ガチの山好きが4年間試して、今でも使い続けているワークマンの山装備
出会いは今から4年ほど前——。驚きのコスパという理由で何気なく取り上げてみた「ワークマンで山装備」は、あれよあれよという間に話題になり、その勢いはまだまだ衰える気配を見せていない様子。ほんとすごいことになってます。
最初の方に持ち上げておいていうのもなんですが、現在の熱狂ぶりに関しては、正直ちょっとついていけない気もしなくはない。まぁそうした喧噪は脇に置いておくとして、今回は普段山道具に慣れ親しんだ自分でも、見つけたら問答無用でカートにぶちこむレベルの優秀アイテムをあらためてまとめてみます。
この4年の間で登山やアウトドア向けの、いわゆる「Field Coreブランド」のちょうどいいアイテムは着実に増えてきました。ただ、その中にはガッツリと山慣れしている人にとっては価格以外での魅力に乏しいものがあったりするのも事実。その一方で本格登山でもガンガン使えるアイテムが、お店の片隅で偶然見つかったりするからワークマン巡りはおもしろい(個人的にはアウトドア好きにとって作業着屋・ホームセンター・DIYショップとはそういう場所だと思ってる)。今回は安定した定番から今シーズンの新作まで、ガチ登山愛好家も納得できる(はず)のアイテムを厳選してみましたので、さっそくどうぞ。
目次
ベースレイヤー編
ワークマンの中でも特にぎやかなのが、肌に直接着るタイプの機能性Tシャツ(アウトドア的にはベースレイヤー)。やれ速乾だ、冷感だ、コンプレッションだ、ストレッチだ、通気だと新機能を盛り込んだ新作が1年中常に出続けています。まれに春夏・秋冬のカタログに載らない製品などもしれっと出ていたりするので、チェックするのも大変なほど。
そんなベースレイヤー、専門ブランドがより快適なのは確かですが、自分のようなヘビーユーザーにとってはいかんせん擦れやニオイによる消耗の早さが悩みの種。価格もバカにならないため、できることなら節約したいと思ってしまうギアであったりして、そんな自分にとってもワークマンはありがたい。
長らくトレッキングに着ていた定番といえば、ポリプロピレンを裏地に配した「1173 肌がさらさらZERO DRY長袖ハーフジップ」でしたが、この夏、とんでもない新作がひっそりとリリースされていたのを見逃しませんでした。忘れもしないワークマン足立加平店。
クライミング 長袖ハーフジップ(オススメ度★★★★★)
吸汗性◯ 速乾性◎ 通気性◎ ストレッチ性◯ 肌触り◎
生地はシンプルなポリエステル100%の速乾Tシャツですが、脇から袖にかけての大胆なメッシュによって素晴らしく高い通気性を実現しています。いくら透湿性が高いレインウェアもベンチレーションによる換気に勝てないのと同様、やはりどれだけ最新の速乾・冷感生地を使うよりも、メッシュを通り抜ける風の涼しさにはかなわない、ということをあらためて思い知らされます。
パックを背負っても縫い目が食い込まないラグランスリーブ、換気調節できるハーフジップ、入れようと思えばスマホも入るサイズの胸ポケット、UVカットと、利便性も普通の山Tシャツとほぼ変わりませんし、リフレクションも付けて安全性にも配慮。そしてもちろんリーズナブルな価格。ついに春夏山用Tシャツの世代交代です。
(2019.08.16現在、オンラインストアでの取り扱いを確認できず)
ミドルレイヤー・アウター編
次にベースレイヤーの上に羽織るもの全般について見ていきます。
アウトドアといえばレインウェア、レインウェアといえばワークマンという方も多いかもしれませんが、実はぶっちゃけ登山ではあまりヘビーユースする気にはならず。大きな理由としてはやはり厳しい環境下でここぞというときに使う、長く使うギアであることから性能には妥協したくない。また本格アウトドアモデルと比較すると重量・快適性の点での性能差が激しいことなどが挙げられます。ちなみに保育園の自転車送り迎えをはじめとして日常では大活躍です。
その代わり、もっとマイルドな、幅広い環境で使うにはもってこいのアイテムが見事殿堂入りして今でもちょくちょく使っていたりします。
ストレッチソフトシェルジャケット(オススメ度★★★★☆)
撥水性◯ 耐風性◯ 通気性◯ 動きやすさ◎ スタイル◯
