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高倍率でウォータープルーフ! 手ぶれ補正付き15倍防振双眼鏡「VCスマート 15×42 Cellarto WP」でエゾリスや小鳥たちを眺めると楽しさは倍増

近所の公園を散歩して、気分転換をしているという方は多いのでは? この公園散歩に双眼鏡を持って行くと、こんなに多様な動物がいることに驚かされます。そんな公園散歩に手ぶれ補正付き15倍防振双眼鏡「VCスマート 15×42 Cellarto WP」を持っていってみました。

「VCスマート 15×42 Cellarto WP」とは

最近流行の防振双眼鏡のなかでも高倍率の最新モデル

最近流行の防振双眼鏡のなかでも高倍率の最新モデル

「VCスマート 15×42 Cellarto WP」と聞いて「ああ、あれね!」となる方は、かなりの双眼鏡好きだけでしょう。「VCスマート 15×42 Cellarto WP」はケンコー・トキナーが扱う防振双眼鏡の最新モデルで望遠倍率が15倍、対物レンズ有効径が42mmのWP(ウォータープルーフ・防水)のかなり高性能な双眼鏡です。

防振双眼鏡は、昨年も非常に話題になったのですが、手ぶれ補正機構を搭載した双眼鏡で人間が双眼鏡を構えて、のぞく際に発生するぶれを防止してくれる機構が搭載されています。しっかり構えれば、大丈夫だと思われる方も多いでしょうが、手ぶれ補正機構のない双眼鏡では実際にはかなりのぶれが発生します。

そのため双眼鏡は意外と見づらいと感じていた方も多く、ライブやコンサートといった推し活でも手ブレ補正機構付きの双眼鏡=防振双眼鏡は、いまや必須のアイテムといわれ、去年、一昨年も大ヒットしました。当然、アウトドアの世界でも双眼鏡の手ブレ補正化が進んでいます。

筆者も野生動物の撮影や公園散歩の際に、同じシリーズの「VCスマート 10×30 Cellarto WP」を愛用しているのですが、さらに望遠倍率の高い最新モデルである「VCスマート 15×42 Cellarto WP」を試す機会に恵まれたので、いつも公園を「VCスマート 15×42 Cellarto WP」といっしょに散歩してみました。

おすすめのポイント

気になったポイント

主なスペックと評価

項目 ケンコー VCスマート 15×42 Cellarto WP
倍率 15倍
対物レンズ有効径 42mm
コーティング フルマルチコート、フェイズコート、高反射コート
実視界 3.8°
見掛視界 52.9°
1000m先の視野 66.3m
ひとみ径 2.8mm
明るさ 7.8
アイレリーフ 14.0mm
眼幅 54~74mm
最短合焦距離 4m
サイズ(眼幅最大時) 180×70×118mm
質量 610g
防振角 ±2°
防水
材質 本体ボディ:ポリカーボネイト樹脂/本体カバー:ABS樹脂/目当てラバー:NBR/転輪ラバー:ABS樹脂
Outdoor Gearzine評価
デザイン ★★★★★
見やすさ ★★★★☆
持ちやすさ ★★★☆☆
携帯性 ★★★★☆
コストパフォーマンス ★★★☆☆

2つの揺れに自動対応するCellartoシリーズ

強力な手ぶれ補正機構は望遠倍率15倍でも強力にその効果を発揮

手ぶれ補正=防振のオン・オフはスライドスイッチでとてもわかりやすく簡単。モードの切り替えなども必要ないのが大きな特徴です。

「VCスマート 15×42 Cellarto WP」を含むケンコー最新の防振双眼鏡シリーズはCellarto(セラート)シリーズとなっています。この最大の特徴が双眼鏡で発生する2種類の揺れに自動で対応すること。

双眼鏡の場合、対象を追いかけて大きくパンニングしたときや、船の上で揺れているときなどに発生する「大きな揺れ」と、止まっている対象を見ているときなどに発生する「微細な揺れ」などが発生、これらには、それぞれに合った防振モードがあるといいます。

しかし、従来の防振双眼鏡では搭載する防振モードが1つで防振を行った像が不自然になったり、防振モードの切り替えが可能でも使用者が自分で判断して手動で切り替えを行う必要がありました。

手ぶれ補正のオン・オフがひと目で確認できるパイロットランプを搭載。動画の撮影などと間違えられないように遮光スライドシャッターを搭載しているのも特徴です。

Cellartoシリーズでは、この切り替えを双眼鏡本体が揺れを感知して自動で迅速に行ってくれます。筆者は現在「VCスマート 10×30 Cellarto WP」を愛用しているのですが、それよりも以前は、この2つの揺れに対応していない防振双眼鏡を使っていました。

2つの揺れに自動で対応する「VCスマート 10×30 Cellarto WP」にメインの双眼鏡を替えた際にも手ぶれ補正の効果の高さに驚いたのですが、今回の「VCスマート 15×42 Cellarto WP」はより望遠倍率が高いので、より強く、その効果の違いを感じました。

例えば「VCスマート 15×42 Cellarto WP」でエゾリスが何かを食べているところを観察していると、食べているものの種類はもちろん、エゾリスの表情、ヒゲの動き、食べているものの状態などまでつぶさに観察できるのです。この視野のクリアさこそが防振双眼鏡の最大のメリットといえるでしょう。

もっとも気になった望遠倍率15倍の効果は?

