夏山に最適なトレッキングパンツとは?
夏山シーズン到来!
今年も暑い夏になりそうです。
熱中症が心配な夏の登山では、涼しい夏用トレッキングパンツが欠かせません。ショーツも涼しいのですが、岩場での怪我や日焼け、虫さされ等が気になります。
この記事では、2024年販売トレッキングパンツから、通気性、耐久性、動きやすさ、コストパフォーマンスのバランスに優れた夏山に最適なトレッキングパンツ厳選3点をフィールドテストし、レビューします!
目次
厳選軽量トレッキングパンツ3選をフィールドテスト
2024年販売、重量250g以下を条件に、夏のファストパッキングを想定した通気性、耐久性、動きやすさ、コストパフォーマンス等に優れた次の3点を選びました。
- rab モーメンタムパンツ 215g Matrix™ 生地
- milestone Natty Long Pants 2.0 190g ドライポリエステル生地
- Houdini Wadi Pants 217g Liquid Rock™生地
テスト環境とフィールドテスト結果
夏山において、通気性、耐久性、動きやすさ、コストパフォーマンス等のバランスに優れたトレッキングパンツはどれでしょうか?
以下の条件でフィールドテストをして検証しました。
テスト環境
- 【期間】6月〜7月
- 【山域】箕面トレイル(大阪)
- 【天気】晴れ、雨
- 【アクティビティ】ハイキング
- 【その他】仕事中も含め毎日履いていました。
フィールドテスト結果
気になるテスト結果は次のとおりです。
各モデルのインプレッション
総合BEST:rab モーメンタムパンツ 全項目において完成度が高い。全ハイカーにオススメ
完成度の高い軽量バックパック「Muon50」、コスパ最強のスリーピングマット「Ultrasphere4.5」などを立て続けにリリースしている今季絶好調のRab。
そんなRabのモーメンタムパンツは、生地が薄くて十分な通気性があるので、夏山でも涼しく感じます。
生地が薄いと耐久性が落ちるのが一般的ですが、履き続けた印象としては、耐久性に不安を感じることはありませんでした。
それを可能にしているのは、通気性にフォーカスしたMatrix™ 生地のおかげだと思います。
また、履き心地はサラッと滑らかなので、ジメジメした夏でも不快感がありません。
足上げや動きやすさに着目すると、股のガセットや立体裁断が素晴らしく、抜群のストレッチ性能がそれをブーストするので、足上げの良さは3点の中で一番です。
重量は215g(Sサイズ実測)と軽量で、DWR(耐久性撥水)加工も。
さらに、円安・物価高の今日において、13,200円(税込)という価格設定なので、コストパフォーマンスも素晴らしいです。
シルエットやカラーも美しく、ミニマムなデザインなので、山以外でも使える場面が多いと思います。
フィールドテストした感想は、通気性、耐久性、肌触り、動きやすさ、コスパが全て高次元でまとまっており、「完成度の高いミニマムな夏用パンツ」です。
あえて言えば、ポケットの数が3つ(前2、後1)と少ないことくらいですが、ミニマリストのハイカーには十分な数でしょう。
まずは履いた状態です。
街でも違和感のない細身シルエットが美しい。
light khakiのカラーも良い色合い。
ストレッチが効いているので突っ張り感はない。
後ろポケットは右側に一つ
ウエスト調整はシンプルなアジャスターのみ
収納可能
ウエスト背面は、メッシュ状になっているため速乾性が高い。
高温多湿な日でも快適に歩ける
ストレッチ性能が高いので足上げもスムーズ
機能BEST:milestone Natty Long Pants 2.0 スマホを入れても揺れない後面ポケット。荷物を切り詰めるファストパッキングやトレイルランニング時にオススメ
重量190g(Mサイズ実測)と3点の中で最軽量の5ポケットパンツ。
特徴は後部の3ポケットです。後部サイドには封筒型ポケットが2つあり、走ってもスマホが揺れず秀逸な作りです。ポケットの大きさも十分で、私のスマホ(16.5cm✕7.5cm)が無理なく入ります。後部中央にはウィンドシェルも収納できる大型ポケットが1つあり、ファストパッキングやトレランレースはもちろん、手ぶらで山を散歩する場面でも重宝します。
材質はドライポリエステルで、ストレッチ性、撥水性、速乾性があります。夏パンツとして十分に涼しいと感じました。履き心地も良く、足上げ時のストレスもありません。
価格は14,300円(税込)とコストパフォーマンスが高いです。
カラー展開は6種類と多く、シルエットも綺麗なので、街で履けますし、暑い夏にはぴったりです。