2年前のレビューでも激賞していたソフトシェルジャケットです。細かいアップデートは重ねているものの、素晴らしいまでの便利さは相変わらず。本格的な雨以外でのアウターとして山でも普通に使えています。ややスリムでスタイリッシュなシルエットに加え、ストレッチ性抜群で動きやすい。街でも普通に着られますね。通気性と耐風性、撥水性をバランスよく備え、春先の行動着から夏の防寒着、旅行での羽織りものにと、汎用性の高さは圧巻です。ファスナーなどの細かいパーツも意外と手を抜いていないのもニクイんですよ。これをもっと薄くしたやつ、厚くしたやつの3パターンがもしあれば、1年中ワークマンのソフトシェルで山を乗り切れると思います。
CORDURA EURO (コーデュラ ユーロ) ユーティリティベスト(オススメ度★★★☆☆)
機能性◎ 速乾性◯ 通気性◎ 保温性△ 肌触り◯
なりふり構わず機能や収納を盛り込んじゃうパターンは業務用ウェアではよくあることのようですが、長く見続けていると、時にその過剰さをオブラートで包んで絶妙なバランスに仕上げたモデルに出会うことがあります。
さてこのポケットだらけの薄型ベスト。なんでも欧米の洗練されたデザイン「ユーロスタイル」だそうですが、確かに悪くない。そして何よりも表裏合わせて13のポケット(+ビニールの防水ポケット)を備えています。つまりこれひとつでサコッシュ要らず。個人的にはハイキングなどのゆるいアウトドアであればサコッシュやサブバッグでもいいけど、沢登りや渓流釣り、岩場多めのアクティブ登山ならばこうした収納の方が、恰好さえ気にしなければ断然使いやすいのです。
そのポケットの数もさることながら、コーデュラによる耐久性のある素材は薄くて軽く(背中やサイドはメッシュ地)、ザックなどによる擦れも少ないといった点も使いやすい。ちなみに同シリーズの「デュアルジャケット」は機能性こそ素晴らしいものの着心地という点で今一歩届かず、こちらの方が殿堂入りとなりました。
(2019.08.16現在、オンラインストアでの取り扱いを確認できず)
ボトムス・シューズ編
AERO STRETCH(エアロ ストレッチ)クライミングパンツ(オススメ度★★★★☆)
吸汗性◯ 速乾性◯ 通気性△ 歩きやすさ◎ 快適性◎
個人的にワークマンを見直すきっかけとなったといってもいい、ストレスフリーのトレッキング・クライミングパンツ。これ以外にもいろいろなパンツが登場していますが、やはり現在までのところコイツを超える山用パンツはまだないかなと思っています。
伸縮性抜群の生地を使い、股下のガセットクロッチや膝の立体裁断によるストレスフリーの履き心地は、激しい動きや急傾斜の登りでも超快適。おまけに予想外にスタイリッシュなシルエット。
優秀なところは認めつつ強いていえば、若干の重さと生地の速乾性、そしてポケットの使い勝手はもう少し改善される余地があるかと。その意味では真夏のトレッキングには今シーズン登場した2WAYタイプの多機能パンツ「DIAMAGIC DIRECT(ディアマジック ダイレクト) クライミングパンツ」もおすすめです。
(2019.08.16現在、オンラインストアでの取り扱いを確認できず)
LIGHTスリッポン(オススメ度★★★☆☆)
快適性◯ 通気性△ グリップ△ 使いやすさ◎ 携帯性◎ 耐久性△
今シーズン登場したときから、使えそうなにおいがプンプンしていたのですが、実際に使ってみてまさに予想通り、いや予想以上に使えたお手軽シューズ。初めに断っておくとこれは「歩くための」シューズではありません。耐久性も期待しない。あくまでもキャンプやテント泊登山などでのリラックスしたシーンに履くためのシューズとして最適。
すっぽり足を入れてみれば薄くて柔らかいアッパーとフカフカなソールが心地よく、長く履いていてもストレスが少ない。だから一日歩いたテント場で疲れた足を休めるにもいい。写真のようにかかとを踏んで履くことも想定されたつくりなので、脱ぎ履きも楽々。そしてアッパーが(ソールも)フニャフニャなので重ねるととてもコンパクトにまとまる。そう、いろいろな点でテント場であると便利だったビーチサンダルや、crocs的なサンダルよりも総じて使い勝手がよいのです。
グローブ・その他アクセサリ編
これまでで一番発掘が多かったジャンル。種類も、用途も多様でまさに玉石混淆で、お店を回ると毎回何かしらの発見があり、ある意味ワークマンの真骨頂といえるのではないかと。たくさんの面白グッズがある中で、ここではガチ登山で十分に使えるものに限って殿堂入りをピックアップしみました。
dri-comfort ボクサーパンツ(オススメ度★★★★★)
快適性◎ 通気性◯ 速乾性◎ フィット感◯ 肌触り◯