倍率は15倍と高倍率ですが、対物レンズの有効径が42mmと大きいので、明るさは7.8となっています。やや暗い林のなかでも明るさが気になることはありませんでした。

800mm相当の近い視野が得られていると実感

すでに2つの種類のぶれに自動で対応し、完全防水の防振双眼鏡である「VCスマート 10×30 Cellarto WP」を愛用している筆者が「VCスマート 15×42 Cellarto WP」を試してみたいと強く思っていた理由は望遠倍率が15倍であることです。

筆者が普段から愛用している「VCスマート 10×30 Cellarto WP」は倍率が10倍。厳密ではないものの、普段からのカメラでの撮影に慣れている人間にとっては、35mm判での50mmを1倍と考えると10倍は500mmの超望遠レンズだと考えるとわかりやすいといわれ、実際に望遠レンズとのぞき比べて、体感的にもだいたい合っていると感じています。

すると15倍の「VCスマート 15×42 Cellarto WP」は750mm相当の超望遠になります。実はカメラの望遠レンズも最近超望遠化が進んでおり、昔は500mmや600mmといえば超々望遠だったのですが、最近では800mmや900mm相当も珍しくなく、筆者も1,000mm相当を超えるレンズでの撮影を行うことも度々あるのです。

800mm相当での撮影を可能にしてくれる「OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS II」で撮影した写真。800mmクラスの超々望遠はこんな感じです。

そのため、超々望遠のレンズとの撮影の際は500mm相当の「VCスマート 10×30 Cellarto WP」よりも「VCスマート 15×42 Cellarto WP」が向いているのではと考えました。そして2025年3月に発売されたばかりの800mm相当の最新レンズ「OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS II」といっしょに公園散歩に連れて行ったわけです。

結果は、ある意味予想どおりではありますが、「OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS II」とさほぼ変わらない強い望遠効果が得られ、500mm相当の「VCスマート 10×30 Cellarto WP」とは明らかに異なる高い望遠効果が得られました。

普段からお気に入りのお散歩ルートを「VCスマート 15×42 Cellarto WP」といっしょに歩いてみました。

まさに750mm相当といえる高い望遠効果は強力な手ぶれ補正機構に支えられて、より詳細に小鳥や動物たちを観察させてくれるのです。とてもいい。ただし、カメラのレンズでもいっしょですが、このレベルの望遠になると手ぶれ補正なしで手持ちで扱うのはかなり厳しいと感じました。

また、撮影時のお供として考えると、撮影レンズとほぼ同じ望遠倍率で観察できる「VCスマート 15×42 Cellarto WP」を使うのか、撮影レンズよりも望遠倍率が低い「VCスマート 10×30 Cellarto WP」などで全体像を確認してから、撮影レンズで細部を切り抜くのかは、かなり好みが大きいように感じました。筆者は状況によって使い分けたい派です。

さらに、こちらも超望遠レンズと同じなのですが、望遠性能が上がるほど視野のなかに対象を入れるのが難しくなるので、この点には慣れが必要になります。

実際に公園散歩に持ち歩いてみて感じたこと

「VCスマート 15×42 Cellarto WP」(写真:左)と「VCスマート 10×30 Cellarto WP」(写真:右)を並べたところ。長さが、もっとも大きな違いです。

思ったよりも持ち歩きについて不便は感じない

「VCスマート 15×42 Cellarto WP」のスペックをはじめてみたときに、不安に感じたのが、約180×70×118mmという大きさと約610gという重さです。手ぶれ補正機構付きの防振双眼鏡とはいえ、少し大きく、重すぎるのでは? と感じたのです。

普段使っている「VCスマート 10×30 Cellarto WP」が約147x51x124mmで重さが約533gであることを考えても、やはりちょっと大きく、重いように感じたのです。しかし、実際に1時間をちょっと超える公園散歩を何度か行った結果からいうなら、これらは杞憂でした。

重さについては、筆者の場合、普段から持ち歩いているカメラのほうがはるかに重く、80g程度の重さの違いはまったく気になりません。また大きさについても、長さが約3cmほど違うのが大きな部分で、首からぶら下げてしまうと大きな差には感じられないのです。

