Outdoor Gearzine "アウトドアギアジン"

登山歴30年目にして初のキャラバンシューズ「C1_02S & C1_DL MID」レビュー:食わず嫌いをやめて試してみたらこれまで味わったことのない優しさに包まれた

「キャラバンシューズ」といえば、日本の登山文化の黎明期から長年にわたって多くの登山者を支えてきた草分け的存在として、あまりにも有名なトレッキングシューズ。

そんな定番シューズですが、実をいうとかれこれ30年以上登山と関わってきているにもかかわらずまだしっかりと履いて歩いたことはありませんでした。いやもちろん足を通したことはあるけれど、山をやりたての学生時代はお金が無くホームセンターの格安品でやり過ごしてしまったし、社会人になってからも何かと縁遠く、しっかり履き込むという意味では残念ながら未体験のままでした。

もちろんすれ違ってきたのに理由がなかったわけではありません。誤解を恐れずいうと、これまでキャラバンシューズに対しては「何となく昔の人が履くイメージ」や「足幅の広い人が履く(自分には合わない)」「デザインもどこかあか抜けない」等々(ひどい言い様だ)、密かにそんなイメージを抱いてしまっていたことは否定はできません。でもそんなイメージを持っているのは、正直僕だけではないのでは?

そんな自分に、ついにキャラバンシューズデビューの機会が訪れました。これまで多くの登山靴を履きつぶしてきた当サイトに対して、レビューのお誘い話が持ち上がったのです。自分のような先入観で敬遠してきた人にこそ履いてみてもらいたいとのこと。

これは渡りに船、ということで、今回はキャラバンシューズの最新モデル「C1_02S」と、それをベースに開発された軽量ハイキングブーツの最新モデル「C1_DL MID」をとことん履いてレビューをお届けすることになったというわけです。

「日本人のために作られた」という登山靴は、これまでよく履いてきた欧米のトレッキングシューズと比べて何が違うのか?そしてこれまで自分が図らずも抱いてきた「古臭い」といったイメージはホントのところどうなのか?早速この2種類の登山靴を正直にレビューしていきます。

キャラバン C1_02S / C1_DL MIDの主な特徴

キャラバン C1_02S、通称「キャラバンシューズ」はその昔、日本山岳会マナスル登頂隊がベースキャンプまでの長い道のりを歩くために開発された軽登山靴。1952年のプロトタイプ開発から端を発し、一度の中断を経た後に復活、現在まで進化を続ける、日本人にとって登山靴の代名詞ともいえるトレッキングシューズです。

日本人の足に合わせた立体的なラスト(木型)をベースに、ハーフインソールを同梱することで微妙なフィット感の調節も可能。長時間の歩行でも疲れにくいゆとりのある前足部や、ソフトで高いクッション性とかかとの動きやすさを兼ね備えたハイカットの足首周りなど、快適な履き心地と歩きやすさを徹底的に追求。ミッドソールには衝撃吸収性に優れるEVAフォームを搭載し、長時間歩行でも疲れにくいソフトな履き心地を提供。アウトソールには悪路でもグリップ力を発揮するオリジナルのキャラバントレックソールを採用し、濡れた岩やぬかるみなどの悪路でもスリップのリスクを軽減します。

一方 C1_DL MIDは、キャラバンシューズの快適さや歩行性能はそのままに、より軽快なアクティビティに対応するようにデザインされたミッドカットの軽量ハイキングシューズ。アッパーには十分なプロテクションを保ちながらより薄くて通気性の高いメッシュ素材を採用し、柔軟で軽やかな歩行フィーリングを提供します。

適度なクッション性を備えた薄型EVAフォームと足裏全体のねじれとブレを抑制する『3Dスタビリティーパーツ』を組み合わせるたミッドソールは、軽量ながら安定性と衝撃吸収性を両立。アウトソールも軽さとグリップ力を両立するオリジナルLITEソールを採用するなど、快適さと軽さのバランスが細部まで考慮されています。

いずれのモデルもGORE-TEXライナーによる防水透湿性能を備え、アウトドアに必要な耐候性とムレにくさにも優れていて、無雪期の日帰りハイキングや山小屋泊まり、クラシックな登山からアクティブなスピードハイキングまでさまざまなアウトドアに対応します。

