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SALOMON X ULTRA 360 GORE-TEXレビュー 街履きからトレイルまで。アウトドアライターが24時間365日履いているハイキングシューズ

SALOMONの人気ハイキングシューズ、X ULTRAシリーズに出会ったのは今から8年ほど前の第2世代から。当時、これまで感じたことのなかった驚きのフィット感は今でも忘れません。それからというもの自分にとってこのX ULTRAシリーズは低山ハイクをはじめ毎日の仕事靴(ウォーキングシューズ)としても手放せないものとなりました。その間にもシリーズは進化と分化を続けながら着実に多くのハイカーを虜にしていき、今やサロモンハイキングシューズの定番として成長を続けています。

今回はそんなサロモンのハイキングシューズの代表作でありロングセラー、X ULTRAシリーズのアップデートされた最新モデル、X ULTRA 360 GORE-TEXをレビューハイキングから日常まで約1ヶ月間履き続けて感じたインプレッションをお伝えします。

SALOMON X ULTRA 360 GORE-TEXの主な特徴

ヨーロッパ・アルプスの代表的なロングトレイル「ツール・ド・モンブラン」を自宅のドアからピークまで一足でこなすというコンセプトのもと開発されたサロモンの人気ハイキングシューズ「X ULTRAシリーズ」の最新モデル、X ULTRA 360 GORE-TEX は、長いトレイルを安全・快適に、そして疲労をためずに歩けることに重点を置いた機能をバランスよく詰め込んだハイキングシューズ。「SensiFit with Active Support™」と「Quicklace™」による優れたフィット・ホールド感、衝撃吸収力に優れた「EnergyCell™」による快適性、着地時の横ブレを防ぎ足首の安定性を高める「Advanced Chassis™」、つま先のプロテクションを備えた耐摩耗性メッシュアッパー、GORE-TEX 防水、不整地から泥や岩場にも対応する「All Terrain Contagrip®アウトソール」などにより、オフロードでも安定した歩行をサポートします。アップデートによってアッパーにはより軽量の新しいリサイクル生地を採用し、シューズ全体が軽量化。またシャーシとラグパターンにも若干の微調整が施されました。

おすすめポイント

  • 極上のフィット感と包み込むような心地よいホールド感
  • 動きの自由を制限することなく横方向のブレを抑える優れた安定感
  • つま先をはじめ周囲を鋭角な障害物から守るしっかりした保護
  • 適度なクッション性
  • 素早く簡単に脱ぎ履きできるクイックレースシステム
  • GORE-TEXによる安定の防水透湿性
  • 乾いた路面と濡れた路面の両方で優れたグリップ力を提供する ぬかるみや岩場にも安定したグリップ力

気になったポイント

  • 決して走れなくはないがファストパッキングなどのアクティブなハイキング向きではない
  • 10kgを超えるような重荷を背負ってのハイキングに対してはソールが柔らかすぎる

主なスペックと評価

項目SALOMON X ULTRA 360 GORE-TEX
公式重量372g(US8サイズ)
ドロップ10mm(トゥ14mm / ヒール 24mm)
アッパー
  • 合成素材/テキスタイル
  • SensiFit™
  • Quicklace™
ミッドソール
  • Advanced Chassis™
  • EnergyCell™
アウトソールAll Terrain Contagrip®
防水透湿GORE-TEX®
快適性★★★★★
重量★★★☆☆
グリップ★★★★☆
クッション性★★★★☆
プロテクション★★★★☆
安定性★★★★☆

詳細レビュー

快適性と耐久性、重量:足全体を優しく包み込む極上のフィット感と絶妙なホールド感、そして軽さと強度の絶妙なバランスも健在。

このシューズの魅力を感じるのに言葉は不要。足に吸い付くようなソフトな肌当たりや、「SensiFit™」技術によって足の底から甲までを包み込むように支えてくれる唯一無二のフィット感とホールド感は、10年以上にわたって世界中の登山者から支持されてきました。今回も極上の履き心地は健在です。さらにX ULTRAシリーズのSensiFit には、甲部分に横ブレを抑制するウィング状の「Active Support」が組み合わさることで足を正しい位置にホールドし易くなっているため、より優れた安定性が付加されています。

