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Review:BROOKS Transcend 4 Women’s 自由の国からやってきた変幻自在な逸品

前回の長距離向けランニングシューズ比較インプレ「長距離×長時間に強いランニングシューズはどれだ!?」の公開から早3ヵ月。この間、焦らずゆっくりマイペースなトライアスリートライターがじっくり時間を掛けてテストを積み重ねてきました。これからそれぞれのシューズの実走レビューをお届けしていきます。今回はその比較インプレで1位のアシックスに僅か及ばずの2位を獲得したBrooksの”超次世代型”クッション&サポートモデルをチョイス。長崎県は五島列島で開催された国際トライアスロンのロングディスタンスで実戦使用して参りました。

スイム3.8km → バイク180kmと摩耗した足に、最後のフル42.195km。さてさてこのシューズはどう反応したのか?ご覧ください。

詳細レビュー

アイテム名

Brooks Transcend 4 Women’s

側面

アウトソール

 

主なスペックと評価

項目スペック・評価
重量実測273g(片足25.0cm)
アッパー生地合成繊維。硬さの異なる2つの素材を組み合わせた”ガイドレール”を採用
アウトソールアウターは合成底。”スーパーDNA”採用でクッション性を25%アップ
快適性★★★★☆
重量★★★★☆
グリップ★★★☆☆
プロテクション★★★★☆
安定性★★★☆☆
総合点★★★★☆

ここがスゴイ

最新のクッショニングシステム「スーパーDNA」の快適さに驚き!

これがスーパーDNAの効果か!と嬉しくなるような感覚は常に変化し続け、走る度に常に新鮮に味わえる。

蹴りだした力がダイレクトにグンっと地面に伝わりスムースに体が前へ進む。またある時は優しくそっと押し出すような・・・

独自の世界初クッショニングシステム“スーパーDNA”

Brooksウェブサイトより引用

靴底を見ると涙型部分だけで機能しているように見えますが、ミッドソール全体にDNA機能が内蔵されています。

まず靴裏の踵の中心部分に当たる所に注目して頂きたい。Super DNAと書かれた涙型部分は特殊なゴム素材。そこを指で押してみると、グンっと押し返されるのが解ります。

これは”ブルックスDNA” と呼ばれる独自のシステム。これはそのクッション性が25%もアップし、その名も”スーパーDNA”に生まれ変わっています。私は前回モデルを知らないのですが、この恩恵は走っていても納得できます。Brooksの国内レビュー記事が少ないので、海外サイトより新旧比較を参考にすると、『明らかにクッション機能がアップして楽に走れるようになった!』と賛美の声が多く見受けられます。

クッショニング機能は走るスピードに柔軟に対応し、軽いジョグでは柔らかく反発、ペースアップすると強く反発してくれます。つまり走るペースに合わせて常に変化し、なんと更には体型や体重の違いにも反応してくれるという優れもの。この臨機応変さは流石スーパーDNAと呼ばれるに相応しいネーミング。

私の今回のトライアスロンレースの場合、前半はペースを上げ過ぎず衝撃をできるだけ軽減するように走り、力を温存できたお陰で後半にはその蓄えた力を生かしてペースアップするという気持ちの良い戦略が見事成功ました。ゆっくり走るとクッションが沈み込んで疲れるシューズもある中で、このシューズはちゃんと自分の走り方に応じて足を守ってくれたのです。

悪くない重量

クッショニング機能が高い分だけ、超・軽量化シューズではありませんが、それでも重さは273gとなかなか悪くはないレベル。キロ6分台で走るエントリーモデルでは、およそ270~320gの物が中心ですから、長時間走り続けるランナー用としてはかなり軽い方ではないでしょうか。

グリップ力は問題なし

グリップ力は3ヵ月以上積み重ねたテスト走行中に履き慣らし当初一度だけ、湿気のある土の軽い登りでほんのちょっとスリップしましたが、それ以外は経験はなし。たまたまタイミング悪かっただけなのかなと思います。アウトソールの土踏まず辺りの黄色い部分にBLOWN RUBBERと表記がありますが、これは従来の典型的なゴム底と比べて軽くて柔らかい素材で、これによってクッショニング機能の高さにも繋がっていると思われますし、通常、ロードレースでは土の路面を長時間走り続けることも少ないので問題はないでしょう。

開放感ある快適な履き心地

履き心地、フィット感などにおいて重要な部分を占めるヒールカップとアッパー素材とトゥー周りについて。

ヒールカップは硬すぎず、柔らかすぎず丁度良い。流線形に見えるプラティック素材が、要所的に巧く踵をホールドすることで、全体的な締め付け感が軽減されており、個人的にはとてもリラックスした履き心地で気に入っています。

アッパー素材は合成繊維のメッシュで3D-FIT。トゥー周りにも締め付け感がなく、足指の動きにも適度な開放感があります。

ここがイマイチ

慣れるまではやや気になる!? ベロ・タン部分のアタリ

痛くて大変と言うわけではないのだけど、べロ・タンの黄色い部分がやや硬く、足の甲に干渉して慣れるまでは少し違和感がありました。全体的な履き心地が開放感に溢れていただけにかえって目立ってしまった惜しい箇所です。履き慣れれば問題視する必要もありませんが、足の甲が高い人や皮膚がデリケートな人には気になってしまうかも。

またガイドレールズと呼ばれる機能は足を強制することなく自然な動きに導いてオーバープロネーション対策となるハズでしたが、コンピューターによる診断やビデオ撮影でも癖の強い右足は十分フォローできなかったよう。走っていて故障に繋がるような痛みなどは出ませんが、知らずらずに右足だけ内に傾いてしまい、そこにベロ・タンが擦れるのも相まってなのか?長期的に履いていくうちにアッパー生地に部分的な衣擦れが生じています。

3ヵ月このシューズによる月間走行距離は約200km程度とさほど多くないのに右足だけ摩耗度合いが何故か激しい。しかしながら強い癖が治るような強制的な靴だと逆に長時間走れないハズ。シューズが摩耗するも足に痛みが出ないこのシューズはある意味優秀ともいえる。

まとめ:こんなシーンで使いたい!

キック反応が素早く、走っていてその変化が楽しい!と思えるシューズ。力強く足を蹴りだせば力強く進み、優しく蹴れば優しく反応し、いつまでも一緒に遊んでいたいシューズです。履き心地もがっちり守るような堅苦しさや重さがないので、普段のジョギングから毎日気軽に履きたいな!と思わせてくれますし、エンデュランスレースにおいて路面の変化や、疲れ度合いにも、Brooksから寄り添って走ってくれるかのようなイメージ。TPOにきちんと応じてくれる頼もしいシューズです。