目次
はじめに: トレッキングシューズ選びの難しさについて
どれだけアウトドア歴を重ねても、登山靴選びだけはいつまでたっても自信がつきません。なぜなのか理由を考えてみると、まずはじめに考えられられるのが、恐ろしく選択肢がたくさんあって選べないというもの。日帰り・小屋泊まり・テント泊・アプローチ・トレラン・ライトアルパイン・ライトマウンテン・マウンテン・重登山靴・軽登山靴・プラスチックブーツ・・・と、呪文のような言葉で我々を煙に巻きます。しかも本や人によってそのカテゴリの示す範囲が違うときてる!まず入門で山に登ろうと思ったくらいの人がこんなに不思議な言葉で分類されたら、何を買えば良いか分らないに決まっています。
そしてもうひとつぼくが思うのは(ぼくだけかもしれませんが)、なぜか今でも消えない「重くて頑丈な登山靴の良さが分る = 上級者」みたいな風潮による、軽い登山靴を買うことに対する何となく感じる抵抗感。別に重登山靴を常用する方やそれを使いこなす健脚の方々をDisるつもりはまったくありません。ただ、ぼく自身の経験上、昔からある革製の頑丈な重登山靴はそれに適した登山スタイルにとっては最適かもしれませんが、それがすべての登山に当てはまるわけでは無いということ、そして靴は何より個々人の「履き心地」と「歩き方」によって評価が大きく異なるということを経験上、何度も感じています。そんなわけで、もっと自由にフラット(科学的)に評価して、選べないかなぁという悩みが今でも続いているわけです。
ファーストインプレッション: ”軽くて歩きやすい”は正義
そんななか、ちょうどトレッキングシューズを履きつぶしていたぼくは新しいシューズを探し、この靴に出会います。ええ、正直に言うとはじめは「ノースフェイスの靴かぁ…デザインとかはさすがだけど、歩いてみたら結局のところやっぱり本格的なシューズメーカーにはかなわないと思っちゃうんだろうなぁ」と、舐めてかかっていましたよ。でもこのスペックが、デザインが、心の中でわだかまっていた「ぼくがかんがえたさいきょうのの山靴」そのものだったので、ここは騙されてもいいと思ってここぞとばかりに飛びついてしまいました。
結論ですが、舐めてかかって本当にごめんなさい、今のところ何の不満もありません!というより、今までぼくが捕われていた「重くて頑丈な登山靴をはきこなしてこそ上級者」的呪縛から完全に解き放たれました。これからは「軽い靴って歩きやすい → 歩きやすいって疲れにくいし、怪我しにくい!」と素直に思って良いんです。足を運ぶ時に感じる感覚はまったくスニーカーのそれと変わらず。その割にアッパー部分の足首にかけてはそれなりにしっかりと固くフィットしてくれるので安定感もあります。ソールの堅さも気になるところでしたが、さすがビブラムソール。ぼくはかなり下山で乱暴に駆け降りるタイプですが、衝撃に負けるといったこともなく、十分に満足です。
ただ、だからといってもちろん、そうやって手放しで喜んでいい条件というのは限られているとは思っています。ぼくが主にこれを使おうと思う山行は今のところ
- 無雪期(雪の心配が無い秋まで)
- 日帰りや小屋泊まりなどの軽めの重量
かなぁと。理由は以下。
- ビブラムだからとはいえソールは(雪も行ける本格的な)トレッキングブーツに比べれば薄く柔らかめなので雪と岩は滑りそう。
- 流石に30kgくらいの荷物を背負ったら軽快に歩けることよりも地面が平らに安定していて欲しいので、底の硬い靴を使いたい
とはいえなんと言っても”軽くて履きやすい”は正義ですので、可能な限りこの靴を使いまくってしまいそうな勢いです。
補足: グニャグニャトレッキングシューズでも結構行けてしまったりする(人による)
山登りをはじめた学生時代から沢登りをメインに活動していたこともあり、いわゆる革製のごつい登山靴には縁がありませんでした。お金のない学生時代でしたので、夏山は沢シューズとオリンピックで買った1500円のなんちゃってトレッキングシューズで日本アルプスの2週間以上の合宿を乗り切っていました。それは多分に若さと単なる幸運だったことは間違いないとは思いますが、歩くということに関して不自由を感じなかったことも確かです。その一方で高校山岳部出身の同期のY君は、アプローチと下りでしか使わない沢登りの時ですら、重たい革製登山靴を運んでいました。彼曰く、やっぱり安定感・安心感が違うんだとか。こんな経験からかぼくは、夏山の登山道歩きであれば機能・性能違いよりも自分の歩きやすいと信じた靴が最強なのかもしれないと頭の片隅で思っていたりもします。
