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パタゴニアの「ナノ・パフ・ジャケット&ダウン・セーター・フーディ」が永遠の定番であり続ける理由と、それぞれとの付き合い方・活かし方【実践レビュー】

アウトドア製品の中でも、毎年のように新素材や新デザインが登場し、今最も市場を賑わしているジャンルのひとつと言えば「インサレーションジャケット」、いわゆる秋冬向けのミッドレイヤー(中間着・防寒着)ではないでしょうか。

例えば今流行りの「アクティブ・インサレーション」、あるいはダウンに迫る軽さと断熱力を備えた多種多様な「ハイテク化繊中綿」、はたまた撥水加工を施した湿気に強い「撥水ダウン」など、その進化と多様化のスピードは止まることを知りません。

そんな変化の激しいジャンルの中で、十数年前からほぼ変わらない仕様にも関わらず現在までずっと人気を保ち続けている、自分にとっても永遠の定番といえる防寒ジャケットがあります。

それが今回紹介する「パタゴニア ナノ・パフ・ジャケット&ダウン・セーター・フーディ」です。

ナノ・パフは、新しいライバルが続々と登場している昨今にあっても、いまだ断熱ジャケットの代表格といっても過言ではないアイテムのひとつ。実はぼくが5年ほど前に初めて入手した時には、特段何かの性能が優れているという分けでもないこのジャケットに、特に大きな期待を寄せていたわけではありませんでした。しかし、気がつけば今でもこのジャケットは四季を通じてぼくの防寒着ラインナップの中でも欠かせない一着に。

一方ダウン・セーターも、パフォーマンス用からカジュアル用まで、これだけダウン製品があふれている現在にあって、世界中のアウトドア愛好家からの変わらない人気と専門家からの高い評価を保ち続けています。

そこで今回は、この2つのインサレーション「パタゴニア ナノ・パフ・ジャケット&ダウン・セーター・フーディ」をフィールドで使用した実際のパフォーマンスや、それぞれが適したアクティビティやシーンなどをレビューしながら、なぜこの2着が多くの愛好家を魅了し続けるのかについて、そして僕自身がそれぞれをどう使い分けているかについて書きたいと思います。

ナノ・パフ・ジャケット&ダウン・セーター・フーディ詳細レビュー ~永遠の定番である3つの理由~

まるで身体の一部かのように心地よくフィットする着心地の良さ

あらためて考えてみて、この2着がどんなに時を経ても手放せない最大の理由は何といっても「着心地が良い」これに尽きるかもしれません。

裏地はしなやか・滑らかで素肌の上からでも快適なきめ細かい肌触り。袖を通してみると、身体の立体的なライン優しく、そして均一に寄り添い、余分な空間がありません。まるでもう一枚肌を身に着けたかのよう。どちらも単に寒さを防ぐウェアとしてがばっと「羽織る」のではなく、あくまでもアクティビティのなかで、あるいはアクティブなライフスタイルのなかで最も機能する防寒着、そんな意図を感じます。

特にミッドレイヤーとして想定されたナノ・パフの方が脇や胴回りも引き締まったスリムなシルエットですが、それでいて身体を動かした時に感じるツッパリやストレスもなく、見事な立体裁断が効いています。

176cm / 64kgでSサイズを着用。

一方ダウン・セーターの方は同じようにスリムなシルエットであってもややゆとりがあるボックス型になっています。

176cm / 64kgでSサイズを着用。

177センチの自分はSサイズがジャスト。全体的な着丈は短めですが、背面の丈はやや長めの作りになっています。

関節の動きを考慮した肩や肘周りや、立体的にデザインされた脇下のサイドパネルなど、巧みな立体裁断は身体のラインに無理なくフィットします。滑りの良い表地は重ね着する際にもスムーズでレイヤリングしやすい作りです。

脇腹部分のサイドパネルをはじめ肩や腕の動きを考慮した立体裁断が動きのストレスを軽減

腕を高く上げたり肘を曲げても裾が引っ張られることもほとんどなく、肩回しもスムーズ。一日中まったくストレスなく着ていられるジャケットです。

肘の関節部分にもしっかりと立体裁断が施され、曲げ伸ばしでのツッパリ感は感じられない

多用途でありながらそれぞれのフィールドにしっかりと対応する絶妙な重さ・暖かさ

ナノ・パフとダウン・セーターの採用している中綿は、それぞれ化繊と羽毛という明確な違いがあり、これがこの2アイテムの利用シーンや季節の大きな違いとなっています。

無雪期には非常用防寒着として、秋冬には行動中のミッドレイヤーとして幅広く使えるナノ・パフ

バックカントリースキーでのハイクアップ時には適度な保温性と通気性、防風性のバランスによってアウターとしてぴったり。

ナノ・パフでは、多くの化繊中綿の中でもトップレベルの重量当たりの暖かさを誇る「プリマロフト・ゴールド」を採用。しかも現行モデルでは100%リサイクル素材のエコ・バージョンです。この高い断熱性能の中綿素材を使うことによって、防寒着としてはかなりの薄手・軽量を実現しています。裏地のインナージップポケットに丸めて収納できるパッカブル仕様となっているため、収納するとここまで小さくなります(下写真)。

