普段から世界中の山道具やアウトドア・ギアを紹介し、レビューしていますが、その中にはどうしても日本では正規に入手できないアイテムが数多くあるのはみなさんご存じかと思います。
日本で買えないからといって、それは決して品質が悪いからということではありません。何よりビジネスなので、各地域のマーケット事情によって、たとえモノは素晴らしいかったとしても日本では売れない(売らない)と判断されてしまうものが少なからずあります。
そんな魅力的なアウトドア・ギアをどうにかしてGETするには、海外通販や個人輸入などを駆使するしかありませんが、海外での商取引に慣れているならともかく、英語が苦手な人にとってはどうにも手が出ないのではないでしょうか。
そこで便利なのが今回紹介するセカイモンです。
この度そのセカイモンさんから「うちのサイト使って、興味あるアウトドア・ギアをレビューしてみてよ!」という直々のお誘いがあり、おもしろそうなのでいろいろと試してみることにしました。これから4回にわたって「日本ではまず手に入らなかった未知のブランドやアウトドア・ギアを、セカイモンを通じて入手してみた」レビューを書いていきたいと思います。
目次
さっそくセカイモンで気になるアイテムを探してみる
セカイモンとは?
セカイモンとは、世界最大のマーケットプレイス(ネットオークション)「eBay(イーベイ)」の公式日本語サイト。このジャンル、日本ではヤフオクがほぼ独占状態ですが、世界的に見ればeBayが圧倒しています。現在セカイモンではアメリカ、イギリス、ドイツ、オーストリア、カナダと、なんと5カ国もの国で取り扱っている製品を購入することができ、その数約8億点。
ネットオークションはやっぱり不安?
ネットオークションと聞いて筆者自身も正直、はじめは関心薄めでした。というのも、古い人間からすると元々「中古品の個人取引」にはあまりよいイメージをもっていなかったからで、価格も定まらず、たとえ落札しても望んだ状態のものがきちんと届くかどうか心配な取引(ほぼ先入観)なんて、日本ですらあまり気が進まないのに、ましてや海外取引となれば怖くてできたものじゃないなと。
ところが、試しにアウトドアカテゴリの製品をチェックしてみたところ、実際には正規の新品をいわゆる「入札方式」ではなく「即決方式」で、あらかじめ明瞭に価格設定されていることが大半です。しかも現地の出品者への質問や、落札後の商品の検品、発送、輸入手続き、その他各種問い合わせなどはすべて日本語で行うことができ、出品者とのやりとりはすべてセカイモンが代行してくれるというではありませんか。
もちろん実態はネットオークションなので、不正な出品者や届く製品がアレなことがまったくない、とはいいきれませんので、その部分では自己責任を負う必要はあります。ただ、新品をそれなりに実績のある出品者から入手するという分には、そこまで博打的な要素があるとは思えません。
最大のメリット:日本にないものが、日本語で買える
ここまでの話を整理すると、自分のようなアウトドア道具好きにとって、セカイモンを利用するメリットとは「日本で取り扱いのないアイテムが、商品検索から購入、到着まですべて日本語で(場合によっては安く)手に入る」と言うことに尽きます。これまで英語でのやりとりは苦手だし面倒なので、日本にないブランドや日本で展開されていないアウトドア用品はあきらめていたという人は、試しにセカイモンで商品を探してみると、欲しかったものが思いのほか簡単に手に入るかもしれません。一方、その手軽さと日本語サポートの手厚さによって、海外通販に比べて多少のコストが上乗せされるのは否めません。その意味では英語が苦にならない人、あくまでも最安・最短到着を求める人にとっては別の方法をおすすめします。
セカイモンについてさらに詳細について知りたい方はこちらの公式サイトをご確認ください。
さっそくセカイモンでギアを探索したら欲しいギアがありすぎて痺れた
さっそく日本では入手できないアウトドア・ギアの名前を、試しに検索窓に入れてみました。例えば昨年夏に北米での展示会で出会ったスマートな焚き火台、nCamp Stove。マニアック過ぎて日本ではまず手に入らない代物です。
あっけなく、ありました。もちろん売れ線の人気ブランド・商品は言わずもがなですので、これだけでもかなりの商品ラインナップであることが分かります。
気を取り直して、ここから本気で欲しいものを掘っていくことにします。日本でなかなか手に入らない海外アウトドアブランドのギアといえばコレしかない。今回この話をもらったとき真っ先に思い浮かんだのが「スリーピングバッグ(寝袋)」と「テント」でした。欧米には日本で買えないテントやシュラフが山ほど眠っています。さっそくサイトで検索してみます。
日本のamazonや楽天にはないモデルが出るわ出るわ、時間を忘れて「ブランド名 sleepingbag 」でサーフィンしまくり、食指が動きまくりでした。最終的には、シュラフのなかでも日本で入手しにくい「キルト型」のシュラフに絞っていろいろと探してみて、決まったのがこちらです。
スリーピングマットでは日本でもおなじみのサーマレストから、日本未発売のスリーピングバッグのキルト型モデル!
