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1000円を切るメッシュアンダーウェアのコスパがあまりに良すぎたので ~ATION Crater Mesh S/S Shirtレビュー~

ワークウェア業界から現れた新たな刺客が本気でヤバい

ひさびさの衝撃。この冬編集部に届いたとある一着が、自分史上かなりの激震をもたらしています。

その一着とは、富山県高岡市を拠点とするワークウェアブランド、カジメイクからこの春新登場のメッシュアンダーウェア(インナーTシャツ)ATION Crater Mesh S/S Shirt

ここでまず、ブランド名を聞いてピンときた人は自分を含めてほぼ間違いなくゼロでしょう。それもそのはず、カジメイクはこれまで主にレインウェアや作業服などのワークウェアを手がけていたメーカー。公式HPを見る限り、スポーツやアウトドア領域に本格的に参入しているようには見受けられません。不意に届けられた荷物の宛名を見て「?」となったことはいうまでもありません。

ただ、最近のワークウェア業界の無視できない進化について、このサイトではかなり早くから取り上げてきました。そんなワークウェア業界の勢いを知る自分だけに、実際のところ密かに期待していたことは確かです。

とはいえ、ですよ。これが試しに着てみたところ、ものの数分で予想をはるかに上回るヤバさに気づかされました。それはコスパという次元を超えた十分に”使える”快適さです。というわけで、早速この異次元のコスパを実現したATION Crater Mesh S/S Shirtをレビューしてみます。

大まかな特徴

レインウェアをはじめとした国内ワークウェアメーカー、カジメイクのスポーツウェアブランド「ATION(エイション)」から新登場の高機能・低価格メッシュアンダーウェア。特殊クレーター構造のメッシュが気温の高い時期や発汗時、素肌に生地を密着させず、ベタつき感を軽減。逆に外気温が低いときにはメッシュの凹み部分にできた肌と上着との間の断熱層によって、適度な保温力を発揮。一年を通じて快適なアクティビティをサポートします。軽量で緩やかにコンプレッションの効いた生地はフィット感抜群。驚異的な低価格によって日常からアウトドアまでオールシーズン手放せない次世代型アンダーウェアです。

おすすめポイント

気になったポイント

主なスペックと評価

スペック
項目 ATION クレーターメッシュ
生地 ポリエステル79%、ポリウレタン21%
サイズ M,L,LL
カラーバリエーション
  • ホワイト
  • ブラック
重量(実測) 90g(Lサイズ実測)
その他 ショートスリーブの他、ノースリーブタイプあり
評価
フィット感 ★★★★☆
快適性 ★★★☆☆
速乾性 ★★★★☆
汗冷えしにくさ ★★★★☆
保温性 ★★★☆☆
防臭性 ★★★☆☆
耐久性 ★★★★☆
価格 ★★★★★
総合 ★★★★★

詳細レビュー

緩やかなコンプレッションが効いた抜群のフィット感

このタイプの高機能アンダーウェアは、これ1枚のみで運動することを前提としているわけではありません。肌に直接触れるように着て、ベースレイヤーやランニングTシャツなどをこの上に着ることで、それらのシャツの「吸汗・速乾・調温」機能を最大化してくれます。もちろん、Yシャツ、ニット、カットソーといった日常着の下に着ても、これまでの綿シャツとは比べものにならないくらいの快適さをサポートしてくれます。

袖を通してまず感じるのは、キツ過ぎず、ルーズ過ぎずというジャストな着心地のよさです(アイキャッチ写真参照)。コンプレッションウェアは基本的に身体を締めつけてくるものなので、モデルによってはキツすぎて数十分しか着ていられなかったりします。このシャツも基本的にはコンプレッションタイプのアンダーウェアではありますが、とはいってもきついと感じるほどではなく、身体にピッタリフィットする程度の緩やかさです。

ポリウレタンと網目状の縫製による伸縮性・フィット感抜群の生地は着心地良好。

人によってはピッタリ(ゆったり)が好みのという人もいるかもしれません。その場合は自分のサイズより小さめ(大きめ)モデルを選ぶことで、コンプレッションの具合を調節することができます。着た感じでは、サイズによって袖や裾の丈が大きく変わってくるということはありませんでした。

クレーター構造のメッシュが夏の汗冷えと冬の寒気を両方とも軽減

気温の高い時期や激しく汗をかくような運動時には、吸汗性の高いポリエステル繊維が汗を素早く吸い上げ、外に発散する手助けをしてくれます。ここまでなら他のいわゆる「吸汗速乾」のスポーツTシャツと変わりません。

