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Review:NATHAN TrailMix 12L 使い勝手ハイスコア!トコトン遊べるロールアップ&ベスト型バックパック

トレイルランやハイキングでのバックパック選び。まず、背負い心地と軽さに注目したいところ。その次に、使い勝手がいい点と物の出し入れがスムーズな点などなど……。しかし、こればっかりはフィールドで実際に使ってみないことにはなんとも言い難い。

こだわり抜かれた物作りに定評な、アメリカ生まれのアウトドアブランド「Nathan」。そのNathanから新登場したロールアップ型でベスト式バックパック「TrailMix 12L」。実際に使ってみた結果、TrailMix 12Lはかなり優秀なバックパックだった。そこそこ荷物が入れられる12Lという程よい容量なのに、ロールトップ型ゆえに、バックパックの容量はコンパクトに調整にできる上、開口部は広く、荷物の出し入れはラクラク。

とりわけ、トレイルランではレースに限らず、日頃のトレーニングでも通年使えるサイズ。のんびりハイクでも十分対応できるバックパックを、気になる角度からジャッジしてみた。

おすすめポイント

気になったポイント

主なスペックと評価

項目 スペック・評価
積載容量 約12L
重量 約329.5g
カラー BRONZE GREEN、BLACK(日本限定)
サイズ UNISEX ONE SIZE
収納力 ★★★★☆
快適性 ★★★★★
重量 ★★★★☆
調節性 ★★★★☆
使いやすさ ★★★★★
価格 14,000円(税抜)/ハイドレーション別売(日本仕様)

詳細レビュー

マルチな使い勝手に応える収納力

TrailMix 12Lの特徴的なのは、ロールアップ型バックパックだということ。トップの開口部を閉じるようにくるくると丸め、開口部の両端にあるバックルでパチンと留めるタイプ。ウェアなどの荷物が少なめの際でも、バックパック自体のサイズ調整ができ、ジャストサイズの状態で背負える。

くるくるっと丸めて、ロックするだけ。ロールアップ式なので、荷物量に合わせ、サイズ調整できる。

開口部を広げた状態。ガバッと広げられ、荷物の取り出しがかなりスムーズだ。

バックパックは身体にしっかりと密着、バックパック内部の揺れを抑えた状態で、アクティビティを楽しめる。TrailMix 12Lを手で持ち運ぶ際も、丸めたロールアップ部分に指先を深く引っ掛けられ、かなりスムーズだ。

収納面のディテールを見てみよう。まず、フロント部分にはクライミング用バックパックのように、小物や必需品が収納できるジッパー式フロントポケットが備わっている。見た目よりも深く広めのポケットで、スマホや財布、マップなど、使用頻度が高く、絶対に落としたいくないものの収納に活用するといいだろう。

けっこう深めのジッパー式のセンターポケット。財布などの貴重品を安心して入れられる。

そのフロントポケットの下に備わっているのが、クリップ式ライトやカラビナなどを取り付けられるデイジーチェーン。ユーザーのアレンジ次第だが、活用の可能性は大きい。

続いて、胸部に位置する左右のショルダーハーネス。フラスクやペットボトルなどが収納できるボトルポケットとメッシュポケットの左右計4つのポケットが備わっている。アクティビティ中に頻繁に出し入れする補給食、ドリンクなどのアイテムを収納するのちょうどいい。

ポケットは比較的大き目で、伸縮性があり、取り出す際のアプローチはしやすい。カメラやスマホを入れても、伸縮性があるポケットなため、しっかりとホールド。揺れも少なく、概ね気にならない。

ソフトフラスコでもしっかりとホールド。

その上にも、細身のジッパー式ポケット(ショルダーポケット)が左右に備わっていて、左ポケットには、ホイッスルも内蔵している。本体背面部には、スムーズな給水に便利なハイドレーションパック用ポケットが備わっているので、デイリーでもレースでもダンゼン使える。

ヒップベルトが省かれているにも関わらず、収納力に長けたベスト式バックパックTrailMix 12L。通年で使えるサイズ感に加え、荷物量に合わせ、サイズ調整ができるロールアップ式。季節、工程、距離を問わず、マルチに使える。最後に、1点だけ……。メインコンパートメントの両サイドには、トレッキングポール用のアタッチメントコードを備えている。

トレッキングポール用のアタッチメントコード。使う人には嬉しいんでしょうけど……。

ポールを使用しないユーザーには、まったくもって、邪魔な存在感であるのが残念。ちなみに、筆者はポールをほぼ使わないっす。アレンジができればよかったのに(泣)。これ以外はかなり完成度高い仕上がりだと言える。

激しい動きでも体に密着する快適性

前述している通り、TrailMix 12Lはヒップベルトを省いたベスト式バックパックで、荷重を安定させるコプレッションシステムを採用している。背負ってみた感じは、重心がバックパックの全体に分散されている印象があり、軽く感じた(お世辞ではなく……。重量は後述)。胸は肩などの各ハーネスの長さ調整は細かくでき、しっかりと体に合わせたホールドを実現している。

とりわけ、注目したいのは2本のチェストストラップ。体型に合わせて、ちょうどいい位置にスライドできるタイプ。ここまでは、他ブランドのバックパックでもよくある話。TrailMix 12Lのチェストストラップは、ほどいい感じに伸縮性が富んでいる。伸縮性があるため、激しい動きに対しても、常に安定したホールド感が得られる(若干きつめに調整することをオススメする)。このチェストストラップが、トレイルランニングのスピードが出やすい下りの走行中でも、バックパックの揺れをかなり抑え、ユーザーの身体にバックパックを密着し続ける役割に一役買っていると思う。ワンサイズのユニセックスモデルであることも十分に頷ける。

伸縮性のあるチェストストラップ。動きに合わせた安定性がGOOD!!

