コスパ最強と噂のワークマンで全身揃えたらどこまでいけるか試してみた

山道具って高いよね。なんとか安くそろえる方法はないの?

普段から自腹で人の何倍もの山道具を購入しているこのサイト、普段から山道具のバカにならない価格については誰よりも身に染みて感じているつもりです。ただ、山道具購入コストをなるべく抑える方法はまったく無いわけではありません。

  • シーズンオフやセール時に前モデルや入れ替え予定モデルの放出品を狙う。
  • 常時アウトレット品を扱っているブランドやお店で購入する。
  • 中古アウトドア用品を扱う店舗・ECサイト・オークションサイトから購入する。
  • 安価な大手アウトドアチェーン店のプライベートブランド商品を狙う(そこまでお得な価格ではないものの、比較的安価)。
  • WEBサイトを中心とした山道具レンタルサービスを利用する。
  • (極端な話し)家にあるものや日常品で代用する自作する

上記の方法はどれも一長一短があり、常時安定的に格安な入手方法というものはなかなか難しいのが現実。いずれにしても高すぎるコストによって素晴らしい山道具に出会う機会を失わせてしまうだけでなく、アウトドアの世界に触れる上での高いハードルになってしまうとすれば本末転倒です。

寒い季節の山歩きに必要なすべてのウェアが総額1.5万円以下でそろう店とは?

そんななかずっと気になっていたのが、アウトドアブランドではなく、そしてユニクロでもなく、国内作業着専門店のワークマン。元々主に現場作業や工場作業向けの作業服・関連用品の専門店ですが、炎天下あるいは極寒の屋外で、長時間、力仕事を想定した商品づくりは使用環境がアウトドアそのもの。これは登山でも十分使えるよという情報が匿名掲示板界隈でも密かにやりとりされており、何よりその圧倒的な低価格から少なからず愛用者がいるようです。

ワークマン自体もそのことは認識しているのか、最近では作業着だけでなくランニングやバイクなど、さまざまなレジャー・ホビー系のアクティビティに特化したブランドを次々と立ち上げています。2016年にはついにアウトドア向けブランド「FieldCore」もスタートしました。

そこで今回はワークマンのオリジナルブランドFieldCore製品を中心に、それ以外にも登山に合いそうなウェア一式をピックアップ。企画の趣旨を相談したところ担当の方とも直接お話しすることができたため選定にも協力してもらった結果、何と1万5千円以下でアウター含めてすべてのアウトドアウェアが揃ってしまいました。もはや笑うしかありません。※アイテムは基本購入ですが、一部提供いただきました。

使用した期間は11~12月、秋冬の日帰り山歩き(無雪期)やゲレンデスキー、スノーシュー歩きなどをほぼ全身ワークマンで実施。果たして究極の格安装備で登山はどこまででいけるのか?以下にその実体験をシェアしたいと思います。

目次

1.ベースレイヤー(オススメ度★★★★☆ 上下各980円/ここまで総額1,960円)

ココがいける!

ポリエステルは軽くて強く、速乾性に優れており、スポーツ全般で広く使われている化学繊維。多くの登山用化繊ベースレイヤーでもこの素材がメインに使用されています。もちろん同じポリエステルでも各メーカーさまざまな技術と工夫を凝らしているので性能差は当然ありますが、この格安ベースレイヤーでも基本的な機能面では問題なし。汗を素早く吸いとって肌面をドライに、そして水分を速やかに外側の衣類へと運んでくれました。若干のポリウレタンによってある程度伸縮し、身体にピッタリとフィットした形状でもそこまで動きにくいということはありません。裏地が若干起毛しているため肌触りよく、確かに着た瞬間既に温もりがあり、汗を吸った状態でも冷える感じがしないのが秋冬用のベースレイヤーとしてもちょうどいい使い勝手です。ちなみに低価格のアンダーウェアとしてなぜか度々話題に上るヒートテックですが、使い方次第とはいえ、基本日常着なのでフィット感はややルーズだし、汗をため込みがちで乾くまでの時間は少し冷えるし、そこまで安くもないし、個人的にはこちらの方がよっぽど優秀でした。

ココが△

あくまで一般的な登山向けウェアと比べるとですが、着心地的な部分ではやや劣ります。裁断が単純で、伸縮性はあるものの限定的なため、身体の全体に万遍なくピッタリと吸いついてくれるような極上のフィット感はありません(神経質にならなければ十分に許容範囲ですが)。その他、基本的に毎日洗濯する作業着がベースのためか、消臭的な機能はめっきり弱く、汗の多い活動で何日も着続けているとあの(今となっては懐かしい)忌まわしきニオイを覚悟する必要があります。ただそこさえ気をつけて使えば、ちょっと贅沢なランチ1杯で登山用下着がそろうと思えばそれも全然アリと割り切れるレベルではあります。

2.ミドルレイヤー(オススメ度★★☆☆☆ 1,900円/ここまで総額3,860円)

ココがいける!

