ローカットなのにこの安定感は事件。唯一無二の快適さにケガ予防効果がプラスされた定番ハイキングシューズの新作 SALOMON X ULTRA 4 GORE-TEX レビュー

足を包み込むかのような優れたフィット感と長時間歩いても快適な履き心地で多くのファンを抱えるSALOMONのベストセラーハイキングシューズ、X ULTRAシリーズは、2012年の登場から数年ごとに刷新を繰り返してきました。

その大人気シリーズで、この春3シーズンぶりに満を持してアップデートされたモデルが今回紹介する「X ULTRA 4 GORE-TEX」です。前作をレビューした際に実感した極上の快適さと、ハイキングシューズとしての完成度の高さは感服すべきものでした。その自分がこの4代目を約1ヶ月間履き続けてひしひしと感じたのは、前作の魅力を引き継ぎつつも、よりスマートで洗練されたデザインにこれまで味わったことのない斬新な機能と魅力を詰め込んだ、新しいコンセプトによる「もう一つのスタンダード」の誕生です。

今回はそんな新作SALOMON X ULTRA 4 GORE-TEXをハイキングや日常生活でとことん履き続けてみて感じたことをレビューしていきたいと思います。

SALOMON X ULTRA 4 GORE-TEXの主な特徴

前作から大幅に刷新された外観を備えたSALOMON X ULTRA 4 GORE-TEXは、X ULTRAシリーズの高いフィット感と快適な歩行性能といった基本構造をベースとしながら、より安定性とサポート性の強化に比重をおき、テクニカルな地形でより歩きやすく、怪我しにくくなったハイキングシューズ。ミッドソールの新しい「ADV-C Chassis」と「Active Support」のコンビネーションによって、足首の動きの自由を損なうことなく関節をサポート。怪我のリスクを軽減するすると共に起伏や凹凸の激しいテクニカルなトレイルでの安定した足運びを可能にします。さらに深いラグの「Contagrip® MA」アウトソールによってぬかるみや濡れた岩場などの滑りやすい地形でのグリップ力も向上させることで、アウトドアでのあらゆる地形であ安定した着地・踏み出しを提供します。

軽量・俊敏なローカットシューズにも関わらず驚くほどの安定性と快適さを備えたSALOMON X ULTRA 4 GORE-TEXは、足に不安を抱えているハイカーだけでなく、より過酷で長いルートを歩くハイカーや、オフロードに歩き慣れていない初心者など、山での怪我のリスクを知る幅広いハイカーとって重要な選択肢となる1足といえます。

おすすめポイント

  • ローカットとは思えないほどブレにくく、怪我しにくい安定性の高さ
  • 重荷・長距離でも疲れにくく快適なクッション性
  • 急傾斜やウェットな地形でも安定して着地・踏み込みが可能なグリップ力
  • 安定性を重視した構造にも関わらず軽量
  • 素早く簡単に脱ぎ履きできるクイックレースシステム
  • つま先をはじめ周囲を鋭角な障害物から守るしっかりした保護
  • GORE-TEXによる安定の防水透湿性
  • スタイリッシュな外観

気になったポイント

  • 相対的にやや淡白になったアッパーのフィット感
  • 外側くるぶしの骨に足首周りの縁がやや当たる感覚
  • シュータンがぶらついてしまうため、やや履きづらい

主なスペックと評価

項目SALOMON X ULTRA 4 GORE-TEX
重量365g(27cm片足実測)
ドロップ11mm(トゥ 13mm / ヒール 24mm)
アッパー
  • 化繊素材アッパー
  • Active Support
  • SensiFit™
  • Quicklace®
ミッドソール
  • ADV-C Chassis
  • EnergyCell
アウトソールContagrip® MA
防水透湿GORE-TEX
快適性★★★★☆
重量★★★★☆
グリップ★★★★★
クッション性★★★☆☆
プロテクション★★★★☆
安定性★★★★★

詳細レビュー

シンプルでスマートに刷新されたデザイン

まずはじめに目に飛び込んでくるのはデザインの大幅なアップデートです。よりシンプルですっきりとした色使いと、そしてより滑らかでスマートな外観へと変貌し、最近の落ち着いた色合いの服にも合わせやすくなりました。