詳細レビュー
快適性 ★★★★★
このシューズで何度も山を歩いてみましたが、足のどこかが不自然に当たったり、靴擦れになったりしたことは皆無。本当に見たまんま、ソールが大分しっかりとしたスニーカーを履いている感覚。軽さも相まって疲れるという感覚から完全に開放されるます。もちろんゴアテックスで雨の日だろうが蒸れることもありません。
安定性 ★★★★
スニーカー並みの履き心地でありながら、このシューズ、ソールがビブラムですので足裏の感覚はしっかりと平面に乗っかっている感覚を忘れることはありません。だから一般のスニーカーのように登り下りで特段つるつる滑るということはありませんでした。サイズがあっていることが前提ですが、下り時に下から上までしっかりしめるということさえ気をつければ、靴の中で足がずれるということもありません。まったく心配の要らない安定感です。ただし、これはどんなシューズでも同じですが、湿って苔っぽい倒木や根に足を乗せればつるっといきますので要注意です。
踏み込み ★★
一般的に底が固く重量感のある登山靴は、足裏がまっすぐ平面になり、足首がしっかり固定されるので、登り坂でしっかり踏み込めたり、岩場などでの細かい足がかりに対してつま先に体重を乗せやすいといえます。つまり踏み込む際に体重を十分に乗せる事が可能で、この意味では踏み込みでの力の伝えやすさはこのシューズに求めにくいのかも知れません。ただ、日帰り~一泊程度の低山であれば、そのような厳しい状況が長く続くことはあまりありません。トレイルランニング向けの柔らかいシューズよりも十分な性能を備えているといえます。
重量 ★★★★★
左右2足で800g!近年トレッキングシューズはどんどん軽くなってきているとはいえ、片方600g位するのが一般的ですから、何も言うことはありません。
防水性 ★★★★
ゴアテックスで問題なし。これまで数ヵ月使ってますが、縫製もしっかりしているので縫い目からしみこむなどの弱さもありませんでした。
耐久性 ★★★
このシューズを使ってまだ3ヵ月間、延べ1週間程度ですが、特段壊れやすいということはありません。擦り傷などにも強い素材を使用しているので、ハードな環境でも問題なく使えています。ただしそうはいってもスニーカーのようなメッシュ状のナイロン生地ですから、とがった岩などの硬く鋭いものには弱いのか、10回くらい山行に履いていくと若干の生地のほつれが歩の少しですが見えてきました。
評価
項目 | 評価 |
---|---|
ブランド名 | THE NORTH FACE |
アイテム名 | ウルトラファストパックミッド GORE-TEX(メンズ) |
参考価格 | 20,520円 |
長所 | 超軽量・防水透湿・スピードハイキング対応 |
短所 | 耐久性・踏み込み力 |
おすすめする使い方 |
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快適性評価 | ★★★★★ |
安定性評価 | ★★★★☆ |
踏み込み評価 | ★★☆☆☆ |
重量評価 | ★★★★★ |
防水性評価 | ★★★★☆ |
耐久性評価 | ★★★☆☆ |
スペック表
項目 | 内容 |
---|---|
重量 | 800g(400g×2) |
タイプ | 軽量ミドルカットハイキング |
素材 | <アッパー> ゴアテックス(R)メンブレン シンセティックレザー&メッシュアッパー TPUサイドサポート |
防水 | GORE-TEX |
Last Board/Shank | Pebax(R) shank&snake plate TPU CRADLEヒールスタビリティ |
Midsole | 圧縮成型EVA CRADLE GUIDEミッドソール |
Sole | エクスクルーシブVibram(R)ラバーアウトソール |
Color Options | ◯ |
その他特徴 | クレイドルガイドテクノロジー |