引用:ワークマン公式ONLINE STORE

一見するとごくフツーのジャージっぽい長袖シャツですが、裏地にセラミックプリントが施され(写真参照)それが身体から放射される体温を逃さない構造になっています。+3℃かどうかはハッキリとは分かりませんでしたが、じんわりと温かくて通気・速乾性があるという特徴から行動中にアウターの下に着るミドルレイヤーとしてなかなか便利であることは間違いありません。とりあえず最近のアウトドア業界で話題の「保温・通気・ストレッチ」なインサレーションウェアが数万円することを考えると、顎が外れるほどのお買い得感です。

ココが△

保温効果+3℃といっても保温力はそこそこ。裁断も単純で、ストレッチが効いているため普通に動けはしますが上質な着心地・動きやすさは期待できません。そして裏地のセラミックプリントも激しい摩擦には弱く、指で擦ると徐々に剥がれていきます。デザイン・カラーリングはいうまでもなく厳しい。このあたりの行動着として使えそうなミドルレイヤーとしてはありきたりなフリースでもかまわないため、これがベストな格安ウェアとはいえないかもしれませんが、価格と保温性の割りにコンパクトという特徴は、なかなか使える。

3.追加防寒着(オススメ度★★★☆☆ 2,900円/ここまで総額6,760円)

ココがいける!

ワークマンの独自アウトドアブランド「FieldCore」から今期リリースされた防寒ウェアは、その価格からは想像できないほど多彩な機能を備えた防寒ジャケット。中綿はポリエステル製で保温性特に問題なし。もちろん濡れてもダウンのように保温性が落ちるということはありません。防風性を備え、多少の雨は弾くだけの撥水性も備えています。何よりもストレッチ性の高い生地と可動性を高めた腕周りの裁断によって防寒着でありながら動きやすさも抜群。ポケットも3カ所。反射板付き。女性向けモデルもあり。これほどの多機能でこの価格はさすがにちょっとビビる。

ココが△

手軽なアウトドアであれば十分な性能と使い勝手といえそうですが、あえて挙げるとすれば、まず非常にかさばるという点。ある程度軽量なだけにそこは残念。さらに表・裏地の厚みが原因かどうかは分かりませんが速乾性にも乏しく、汗をかき始めると熱がこもり、ムレてやや不快です。保温性もものすごくある、というわけではありません。全体的に良くできているものの、裏を返せばアウターシェルとしては防水性が、ソフトシェルと比べると透湿・速乾性が、ダウンジャケットなどと比べると保温・コンパクト性が足りないともいえ、登山での用途的にまだハッキリとしない部分があるのは否めません。現状では「ちょっとかさばるけど晴れた日の寒くなったときに羽織るアウター」として使うのが最も適しているのではないでしょうか。

4.シェルレイヤー(オススメ度★★☆☆☆ 5,800円/ここまで総額12,560円)

ココがいける!

何の変哲もない2レイヤーの防水透湿生地ですが、スペック的に耐水圧10,000mm、透湿性5,000g/m2/24hなら冬のシェルとして最低限のラインは十分満たしているとひとまずはいえます。実際に1日中雨のスキー場で着用したところ、撥水・防水に関しては問題なく機能していました(写真参照)。裏地には起毛素材が配置されており、単なる雨具に比べればかなり保温性が重視されていますので、その辺も秋冬のレインウェアとして見れば使いやすい。表地は多少ザラついているので雪用のウェアとしてもまぁ使えますし、さらにストレッチする素材が使用されていることもあって突っ張る感じも軽減されています。