サロモンのここ最近の新製品全般に言えることですが、デザインやカラーリングはますます洗練されてきていて嬉しい限り。これまではいくら快適だからといっても日常でまで履く気にはならなかったのですが、これならばオンでもオフでも、24時間ずっと履いていたくなりますね。

シリーズ共通の優れた快適性をベースに刷新されたフィット感

足に吸い付くような肌当たりや、足の底から甲までを包み込むような心地よいホールド感を提供する「SensiFit™」技術による唯一無二の心地よい履き心地(下写真)はX Ultraシリーズのもつ大きな魅力のひとつ。その抜群のフィット感は今回も健在で、前作までのフィット感がお気に入りならばX Ultra 4のフィット感も概ね気に入ることができるはずです。

Sensifit™による、紐を締めたときの均一でムラのない包み込むようなホールド感は絶妙。

ただ自分も含め、旧モデルの密着感の高いフィットを期待している人は若干の注意が必要です。足を入れた瞬間にはちょっとした違和感を感じるかもしれません。

それは今回シューレースホールの数が1列少なくなった(X Ultra 2の数に戻った)ことでトゥーボックスが従来のモデルよりも広くなったことなどが影響しています(下写真)。よりつま先周りが動かしやすくなった一方で、その分空いたスペースにやや物足りなさを感じてしまうのです。

とはいえ、シューズ全体としてはかかと周りも含めてしっかりとホールドしてくれるため、ブレを感じたり靴の中で足が動くといったことはなく、結果的にその違和感は履いていくうちに慣れていくので心配は要りません。逆に前作よりもつま先部分はゆったりとして心地よく、よりアクティブな動きにも柔軟に対応しやすくなったことは、多くのハイカーにとってこれは前向きに捉えられるでしょう。

その他、より動きの自由度と機動性が重視されたことで、アッパー全体のボリューム感もやや薄まった印象です。自分はそれが気になるというほどではありませんのでこれについては個人差があると思っていますが、前作のラグジュアリーで密着感の高い履き心地が好みだった人にとってはややがっかりする変化かもしれません。

それよりも個人的には、外側くるぶしの骨に足首周りの縁がやや当たる感覚が気になりました。全体的にヒールから足首周りは、安定性重視のためなのか、わずかに深く感じられます。また軽量化とフィット感の向上、石・砂等の入りにくさに一役買っている、GORE-TEXメンブレンと連動した新しいシュータン構造は、慣れないうちはブラついてしまって履きにくかったり、奥の方で折れ曲がっていないかが気になりました。その辺りについては今後の進化を期待したいところです。

このシューズで一番の驚き。ローカットではかつて感じたことのないほどの高い安定感!

新しいX Ultra 4のパフォーマンス面での最大の進化は、ハイキング中に最も起きやすいといわれている「外側への足の捻り」、いわゆる外側への捻挫を抑制してくれる、飛躍的な安定性の向上です。

かくいう自分は高校の部活(ハンドボール部)時代から何度もこのタイプの捻挫を経験した結果「捻挫グセ」がついてしまい、登山でも大体1日に1回は下り途中で捻挫未遂を起こしていため、「10kg以上の重荷ではローカットは履かない」と心に決めている程度に、捻挫に悩まされ続けていた人間です。

このシューズはそんな長年連れ添っていた、半ば諦めかけていた悩みを嘘のように(煽りでもなんでもなく)かき消してくれたのだから驚きです。その秘密はもちろん新たに設計された「ADV-Cシャーシ」にあります。

ハイキングシューズも含めてローカットのスニーカーであれば、足首を外側に曲げようと意識すれば比較的難なくグニャッと曲がるはずです。これが不意に荷重がかかった状態で起きてしまうと捻挫になってしまうわけです。

SALOMONではこの捻挫が起きるメカニズムに着目し研究を重ねた結果、捻挫を引き起こす大きな要因に、ちょうど土踏まずのアーチの頂点あたりにある関節部分(「リスフラン関節」と「ショパール関節」)が深く関わっていることを突き止めました。そこでこの関節を支え、サポートすることで怪我のリスクを軽減し、歩行に安定感をもたらそうと開発されたのが、前述の関節部分を足裏から支え、覆ように配置された硬質な樹脂パーツ「ADV-Cシャーシ」です(下写真)。

