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目次
今年も山道具は相変わらず高いよ、とあきらめる前に
昨年からお伝えしているワークマンのアウトドアウェア特集もめでたく2シーズン目。はじめは「安いわりにそこそこいいものがあるわね」といった程度の軽いノリではじめたのですが、掘れば掘るほど恐ろしくコスパのいいアイテムが出るわ出るわ。これはもう、最終的にワークマンだけで全身揃えられるのか?揃えられたとしたらはトータルどこまで安くいけるのか。そんな興味半分で今年も相変わらず掘っています。
そろそろ秋冬物の新ラインナップが出揃ってきたということで、今年もアウトドアに使えそうな注目すべきモデルを紅葉シーズンギリギリの奥秩父に着込んでいき、いろいろ試してみた感触を書きます。今年も「この作りで、この値段!?」と二度見必至の問題作がてんこ盛りです。
目次
- 1.ベースレイヤー(オススメ度★★★★☆ 上下各980円)
- 2.ミドルレイヤー(オススメ度★★★★☆ 1,900円)
- 3.追加防寒着(オススメ度★★★☆☆ 2,900円 ※ベスト1,900円)
- 4.シェルレイヤー(オススメ度★★☆☆☆ 3,900円 ※上下セット5,900円)
- 5.パンツ(オススメ度★★☆☆☆ 2,500円)
- 6.ソックス(期待度★★★☆☆ 980円)
- 7.その他アクセサリ(期待度★★★☆☆ 1,280円)
- まとめ
ワークマンなら上から下まで全身揃えてほぼ1.5万円以下
今年の選定では昨年も紹介したワークマンのオリジナルブランドFieldCore製品だけでなく、ランニングなどのスポーツ全般のオリジナルブランドFind-Out製品からもおもしろそうなアイテムが発掘できました。選び方によっては一般的なハイキング目的以外にも、ちょっとした雪やトレイルランといった幅広いアクティビティで必要なウェアが一通り揃います。いずれにしても全身揃えてほぼ1.5万円以下という破格さよ。
1.ベースレイヤー・インナー
裏ブロックフルフリース長袖Tシャツ/ライジングトレイルタイツ(オススメ度★★★★☆ 上下各980円)
保温性と通気・速乾性を両立させた高機能シャツ
ちなみに昨年紹介した定番のベースレイヤーは今年780円という反則レベルの価格で販売されています。使い勝手の良さは相変わらずなので、コスパを追求するならばこちらも激しくおすすめです。
たださすがに着心地的な部分では価格相応ということを覚悟しておく必要があります。本格アウトドアウェアのように幅広い体型に万遍なくピッタリと吸いついてくれるような極上のフィット感ということはありませんので、体型が合わない人にとっては着心地がイマイチかも。ちなみにぼくの場合身頃に合わせると袖が短くつんつるてんになります。
ボトムスには今シーズン新たに発売されたライジングトレイルタイツをピックアップ。やや厚手の起毛ポリエステルでアンダーウェアというよりもコンプレッションタイツ的な印象ですが、その分動きやすさも向上してよりスポーツに使いやすい。冬のインナーとして十分な厚みをもっており、スキーウェアやハードシェルのインナーとしても使えそうです。山・雪・日常ランと重宝すること必至です。
2.ミドルレイヤー
クロスシールドブルゾン(オススメ度★★★★☆ 1,900円)
寒い冬に着っぱなしで活動し続けられる保温着として
これも見た瞬間ニヤニヤが止まらなかった新作。汗抜けと可動性が求められる肩・腕・脇部分にはフリース素材、身頃には保温性のある中綿を配置するというハイブリッドパターンは、ここ数年名だたるアウトドア・ブランドがこぞってミドルレイヤー(中間着)に採り入れている仕様です。それをこんなにも速攻で採り入れてくるとは、それもこんな価格で。
ちなみにこのストレッチフリースと中綿のハイブリッドシリーズはジャケット・ベスト・パンツの3種類あるので、用途や好みに応じて選べます。
ただ機能としては問題ないのですが、やはり着心地・動きやすさという部分ではやや雑な印象です。単純にサイズ感の問題なのかもしれませんが、サイズを合わせたとしてもあまりピッタリとフィットしてくれず、腕の振りや身体の動きに対しても追従しにくく、シルエットもどことなく野暮ったい(着丈が妙に長い?)。素材も裁断も綿密に計算された高価なモデルと比べてしまうと、身体との一体感は雲泥の差と言わざるを得ないか。
3.追加防寒着
