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パタゴニアの鉄板テクニカルフリースの新作「R1 サーマル・フルジップ・フーディ」が厳しい雪山登山のミッドレイヤーにハマり過ぎた【実践レビュー】

パタゴニアの名作は?と聞かれたら必ずラインナップしてくるのがR1シリーズではないでしょうか?

そんなR1シリーズから2024年の秋冬に新登場した「R1 サーマル」シリーズ。R1 サーマル・フルジップ・フーディを使う機会をいただくことができたのでレビューをします。

秋冬の登山やより厳しい環境下でのウインターアクティビティではミドルレイヤーの「保温力」と「通気性」は極寒の中でストレスなく楽しむためのキーポイント!R1 サーマル・フルジップ・フーディは大満足のミドルレイヤーでした!

パタゴニア R1 サーマル・フルジップ・フーディの主な特徴

「R1 サーマル」シリーズは現在あるR1シリーズの中で最も保温力に優れたモデル。

フルジップ・フーディは極寒の中での行動に適したテクニカルフリースで、伸縮性の高いテクノストレッチ・フリースは動きやすく、圧迫感がありません。フィット感の高いフードはヘルメットの下でもゴワゴワとせず、バラクラバ構造になったフードは顔を覆うことが可能。ジッパーガレージがついているため、ジッパーを上げた時に顔に当たる不快感を軽減してくれます。

内側はマイクログリッド構造になっていることで最大限の保温力を担保しつつ、通気性を確保。行動中のオーバーヒートを防ぎます。

フルジップ構造で行動中の脱ぎ着がしやすく、丈が長めに設計されているため、行動中にまくりあがりにくくなっています。

チェストの両側に2つのポケットが用意され、保温しておきたい小物を入れておくのに最適。ハーネスを装着することを想定し、腹部のポケットは廃され、お腹周りはすっきりとしたデザイン。

これまで「R1 プルオーバー」にしか採用されていなかったサムホールを装備。グローブが必要ないシーンでも手の甲を保温してくれます。

お気に入りポイント

  • 抜群の保温力
  • マイクログリッド構造による汗抜けの良さ
  • 脱ぎ着がしやすいフルジップ構造
  • 濡れてもすぐに乾く速乾性
  • サムホール付きで冷気をシャットアウトし、手の甲を保温
  • バラクラバ構造のフード

気になるポイント

  • ジッパーの開閉がしにくいチェストポケット
  • 保温性が高くなる分、重くなる

主なスペックと評価

アイテム名R1 サーマル・フルジップ・フーディ

重量

Mサイズ:400g(実測値)

カラーRaptor Brown、Smolder Blue、Seabird Grey、Black
サイズXS、S、M、L、XL
レディースモデルアリ
素材6.5オンス・リサイクル・ポリエステル91%/ポリウレタン9%のフラットフェイス・テクノストレッチ・フリース
Outdoor Gearzine評価
快適性★★★★☆
保温性★★★★★
蒸れにくさ★★★★☆
通気性★★★☆☆
動きやすさ★★★★☆
速乾性★★★★★
耐久性★★★★☆
重量★★★☆☆
冬山での実用性★★★★★

詳細レビュー

初冬の八ヶ岳・赤岳(標高2,899m)や、奥秩父で何度か使用してきたことをお伝えします。できるだけダイレクトにR1 サーマル・フルジップ・フーディの性能を感じることができるよう、ファーストレイヤーには薄手のTシャツ(半袖)を着用し、素肌にも触れる状態でテストしてきました。

抜群の保温力

公式ホームページでも位置付けされているようにパタゴニアのR1シリーズの中でもっとも保温性に優れているのがR1 サーマルシリーズです。

生地の厚さとしては特別厚手には感じませんが、着用すると保温力の高さを体感することができました。

初冬の八ヶ岳・赤岳で着用した時、歩き出しの気温は約マイナス5℃。稜線に出てからはマイナス10℃ほどで時折風が吹くような環境。

筆者のレイヤリングはファーストレイヤー(半袖Tシャツ)にR1 サーマル・フルジップ・フーディ、そしてハードシェルの3枚でしたが、行動中はこれで十分でした。

細かい格子状のマイクリグリッド構造

保温力の高さの秘密はマイクログリッド構造。このマイクログリッドは肌に触れる面積を増やしつつ、グリッド状になっているところにデッドエアーを溜め込むことで抜群の暖かさを発揮してくれています。

