すっかり肌寒い季節になって参りましたね。みなさま如何お過ごしですか?もう一か月も、風邪っぴきが治らない、へなちょこトライアスリートのRinkoです。
前回の記事は、この夏の終わりに私が出場したトライアスロンのレースで共に戦ったシューズ、アシックスLady Gel-KAYANO 23を個別レビューさせて頂きました。そして今回で最後のレビューとなるシューズは、私が一番これ欲しいっ!と編集長にお願いして用意して頂いたHOKA ONE ONEで締めくくらせて頂きます。
詳細レビュー
アイテム名
HOKA ONE ONE CLIFTON 3 Women’s
HOKA ONE ONE CLIFTON 4 Women’s(2017年秋冬最新モデル)
主なスペックと評価
項目 | スペック・評価 |
---|---|
重量 | 実測236g(片足25.0cm) |
アッパー生地 | 縫い目のないシームレススピードフレーム |
アウトソール | 軽量マキシマムクッションと接地面が多いアウター部分にラバー搭載で耐久性を強化 |
快適性 | ★★★☆☆ |
重量 | ★★★★★ |
グリップ | ★★★★☆ |
プロテクション | ★★★☆☆ |
安定性 | ★★★☆☆ |
総合点 | ★★★☆☆ |
特徴的な形を見せるHOKAはまだ日本のランナーにはあまり馴染みがありませんが、知る人ぞ知るといった感じで、トライアスリートには人気の高いシューズ。
つい先日ハワイで開催された2017アイアンマン世界選手権に出場した選手のうち18.1%(第1位)がHOKAを履いていたと海外のトライアスリート向けマガジンSerious Triathlon Magazine―LAVAで発表されたばかりです。ちなみに2009年~昨年までのトップシェアは長年アシックスが首位の座を守り続けていました。HOKAは2011年からこの種目に登場を始めて以来メキメキとシェアを伸ばし続け、去年はアシックスに1%の僅差まで追い詰めたのち、とうとう今年トップに輝いたのです。鉄人中の鉄人に好んで選ばれるこのシューズ。エンデュランススポーツの頂点ともいえるトライアスロン界において、人気の高いシューズとあらば、きっと私の足をも長時間守ってくれるであろう。
そう期待して・・・まず良い意味の特徴から。
ここがスゴイ
足を踏み入れた途端にふわふわのクッションに驚かされる
通常のランニングシューズと比べて1.5~2倍ほどもある靴底で見た目は奇抜。まるで安全靴みたい。なんとなく重そうだな・・・というのが最初の印象ですが、シューズに足を踏み入れた途端に、ふわっとした優しいクッションと、その軽さ、見た目とのギャップに驚きました。嬉しくなって思わずショップの店内を走ってみるほど。これを履いて走れるんだ!と喜びながら持ち帰ってテスト走行を繰り返していきました。エンデュランススポーツにこの軽さというのは、とても重要なポイント。続いて説明しますが、履けば履くほど良い意味でも悪い意味でも印象が変わっていく、ちょっと面白いシューズでした。
とにかく軽くて楽々!そしてアッパー素材は縫い目がないメッシュ生地で通気性も高い
今回の比較レビューで選んだ三種類のシューズの中では抜群の軽さ!総合評価で私が2位にチョイスしたBrooksとソールの厚さは3cmほどしか変わらないのに、重量は37gものマイナス差をつけて驚くほどの軽さを生み出しています。
またミッドソールにはコンプレッション成型のEVAで極上のクッション感が生み出されています。靴幅は前方がやや広めな感じで日本人女性の私には指先周りにかなり余裕があり、くねくね足指を動かしても有り余るほど。その余りが走った際に不安定さにつながるかと言ったらそうでもない。インナーソールの形が包み込むように前方できちんと足をホールドしてくれているので爪が擦れ当たって剥がれるようなトラブルもありません。上下方向はクッショニング機能と軽さで楽!左右方向にも幅に余裕があって楽!縫い目のないメッシュのアッパー素材も全体に息苦しさがなく、全方向で楽!楽!楽!の三拍子という感じ。
もうひとつ走るのに快適さを生み出しているのが、HOKAの特徴であるゆりかごのように変形したソールの形です。
この形のお陰で一度走りだせば、着地から蹴りだしまで自然なローリング効果でスムーズに足を前に運んでくれます。厚底だから捻挫の心配が懸念されましたが、下りは特にこの形のお陰で多少前のめりに突っ込んでも、通常のランニング姿勢に近い状態でぐんぐんと突っ込めるのが不思議でした。
ここがイマイチ
グリップ力に耐久性は望めないのと癖の強さが履く人を選ぶ
裏を見ると、接地面の多い前方と踵にある黒い部分だけ、やや硬めのラバーソールが搭載されています。
全体の白い部分は柔らかめのゴム素材。履き始めの頃に色んな路面でテスト走行を繰り返し、濡れた山道の下りでも滑らなかったのでグリップ力に問題はないな・・・と思っていましたが、3ヵ月ほど履いてから、小雨の日に、ある一定のコンクリート形状の上では非常に滑ることを発見しました。説明が難しいのですが、細かい小石のようなものが施されているコンクリのタイプが危なかったのと、雨の日のマンホールにも注意が必要でした。
また一般的なシューズにはヒールカップにプラステック素材を一部取り入れられて、踵の動きを固定し、ぶれを防いでくれるのですが、このシューズは他と比べて柔らかい。
カップがぐにゃぐにゃしている訳ではないのですが、がっちりした固定感がないため後方に動きが生じ、足裏には少しだけ摩擦感のような違和感がでました。
まとめ:こんなシーンで使いたい!
ふわふわっとマシュマロに包まれているようで、まるで空を飛んでいるかのような、非常に特徴の高いこのシューズ。
特徴が強い分だけに癖もあると言えるこのシューズは「比較インプレ:長距離×長時間に強いランニングシューズはどれだ!?」では、3選中の3位としました。
その特徴に慣れるまでは体重がクッションに沈み込むような気がして最初は違和感があったからです。しかし、シューズの癖を掴めば、楽しい履き心地でクッションの反発を巧く生かせれば徐々にスピードアップにも繋がってくると思います。また、この軽さと柔らかさクッショニング性は、関節などに故障を引き起こしていて、硬い路面は走らないように気を付けているようなランナーには特におすすめできるのではないでしょうか。