ひょっとするとアウトドア専門店で購入する場合との価格差が最も激しいのではないかと思っているのがアンダーウェア。いや確かに着心地よくて速乾性の高いホンモノもあるだろうが、一度そうじゃなかった経験してしまうと、下着1枚に5,000円もリスクかけられるかというハードル問題は本当にあります。
そんな意味で、ユニクロとほぼ変わらない価格でこの品質ならもう文句なく殿堂入り。綿混のしなやかな肌触りにもかかわらず、速乾性は高い。また大量の汗で濡れても通常の綿パンに比べれば明らかにドライ。ひとつ言わせてもらえるならば、少し股上が浅い作りは、ゆったりめが好きな自分からすると、好みが分かれるところかもしれないといったところか。
(2019.08.16現在、オンラインストアでの取り扱いを確認できず)
CUT MOIST GRIP(オススメ度★★★★★)
吸汗性◯ 速乾性◎ 通気性△ グリップ力◎ 耐久性◎
軍手やゴム手袋からバイク専用まで、多種多様なグローブを扱うワークマンでは、コストパフォーマンスに優れたグローブの宝庫でもあります。中でもField Coreブランドの指ぬきグローブは、しっかりとした手の甲の作りに加え、手のひらの補強クッションによるポールの握りやすさ、そして母指球部分に汗を拭うためのタオル素材など、春~秋シーズンのトレッキングにはピッタリの特徴を備え、専門店のモデルに勝るとも劣らない満足度。やや生地が厚く通気性には乏しいため真夏にはやや暑すぎるかもしれませんが、その完成度の高さと値段の安さに間違いなく重宝せずにはいられない逸品です。
CORDURA小物ケース(オススメ度★★★☆☆)
収納性◎ 防水性△ 取り付けのバリエーション◯ 耐久性◎
トレッキング中に手元に置きたいグッズといえば大体、スマホに地図に汗拭きタオル、笛やコンパス、行動食。それらをちょうどよく収納できて、バックパックやベルトに取り付け可能(工夫次第で肩掛けも)、そしてCORDURA素材で耐久性も十分。ただそれだけなのですが、それだけにもかかわらず割と高価なモデルが多い中で、(もちろん細かい作りに関しては言いたいこともありますが)いい線を突いてくるこのポーチは重宝します。ハイカー的にはペンホルダーは不要ですが、これに防水ポケットがついていたら最強です。
(2019.08.16現在、オンラインストアでの取り扱いを確認できず)
【番外編】SBラバー足カバー(オススメ度★★★★☆)
プロテクション◯ 保温性◎ 通気性◯ 速乾性◯ 耐久性◯
歩いていると、どうしても川を渡渉して、ひざ下くらいまで濡れないといけない時ってありますよね(ない)。そんな時に必要不可欠なウォーターゲイターの代わりになりそうなブツが、なんとワークマンにありました。これはカタログでもオンラインストアでも取り扱っておらず、実店舗で偶然発見したもの、即ゲットしてきました。
水の中をじゃぶじゃぶ行き、壁をせっせと攀じ登ることが多い沢登りではひざまでを保温・保護するために、ウェットスーツと同じネオプレーン製のゲイターを装着することが一般的。沢登りや釣り具専門店で買えば確かに物はいいけど結構な値段がするこのギアですが、ワークマンなら手ごろにそろえられる。こんな出会いが稀にあるからワークマン巡りはやめられない。サイズはS~LLまでありましたし、足首部分をベルクロで締められるため緩みにくくフィット感は上々です。
ただ、どういう用途を意識してか内部にはグリッド状の孔が開いているため、専用のモデルに比べれば保温性はしょうがないところ。それでも水が直接触れない分の保温効果は確かなので、沢登りに限らず、水遊び系のアウトドアではいいかもしれません。
(2019.08.16現在、オンラインストアでの取り扱いを確認できず)
まとめ
前の記事が約2年前と空いてしまったため、一気にこの4年間の総括をしてみました。あらためてこうまとめてみると、やはりというか、消耗系のウェア・アクセサリ・小物系が強し、です。特に個人的にはアンダーウェア・グローブは鉄板。よほどのお気に入りがない限りはこのままワークマンを使い続けてもいいとさえ思えます。
もちろんこれはあくまでもぼくのワークマンとの付き合い方なので、他の人は違うかもしれません。ギア選びでは百人百様のこだわりがあって当たり前。ワークマンみたいに専門店以外のお店で山に使える道具を発見するのも楽しい遊び。有名・人気のギアを使うのもいいですが、みなさんもぜひそんなお店にふらっと立ち寄ってみてはいかがでしょう。