Review:The North Face ハイパーエアーGTXフーディ ガチなランナーにこそ着て欲しい、どこまでも雨を弾き続ける超高性能レインジャケット

GORE-TEXを知らない人は、もはやいないでしょう。GORE-TEXのレインウェアとなれば、その安心感は何物にも代えがたいものです。しかしそのGORE-TEXでも、PRO、ACTIVE、PACLIHTのように用途によって様々な製品が存在します。というのも、極寒の冬山登山と、夏の雨天時では環境があまりにも違いすぎるので、GORE-TEXといえども、様々なアクティビティーに適した仕様にしているためです。

今回レビューしたのは、GORE-TEXの最新素材、SHAKEDRYを使用したレインジャケットです。SHAKEDRYはその名の通り、雨に打たれても一振りすれば一瞬で乾いてしまうという素材。そんな最新素材の長所短所をうまく使いこなして作られた、The North FaceのハイパーエアーGTXフーディを使い倒したレビューをお送りします。

ハイパーエアーGTXフーディの大まかな特徴

表地をなくしメンブレンを露出させたGORE-TEXの素材SHAKEDRYを採用した、The North FaceハイパーエアーGTXフーディは、ゴールドウィン・テックラボで開発された、トレイルランニング専用のかなり尖ったレインジャケット。さすが走るために開発されただけあり、トレランザックを背負いながら羽織る、脱がなくてもザックの荷物を取り出せる、フードのツバに形状記憶ワイヤーを配置するなど、ランニング中のストレスを出来るだけ減らす様々な工夫が散りばめられています。

おすすめポイント

  • 驚異的な透湿性・持続する撥水性
  • 長時間着用時の快適性

気になるポイント

  • 背中周りに余裕がある
  • 機能性は最低限

主なスペックと評価

項目スペック・評価
公式重量215g(Lサイズ)
実測重量191g(Mサイズ実測)
素材GORE-TEX Active with SHAKEDRY™ Product Technology(表:ePTFE、裏:ナイロン100%)
ポケットナシ
快適性★★★★★
透湿性★★★★★
機能性★★★☆☆
機動性★★★★☆
重量★★★☆☆
総合評価★★★★☆

アイテム外観

ハイパーエアーGTXフーディ正面

ハイパーエアーGTXフーディ背面

詳細レビュー

素材には、GORE-TEX Active with SHAKEDRY™ Product Technologyを採用しています。 通常のGORE-TEX素材は、メンブレン(防水透湿性素材)を表地と裏地で挟んでいるのに対し、このSHAKEDRYは表地を無くし、メンブレンを露出させています。表地をなくすことにより軽量に仕上げることができ、加えて雨天時に表地が水を吸わないため、保水による重量の増加もなく撥水性・透湿性を長時間キープしてくれます。

そんなSHAKEDRYで作られたハイパーエアーGTXフーディですが、トレイルランニング専用ということで、走るために必要な機能が散りばめられています。

まずフィッティングですが、全体的にフィットは緩めでゆとりを持たせることで、走る動作では引っ張られるようなことはありません。背中の着丈は少し長めで、お尻の半分ほどが隠れるほどです。ザックを背負うときに少し迫り上がることを考えての着丈でしょう。

フィットはタイトではなく、ややゆとりのあるフィット感

生地はかなりソフトで着心地はしなやかです。GORE-TEXにありがちなパリッとした感じはありません。

SHAKEDRY表面の生地のアップ

撥水性はさすが。ホースで長時間水をかけ続けましたが、ずっと水玉になって落ち続けていました。SHAKEDRYの名前の由来は、水を当て続けても一度振れば表面の水分は全て飛び去りすぐ乾く。というところから来ています。

10分以上ホースで水をかけ続けても持続する撥水力

裏面は凹凸があり、肌触りはサラサラ。汗をかいてもベトつくことはありません。

SHAKEDRY裏面の生地のアップ

裏地は防水性を高めるために丈夫なシームテープで補強されています。特にベンチレーションのファスナー周りはかなりしっかりと補強されています。

裏面はシームテープでかなりしっかり補強しています

背面はザック部分に余裕を持たせるために、特殊な裁断パターンを採用しています。

ザックの上から羽織ることを前提とした立体裁断

トレランには必要十分な機能性

ポケットはありません。僕自身は、トレランのレインジャケットにポケットの必要性を感じないので問題はないですが、普段ジャケットのポケットを使っている人には 物足りないかも。しかし両胸のファスナーを下げるとザックに直接アクセスでき、ウェアのポケットは不要です。

脱がなくてもザックへ直接アクセス可能

このファスナー部分は、ザックへのアクセスとベンチレーションを兼用していています。降雨時には全部開けると雨が思いっきり入ってきてしまいますが、運動強度が上がる登りでは体の正面から雨を受けることはあまりないので有用です。

両胸のベンチレーション兼ザックへのアクセスホール

フードは全体的にしっかりとした造りです。ツバは帽子のツバのようなモノがついており、下に帽子を被るらなくてもしっかり自立してくれ、強めの降雨時も雨が顔に当たるのを防いでくれます。