このパーツの効果、つまり従来のシューズとの違いは履いた瞬間即座に実感できるほど明らかでした。

試しに足首を外側に曲げてみようとします(下写真)。従来のハイキングシューズを履いた足(下写真右)は、比較的楽に曲がってしまうのに対し、X Ultra 4を履いた足の方(下写真左)は……驚くほど、簡単には曲がらない。一見すると柔らかいローカットのスニーカー以外の何物でもないのですが、足の外側にはまるで硬い壁があるかのように、言い換えると外側だけミッドカットのトレッキングブーツであるかのようにしっかりと抑えが効いていることを容易に感じとることができます。ローカットシューズにも関わらず、相当無理やり力をかけないと曲がってくれない、こんな感覚ははじめてです。

もちろん外側に屈曲しにくいからといって歩きにくいわけではありません。先程も書いたように、SALOMONは関節の動きを制限するのではなく、あくまでもサポートするようにシャーシを作用させているとのこと。実際歩いている最中も抑制されている感じやぎこちなさはなく、むしろ凸凹したオフロード地形を快適に歩けるようアシストしてくれているように感じられます。ローカットのいいところとミッド(ハイ)カットのいいところをバランス良く融合しているというのが適当でしょうか。

敏捷性・クッション・サポートの絶妙なバランスで下り坂ではさらに怖いものなし

ADV-Cシャーシのインパクトが強すぎて、そこばかりが目にいきがちですが、実はその影に隠れてしれっと搭載された「Active Support(アクティブ・サポート)」も地味に衝撃的でした。

靴の外側でミッドソールとシューレースを繋ぐ帯のように配置されたその補強材は足を正しい位置でしっかりと固定し、足が靴の中で暴れるのを防いでくれます(下写真)。さらに甲の高い位置のちょっと前で締めつけられているため、下りの最中につま先が靴の先端に突っ込むことを防いでくれ、傾斜のきつい下り坂を勢いよく降りていってもずっと快適でいられました。

さらに前作から引き続いてミッドソールに搭載されている、EnergyCellの高い反発性とクッション性を兼ね備えた手厚いサポートと相まって、下りでの安心感と気持ちよさは前モデル以上。もちろん重荷で長時間歩行を続けたとしても地面からの突き上げや衝撃を同じくらいしっかりと吸収し、疲れにくいというシリーズ共通の魅力は相変わらずです。

ちなみに前作X Ultra 3に比べて新しいX Ultra 4ではミッドソールの厚みが全体的に5mmほど厚くなっていますが、実際には厚くなっただけのボリューム感を実感できるほど大きく変わったという印象はありません(下写真。むしろフカフカ感は3の方が高く感じるかもしれない)。

スペック的には前モデル(下)に比べて新モデル(上)の方が5mmほどソール厚が増えたが、見た目も歩いた実感でも違いはそこまでなく、相変わらずどちらも快適。

より粘り強いラバーを採用した高いグリップ力で、悪路での安定感が向上

これまで以上の安定性向上が今回のアップデートのテーマであることがよく分かるもう一つの変化が、新しくチューニングされたアウトソールです。

基本的なラグ(ソールの凸凹形状)のパターンは同じですが、アウトソールに使われているラバー素材には前作よりわずかに粘着性の高いContagrip® MAが採用されています。

これによってツルツルとした岩場やぬかるみ・濡れた岩の上などのウェットな地形での滑りにくさも向上。この粘り強いラバーと多方向に対応したラグパターンによって、マイルドなトレイルから悪路まで、アウトドアで想定される幅広い地形で安定感抜群のトラクション(踏み込みとブレーキ)を提供してくれます。

また今作ではかかとの作りに工夫が加わり、わずかに出っ張ったかかとにブレーキを考慮した斜めの溝が入った構造になっています。かかとからしっかりと着地しやすい設計となっており、健脚でなくてもより少ない負担で長く歩き続けられるように意識された微調整といえそうです。

ハードな登山にも耐えうるプロテクションの高さ

アッパー生地に採用されている合成素材は、張りのある化繊のリップストップ生地。耐久性に関してはともかく、プロテクション(保護性)に関しては日本のほとんどの登山道を荷物を背負って歩く分には心配する必要のないほどにしっかりと備わっています。

