと締め付けられ、素早く簡単に脱ぎ履きできるクイックレースシステム

もちろんサロモンのローカットシューズでは定番のクイックレースシステムも、最新モデルが搭載されています。直感的にごく軽い力で締めたり緩めたりでき、しかも緩みやすいといったこともありません。逆にきつく締めすぎることもできてしまうため、履き始めたばかりのうちはいろいろな締め具合で試し、自分なりにちょうどいいポイントを見つけるのが上手く付き合うコツです。

ただ一つ残念なのは、今回ちょっとだけこのパーツを収納するシューレースポケットがギリギリ小さすぎる点。全部しまうの結構苦労します汗。

軽量化と引き換えに若干削られたプロテクション

X ULTRA PROを、もしX ULTRAシリーズのバージョン「3」までしか知らない人が見たら、これが同じシリーズの靴だと分かる人はそういないのではないでしょうか。実際のところ、X ULTRAシリーズにこれまで備わっていたリッチな耐久性・堅牢性といった側面は、このモデルで必要最低限の部分を除いてかなり削ぎ落されています(下写真右上)。

左下がX ULTRA 4、右上がX ULTRA PRO。アッパーの素材から、つま先の補強素材など多くの部分でプロテクションは控えめに。

アッパー生地や、つま先からかかとの周りにかけて張り巡らされた補強素材のゴツさ・堅牢性は、トレッキングシューズとトレイルランニングシューズの間くらいの印象。より軽く柔軟に(ランニングシューズ的に)なった反面、登山靴的なタフさといった側面は確実に弱まっています。長くても比較的なだらかな地形を歩くなら問題ないですが、これ1足で険しい高山もと考えている人には慎重な判断が迫られます。

まとめ:オールラウンドなX ULTRA 4に施された「怪我なく・速く」進むための絶妙なチューニングが気持ちいい快適ハイキングシューズ

結論から言うと、新しいX ULTRA PROは、自分にとってはハイキングシューズに欲しい要素がすべて詰まった、自分のために作られた山靴のように思える1足でした。

これまで優れた快適さが強みだったシリーズに「安定性」という新たな武器が備わった一方で、フィットや快適さといった面で若干淡泊になった(と感じていた)X ULTRA 4が、また別の形でその極上の快適さを携えて帰ってきてくれた(しかもさらに軽快になって)。個人的にはそんな印象です。

より一般的には、ビギナーから山歩きに最適なX ULTRA 4に、ファストパッキングといったちょっと激しめの登山がしたいハイカーがが欲しくなるような、痒い所に手が届く絶妙のチューニングが施されたのがX ULTRA PRO。そんな、怪我の不安なく長い距離歩けて、そのうえファストパッキングなどの旬なアクティビティに十分対応するほど軽快で、しかも「快適」なシューズなんて、求めていたのはぼくだけじゃないはずです。

SALOMON X ULTRA PRO GORE-TEXの詳細と購入について

製品の詳細についてはX ULTRA PRO GORE-TEX(メンズ)X ULTRA PRO GORE-TEX(ウィメンズ)それぞれの公式通販サイトもあわせてご確認ください。