ココが△

用途としてはスキーなどでもいけると思いますが、だからといってアウトドアウェアのなかでも最も先端かつ細やかな技術と工夫の集積であるハードシェルとは比較になりません。それくらい、両者は耐候性・耐久性・汗処理など極限での使用に関しては大きな差があります。その上で、冬の(軽い雪もありの)登山用アウターとして考えた場合ですが「最低限の防水透湿ウェア」としてまでならば及第点、それ以上の使い勝手はあまり期待してはいけません。そもそもの裁断の単純さによるダブつき・突っ張り、ジッパーや縫い目の強度、あご周りの深さなど作りの部分、パンツのウェスト調節がゴムだけだったり、パンツのポケットがなかったり。その他、本格登山ウェアと比較すると細かい使い勝手の部分で気になる点がいくつか見受けられます。透湿性についても最低限ですから、ベンチレーションが付いていないこのジャケットを着たままハイクアップすれば間違いなく途中で暑くなって脱ぎたくなるレベルです。それらを考慮した上で、5,800円という破格の値段をどう判断するかでしょう。

5.パンツ(オススメ度★★☆☆☆ 1,900円/ここまで総額14,460円)

ココがいける!

化繊(ポリエステル)100%、防風・裏起毛による保温性、ストレッチ性と、機能的には十分過ぎるものがあり、ゆったりシルエットは歩いている時のストレスゼロ。ワークマン自体からは何も語られていませんが、山業界ではこれって「ソフトシェルパンツ」っていうんじゃ……。それが1,900円でいいんでしょうか。

ここが△

個人的な好みは極力入れないようにしているにしても、とにかくシルエットからウェストのゴム、ポケットのライン、カラーリングまで、とにかくデザイン的な部分がキツい。作業着ならばいいのかもしれないのである意味まったく的外れな物言いかもしれませんが、アウトドアという趣味の領域で見るとこれはちょっと考えものです。それ以外でもサイズ展開がフリーサイズという点も若干フィットに問題があるといえます。価格・機能・使い勝手的には十分なだけに惜しい。

6.ソックス(オススメ度★★★☆☆ 499円/ここまで総額14,959円)

ココがいける!

足先が冷たくなりやすい季節ではソックスの性能は重要です。なるべくウール素材が多く使われているものが保温性・汗処理の観点からもおすすめですが、ワークマンにもありました。ウール混紡のソックス。なんと2足でワンコイン価格。ただ、割合は不明ですが、洗濯・脱水した後の乾き具合からアクリル・ポリエステルがメインであるとは思われます(それくらい速乾性は高かった)。履き心地に関しては、甲と脛、ふくらはぎを締めるゴムが機能して価格の割にはきちんとフィットしています。保温性に関しても同様、この価格では十分過ぎるほどです。

ここが△

ここまで価格を抑えるにはある程度大量に生産できなければならないという事情があることは容易に想像つきますが、そのためかサイズはワンサイズのみ。ぼくの足(26.5cm)にはジャストフィットからは少し大きい感じでした。それでもズレまくるということはありませんでしたが。

まとめ

以上、個々のウェアについてあくまでも数回ずつの試用ではありますが、実際に使ってみた感想を整理してみました。なんだかいろいろとツッコミを入れまくってしまった印象もあるかと思いますが、基本的には「この価格でよくここまでやるわ!」という驚きの方が強いのは確かです。

ワークマン製品全体として感心したのはそれぞれのアイテムにおけるクリティカルな機能と動きやすさに特化している点。そこはしっかりと評判通りだったので、入門的な用途であればまったく心配要らないアイテムがかなりあるという気がしました。ぼくが今山岳部の学生ならば、新人部員には真っ先にまずこれを買い与えます。

ただ逆にいえばその他の部分を思い切って省略することによって異次元のコストダウンが実現しているため、少し本格的に、そしてこだわりはじめるとやっぱりいろいろな部分で「山用ではない」部分が気になり出し、物足りなくなってくる。そしてやはりハイエンドなアウトドア・アパレルブランドと比べてデザイン性・サイズ展開・女性モデルに乏しいのもある意味致し方ない点といえます。

結論としてはさまざまなデメリットを考慮に入れたうえで、格安に山用装備をそろえたい、あるいは本格ギアをそろえるにはまだちょっと時期が早いのでちょうどいい何かで間に合わせたいと考えているならば、選択肢として十分にありです。

実際ワークマンのアウトドアウェアの売れ行きはかなり上々のようで、既に今期の在庫分は売り切れも続出しているとか。従来のアウトドアメーカーもうかうかしていられないでしょうし、今後の新製品等についてもますます目が離せません!

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