アウトドアアクティビティにおけるレイヤリングを決める時は、想定される環境に対し、何枚で完結させるかが重要になってきます。

レイヤリングは大きく分けるとアンダーレイヤー、ミッドレイヤー、アウターレイヤになるわけですが、ミッドレイヤーは環境によっては2つ、3つのウエアを使い分けることもあります。着るウエアを少なくした方がレイヤリングはシンプルになりますが、一方で脱ぎ着できる枚数が少ない分、厚さや寒さへの対応がしにくくなるのも事実(奥が深い)

R1 サーマル・フルジップ・フーディはどちらかと言うとシンプルなレイヤリング。つまり少ないウエアで完結させたい人にとっておすすめできるウエアです。

高い保温力があることで行動中のミッドレイヤーとして使え、R1 サーマル・フルジップ・フーディの表面生地は多少の風なら弾いてくれる耐久性の高い生地になっているため、微風の環境ならシェルジャケットを着なくともR1 サーマル・フルジップ・フーディだけで快適に行動することができました。

マイクログリッド構造による汗抜けの良さ

抜群の保温力を発揮してくれるマイクログリッド構造の実力はまだまだこんなものではありません。

保温力が高い分、汗抜けの悪さを懸念しましたが、行動中の汗抜けの良さは想像以上で、オーバーヒートしにくかったです。

気温が低くとも行動中は汗をかきますが、R1 サーマル・フルジップ・フーディが汗を吸い上げ、グリッドの溝から放湿してくれるため、低温環境下での保温力と汗抜けのバランスの良さは秀逸でした。雪山登山やバックカントリースキー・スノーボードでの着用にぴったりなミドルレイヤーです。

表面の生地や、目の細かいマイクログリッド構造のため「通気性」はすこし気になるところでしたが、蒸れてしまうようなことはありませんでした。R1 サーマル・フルジップ・フーディは極寒の高山での使用を想定されて作られたいるため、気温が高い環境や、通気性を優先したいシーンでの使用には向いていないかなと感じます。

低山ハイクでも使い方によっては十分に活躍できる

R1 サーマル・フルジップ・フーディは極寒の高山でのアクティビティ向けに作られたテクニカルフリースです。極寒の環境にも耐えうるよう、保温力を高められていますが、筆者が気になったのは「低山での使用感」

気になったので低山でもしっかり使用してみました。

テストしたのは気温がマイナス3℃〜10℃くらい。気温が上がってくると行動着としては暑くなりますが、ジッパーを解放することで着たまま行動してても平気でした。

保温力が高いため、歩き出しや休憩後などはR1 サーマル・フルジップ・フーディの保温力はちょうどよく、いつもは休憩中にダウンを着るようなシーンでもR1 サーマル・フルジップ・フーディにシェルを羽織ることでで過ごせました(風がないならR1 サーマルだけでOK)

何より良かったのはR1 サーマル・フルジップ・フーディの表面の素材。結構しっかりした生地で、多少の風なら冷えずに行動できます。低山でも開けた尾根や稜線では風が強く吹くこともあります。そんな時はシェルジャケットの出番ですが、R1 サーマル・フルジップ・フーディならそのまま行動できることが多く、わざわざシェルを着る手間を省くことができました。

R1 サーマル・フルジップ・フーディは極寒の高山用としてだけでなく、冬の低山でも使い方によって活躍してくれます。

脱ぎ着がしやすいフルジップ構造

R1 サーマル・フルジップ・フーディはフルジップ構造のため、行動中の脱ぎ着が容易。筆者は重量面からハーフジップやプルオーバータイプのミドルレイヤーもよく着用しますが、脱ぎ着するたびに帽子やヘルメットがズレるんですよね。。

ウエアを脱いだりするたびに帽子を調整するのはやっぱりストレスで。。。フルジップのウエアは脱ぎ着する際に頭は影響しないのでやっぱり実用性を考えるとフルジップ構造は便利です。

しかも、R1 サーマル・フルジップ・フーディのジッパーはスライダーがスムーズで、開閉がしやすい!ジッパーの開閉のしやすさって地味な部分かもしれませんが、使ってみると意外と着やすさに直結するのでスライダーがスムーズなのは重要です。

