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【実践レビュー】SALOMON ラディアント フルジップ ミッド & トラジション フルジップ ミッド 冬の中間着に求められる機能が詰まった高コスパフリース

フリースは発明されてから約40年という長い年月の間ずっと進化し続けてきました。その当時ウールとコットンに代わる素材として、軽量でありながら暖かく快適で、濡れても機能することを目指していたフリースは、今では僕たちはハードなエクスペディションからカジュアルな生活の一場面に至るまで、赤ちゃんからお年寄りまで、生活のあらゆる場面でぴったりの役割を果たし、期待した機能を発揮してくれるフリースを手軽に手に入れることができます。

そんななか先日紹介したのは、そんな奥深いフリースのなかでも活動量の大きいアクティビティで実用的なライトウェイトモデルでした。今回はこれからが本番のウィンターシーズンにぴったりのSALOMONフリースを2つ、レビューしてみます。ラディアント フルジップ ミッドトラジション フルジップ ミッドは、どちらもしっかりとした保温性を確保しながら、山の中でアウターの下にレイヤリングするのに適した性能と機能を持ち合わせ、なおかつお手頃価格という、満足度の高いモデル。それぞれの特徴を比べながらおすすめの使い方を見ていきたいと思います。

ラディアント フルジップ ミッド & トラジション フルジップ ミッドの主な特徴

ラディアント フルジップ ミッド

冬のアクティブなアウトドアでアウターの下に着る中間着としても、アクティビティ前後のリラックス時に羽織るのにも便利な、使い勝手のよいミドルウェイト・フリースジャケット。内部に空洞をもった繊維であるホローファイバーによる生地は見た目の厚み以上に軽く、優れた保温性と通気性、吸水・速乾性を兼ね備えます。ボディの左右にはハンドウォーマーポケットを配置。ミドルレイヤーとしての複雑な機能に加えてアウターとしてのくつろぎ感や使い勝手も備えた、汎用性の高いモデルです。

お気に入りポイント

気になったポイント

トラジション フルジップ ミッド

冬の幅広いアウトドアに対応するミドルレイヤーとして最適な、軽量・しなやかで暖かくレイヤリングしやすいフリースジャケット。ダボつきを抑えたActive fitのフォルムとスムースで袖通りのよい表地、最小限ながら十分な大きさの胸ポケットなど、中間着として必要な要素が詰め込まれています。薄手ながら確かな断熱性を確保したしなやかで心地よい起毛フリースの裏地、暖気を逃さないスタンドカラーは冬の寒さを和らげつつ、また活動時の汗は効率よく外側に発散させます。積雪期の登山やクライミング、スキー、ツーリングといったレイヤリングを前提とする冬のどんなアクティビティにもマッチさせることができます。

お気に入りポイント

気になったポイント

主なスペックと評価

項目 スペック・評価
アイテム ラディアント フルジップ ミッド トラジション フルジップ ミッド
イメージ
参考価格 ¥10,560 (税込) ¥9,790 (税込)
実測重量 360g(Mサイズ実測) 300g(Mサイズ実測)
素材
  • 100% ポリエステル
  • 100% ポリエステル
ポケット
  • 左右ハンドウォーマージップポケット
  • 左胸ジップポケット
保温性 ★★★★☆ ★★★☆☆
快適性 ★★★★☆ ★★★☆☆
動きやすさ ★★★☆☆ ★★☆☆☆
レイヤリングしやすさ ★★★★☆ ★★★★★
通気・速乾性 ★★★☆☆ ★★★☆☆
重量 ★★★★☆ ★★★★☆

詳細レビュー:ラディアント フルジップ ミッド

抜群の保温性を備えつつ、見た目以上に軽量

ラディアント フルジップ ミッド(以下、ラディアント)をまず手にとってみると、そのしっかりめのボリューム感と、持った(着た)ときの軽さとのギャップに驚かされます。

その秘密は生地の中に。内部にあえて空洞が設けられた繊維、ホローファイバー(中空糸)から作られたこのフリースジャケットは、同じ外観の一般的なフリースジャケットに比べると、繊維の中にある空間の分だけ軽くなります。見た目以上に軽く感じられるのはこの理由によるものという訳です。さらにこの空間を備えた繊維は、軽さだけではなく他にも多くの優れた機能をジャケットにプラスしてくれます。