底から足全体を包み込むようにホールドする「SensiFit™」が相変わらず極上の履き心地を提供

アッパー素材がよりサステナブルで軽量な素材に

今回のアップデートではアッパー素材に新しいリサイクル素材を49%使用し(ミッドソールはリサイクルされた電気ケーブルを8%採用)、環境への対応を高めながら、これまで通り柔軟で適度な通気性を備え、さらに軽量化にも成功しているところが大きな進化。372g(GORE-TEXモデル、US8サイズ)という重量は決して最軽量の部類ではないとはいえ、一般的なハイキングシューズでいえば軽量の部類に入ります。実際以前のモデルに比べてますます軽快になったという印象が感じられました。

耐久性と通気性を維持しながらより薄手軽量・サステナブルになったアッパー生地

しっかりと足を守ってくれる十分なプロテクション

アッパーのつま先・かかと・靴の底の周りといった磨耗しやすい部分にはしっかりと厚めの補強がなされており、岩や木の枝・根などからの衝撃を和らげてくれ、一般的な登山道を歩く分にはまったく心配の必要が無い程度に充実したプロテクションといえます。

つま先を中心にぐるりと補強が張り巡らされ、本格アウトドアシューズとして十分なプロテクションを備えている

一方、足首やシュータン周りには柔らかいパッドがたっぷりと入っており、歩いていて擦れたり圧迫されたりすることがなく非常に快適。またシュータンはブーツのアッパーの上部に編み込まれて繋がっているため砂利や水などの侵入も抑えてくれます。

足首周りとシュータンに配置されたパッドは相変わらず潤沢

ローカットモデルではクイックシューレースシステムを採用。締める・緩めるの切り替えを直感的な操作で素早く行うことができ、上り下りでの締め具合の微調整を億劫がらずに行えます。余った部分を収納するシューレースガレージも適度な大きさで、ストレスなく収納できました。

直感的な操作で締める・緩めるが瞬時に行えるクイックシューレースシステム

全体として改良されたアッパーは快適でソフトな感触を保ちながら、軽さ、柔軟性、山での使用に十分な耐久性の絶妙なバランスを備えているといえます。

安定性・クッション・グリップ:どんな凸凹道も快適なトレイルに変えてくれる絶妙なソールユニット

下り坂でも気持ちよく着地できる安定感抜群のミッドソール

シューズが軽くなることを嫌う人はいないと思いますが、軽量化によって靴の安定感とサポート力が犠牲になるといったことも無いとはいえません。その点、X Ultra 360 に関しては心配無用でした。今回のアップデートでアッパー以外のソールユニットに関しては大きな変更はなく、快適な乗り心地の印象はほとんど変わりませんでした。

今回の新モデルを左足に、旧モデルを右足に履いて歩き比べてみたが、乗り心地の良さはほとんど変わらない

ミッドソールに搭載されたEVA フォームの「EnergyCell™」は、高い反発性とクッション性を兼ね備え、しかも長時間歩いてもパフォーマンスが落ちる(ヘタる)こともなく、ずっと心地よいリバウンドを提供してくれます。丸一日過ごすハイキングではもちろんですが、それよりも個人的には一日中大量の資料を背負って硬い地面の上を何万歩も歩かなければならない大規模の展示会で、このシューズの確かなクッションと快適な履き心地に何よりも助けられました。

さらにミッドソールの下部に搭載された「Advanced Chassis™」が靴のサイドをしっかりと支えることで、着地時に荷重によって足が横ブレするのを最小限に抑えてくれます。これらのアッパーとソールに搭載された各パーツが一体化した構造「ディセントコントロール」によって、着地時の衝撃を効果的に吸収しつつねじれを制御し、特に下りでは気持ちよいほどの安定感を感じることができます。凸凹やアップダウンの続くトレイルも、長時間にわたって快適に歩けました。

「Advanced Chassis™」は硬質の樹脂がかかとを一周するように配置され、着地時の横ブレを抑制する

この結果、前足部は柔軟で十分なフレックスによって足裏の感覚もしっかりと感じられながら、着地時には足首がグニャることもなく、どんな斜面でも安心して気持ちよく足を置くことができます。もちろん重荷で長時間歩行を続けたとしても鋭い石や地面からの衝撃もある程度吸収してくれるので、足裏へのダメージも防いでくれるというこれまでの魅力も相変わらずです。

地形を選ばない All Terrain Contagrip®コンパウンド

X ULTRA 360 が採用しているアウトソールのタイプは、舗装路からオフロードまで幅広い路面タイプに適応する汎用性の高いシューズに多く採用される「All Terrain ContagripⓇ」。硬い地面もぬかるんだ泥も苦手なく対応してくれる文字通りオールラウンドなグリップを提供してくれます。アプローチでの舗装路から砂利交じりの林道、土、木の根、岩場、残雪と、多様な路面に対して自信をもって歩かせてくれました。