C1_02S のお気に入り・気になるポイント

お気に入りポイント

気になったポイント

C1_DL MID のお気に入り・気になるポイント

お気に入りポイント

気になったポイント

主なスペックと評価

アイテム名 C1_02S C1_DL MID
重量 約590g(26.0㎝片足標準) 約420g(26.0cm片足標準)
カラー 100グレー, 125アッシュ, 262デザートサンド, 340アンバー, 670ネイビー, 941ブラックシルバー 100グレー, 190ブラック, 578カーキ
アッパー メッシュポリエステル/合成皮革(トゥガード/TPU補強) ポリエステルメッシュ/TPU(トゥ+ヒール発泡TPUシート補強)
防水ライナー ゴアテックス®メンブレン ゴアテックス®メンブレン
ミッドソール
  • EVAミッドソール(ライトフレームインソールボード)
  • インソールクッションシステム
  • 3Dスタビリティーパーツ
  • EVAミッドソール(エクストラライトフレームインソールボード)
アウトソール キャラバントレックソール キャラバンオリジナルLITEソール
インソール EVAインソール 高通気ヒールユニットインソール
レディースモデル ユニセックス(女性に合わせたモデル「C4_03」もあり) ユニセックス
ローカットモデル
参考価格(税込) ¥20,900 ¥18,920
Outdoor Gearzine評価
快適性 ★★★★★ ★★★★★
重量 ★★★☆☆ ★★★★☆
グリップ ★★★★☆ ★★★☆☆
プロテクション ★★★★★ ★★★★☆
クッション性 ★★★☆☆ ★★★☆☆
安定性(サポート) ★★★★★ ★★★☆☆
コストパフォーマンス ★★★★★ ★★★★☆
適したアクティビティ 無雪期、低山から高山の一般ルートで、日帰りから小屋泊まり程度の荷物を背負った登山 無雪期、平地から低山、岩場の少ない一般ルートで、日帰りから軽量な荷物での泊まりなどアクティブなハイキング

詳細レビュー

はじめに:「幅広(といわれている)シューズは自分には合わない」と決めつけてはいけない

自分が長らくこのシューズを敬遠してきた最も大きな理由のひとつに「自分の足に幅広のシューズは合わない」という先入観でした。キャラバンシューズは「3E」という足幅をわざわざ表示していたりして、狭~普通の足幅の人にとっては関係ないという気がしていたのです。

それはお店で試し履きしたときに、一般的に狭いといわれていたブランドが普通に合っていた(と思っていた)し、逆に幅広といわれるシューズを履いた時にはいつものサイズが緩く感じた、といった素朴な経験に基づいていました。

だから今回もレビューするにあたって「そもそもキャラバンシューズは自分には合わない形なのではないか?そんな自分では正しくレビューできないのではないか?」といった懸念がどうしてもぬぐえませんでした。

ただ、これには実は大きな落とし穴があって、その時フィットしたシューズが「本当に狭いサイズのシューズだったかどうか」を確かめたわけではないし、また幅広とされているシューズが幅広に感じた時も、それが「正しくフィッティングした結果広かったのか」、さらには「合わなかった原因が足囲の広い狭いの問題だけだったか?」ということを確かめたわけではなく、あくまでも主観的な印象と推測に基づいているに過ぎないわけで、。

ということで、この機会にあらためて自分の足の正確なサイズを測ってみようと思い、ちょうどスーパースポーツゼビオで実施している「FEET AXIS(足型測定サービス)powered by SafeSize」を利用してみました。

このサービスは専用の計測器に乗るだけで、足型を立体的に測定し、左右の正確な足長・足幅・甲高さ・土踏まずのタイプを平均との差異も含めて、何と無料で(アプリへの登録は必要)計測できるという最新の足型測定サービス。計測後、1時間もしないうちに結果が出てきました。すると驚きの結果が。

思い込みは怖い。精密な計測器で足のサイズを測ってみたら、思っていたよりも足幅は広く、甲の高さは高い。左右の足のサイズも大きく異なっていた。

何と自分の足は計測によると全体的に幅広・甲高だっただけでなく、左足が特に幅広だったというのです。おまけに左足の足長が右足に比べて1cm近く短い(これ以前から薄々気づいていましたが…)し、足幅と甲の高さまでガタガタだったとは…。

いずれにせよ、この結果から自分の足型は中~幅広(甲高)であることがまず間違いなさそうであり、キャラバンシューズを履いても何の問題もない足だということは分かりました。

もっと言うと、この結果は「自分の足型が広いとか狭いとかは自分勝手に判断できるものではない」ということもいえるのではないでしょうか。人間の足は足長・足囲・甲の高さ・土踏まずの高さ・つま先のフォルム、それだけでなくさらに多くの微妙な形の違いがあり、足幅だけで靴の「合う・合わない」は決められるものではありません。自分のように左右で合う合わないが違う可能性だって十分ある。つまりどのようなシューズも、食わず嫌いせずに、実際に合わせてみることが重要なのだ。