ホローファイバーによる断熱性の高さで、見た目以上にあたたかい。

そのひとつは、この空間を利用して生地自体によりたくさんの空気を溜め込むことができるため、(一般的なフリースと同じように自然な通気性を保ったうえで)断熱性がアップすること。「ラディアント」という名前が示すように身体から放たれる”熱”をしっかりと衣服が受け止めてくれます。もちろん毛足の長いモコモコフリースと比べれば暖かさはそれなりですが、この軽さを考えると、なかなかのいい仕事といえるのではないでしょうか。

ずっと着ていたくなる起毛フリース裏地のしなやかさ

起毛したフリース裏地はふんわり柔らかくスタンドカラーの襟裏にまで行き渡り、心地よい快適さとともに暖かさを閉じ込めてくれます。

スタンドカラーで首周りの保温もしっかり

さらにこの微細な隙間にある程度の水分を保持することができるようになることで、本来であれば水分を吸収することのできないポリエステル繊維でも微妙な湿度コントロールが可能になっていることも見逃せません。発汗前後に身体が感じる「暑すぎ」感と、汗が蒸発していくときの「冷えすぎ」感といった急激な体感温度の変化を和らげてくれます。一見なんの変哲もないフリースに見えて、しっかりとアウトドアやスポーツで役立つ機能が満載な訳です。

ダボつかずキツすぎずの程よいフィット感と伸縮性による着心地のよさ

全体的に細身のシルエットで身体に程よくフィットしてくれる一方、袖を通したときの感触はそこまでタイトなではなく、着用ストレスはまったくといっていいほど感じられません。

この快適さの裏にはいくつかの理由がありますが、最も分かりやすいのは身体の動きを計算に入れた立体的なパターニングでしょう。例えば脇下をチェックしてみると、前後が単純に貼り合わされているのではなく、間にサイドパネルが配置され、より立体的に作られている事がわかります。

動きにくさや突っ張り感を軽減する立体的な裁断

もうひとつは、抜群のストレッチ性。4方向にビヨンビヨンと伸びます(ポリウレタン系の弾性繊維を使用していないにも関わらず!)。伸びた後の力強いキックバックも気持ちいいです。

思った以上に伸びるし、戻り方もしっかりしている。

アウターとしても中間着としても使いやすいバランスのよさ

スリムでありつつも締め付けすぎないくつろぎ感を残した適度なフィットは、普段の街でシャツやカットソーの上にアウターとして羽織っても問題なし。フィールドでも街でも別け隔てなく着ていられます。

そこまでタイトでもないので、リラックスしたシーンでも重宝する。

軽くて暖かく、レイヤリングしやすい。さらに通気性・速乾性・湿度コントロールの機能が揃っているということは、寒い季節にハードシェルの下に着る中間着としては十分な性能といえます。今回試したのはあいにく雪のない11月のハイキングでしたが、そのバランスのよさは雪の季節にはもっと活躍してくれる予感が十分に感じられるものでした。

上から防水透湿アウターを羽織れば、ミドルレイヤーとして効果的に熱を逃さずムレだけを外に排出してくれる。

ボリューム感のある袖口は地味にお気に入り。柔らかく肌に触れてくれると同時に、冷気も緩やかに締め出してくれます。ボディの左右には起毛フリースの裏地で暖かいハンドウォーマージップポケットが無難に配置。この辺は意見が分かれるところですが、フィールドでの使い勝手に振りすぎず日常使いや街に帰ってきたときの配慮も忘れていないバランスのよさがこのフリースの個性でしょう。テープ処理された裾周りもスリムで洗練された印象を見せてくれています。

左から、心地よい袖口、左右ハンドウォーマーポケット、伸縮性の裾まわり

…とはいえややかさばるのが玉に瑕

とはいえ、すべての暖かなフリースの弱点である圧縮性の低さについてはどうしようもないといったところ。また、これ自体に耐候性はないので、アウターとして快適に使用できるのは街や麓に限られていることも留意しておきましょう。

もこもこのフリースほどではないが、やはり圧縮性は低い。

詳細レビュー:トラジション フルジップ ミッド

負担にならない軽さと収納性

次に試してみたトラジション フルジップ ミッド(以下、トランジション)は、ミドルウェイトと呼べるフリースのなかでも比較的薄手な部類に入るボリューム感。感触もしなやかで、第一印象は「保温力よりも軽快さがウリ」といったイメージ。バックパックにちょっと忍ばせても負担にならない軽量・コンパクトさを備えています。