唯一気になった点は、尻ポケットがないことですが、なければないで慣れることでしょう。
「rab モーメンタムパンツ」との比較ですが、通気性、履き心地、速乾性においては、「rab モーメンタムパンツ」の方がより夏山向きだと感じます。良い悪いではなく、Natty long pants 2.0は夏〜秋まで履ける汎用性があるとも言えます。
それでは、まずは履いた状態です。
シルエットが美しい。
細身ですが、ストレッチするので突っ張り感はありません。
色味も含めて街で履いても自然です。
商品名の2.0は、シワ加工をしていることを表しています。
スムーズにスマホを出し入れできる大きさのサイドポケット。
走ってもスマホが揺れず、ポケット配置が秀逸。
センターの大きめのポケットはウィンドシェルも収納できる程大きいです。
また、物を入れていない時はベンチレーションの役割も果たします。
スリムシルエットに見えるが、突っ張りはない
十分なストレッチ性能なのでストレスなし
汎用BEST:Houdini Wadi Pants 通気性抜群で北欧デザインが美しい。山や旅が好きなハイカーにオススメ
トレッキングパンツとしては珍しいワイドシルエットの5ポケットパンツ。
シルエットの美しさ、柔らかな色合い、ミニマリズムなデザイン等、さすが北欧ブランドです。山はもちろん、旅行や街にも積極的に使える万能パンツです。
フィールドテストした感想は、Liquid Rock™生地による通気性の高さ、ゆったりシルエットによる換気力の高さ、接地面の少なさによる快適さを感じることができ、理想的な夏用トレッキングパンツでした。特に通気性は、3点の中で一番だと感じました。
重量は217g(Sサイズ実測)と軽く、履き心地も良いので、まるで履いてないかのようです。ずっと履いていたくなります。
夏用だけではなく、冬用ならインナーにアクティブインサレーションタイツを履くことで、ちょうど良い感じになると想像しています。
価格は22,000円(税込)と高額ですが、シーン(山と街と旅)や季節(夏と冬)を問わず使える汎用性の高さを考慮するとコスパは決して悪くありません。
その一方で気になった点は2点あり、生地が薄すぎて薮漕ぎや岩場歩きが少し不安なこと、ワイドシルエットなのでスピーディーな山行に向いていないことです。メリットとデメリットはトレードオフなので、このあたりは夏用パンツの宿命かもしれません。
それでは履いた状態の写真です。
ピタッとしていないシルエットが美しい
そういうパンツを探しているハイカーも案外多いのでは
左右に一つずつの後ろポケット
紐のみで縛る仕様。ウエストゴムは入っていない
スピードハイク時はベルトを締めた方が快適
裾はゴムで絞ることも可能
留め具はなく、ゴムを結ぶアナログな方法も良い
右ポケットは内側にジッパー付ポケット
右ポケットのジッパー内に収納するパッカブル仕様
500mlペットボトルと同じくらいコンパクトさ
山行の着替えや旅行時の持ち運びに便利
ゆったりシルエットなので歩く度に換気され、蒸れにくい
歩きやすいが、走るとバタつきが気になる時もある
東海自然歩道の起点(箕面)
まとめ
夏用トレッキングパンツ3点をフィールドテストした結果、今シーズン私が一番欲しいと思ったのは、Houdini Wadi Pantsでした。
決め手は、履き心地の良さ、高い換気力に加え、山だけでなく、旅でも非常に使い勝手が良いからです。私は旅に出ることも多く、様々な場面で使い倒せる汎用性の高いパンツでした。スリムシルエットのトレッキングパンツが多いなか、ゆったりしたシルエットも新鮮でした。
ただ、今回自分にとってのベストはHoudini Wadi Pantsでしたが、他の2点もじっくり比較してみるとそれぞれに違った特徴・魅力があり、例えば、総合力が高くて隙のないrabのモーメンタムパンツは、低山はもちろん、高山でも使えますし、後面ポケットの機能性が素晴らしいmilestoneのNatty Long Pants 2.0は、素早く行動するためにザックを下ろしたくないような山行には最高のパートナーとなります。
使用山域や季節、アクティビティ等によって適したモデルも変わってくるかと思いますので、この比較レビューがそれぞれ判断いただく際の山行になれば幸いです。
参考:その他最終候補に残ったおすすめの軽量パンツ
ご参考までに、今回の比較レビューで最終候補まで残った「重量250g以下を条件に、夏のファストパッキングを想定した通気性、耐久性、動きやすさ、コストパフォーマンス等に優れた夏用トレッキングパンツ」です。