フィット感と快適性:まさかここまでとは… 格別な履き心地の良さに、足が優しさで満たされた

当たり前だけど、サイズは実際に履いてみて合わせてみることをおすすめ

さてようやく本題。まずは足を入れてみた直後の印象ですが、これまでの海外ブランドのシューズとサイズ感のイメージが違うことに気が付きました。

これまでよく履いていた欧米のブランドでは、自分は「US9」つまり27.0センチ程度のサイズでしたが、それだとやや大きく感じました。そこで26.5センチを合わせてみたところ、こちらの方がこれまで履いていたようなサイズ感でしっくりきます。何も考えずに同じサイズを選んでいたら「やっぱり広い!大きい!」となっていたかもしれない。もちろん人によってはこうした調整は必要ないかもしれませんが、これから履いてみる人はひとつの例として頭の片隅に入れておくといいでしょう。

締めつけ感が皆無。足全体に優しく寄り添う快適な履き心地

キャラバンシューズは一般的に「初心者に優しい」シューズとよく言われているようですが、履いてみるまでは正直なぜそういう感想が多いのか想像ができませんでした。

ところが足を入れてみて、それをすぐに実感できました。いろんな意味でとにかく「優しい」。

いわゆる厚い革製の重登山靴はもちろんのこと、従来の登山靴でもどうしても履き始めは生地が馴染んでいないため「靴に足を合わせる」といった感覚がなくはないものですが、キャラバンシューズはそういった感覚とは真逆の印象。C1_02S / C1_DL MID どちらのモデルも靴の中で部分的に不自然に圧迫されたり締めつけたりする感覚が皆無で、足の曲線に合わせてアッパーが均等に足を包んでくれ、まるで靴が足に合わせてくれるかのような感覚です。

日本人の足を想定し、登山経験者のみならず初めて登山靴に足を入れる入門者でも違和感ないようにデザインされたオリジナルのラスト形状。

トゥボックスも広さにゆとりがあって窮屈感なし。母趾球や小趾球側面が当たることもなく、足指が動かせる程度の適度なフィット感を保っています。ただ、だからといってユルユルで靴の中で足が動くという感じでは決してなく、必要な部分で適度にホールド感を高めています。シューレースを耐久性のある丸紐ではなく締めつけやすい平紐にしてあるのは、そうしたホールド感を意図してのことでしょう。ちなみにアイレットはC1_02Sが合金製で壊れにくい作り、C1_DL MIDはファブリックで軽さを重視した作りです。

耐久性のある合金製のシューレースホールやフックはスムーズな締め具合と固定力を提供。

キャラバンシューズのラスト(木型)が「日本人の足に合いやすい形を追求している」といったことは、話では聞いてはいましたが、実際に履いてみてその意味がようやく実感できました。これほど馴染むものなのか。

ハーフインソールで個別にフィット感の微調節が可能。左右のサイズが異なる自分にはとってもありがたい!

どれだけ自分にフィットするシューズがあったとしても、寸分たがわずピッタリの合うというところまではなかなか難しいもの。ましてや自分のように左右のサイズ差が小さくない場合には、完全オーダーメードでない限りそもそも不可能です。

そんな自分にとって特にありがたかったのは同梱されている「ハーフインソール」でした。

インソールには通常のフルレングスに加えて、より微妙なサイズ調節も可能にするハーフインソールを同梱。左右個別にサイズ調節した筆者のような足にはありがたい。

これは前足部からつま先にかけての前半分だけの薄いインソールで、これを挿入することで前足部の空間を埋め、左右の個別で微妙なフィッティングを可能にしてくれます。

ハーフインソールを挿入したところ。この上にインソールをセットする。

自分の場合、足の長さが短い左足の方にこのハーフインソールを入れたところ、左右のフィット感がよりバランス良くなった気がします。この辺は人によっても感覚が違うため何が正解かは分かりにくいところですが、いずれにせよ自分で細かく調節できることでより幅広い足に合わせることができることは間違いないといえます。

ソフトで優しい裏地の肌当たりの良さ(C1_DL MID)

C1_DL MIDのアッパーにはソフトで薄手軽量、通気性に優れたメッシュ生地を採用。軽量ながら十分な耐久性を備えたTPUの補強で山道も安心。

特にC1_DL MIDの肌当たりは印象的で、これまでにないほどの癒しを感じました。C1_02Sと同じ日本人に適したラストを採用しているので足入れのフィット感の良さは相変わらずですが、こちらはアッパーの生地がよりソフトで伸縮性があり、裏地の表面も当たりが柔らかいためフワフワとした感触が何とも心地よい。シューズ全体もフレキシブルで足の動きに柔軟に追従し、どこまでも快適な履き心地を提供してくれます。