内ポケットに丸めて収納すると手のひら大の大きさにパッキングできる。

この「手軽さ」ゆえに、ナノ・パフは春夏秋の3シーズンであってもザックの中にひっそりと忍ばせておきたくなるのです。

ただ逆に言うと、本格的な秋冬シーズンを乗り切れるほど安心の保温力とはいえません。では本格的な冬には使えないジャケットなのか? というと、決してそんなことないのがこいつの頼もしいところ。

寒さが本格化する秋冬では、ベースレイヤーとシェルレイヤーの間にミッドレイヤーとして羽織るのにちょうどよくなります。ありがたいことにこの化繊中綿は「濡れても暖かい」ので、歩き出しには体の震えを凌ぎながら、しばらくして汗をかいたとしても変わらず冷えを防ぎながら汗を外に飛ばしてくれます。もちろん最先端のアクティブインサレーションのような高い通気性や速乾性を備えているわけではありませんが、従来のトレッキングや登山であれば、気になるほどではありません。

本格的な冬のアクティビティではシェルの下に羽織る中間着としての使い方がベスト。

絶妙なボリューム感の高品質ダウンによるハイシーズンでも安心の暖かさのダウン・セーター

一方ダウン・セーターの中綿には、高い重量当たりの断熱性を備えたダウン、それも高品質な800 FP(フィルパワー)のダウンを封入しています。おかげで(街中でよく見かけるような)モコモコとかさ張ったジャケットでないにもかかわらず、気温が氷点下になる肌寒い日のアクティビティでも快適でいられるほどの断熱性を提供してくれます。

防風・撥水性能を備えたナイロン・リップストップ素材、下唇まで届く比較的高めの襟、ジッパー裏のフラップ、ドローコードで密閉できる裾、頭部にぴったりとフィットする調節可能なバラクラバタイプのフードなど、極寒の冷気をシャットアウトすることができます。ただ袖口が若干緩めなのは好みが分かれるかも知れません(グローブをしていれば気になりませんが)。

下唇まで届く比較的高めの襟

グローブをしていても引きやすいフロントジッパーには、裏側にフラップがついて防寒性を高めている

後ろのコードロックでサイズ調節が可能なバラクラバタイプのフードは相変わらずフィット感と防寒性が抜群

袖口は緩めのストレッチ素材によって優しくフィット

内ポケットに裏返しながら丸めて収納可能なパッカブルタイプ

前面と背面はより広いバッフルで体幹を温めやすく、一方サイドではより狭いバッフルで通気性があり動きやすくと、パーツに合わせて巧みにバッフルのサイズを変えていたりするところも非常によく考えられています。

前後とサイドでバッフルの大きさを変えて保温性と通気性のバランスを巧みに調整

フィット感のところでも書きましたが、ジャケット自体はスリムとゆったりのちょうど中間的なフィットなので、ハードシェルジャケットの上にも、下にも羽織れます。ゲレンデスキーなどで緩く着る場合には中間着として、登山などでは行動中の休憩時にさっとシェルの上から羽織ったりテントやシュラフの中で着たりするといった使い方ができました。とにかく多用途に使えるジャケットと言えます。

ハードシェルの上から防寒着としてはおるのもアリ

本格的なアクティビティから日常までシーンを選ばず使える「高い次元でのバランスの良さ」

目まぐるしく変わるトレンドのなかで、新しい素材やスタイルを採用した新製品ももちろん素晴らしいのだけど、何だかんだで結局ここに戻ってきてしまうのは、全体としての「バランスの良さ」にあるとも言えます。

ナノ・パフダウン・セーターも、決して競合と比べて「クラス最高性能の◯◯」があるアイテムではありません。ただ、重量、断熱性、着心地、耐候性、耐久性、デザイン、全体的な作りの丁寧さと、どこかが突出しているわけではない代わりにあらゆる項目で平均より高いパフォーマンスとクオリティを発揮しているのが本当に見事だなと。これが世界中でこれだけアウトドア愛好家の間で愛され続けている理由のひとつであることはまず間違いないでしょう。

ポケット類も特定のアクティビティにフォーカスするのではなく、あえてオーソドックスな左右のハンドウォーマージップポケットとインナーチェストポケットという最小限の収納にとどめてあります。ただそれでもやや高めに配置してバックパックのウエストベルトに干渉しないようにするなど、配慮も抜かりありません。

両サイドのハンドウォーマーポケットとインナージップポケットというシンプルな収納。

それぞれどんなシーンで着るのがよいか?