このシャツが気持ちいいのは、見た目にも分かる程度にハッキリと厚薄(凹凸)がついた特殊クレーター構造のメッシュ生地「クレーターメッシュ」によって、肌に直接触れる部分が少なくなり、綿Tシャツのように濡れた生地が肌にピタッと貼り付くといった不快感を軽減してくれる点です。このためいくら大量に汗をかいても、いわゆる「汗冷え」を防いで常に肌はベタつかずサラサラを保ってくれます。

意外と活躍してくれるのが冬です。一見、透け透けの下着は冬だと寒々しいのではないかと思われますが、これがじんわりといつもより温かい。もちろんこれ一枚のみで温かいのではなく、こちらの上に重ね着をしていることが前提です。これはクレーターメッシュの凹凸による適度な空間が冬には断熱層の役割を果たし、体温により温められた空気を肌面に留めてくれるため、寒気を防いでこれまた快適さを保ってくれるのです。

冬は冬でベースレイヤーの下に効果的な断熱層を作ってくれるためじんわりと保温性も高まる。

かくしてこの高機能インナーは1年を通じて適度な湿度と温度を保ってくれるので、一度着たら手放せない、第二の皮膚と言わんばかりにどハマりしてしまうわけです。

薄くて軽いにもかかわらず洗濯してもヘタりにくい

使い始めてからもう何十回も洗濯機で普通洗いしていますが、特に伸びたり擦り切れたりすることはありません。特に粗悪な素材を使っているわけではなさそうです。

ニオイは気にならない

メーカーで特に防臭効果を謳っているわけではありませんが、さまざまなスポーツで使用しても特にニオイが気になることはありませんでした。

驚くほどの低価格

実際のところアウトドアの世界では、この手の高機能メッシュアンダーウェアが近年特に注目されてきており、今シーズンあたりはさまざまなメーカーからの新作が目白押しです。このサイトでももちろんかなり前から気にしていました。それらが高機能なのは確かなようですが、どうしても価格がネックで、もっていても1~2枚が限度、あくまでも「本番」限定の特別な存在でした。

それらに迫る性能をもちながらこれだけの価格で手に入るとなると、もうこれはとっておきの存在ではありません。その気になれば5枚買って、毎日着ることだって簡単にできてしまうわけです。ワークマンだろうが、ユニクロだろうが、ここまでのコスパを実現できているモデルを筆者はまだ知りません。ほんと、ワークウェア業界恐るべしです。

ここが気になる

ここまでの高コスパにあれこれ言うのは野暮だと思いつつあえて気になる点を指摘させてもらうと、まず吸汗・速乾・汗冷えし難さといった各性能は、MAX性能で見たときには、アウトドア専門ブランドのメッシュアンダーウェアと互角とまでは決して言い切れないということです。ただ上で書いているとおり一般レベルの使用環境では十分快適に使えるため、どこまでもハイスペックを追求しない限りは、価格を考えても価値として十分満足するのではないでしょうか。

その他、日常着として使用する場合にはクルーネックは使いづらい。どうしてもシャツの下からこのメッシュ地が覗いてくるからです。自分は幸いにして普段はビジネスシャツを着ないでも仕事できる人間なのですが、襟付のシャツを着る機会もそこそこにあるので、ぜひともVネックタイプを追加して欲しい。さらにこのどうしても気になる網網した見た目をどうにかできれば、このシャツは文句なしに毎日使えるインナーといえます。

まとめ:山はもちろん、普段使いにも納得の”毎日着たい”インナー

試しで着れば着るほど、どんどん手放せないものになっていき、気がつけば山だけにとどまらず毎日着てしまってます。一生ものの一枚に巡り会って、それを大事に使うことも素晴らしいのはもちろんなのですが、一方で、ぼくたちの煩雑な毎日には、どうしても気兼ねなく毎日使い潰せる消耗品も同時に必要なわけで。そんな毎日にアウトドア・ウェアの快適さをプラスできるのがこの一枚ではなでしょうか。一度試してみれば、きっと山はもとより、スポーツに、仕事に、休日にと、毎日着たくなること必至です。

いずれにせよ、アウトドア以外のブランドで興味深い製品がどんどん生まれている状況はますます見逃せません。そこでこの高コスパインナーはどんな背景があってどうやって生まれたのか、カジメイク開発担当の方に直接お話を聞いてきました。次回はそれについて書きたいと思いますのでお楽しみに。

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