フルジップなので解放すれば熱気を放出することができるため、行動中の体温調節もしやすかったです。

ジッパーの開閉がしにくいチェストポケットは気になるところ

体に近いところにあるポケットは冷やしたくないバッテリーやスマホを入れておくのに便利です。R1 サーマル・フルジップ・フーディは両胸にポケットを備えていますが、このチェストポケットのジッパーが手強い。

メインジッパーの開閉は抜群にしやすいのですが、チェストポケットのジッパーは硬いので閉めようとすると生地の伸縮性が高いため、片手で生地を押さえながらでないと閉められません。慣れると指で生地を押さえながら片手で開閉できるようになりますが、少し気になったところです。

濡れてもすぐに乾く速乾性

保温と汗抜けのバランスの良さに加え、速乾性の高さもお気に入りのポイントです。

乾きやすい化繊の生地を使用していることも速乾性を高める要因ですが、ここでもマイクログリッド構造が活躍してくれています。グリッドに空気が入ることで乾燥を促進してくれるので、濡れてしまった生地も短い時間で乾きます。

岩と雪がミックスされた急登はシビアなエリア。アイゼンも装着している状態なので行動にはいつも以上に慎重になります。慎重な行動と緊張状態が続いた体は通常以上の汗をかき、安全な場所まで戻ってきた頃には染みになるほどでした。触ってみるとしっかりと濡れているのが分かるほどだったのですが、着用したまま15〜20分ほどで濡れは感じなくなり、速乾性の高さを体感することができました。

サムホール付きで冷気をシャットアウトし、手の甲を保温

個人的にR1 サーマル・フルジップ・フーディを見た瞬間に唸ってしまったのがサムホール。

これまではR1プルオーバーにしか搭載されていなかったサムホールがR1 サーマル・フルジップ・フーディに搭載されています(大好きサムホール)

サムホールはグローブを外した時でも手の甲まで袖がくるので暖かく、グローブを着用した時には肌の露出を防げるため冷気をシャットアウトしてくれます。

冬山ではとにかく肌の露出を防ぐことが大事ですから、サムホール付きのウエアは重宝しますよ。

バラクラバ構造のフード

R1 サーマル・フルジップ・フーディのフードはバラクラバ構造になっており、ジッパーを上まで閉めると顔を保温することができます。

ウエアと一体になっていることがとにかく便利で、寒ければフードをかぶって保温できるし、暑ければサッと脱げるし、ジッパーをおろせば頭や耳は保温しつつ、顔は出せるため体温調節のバリエーションは豊富です。

フィット感が高いので動きにより若干のつっぱりは感じますが、伸縮性の高い生地が使われているためストレスは少なく、わざわざ別でバラクラバを持たなくてもいいので便利です。

まとめ:R1サーマルがあれば極寒の山のミドルレイヤーの悩みは解決!

保温、汗抜け、通気性、速乾性など、冬のミドルレイヤーに求めるものは多く、ベストなウエアを見つけるのはなかなか至難。

悩ましいのはR1シリーズの使い分けについて。今回R1 サーマル・フルジップ・フーディを紹介しましたが、求めるものによっては他のR1シリーズの魅力が光ってきます。例えば、汎用性が高く、オールラウンドに使用したいのであれば「R1」、活動量が多く、汗抜けを重視するのであれば「R1エア」、鋭い岩肌や、岩稜帯で活動において耐久性が必要なのであれば「R1テックフェイス」、極寒の環境や、活動量の多くないシーンなら「R1サーマル」と得意な領域がそれぞれあり、使い分けることができます。

紹介したR1 サーマル・フルジップ・フーディは保温性と汗抜け、速乾性が高く、厳しい環境下でのアクティビティに適したミドルレイヤーです!サムホールやバラクラバになるフードも言うことなしでした!

R1 サーマル・フルジップ・フーディーを着て極寒の冬山へと出かけましょう!

Yosuke(ヨウスケ)

不便にならない程度に「できるだけ軽く」をモットーにバックパックひとつで行動する人。

春から秋にかけては山奥のイワナを追いかけて渓流へ釣りに。 地上からは見ることのできない絶景を求めて山を歩き。 焚火に癒されたくてキャンプ。 白銀の山で浮遊感を味わいにスノーボード。

20年以上アウトドアを嗜み、一年中アウトドアを自分流に楽しむフリーランスのライター。数十以上のアウトドア系WEB媒体での記事執筆経験をもとに、自身の経験や使ってみて良かった道具を発信していきます。

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