個人的に春夏のトレッキングではすっかりスタメンになってしまった使い勝手最高のキルトタイプですが、日本ではまだそこまで一般化しておらず、現状モンベルか、その他ウルトラライト系の高価なモデルしか選択肢がありません。いろいろと使ってみたいと思っていたところだったので、これは期待です。
Therm-a-Rest Vela HD Quiltの大まかな特徴
掛ける・包まると多様な使い方ができる3シーズン対応のキルト型スリーピングバッグ(2018モデルからVela™ 35F/2C Quiltと名前変更)。中綿には、高品質な650フィルパワーに独自の撥水加工を施したNikwaxRHydrophobic Downを使用。濡れに対する弱さを最小限に抑えました。全周囲にサイドバッフル加工がなされ熱の発散を防ぎ、足元周囲には伸縮性のあるフットボックス備え、キルトのズレをなくし、限られた素材で最大限の暖かさと快適さを提供します。
おすすめポイント
- 温度調節がしやすいため涼しい季節から暑い夏まで使いやすい
- 普通の布団で寝るのと同じように窮屈さが皆無
- 撥水ダウンで多少の濡れなら心配なし
- 両サイドに配置されたバッフルが温かさを逃がさない
- きちんと縛り付けなくてもある程度マットがズレないようにできる
気になったポイント
- 適応温度2℃にしてはそこまで軽量・コンパクトさはない
- サイズが大きめしかないため、コンパクトなマットでは余りができる
- しっかりとマットに固定するには手間・工夫が必要
主なスペックと評価
スペック | |
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アイテム名 | Vela™ 35F/2C Quilt |
素材 |
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カラー |
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推奨最低適応温度 |
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重量 |
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サイズ |
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その他特徴 |
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評価 | |
保温性 | ★★☆☆☆ |
重量 | ★★★☆☆ |
快適性 | ★★★★☆ |
携帯性 | ★★★☆☆ |
機能性 | ★★★★☆ |
総合 | ★★★☆☆ |
詳細レビュー
期待通りの寝心地の良さ
落札してから約2週間後、無事商品が到着。セカイモンでは製品の到着までは一般的に3週間ほどかかり、出品者の地域や対応によって配送期間には差があると言われていましたが、今回は比較的スムーズだったようです。海外み溢れる段ボールの中から、問題なく新品のアイテムが現われました。
到着時には大きめの長期保存用ネットに入っていましたが、もちろん中には圧縮して収納するためのスタッフサックが入っています。
実際にマットの上にひろげてみます(下写真)。幅162センチ、縦213センチは日本人にとっては十分過ぎるほどゆとりがあります。
テントに敷いて寝てみましたが、手足を伸ばしてもまったくストレスがなく、普通の布団で寝ているのとほとんど変わらない寝心地の良さです(下写真)。ダウンの軽さと肌触りのよい裏地が極上の眠りを提供してくれます。
首や肩にかかる部分には伸縮性のある素材が用いられ、肩口から熱が逃げないように配慮されています(下写真)。
