Review:アシックス Lady Gel-KAYANO 23 どんなシーンでも最後までぶれない強さを見せつける優等生

4月から企画スタートした「長距離×長時間に強いランニングシューズの比較インプレ」も、お陰さまでとうとう初秋を迎えることになりました。今回は3選の履き比べの中でも栄えある第1位に輝いたアシックス Lady Gel-KAYANO 23のレビューをお届けしていきたいと思います。

先月カナダで開催されたITUトライアスロン世界選手権ロングディスタンスで、長時間このしっかり者の優等生に足守られて戦い抜き、無事帰還しました。初めて記事をお読みになる方の為に補足すると、この記事ではシリーズで長距離×長時間に強いシューズを独自の目線から厳選してお届けしております。ちなみに以前レビューした第2位のBrooks Transcend 4 Women’s個別レビューも合わせて読んでいただくと、より一層参考になるかと思いますのよろしければ。

詳細レビュー

アイテム名

アシックス Lady Gel-KAYANO 23

アシックス Lady Gel-KAYANO 24(2017年秋冬最新モデル)

主なスペックと評価

項目 スペック・評価
重量 実測283g(片足25.5cm)
アッパー生地 本体=合成繊維(ラッセル構造)/補強=人口革皮製
アウトソール アウターソールのGUIDANCE LINEがスムーズな重心移動をアシストし走行安定性を高める。ゴム底。一部分に特殊プラスティック採用
快適性 ★★★★☆
重量 ★★★☆☆
グリップ ★★★☆☆
プロテクション ★★★★★
安定性 ★★★★☆
総合点 ★★★★☆

ここがスゴイ

安心して身体を任せてしまいたくなる秀逸なフィット感・ホールド感。例えるならジェットコースターの安全バー。

足を入れて立ち上がった時に、全身がシャンとした姿勢になる感じ。私の場合、偏平足気味で、左右バランスが悪く特に右足が内側に傾くといったオーバープロネーション型で、思い起こせば初心者の頃はちょっと走ると必ずどちらか片方の膝だけに痛みが出ていました。しかしこのシューズはその癖を強制し、まっすぐきちんと正しい姿勢で立てるような気が最初にしました。

ランニングでは長距離になればなるほど、膝や腰へのダメージが気になるという方が増えてくるかと思います。実際私もウルトラマラソンや過度な練習で疲れが重なった時など、右膝に少し痛みを感じることがこれまで何度かありましたが、このシューズでは走り込みの時期でも、本番のトライアスロン世界選手権の最後のランでも、違和感を覚えることはありませんでした。これは傾きがちな足の内側に内蔵され、足のぐらつきを支えてくれるDuomaxの素材によるもの

DUOMAXの仕組みイメージ(出典:Asics)

またソールの厚さは他の2足(Brooks or Hoka one)と比較してマイナス0.5cmと一番薄目ながらも、足つき感なく安定したクッションで膝や腰までしっかりガードしてくれます。

これは踏みつけ部・かかと部など場所に応じて衝撃緩衝性に優れたGELをミッドソールに内蔵していることと、衝撃を和らげるのに優れた反発性を発揮する素材も同時に取り入れられているから。それに加えてレディースはメンズモデルよりも前足部の硬度を低く設定しているという、国産ならではの驚くほど細かい配慮が施されている賜物でしょう。

長時間走っても重さを感じさせない一体感・快適さ

重量的に実はこの三つの中で一番重いにも関わらず、それを感じさせない不思議さ。

重量の差はアシックスのみシューズの足長サイズが0.5㎝大きいのも理由のひとつ(シューフィッターとアシックス専用の計測器によってチョイスされたサイズの為)

アシックスの靴型は陸上競技、ランニング、バスケットボール、サッカー…と、各競技特性に合わせてラストを分けていることはもちろん、男性・女性、スリム(細め)・レギュラー(標準)・ワイド(広め)など、実に豊富なバリエーションが展開されています。このタイプはアーチからかかと部にかけて包み込むようにフィットする立体設計の女性専用の靴型によるもので、それが私にぴったりフィットしているお陰で重さが気にならないのかもしれません。

また長時間、さまざまなシーンを走る選手の場合、例えば過酷な暑さの中ではクールダウンを求めて頭から水を被ったりすることが多くなり、いつの間にかシューズが水を吸って重みを増しグジュグジュと気持ち悪くなったり、そのせいで靴擦れが激しくなり足にマメが出来たりして苦戦することも。今回のカナダの世界選手権は8月後半の開催だった為に、私もかなり水を浴びました。しかしアッパー素材には各所で細かくデザイン違うラッセル構造の通気性の良い合成繊維が施された芸の細かさで、水をも逃がしてくれたお陰で、最後まで履き心地が酷くなることはありませんでした。

ここまで要所々々でアッパー素材に細かい配慮がなされているメーカーですから、もうアウターソールのグリップ力についても言わずもがな。

またシューズ裏に見えるややS時型の流れるような曲線部分【ガイダンスライン】と呼ばれる機能は重心移動をアシストして走行安定性を高めてくれています。

オンロードではアスファルト・マンホール上、濡れた路面、コンクリート、階段など、オフロードでは濡れた土、ウッドチップが施された山道や草木の上など様々なシーンでも滑ったり躓いたりすることもなく走れました。

ここがイマイチ

長所は時として最大の弱点に。

優等生に欠点はないのか?と言われれば実はそうでもありません。

冒頭で、まるでジェットコースターの安全バーと表現させて頂いた完璧とも言えるホールド感は、実は人によっては息苦しさを感じるかもしれません。また足が内側に傾きがちなタイプの私にとって、それを補強するシステムのシューズはベストBUYでした。しかし、足が外側に傾きがちな人などタイプが真逆の人がこれを履くと、どうやら痛みに変わることもあるようです。これは内側に補強されている素材が割と硬い素材のためだとか。日本人の7割程度が、私同様のオーバープロネーション型と言われているので、快適に履きこなせる入門モデルではありますが、あなたの足形にハマるかどうかは実際に試足して選ぶことをおすすめします。

ホールド感が特に強いのはヒールカップ。踵の部分は上から下まですっぽり包み込むようなプラスティック素材がメイン。中学校の上履きみたいに踏みつぶして履くことはできません。安定した履き心地ではあるものの、この完璧さは逆に自由を奪われた感覚に襲われることもあるでしょう。

まとめ:こんなシーンで使いたい!

敢えて欠点を探すのが難しかったくらいに、適合してくれたこのシューズ。今回の厳選シリーズ、長時間×長距離×どんな路面やシーンにも活躍するアイテムとしてNo.1となりました。アシックスはオーバー・ニュートラル・アンダープロネーションのみならず、女性向け・男性向け、足長・幅など様々な足形にフィットするシューズが開発されています。皆さまも一度、プロネーションテストを店頭で受けて自分の足形を知ってみては如何でしょう。まずはお見合い相談みたいなものでしょうか。

自分に合うシューズが見つかれば、向かう所・敵なしです!確実にあなたにフィットした、理想の恋人(シューズ)を手に入れることができるでしょう。

アシックス Lady Gel-KAYANO 24(2017年秋冬最新モデル)

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