自分の場合、基本的にナノ・パフは保温性はそこそこだけどとにかくコンパクトで濡れても暖かい、防風性もあって動きやすいという特徴を活かし、「3シーズンでの非常用防寒着、秋山登山でのアウター、冬山登山やバックカントリースキーでのアウター兼中間着」として利用することが多いです。

一方で寒さが本格化してくるとナノ・パフは防寒着としてはやや物足りなくなってくるため、保温着の役割はダウン・セーターになってきます。コンパクトながら高い断熱性で動きやすいといったメリットを活かし、こちらは「3シーズンの高地や秋冬低山でのミッドレイヤー、冬の日常やキャンプ・ユルいアウトドアでのアウター」として着用することが多いです。

まとめ:フィールドと日常を行き来する僕の生活に寄り添ってくれる一着 = 永遠の定番

本文にも書いた通り、今回紹介した2着はフィールドできればミッドレイヤーとして満足のいくパフォーマンスを発揮してくれながら、普段使いでも機能的で洗練されたアウターとして活躍する、恐ろしく広い守備範囲を備えた、本当の意味での万能ジャケットです。もちろんそれは裏を返せば、特定の季節やアクティビティでは、今ではそれぞれに最適なモデルが存在していることも事実。

ただ、もし僕が人から「初めて山用のミッドレイヤーを買うとしたら?」とか、「もしダウンジャケットを1着しか買わないとしたら?」と聞かれたら、おそらく今回の2着をそれぞれおすすめしているでしょう。そんな「誰がいつ着ても不満が出ないほどの機能・デザイン両面にわたる完成度の高さ」をあらためて実感しました。これまで多くのメディアやブログ、レビューなどでも何度も取り上げられてきたのもうなずけます。

カジュアルウェアとして、あるいはタフなアドベンチャーでの頼れる相棒として完成されたこの「殿堂入り」ジャケット2着は、数多くの高性能な製品がひしめくようになった今でも、最高の選択肢の 1 つです。

開示情報:著者は今回のレビューにあたって撮影用に最新モデルの提供を受けておりますが、両モデルともすでに自腹で購入しています。記事は編集方針に従って作成しており、編集上の完全な独立性を保持しています。

参考:ナノ・パフ・ジャケット&ダウン・セーター・フーディの特徴まとめ

パタゴニア ナノ・パフ・ジャケットの主な特徴

パタゴニア ナノ・パフ・ジャケットは、秋冬を中心とした肌寒い気候の中で行動する際に着用する防寒着として最適な軽量な化繊インサレーション・ジャケット。軽くて丈夫な防風性のあるリサイクル・ポリエステル100%のリップストップ表地(DWR加工済み)の中には、重量に対する断熱性に非常に優れたリサイクル・ポリエステル100%の60グラム・プリマロフト・ゴールド・インサレーション・エコを封入。薄手で軽量ながら高い防寒性を提供します。身体のラインに沿ってピッタリとフィットしながら窮屈を感じさせない優れたフィット感と、心地よい柔らかさと重ね着しやすい滑らかを備えた生地感は、環境やシーンに応じてアウターとしてもミッドレイヤーとしても活躍。インナージップポケットを裏返し丸めて非常にコンパクトで小さなバックパックにも容易に収納できる携帯性の高さも魅力。風も寒さも心配もなし、街から山頂、春から冬まで究極のオールラウンダーは、日常から旅行、トレッキングやバックカントリーとあらゆるシーンにマッチする、万能インサレーション行動着です。

おすすめポイント

  • 山でも街中でも映えるスタイリッシュで快適な着心地のデザイン
  • コンパクトにパッキング可能な(暖かさを考えると)高い圧縮性・収納性
  • 汗や雨で濡れた状態でも落ちない保温性
  • 重ね着しやすい滑らかな表生地
  • 優れた耐久性
  • 高いパフォーマンスにもかかわらず徹底した持続可能性への配慮
  • 寒さのなかで動くあらゆる場面にマッチする究極の汎用性の高さ