さらに両サイドに配置されたバッフルによっても寝袋の中の熱を閉じ込め、外気が侵入するのを防ぐ工夫がなされています(下写真)。また両サイドと足元はマットの下に挟み込めるようになっており、両端をテープで繋ぐなどしなくてもある程度寝袋がズレにくくなっています。
さらに右胸部分にはヘッドランプなどの小物用ポケットが付属。この辺のちょっとした配慮がやはり信頼性のあるブランドならでは。
スリーピングパッドにピッタリと固定するためには、両端にあるホックと付属のアタッチメント(裏が粘着シールになっているスナップループキット)とを連結し、それらをパッドの各所に貼り付ける必要があります。使わなくても寝られますが、固定することでシュラフを身体にフィットさせてより温かく寝られます。
撥水ダウンで多少の濡れなら心配なし
中綿のダウンは650フィルパワーとそこまで高い復元力はなく、保温力もそこそこ。下限適応温度が2℃であればそんなものでしょう。ちなみにキルトタイプの場合、背中部分の温かさはマットの断熱性が関係してくるため、実際の快適さはそれらの組み合わせ次第となってきます。
フィルパワーは少なめな分、その代わり高い撥水性能をもったNikwaxRHydrophobic Downを使用しています。表地のポリエステルにもDWR加工がなされているため、長時間雨にさらしたり、水没させたりしない限り、水濡れ等を気にせず使用することができます。このあたり、沢登り等にいいかも。
気になる点
適応温度2℃にしてはそこまで軽量・コンパクトさはない
キルト型スリーピングバッグといえば、背中や頭部を省いた分だけ軽量・コンパクトであるのがウリであるのが一般的ですが、そういう意味ではこのモデルはそこまで軽くないし(850g)、小さくもない。これはちょっと困る。下の写真は付属の圧縮袋に入れた様子ですが、袋はやや余裕のあるサイズであるものの、やはりウルトラライトな感じではありません。
サイズが大きめしかないため、コンパクトなマットでは余りができる
サイズ展開がワンサイズで、162×213cmしかないため、日本人にとっては少し大きいサイズであることは否めません。ただ、マミー型のように余った部分がすべて無駄になるということではないのがキルト型のいいところ。サイズの大きさは寝心地の良さや温度調節性に転嫁できるともいえます。
しっかりとマットに固定するには手間・工夫が必要
先ほども触れましたが、基本的にマットに固定するためには、付属のアタッチメントをマットにシールで貼り付ける必要があります。いろいろなマットを使用する場合はその分このアクセサリを購入する必要があるため、あまり現実的ではありません。それよりも両サイドのフックに手芸屋さんで買ってきた平ゴムのテープを自分で括り付けた方が早いです。
まとめ:濡れへの強さが欲しい夏のハイキング・沢登りに
スペックの通り春・秋の気温が低い場面には向きませんが、暖かくなってきた6~8月あたりの2,000m以下の低山であればちょうどよい保温性、加えて寝心地に関わる部分の配慮が随所に見られ、全体的な質の高さは確かです。しかも高い撥水力から濡れを気にせず使えるという点は他のキルト型にはないメリットであることから、沢登りやロングトレイルなど、過酷な環境でガシガシ使い潰したいアクティビティにはもってこいではないでしょうか。
いずれにせよ、今まで英語の壁によってどうしても手が出なかった海外の魅力的で”ニッチ”なアウトドア・ギアが、セカイモンを使えば英語が苦手でも比較的安全・簡単に入手できるということが分かったことは何よりの収穫でした。この記事を読んで興味をもった人はぜひ一度覗いてみてはいかがでしょうか。
なお、セカイモンについての概要・詳細についてはこちらの公式サイトからご確認ください。