ユーザーの背中と密着する背面や胸部裏面には、通気性を優れたメッシュ素材が採用している。バックパック全体は身体に引き寄せる仕組みとなっているのだが、その割には通気性はいい方だと思う。もちろん、背中と密着しているため、身体から発する熱気が背面部にややこもるが、適度に空気が抜けているのか、決して不快になることはなく、むしろ快適な印象だ(ふと気がついたら、汗が腰回りにビッチョリになっていた。そんな感じ)。

また、チェストハーネス、ショルダーハーネス共に擦れるといったトラブルは一切なく、ベスト式バックパックゆえに、背負うというより、ウェアのように着る感じに似ており、アジャストしやすく、ソフトな肌触りも心地いい。腕振りもしやすく、動かしやすい。気がついたら、ずっと背負っていた……。そんなこともなくはないだろう。それほど、TrailMix 12Lは快適なバックパックなのだ。

背面部分は、中の荷物まで、汗が伝わりにくいメッシュ生地。

適材適所の素材生地を使った軽量性

バックパックは収納できる量によって、バックパック自体の重さは変わってくるもの。メーカーサイトによるとTrailMix 12Lの重量は329.5g。12Lの収容容量の割にはかなりの軽量モデルだと言える。ちなみに、参考までに、12Lの同容量のGregory ルーファス12は490g。ノースフェイスのTR10(10L /Mサイズ)でも330g。同じく12Lで、パーゴワークスのRUSH12 は310gだが、こちらの主な素材はストレッチメッシュを採用している点が大きい。

TrailMix 12Lはポケットとなるところには、伸縮性の高いストレッチ素材を使っているが、ベースの生地となるところには、耐久性、撥水性に強い素材を採用している。メッシュ素材は、通気性が気になる肩のあたりと、背面部のみ。とりわけ、耐久性等を落としてまで、軽量化を図っているということではなさそうだが、外側のストレッチ性ポケット(名称的には、デュアルエントリーポケット)の耐久性がやや心配。背負ったまま、倒木等の下を潜る際に、引っかかってしまうのでないだろうか……。とはいえ、アクティビティに合わせ、使い勝手がよく、機能性に優れた12LのバックパックTrailMix 12L。Nathanの技術力の高さが伺えるのは間違いない。

軽くても、耐久性、撥水性は抜かりない。

まとめ:こんなユーザーにオススメ!

TrailMix 12L。繰り返しになるが、季節に関係なく、トレーニングでもレースでも使いやすいサイズだろう。ロールアップ式により荷物量に合わせて、バックパック本体自体の大きさを調整できるのも、かなりニクイ。

また、使用頻度が高いものはショルダーハーネスにあるポケットに収納できるので、休憩時以外に、背中から下ろすということは、まずなさそうだ(パッカブル式のシェルも収まるし)。日本のユーザーニーズにあわせ、ハイドレーションを付属しないことで、大幅なコストダウンを実現している点も評価できる点だ。トレラン用バックパックで、2万近くのものもある昨今。12Lで14,000円(税抜)は、これからトレランを始めようとする方でも手が届きやすい価格帯だろうし、汎用性の高いバックパックなので、ハイキング、トレラン、バイクなど、なにかと、重宝するに違いない。コスパに優れ、使い勝手がいいバックパックを探している方は、ぜひ!!

なにかと、通年で使えるのは、かなり嬉しい。@丹沢大山にて

補足:評価項目について

収納力

トレイルランやハイキングなどをする際、工程や距離を考えて、食料やウェアをバックパックに収納する方がほとんどだろう。TrailMix 12Lの利便性や汎用性がどれくらい高く、優れた収納ができるかを判断。

快適性

ウェアや食料などを詰め込んだバックパック。背負い続けるバックパックはいつまでも快適であってほしい。背負い心地や通気性、肩や胸、腕回りにスレがないか、揺れにくいか、などなど。アクティビティ中に快適性をジャッジ。

重量

よっぽどのことがない限り、バックパックは軽ければ軽い方がいいに決まってる。とはいえ、耐久性や機能性を削ぎ落とした軽量化は本末転倒モン。総合的にみて、相応の重量なのかを判断した。

調節性

概ね、バックパックは体型に合わせ、ショルダーハーネス、チェストハーネスなどで調節するもの。TrailMix12Lはワンサイズのユニセックスモデル。調節性が高くないと、あまりよろしくない……。コンプレッションシステムなども含め、ジャッジした。

使いやすさ

アクティビティー中、バックパックに望むことはスムーズかつシンプルな使いやすさ。いくら機能的であっても、使い勝手が悪くては問題外。荷物の取り出しやすさ、ハーネスの調節しやすさなどをジャッジ。

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