つま先にはキックによるダメージを防いでくれる厚めのTPUがしっかり。

つま先からかかとの周りにかけて張り巡らされた補強も、相変わらずトレイルランニングや軽量ハイキングシューズでは及ばないレベルに充実しています。軽さと堅牢性・デザイン性を兼ね備えた圧着式の補強材(下写真)は岩や木の枝・根などからの衝撃を和らげ、しっかりと足を守ってくれます。

手厚いサポートにもかかわらず、軽快に行動できるだけの軽さを維持

これまで積み重ねてきた説明の通り、新しいX Ultra 4は先代に比べてサポートを増強したにも関わらず、重量についてはほとんど変わらず軽快さを維持しています(365g。27.0サイズ実測)。

この数字は最近流行りのファストパッキング向け超軽量トレッキングシューズに比べると確かに多少重い印象かもしれませんが、プロテクションや耐久性の点ではそれらとは比較になりません。週末の日帰りハイキングから数日間のトレッキングなど、一般的な登山用途向けのシューズとして考えるとX Ultra 4は信頼性の高いパフォーマンスを考えて非常に軽量であるといえるでしょう。

すばやくしっかりとセット可能な最新型のクイックレースシステム

現在多くのサロモンシューズに採用されている最新版のQuicklace®システムが、今作からめでたく初搭載されました。

何度も書いていますが、最新型のシステムではコードを締める・緩めるといった動作が驚くほど直感的に、しかもごく軽い力で瞬時に行えるように進化しています。樹脂パーツと余ったレースはタンにあるシューレースガレージに収納できるので、引っ掛けるなどの心配もありません。

骨格形状から見直された女性専用モデルの他、最適なモデルを選べる多彩なバリエーション

X Ultra 4で注目すべきもう一つの進化は、女性モデルの全面的な見直しです。

メンズとレディースの違いというと、一般的にはサイジングや、あってもラストの幅の違い程度であることが多いものですが、このモデルではそれらにとどまらず、女性の足の骨格形状レベルから見つめ直し、ラストの形状はもちろんシャーシの剛性などを調整しています。さらに足首周りやタングといった摩擦や負荷のかかる部分については、女性が最も心地よく感じられるフィーリングに素材や形状などが最適化されています。

もちろん前作同様、さらなる安定性を備えたミッドカットモデルやより幅広の足型を有する人のためのワイドサイズモデルもラインナップ。誰もが自分のための靴だと思ってくれるための準備は整っています。

まとめ:安心してトレイルを歩くためのすべてを兼ね備えた、新しいオールラウンド・ハイキングシューズ

これまでローカットのハイキングシューズが歩きやすことはもちろん知ってはいたものの、捻挫のことを考えるとどうしても手が伸びなかった自分にとって、正直はじめて「これならば履きたい」と思わせてくれる一足でした。やはりローカットシューズは断然歩きやすい。怪我の不安なくこの軽快さを堪能できるなんて思ってもみなかったことで、今ではX Ultra 4での軽快なハイキングを心底楽しんでいます。

確かにこれまでのX Ultraシリーズの愛用者にとっては、はじめて履いた瞬間の少し淡白な履き心地には初めやや違和感を感じるかもしれませんが、このシューズから感じられる総合的な快適性の高さという意味では変わりません。その意味で今回の「3 → 4」へのアップデートは単純な進化というよりも、X Ultraファミリーの中での新しい兄弟の誕生といってもいいかもしれません。

その証拠に、ありがたいことに並行してX Ultra 3も販売が継続されるとのこと。これまでの桁違いのフィット感がお気に入りという人や、怪我の不安よりも快適さをどこまでも重視したいという人、あるいは体を動かすのが得意ではない人がはじめて登山を始めるなんて人には3を、一方X Ultraシリーズの優れた快適性をベースとしつつ、さらにより長時間・長距離歩いたときにも続く安定した快適性という新たに加わった要素に魅力を感じる人は4を選ぶといった選択が個人的にはおすすめです。

SALOMON X ULTRA 4 GORE-TEXの詳細と購入について

製品の詳細についてはX ULTRA 4 GORE-TEX(メンズ)X ULTRA 4 GORE-TEX(ウィメンズ)それぞれの公式通販サイトもあわせてご確認ください。

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