代々続くシェブロンラグ形状のアウトソールは、前後だけでなく横方向のグリップも安定性を高め、ぬかるみでの泥も抜けやすいパターン

アウトソールのラグパターンを見てみると、各ポイントはくさび型の「シェブロンラグ」形状で、前への踏み出しや牽引力だけでなく、多方向に対してグリップ力が発揮されるようにデザインされています。

前モデルに比べて各ポイントの大きさが若干大きくなり、より安定性が増した印象

前モデルなどと比べるとポイント一つ一つがやや大きくなり、溝が狭くなったことで平地での安定性が増している印象。とはいえ泥抜けも意識されたパターンは相変わらずで、泥混じりの滑りやすい地形でも安定したグリップが期待できます。つま先とかかと部分は踏み込みとブレーキを考慮した手厚い構造になっており、よりアクティブなペースにも対応する設計といえそうです。

かかと、つま先にはよりグリップ力を高めるためのラグ形状が施されている。

またトレイルの途中に出てくる水たまりや沢筋を渡らなければならないときでも、GORE-TEXによる安心の防水透湿機能があるので、くるぶしの下あたりまで水が浸かっても靴の中に浸水することはなく安全に行動することができました。

GORE-TEX防水透湿仕様によって水の侵入をシャットアウト

まとめ:あらためて実感した「快適に歩く」ことにかけて他の追随を許さない実力の高さ

このシリーズをはじめて履いてから10年近く経った今、新モデルを履いてみて、あらためて自分の中で最も快適なハイキングシューズのひとつであると実感しました。

基本的な履き心地の良さ、快適さに重点を置いたこのシューズで自分が最も気に入っているのは、どんなフィールドでもお構いなしに自信を持って連れ出せる汎用性の高さです。極上のフィット感とホールド感、軽量ながら丈夫で通気性に優れたアッパーに加え、歩きやすさと信頼性の高いソールを備えたX ULTRA 360 GORE-TEX は、長時間の本格ハイキングに対応するアウトドアシューズであり、日常のストレスを軽減する快適ウォーキングブーツでもあります。ぼくの毎日はこのシューズを履いてドアを開けることから始まります。雨だろうが雪だろうか、このシューズは街であれば怖いものなしです。

しかしどんなシューズにも限界はあります。いくら完成度の高いシューズであっても、この快適さが発揮できるのは小屋泊まり程度の荷物まで。荷物の重さも十数キロを超えてくればやはりさらにシャンクの入った堅牢なソールが必要になってきます。また、重厚なアッパーは決して走るのに適した靴という分けではなく(走れないことはまったくないですが)、ソールの柔軟性やラグの深さ的にも岩場続きで垂直の移動が多いテクニカルな地形も得意とはいえません。このシューズがマッチするのはやはり低山~岩場の出現頻度が50%以下くらいの中級山岳を、小屋泊まりや30リットル程度の荷物でハイキングするといったシチュエーションです。あるいは自分のように割り切って日常のウォーキングシューズとして履きつぶすのもおすすめです。

バラエティ豊かなX ULTRAシリーズ。それぞれどう履き分ける?

人気のX ULTRAシリーズは、今回紹介した「360」でも多彩なバリエーションが用意されています。特に同じく新発売の「X ULTRA 360 EDGE GORE-TEX」は、「360」とほぼ同じスペックで文字通りよりエッジの利いたデザイン・カラーリングになっており、自分のスタイルに合わせて選べるのは嬉しいところです。

なお、「360」にはより軽量なGORE-TEX非搭載の防水ではないモデルが選べ、一方「360・360 EDGE」どちらもローカットとミッドカットの2種類が用意されています。よりハードな登山を志向していたり足首に不安を抱えていて、十分な保護が必要になってくる場合にはミッドカットを選ぶのがおすすめです。

さらに2021年シーズンから登場している「X ULTRA 4」も依然として人気があり、こちらも並行して販売されています。「X ULTRA 4」は何といっても足首のねんざを予防する安定感抜群のシャーシが特徴。個人的にはこれまでのフィット感がお気に入りという人や、はじめて登山を始めるなんて人にはこの「360」から試してみるのが良いと思いますが、より重荷やアクティブな行動でのサポート性を高めて安全に登山したいとはっきり感じている場合には「X ULTRA 4」を選ぶといった選択がおすすめです。

「SALOMON X ULTRA 360 GORE-TEX」の詳細と購入について

最新モデルの入荷情報や製品の詳細については公式通販サイトをご確認ください。

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