気になったポイント

  • アクティビティやシーンに特化した新しい製品と比べると性能的に突出した部分がない(特に通気性は最低限)
  • 冬は行動中以外での防寒着としては保温性が足りない

主なスペックと評価

項目パタゴニア ナノ・パフ・ジャケット
実測重量337g(Sサイズ)
カラーBurnished Red / Lagom Blue / Black / Endless Blue / Raptor Brown / Torrey Pine Green
サイズXS / S / M / L / XL / XXL
ウィメンズモデルあり
バリエーションジャケット・フーディ・ベスト
シェルと裏地
  • シェル:1.4オンス・20デニール・リサイクル・ポリエステル100%のリップストップ。有機フッ素化合物(PFC/PFAS)不使用のDWR(耐久性撥水)加工済み
  • 裏地:1.3オンス・22デニール・リサイクル・ポリエステル100%のリップストップ。PFC/PFAS不使用のDWR加工済み
インサレーション
  • リサイクル・ポリエステル100%の60グラム・プリマロフト・ゴールド・インサレーション・エコ
ポケット
  • ハンドウォーマーポケット2
  • インナージップポケット(裏返して本体を収納できるパッカブル仕様)
Outdoor Gearzine 評価
快適性★★★★★
保温性★★★☆☆
ムレにくさ★★★☆☆
動きやすさ★★★★☆
機能性★★★★☆
重量★★★★☆
耐久性★★★★☆
収納性★★★★★
汎用性★★★★★

パタゴニア ダウン・セーター・フーディの主な特徴

パタゴニア ダウン・セーター・フーディは、優れた保温性と軽量性、プロテクション、スタイル(品の良さ)を兼ね備えた、バックカントリーから街まで多用途にマッチする高機能で洗練されたダウンジャケット。リサイクルされた漁網から作られたネットプラス・ポストコンシューマーリサイクル・ナイロン100%素材のリップストップ表地は軽量で耐久性を備えています。中綿には重量当たりの断熱性に優れた800フィルパワーでRDS認証済みの高品質ダウンを封入。着心地と動きやすさ、そして洗練されたシルエットを両立した巧みな立体裁断デザイン。頭にフィットする調節可能なフードを備え、内ポケットを裏返して丸めて収納できるパッカブル仕様によりコンパクトに収納でき、常にバックパックの中に忍ばせておけます。

おすすめポイント

  • 余分な隙間のない心地よいフィット感と洗練されたスタイルの両立
  • 優れた暖かさと重量の比率
  • 高い防風性と耐久性
  • インナー胸ポケットに収納可能なパッカブル仕様(カラビナ付き)
  • フィット感に優れた調節可能なフード
  • 快適さに関して細部まで行き届いた作りの良さ
  • 街からトレイル、岩場から通勤まで年間を通して使える他に類を見ないほどの万能さ
  • 高いパフォーマンスにもかかわらず徹底した持続可能性への配慮

気になったポイント

  • 断熱性は高いが濡れには弱いダウン
  • 本格アウトドアに特化したダウン製品の中ではそこまで軽いとは言えない
  • あご周りの空間がやや狭い
  • かがんだときにも腰回りが露出しないよう、背面の着丈がもう少し長ければさらに良い

主なスペックと評価

項目パタゴニア ダウン・セーター・フーディ
実測重量420g(Sサイズ)
カラーRedtail Rust / Black / Pine Needle Green / Raptor Brown / Endless Blue
サイズXS / S / M / L / XL
ウィメンズモデルあり
バリエーションジャケット・フーディ・ベスト
シェルと裏地リサイクルされた漁網を使用し海洋プラスチック汚染の削減に貢献する、1.2オンス・20デニール・ネットプラス・ポストコンシューマーリサイクル・ナイロン100%のダウンが抜け出しにくいリップストップ。有機フッ素化合物(PFC/PFAS)不使用のDWR(耐久性撥水)加工済み
インサレーションレスポンシブル・ダウン・スタンダード(RDS)認証済み(Control Unionによる認証880272)の800フィルパワー・ダウン100%。生地はブルーサインの認証済み
ポケット
  • ハンドウォーマーポケット2
  • インナージップポケット(裏返して本体を収納できるパッカブル仕様)
Outdoor Gearzine 評価
快適性★★★★★
保温性★★★★☆
ムレにくさ★★★☆☆
動きやすさ★★★★☆
機能性★★★★☆
重量★★★☆☆
収納性★★★★☆
汎用性★★★★★