比較的薄手でコンパクトながら、ちゃんと暖かい。

身体のラインに吸いつくフィットとしなやかで柔らかい肌触りの裏地の心地よさ

ただ、一度着てみると当然ながら、そんな単純な話ではないことに気づかされます。薄手でコンパクトながらも柔らかい起毛フリース裏地が身体に吸い付くようにフィット。しっかりとした保温力の高さは侮れません。この心地よい肌触りは正直ラディアントよりも好印象。

起毛フリース裏地は若干きめ細かく心地よい肌触り

全体的に細身のシルエットは見た目の洗練さだけでなく、隙間からの冷気を防いでくれます。

冬の中間着としてレイヤリングするのに適した細部

杢調で若干の光沢を湛えた表地は摩擦も少なく、上にジャケットなどを着てもストレス無くスムーズな脱ぎ着が可能。

スリムなシルエットとすべすべの表地は重ね着したときのストレスのなさが魅力。

レイヤリング向けという意味では、このジャケットではフルジップタイプながら、普通の左右ポケットを大胆にもカットすることで無駄を省いた構成になっています。実際、アウターを着た状態が長い冬のアウトドアではインナーのポケットにアクセスする機会は少ないため、ミドルレイヤーとしての最適化を考えるのであればその判断は間違ってはいないでしょう。その代わりに配置された胸ポケットは大きさ十分(6インチ程度のスマホも入る)、目立たないジッパーでデザインもイケてます。全体的にラディアントに比べると使い方と目的が明確で、その想定に合わせて非常に理にかなった作りであることがこのモデルの魅力といえます。

唯一の胸ポケットはデザイン・大きさが絶妙で、使い勝手抜群。

腕上げなどの大きな動きに対しては突っ張り感が否めない

ただ若干無視できないほど気になった点が、肩周りから脇にかけての着心地でした。ラディアントでは気にならなかった腕上げ時の突っ張り感がこちらではやや強く感じられます。下の写真のように腕を実際に上げてみると、それにつれて裾の位置がかなり上がってしまっているのが分かるでしょう。腕振りの動きによって服が上下に動きやすく、その点はアクティブな用途で使用することが多いだけに気になります。

腕上げの際には結構裾が持ち上がってしまう。

ただ、生地自体の伸縮性は十分に備えているので、動き自体に不快さを感じることはありません。

アクティブなシーンで快適に着られるだけのストレッチ性は十分。

まとめ:本格的な冬のアウトドアに備えたい、中間着として活躍する実用的で快適なジャケット

積雪期での着用を中心に考えると、防風フィルムや撥水性などの特別な処理が施されていないフリースジャケットは、必然的に中間着としてしっかりと他レイヤーと連携し、機能してくれることが求められてきます。その意味で、今回紹介した2着はどちらも基本的には街着メインではなく、本格的な寒さのなかでハイキングやクライミング、スキーやツーリングといったの幅広いアクティブなシーンで中間着として機能するように最適化されていることが分かります。なかでも軽さと保温性、通気・汗処理機能とを上手く両立させ、なおかつ動きのなかでも快適、さらに普段でも着やすいラディアント フルジップ ミッドには、自分のスタイルとの(もちろん、これからの雪山での可能性も含めて)にフィットしてくれそうな感触を確かに感じ、すっかりお気に入りになりました。化繊中綿の高機能化にばかり眼が行きがちなここ数年でしたが、静かに、そして着実に続いていたフリースの進化にはあらためて驚かされます。

昔からアウトドア・サーマルレイヤーの中心的存在として、誰のクローゼットにだって1着は眠っているはずのフリースジャケット。何度も着て毛玉と擦り減りが目立つそのお気に入りの一着とこのフリースとは、見た目こそ大して変わらないかもしれないけど、中身はまったく違うものかも。今一度その最新型に袖を通してみてはいかがでしょう。

SALOMON ラディアント フルジップ ミッド & トラジション フルジップ ミッドの詳細と購入について

製品の詳細についてはラディアント フルジップ ミッドトラジション フルジップ ミッドそれぞれの公式通販サイトもあわせてご確認ください。

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