STRETCHブルゾン(オススメ度★★★☆☆※ベストは★★★★☆ 2,900円※ベストは1,900円)
動きやすさと保温性抜群の防寒着ウェアは今年も健在
ワークマンの独自アウトドアブランド「FieldCore」から昨年リリースされた防寒ウェアは今年も健在。十分あ保温性と防風性を備え、多少の雨は弾くだけの撥水性も備えています。さらにストレッチ性の高い生地と可動性を高めた腕周りの裁断によって防寒着でありながら動きやすさも抜群。もちろん濡れてもダウンのように保温性が落ちるということはありません。昨年から左右・胸の3カ所に加えて胸の内側に大きな内ポケットが追加という微妙なアップデートがありました。追加のカラーリング、女性向けモデルもあり、その上で相変わらずの低価格にはもう驚きすらなくなっています。
一方昨年にも書きましたが、かさばる・ムレやすいという点は相変わらずなので、防寒着としては使えますが、行動中には着にくいなど、登山での使い勝手はやや限定的。その意味でこのジャケットの動きやすさという特徴が非常にもったいない。ただ、今年はじめて試したベストタイプはかさばりもムレやすさも一気に気にならない程度になるので、正直これなら結構使い勝手がいいことが分かりました。むしろこちらの方が今後出番が多くなる気がしています。
4.ジャケット
防水防寒ジャケットSTRETCH(オススメ度★★☆☆☆ 3,900円)
防寒・防水・透湿・ストレッチの万能ジャケットはデザイン性アップ
今年も冬用のアウターは相変わらずこのモデルがイチオシです。昨年は上下セットのスーツモデルをおすすめしましたが、今年はトップスのみのこちらを紹介。性能に関してはほとんど同じです。ただフロントジッパーがフラップではなく止水となり、渋いカラーが加わっている、つまりデザインがよいというだけなので、もし防水のオーバーパンツをもっていない人がいたら下のようなスーツタイプでもいいと思います。
耐水圧10,000mm、透湿性5,000g/m2/24hなら冬のシェルとして最低限のラインは十分満たしているとひとまずはいえます。昨年スキーで着用してみて撥水・防水に関しては問題なく機能していましたし、裏地の起毛によって保温性も少し増していますので、秋冬の防水アウターとして使いやすい。若干のストレッチによって突っ張る感じも軽減されています。
ただ昨年も書きましたが、厳しい風雨に対する耐候性、耐摩耗・引き裂き強度などの耐久性、透湿性などを考えれば、いわゆる本格冬山登山用のハードシェルと比較できるものではありません。細部の作りについても極寒の中で手袋をはめたまま細かい調節をしやすいようにといったところまでは配慮が及んでいないところがあります。冬山のような厳しい環境での着用はよくよく考えるべきです。
ただそうした点を踏まえて、冬でも低山や西日本など比較的穏やかな気候での登山用アウターとして、または安全な場所でのスキーウェアとして考えれば「最低限の防水透湿ウェア」として十分使えるレベルです。なにせこの価格、使い方次第で十分に活躍してくれます。
防風・防寒アウターとしてならこちらも◎:ストレッチソフトシェルジャケット(低山歩きにオススメ度★★★★★)
ここで雪や雨は考慮せず、寒さと風を防ぐアウターが欲しいという低山ハイカーのために、春夏モデルのレビューでも紹介したソフトシェルジャケットを再掲しておきます。ストレッチ性抜群のソフトシェル素材で通気性と耐風性、撥水性をバランスよく備えており、朝夕や稜線上でのちょっとした防寒にとても使いやすい。サムホールが付いているため防寒着としても考えられています。雨具は別にもっているから晴れの日のアウターが欲しいという人にはうってつけです。
5.パンツ
STRETCHクライミングパンツ(オススメ度★★☆☆☆ 2,500円)
確かに動きやすさと保温性は抜群だが
ワークマンがクライミングパンツ(の特徴を備えたボトムス)を出したってことで今年の春夏シーズンは度肝を抜かれましたが、反響が高かったのか、何と秋冬ラインナップにも登場していました。
まず素材に関しては上で紹介したHJ001B STRETCHブルゾンと同様のものを使用しているため保温性・そしてストレッチ性は抜群。さらにクライミングパンツということで股部分にマチがあり、膝も立体的に裁断されているため動きやすさは申し分ありません。防風性・撥水性も備えてます。ポケットもたくさんついて便利。寒さを凌ぎながらアウトドアを楽しむには十分過ぎる機能が備わっているといってよいでしょう。