フードのツバは、かなりしっかりとした造り

後頭部には、フィットを調節するドローコードがついています。こめかみに添って水平に締められるので、強風でも飛ばされることはなさそうです。

フードはドローコードで調整可能

顎部分はどうしても擦れて弱りがちなので、しっかりと二重にして補強してあります。

顎の部分は二重にして補強してあります

公式重量は215g(Lサイズ)、実際に計量したところ191g(Mサイズ)でした。サイズ差を考慮しても誤差範囲内でしょう。他社のSHAKEDRYを採用したジャケットは100g代前半のものが多い中、200g弱と重量は少し重め。しかししっかりとした造り、防御力高めのフード、止水ファスナーなど使い勝手を重視した仕様のため、そこは機能とのトレードオフとなっています。付属のスタッフサックに入れれば、コンパクトに収納可能です。

スタッフサックに収納可能

気になる点が数点。ザックの上から羽織ることを前提としているため、背中周りがやや大きめに作ってあります。ザックなしで走ると、背中の生地のバタつきがやや気になります。しかしザックを背負えば問題はないでしょう。袖口はかなりタイトなので、脱ぎ着する時に煩わしさを感じます。頻繁に着脱することは考慮されていないようです。ファスナーはメインとベンチレーション共に止水ファスナーを使用していて、開閉は少し固めです。

実際使ってみたインプレッション

レインジャケットとしての性能は非常に高い。ここまでとは思ってもいませんでした。長時間常に雨に打たれている状態でも、水は弾きっぱなし。ホースで水をかけ続けても、ずっと撥水しているので見ていても気持ちいいです。SHAKEDRYでなければ、表地が保水してしまうので、こうはなりません。いくら雨を防いでも、表地が保水する水分によって体が冷えてくるので、標高の上下動があり気温変化が激しいトレイルランニングでは、SHAKEDRYは非常に価値があります。

透湿性はすごいの一言。走り出して運動量が高まると、もちろん汗をかいて蒸れてきますが、一呼吸置いてみるといつの間にかサラサラになっています。大きめのベンチレーションホールが2ヶ所ありますが、あまり使うことはなさそう。気温が高めで登りが続くような場面では、やはり湿気が残る感じはありますが、その時こそベンチレーションを開けておけば、快適性はより高く保てます。これはやはり、表地が保水してメンブレンを覆わないことで、透湿性が常にキープされるのでしょう。

フードも全体のフィッティングと同様やや緩めで、着脱はスムーズ。しかし後頭部のドローコードを締めれば、こめかみに添って水平に締めつけてくれるので、風でバタつくことはありません。ツバもかなりしっかりとしているので、まるでフィット感の高いキャップを被っているかのようです。

ザックの大きさは、10Lほどを想定しているようで、15Lを背負って羽織ると、背中が引っ張られるようなややタイトなフィット感になり、若干窮屈さを感じます。逆にザックを背負わず、特にフードを被らない状態で走ると、背中の生地に余裕ができ、前面の生地がずり上がってちょっとわずわらしさを感じました。

10Lザック

10Lのザック着用時

15Lザック

15Lのザック着用時

やはり怖いのが、メンブレンが露出していることによる耐久性の低さ。ザックの上から羽織るスタイルを取っている事からも、摩擦には弱いのでしょう。軽量な上、レインウェアとしての性能も非常に高いので、ファストハイクでも使いたくなるところですが、上から重量のあるザックを背負うのは控えた方が良さそうです。
同様に引っ掻きにも注意が必要。綺麗なトレイルでは気兼ねなく走れますが、細い道で両側に草木が茂っていたり、イバラが多い、岩場などではかなり気を使った方が良さそうです。

まとめ:こんな人におすすめ

Arc’teryxのノーバンSLやGore Running Wear のR7など、100gそこそこのSHAKEDRYを使用した軽量レインジャケットがある中、このハイパーエアーGTXフーディは200g弱。軽さに特化すれば、同様の重量に持っていくこともできたはずです。しかしあえて軽量化ではなく、トレイルランニングでの使い勝手・快適性に重きを置いた仕上がりになっています。

トレイルランニングのために、本当に良いレインジャケットが欲しい!という方には問答無用でお勧めします。レインジャケットとして”超”がつく高性能、走行中にストレスなく集中できるシンプルな機能と、何も考えずに選んでも後悔はしません(値段に躊躇するくらいでしょうか…)。本気でトレイルランニングに取り組むシリアスランナーにはまたとない最高の相棒となるでしょう。

もちろん景色を楽しみながら走るようなランナーでも、撥水性を維持できるため体が冷えにくくなることや、ザックの上から羽織ることで雨天時にザックの内容物の心配をしなくてもよいなど、余計な心配をしないで済むので、かなり安心度の高い選択肢になりそうです。

しかしあくまでトレイルランニング専用レインジャケット。ファストハイクや登山での使用は耐久性を著しく損なうことになりかねません。この機会に、このハイパーエアーGTXフーディだけでなく、どのような道具が自分にはあっているかどうか、自分のトレイルランニングスタイルを見つめ直してみてはどうでしょうか。

山仲間にシェアしよう!

153 Shares

最新ギア情報をゲットしよう!