公園の森の中で「VCスマート 15×42 Cellarto WP」を構える筆者。撮影はAIドローン「HOVERAir X1 Smart」によるものです。

成人男性としては、あまり手が大きくない筆者は双眼鏡が大きくなると、構えづらくなるのでは? と心配したのですが、主に長くなっただけなので、構えやすさについても大きな差は感じませんでした。

「VCスマート 15×42 Cellarto WP」はアイレリーフが14mmなので、15mmが基準となるハイアイポイントではありませんが、メガネを掛けている筆者でもかなり見やすかったこともお伝えしてきます。

さらに、散歩の途中でかなり水分の多いみぞれが降ってきたこともあったのですが、そんなときにも完全防水であることは大きな安心感につながります。アウトドアは必須の機能といってよいでしょう。

まとめ:より大きく望遠で鮮明に観察したい欲望は抑えられない

単3形アルカリ乾電池1本で28時間駆動するのもうれしい

入手が容易で、汎用性の高い単3形アルカリ乾電池で手ぶれ補正が駆動するのはとても便利で安心です。

厳密なものではありませんが、カメラのレンズでいうなら500mmクラスの超望遠といえる「VCスマート 10×30 Cellarto WP」に対して「VCスマート 15×42 Cellarto WP」は750mmクラスの超々望遠レンズといえる望遠倍率が確保されています。

一概にどちらがいいとは言いづらい部分もあるのですが、より遠くを、よりクリアに、より大きく観察したいという根源的ともいえる欲求は抑えられないというのが本音です。カメラのレンズでも500mmの超望遠を持っていても、800mmクラスの超々望遠がほしくなるのは誰も止められないのと同じではないでしょうか。

そして、一度手に入れてしまうと、後戻りできないのが、手ぶれ補正機構付きの双眼鏡です。手ぶれ補正があるとないでは、視界のクリアさが歴然と異なり、それまで手ぶれ補正なしの双眼鏡を使っていた方が手ぶれ補正ありの防振双眼鏡を使うと、いままで自分が観察していた視界がいかに揺れていたかに愕然とするレベルです。

そのため、一度手ぶれ補正付きの防振双眼鏡を使いはじめると、当然手ぶれ補正をオフにすることは考えられません。常時オンが当たり前なのですが「VCスマート 15×42 Cellarto WP」の場合、コンビニなどでも簡単に手に入る単3形アルカリ乾電池1本で約28時間連続で手ぶれ補正が駆動します。

「VCスマート 15×42 Cellarto WP」の製品名にも入った「WP」はウォータープルーフ=防水を表しています。アウトドアにおいては大きなアドバンテージです。

単3形アルカリ乾電池1本で約28時間連続駆動するので、筆者は常に手ぶれ補正をオンにして思う存分クリアな視界を楽しんでいます。乾電池1本での駆動時間が長いため、電池の消耗を抑えるオートパワーオフ機能をあえて撤廃したという「VCスマート 15×42 Cellarto WP」。勝手にオフになるよりも便利に感じています。ただし、予期しない電池切れに対応するため、筆者は予備の単3形アルカリ乾電池を1本双眼鏡ケースの中に忍ばせています。

双眼鏡使用時の2種類の揺れを自動で検知して補正するCellartoシリーズになって、これまで以上にクリアで見やすい視界を確保してくれます。これに防水で10倍の「VCスマート 10×30 Cellarto WP」だけでなく、15倍で防水の「VCスマート 15×42 Cellarto WP」が加わったことで選択肢がより広がったといえるでしょう。

どちらが好みかといわれると、とても難しいのですが、予算が許すなら両方ほしいのが本音です。ご自身の使用目的に合わせて慎重に選択することをおすすめします。それでもきっと両方ほしくなってしまうのですが……。

ケンコー「VCスマート 15×42 Cellarto WP」の詳細と購入について

製品の詳細についてはケンコー・トキナーの公式サイトをご覧ください。

齋藤千歳(サイトウ チトセ・Saito Titoce)

元月間カメラ誌編集者。北海道の絶景や野生動物の姿を追い求めているうちに、キャンピングカー・車中泊でのアウトドアライフにどっぷりハマっていました。現在2歳の息子、そして妻と全道を巡っているうちにカメラ・レンズはもちろん、アウトドア・キャンプ、子育て、PCガジェット、料理に、ダイエットまで経験したすべてを撮影し、執筆するフォトグラファーライター。OUTDOOR GEARZINEではキャンプ及びキャンピングカーでの生活クオリティを上げる「QOCL(Quality of camping life)向上委員会」を中心にさまざまな記事を執筆していく予定です。

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