しかし、やはりトップスの時と同様、ムレやすいというのが一番の難点です。動きやすいからとハイキングに履いてみると、登りでかなり汗が出ている最中は蒸れが気になり、すぐに脱いでしまいました。幕営してから0度近くの寒さのなかでの防寒パンツとしては非常に役に立っただけに惜しい。その意味ではハイキングなどの動いたり止まったりが激しいアクティビティよりも、バイクや釣り、キャンプなどの方が適している気がします。その他サイズのバリエーションが少ないわりにウェストの調節ができないところなどもあと一歩改善が欲しいところです。
6.ソックス
HEATアーチパワーアシスト先丸靴下2足組(期待度★★★☆☆ 2足組980円)
土踏まずのアーチサポートに期待
今季の新作ソックスの注目は、土踏まずを上方に持ち上げてアーチをサポートすることにより疲れにくく歩きやすくしてくれるモデル。そのひとつを試してみたのですが、これがすこぶる心地よい。安定感が向上するだけでなくソックスのズレも抑え、足全体にしっかりフィットしてくれる感覚はかなりのヒットでした。ただそのモデルのメイン素材が綿ということもあり、やはり冬の登山にはちょっと怖いということで、同じくアーチサポート機能が備わってなおかつアクリルなどの化繊がメインのこちらをおすすめします。ただ、まだ販売が開始されていないようなので、今のところは期待値ということで、確認次第情報は更新する予定です。
7.その他アクセサリ
イージス防寒手袋 袖付きロングタイプ(期待度★★★☆☆ 1,280円)
懐かしのシンサレート、保温性に期待
防水機能をもった厚手のPVCフィルムを表裏生地で挟んだウィンタースポーツ用防寒グローブが1,280円。中綿にはシンサレート(懐かしい)を使用しているので保温性に関しては(厳冬期の雪山などでないかぎり)まず問題ないでしょう。気になるのは透湿性で、いわゆるGORE-TEX®のような防水透湿素材ではないため活動量の多いアクティビティで長時間使用しているとおそらく中は汗で濡れてきてしまうでしょう。その意味ではあくまでも「防寒手袋」としてしか期待できそうにありませんが、とかくグローブは消耗品のため、こうした”量産型”をひとつ持っておけばエースの寿命を延ばしてくれるという意味で意外と重宝するかもしれません。
まとめ
今年は登山という狭い範囲では昨年のような衝撃は少なかったかもしれません。一方でトレイルランなどに使えそうな機動性重視の良アイテムが数多く出てきたのは要注目です。実際ここではテーマとの兼ね合いで紹介できなかったものの、上で紹介した以外にも広くアウトドアで使えそうな良くできたモデルは数多く出揃ってきたのは事実です。きっとカタログをじっくり見てみれば、それぞれの「これは」という掘り出しモデルが見つかるはずです。
アウトドア業界のトレンドにしっかりと並走し、年々奥深くなっていくワークマンのアウトドア系ラインナップは、今年さらに隙がなくなってきたといえます。ただ何度でも言いますが、そうはいってもまだ「この価格」なりの部分は拭えません。細部の詰めや微妙な着心地、デザイン性、耐久性などちょっとずつ物足りないところがあるのは確実。そんなときにはぜひ専門ブランドの、本当に良い道具を使ってみてください。そこから多くの人がアウトドア・ギアの奥深さに触れていってくれることを願います。
最後に念のため、このサイトでワークマンや低価格のアウトドアブランドについて取り上げるのは、決して「登山用品は全部高杉、もうこれで十分じゃね?」ということが言いたいわけではありません。
ワークマンのような専門アウトドアメーカー以外のブランドによる製品には、近年低価格にもかかわらず高いクオリティのものが増えてきたとはいえ、それでも専門ブランドの山道具に比べれば総合的にみて遠く及ばないことは間違いありません。
ただ、だからといってこのまま高性能・高価なアウトドア用品しか選択肢がないとなければ、この先アウトドアを楽しむ人はどんどん減っていってしまうでしょう。ぼく自身はこうした格安製品と専門ブランドの製品はそもそも市場を食い合うようなものではないと思ってます。このサイトの立ち位置としては、アウトドアの裾野をもっと拡げていくという意味でワークマンをはじめとした格安ブランドの存在意義をポジティブに捉え、こうしたアイテムを積極的に紹介しています。
それを踏まえて、アウトドアのベテランも初心者も、そして日常使い目当ての人も、これから紹介するアイテムに興味が湧いた方はぜひ手に取って試してみるべし。それではみなさんよい旅を。