贅沢な足首周りのパッド(C1_02S)

履き口まわりには潤沢なクッションが内蔵されたパッドが配置され、快適な履き心地を提供。

C1_02Sの方では、足首周りの作りが特にお気に入り。柔らかさとクッョン性に富んだ贅沢なパッドが足首周りとシュータン部分に配置されているため、歩行時の擦れや圧迫感が非常に少なく、ハイキング中に不快感を感じることがまったくと言っていいほどありませんでした。シュータンも高めで、外から小石や木屑などが入り込みにくいのも安心です。

C1_DL MIDで足首周りのルーズさが若干気になることも

だからこそ、逆にC1_DL MIDのヒールカップから足首周りのルーズさが少し余計に気になってしまいました。足首の可動性が高いということ自体は悪くないのですが、ホールド感と安定感に物足りなさを感じるほど緩いのは無視できません。

このため思い切ってインソールをサードパーティ製のヒールのホールド力が高いものに替えてみたところ、すこぶる良好な履き心地に調整できましたので、このストレス自体は自分なりにカスタマイズすることである程度解消可能です。ただこの点はミッドカットモデルに限った話なので、ローカットモデルについては未確認です。

C1_DL MIDの足首周りには通気性と軽量性を備えたパッドが配置され、激しい行動時でも快適。ややヒールのホールド力が乏しいのが玉に瑕。

歩きやすさとパフォーマンス:悪路に強いC1_02S、推進力に優れたC1_DL MIDと個性がはっきり

平地での快適さは十分に感じられたところで、次に4月から5月にかけて、近くの低山や、残雪の残る中・高山を日帰り荷物で実際に歩いてみました。

歩行安定性と悪路のグリップを兼ね備えたアウトソールが通常の登山道はもちろん、ちょっとした岩場であっても安心して足を置くことができた。

保護性と安定感、歩きやすさのバランスが秀逸なC1_02S

C1_02Sは元々ヒマラヤ登山のアプローチ用として設計されたという経緯もあって、前提として高山でも安心の保護性と安定感を備えた作りになっています。それを裏付けるようにブーツの外周には厚手の樹脂やレザー補強がしっかりと張り巡らされ、鋭い岩角や木の枝から足を守ってくれ、靴自体も損傷の心配はまったくありませんでした。

靴の剛性、つま先や外周の補強の強度ともに十分なC1_02S。

この重厚なプロテクションにも関わらず、そこからは想像できないほどの歩きやすさに、またも「優しさ」を感じずにはいられませんでした。

中程度の厚みを持ったEVAミッドソールが路面の凸凹を吸収し、靴裏への突き上げを防いでフラットで安定したステップを可能に。着地の衝撃もしっかりと吸収し、不整地での快適な歩行をサポートしてくれるのが分かります。また着地から踏み込みまでも、頑丈なハイカットのブーツとは思えないくらいスムーズ、つま先もさしたる抵抗なく柔軟に屈曲してくれます。

そこには足首の後ろ部分を少し低めにカットするという細かなデザインの工夫が効いています。これによって両サイドのサポート力を保ちながら歩行時の柔軟性を両立することが可能なわけです。見た目から想像するような、昔の登山靴にありがちな硬さやぎこちなさがなく、思った以上に軽快でスムーズな歩行が可能でした。

足首の後ろ部分がカットされた履き口のデザイン。

足首後ろがカットされていることで歩行時に足が前に出たときの抵抗感がなくなり、スムーズな体重移動が可能に。

C1_02Sはハイカットにもかかわらず、足首後ろの高さで比べればミッドカットのC1_DL MIDとあまり変わらない。

ちなみに前足部のアッパーは全面レザーではなく部分的にメッシュになっているため、ここが歩きやすさと同時に通気性の向上にも貢献しています。

タフな地形や悪路でも心配無用。傷・汚れにはめっぽう強い。

ただそうした堅牢性・快適さとのトレードオフとして、靴自体の(日帰りの登山靴にしては)若干の重さが気にならないかといったら嘘になります。一歩一歩確実なステップを意識しているときには気になりませんが、素早く移動しようとすればするほど、どうしてもこの重さが無視できなくなってくるのは致し方ないことです。

軽くて柔らかい、なのに安定感があるC1_DL MID

一方C1_DL MIDの方は、C1_02Sと違ってスピーディな歩きやすさにフォーカスした構造によって、登山靴というよりもスニーカーのような感覚がはっきりと感じられます。薄くて柔軟なアッパーは素早く繊細な動きにも反応よく、ポリエステルメッシュ素材によって通気性にも優れています。

通気性抜群のメッシュ状アッパー生地が、靴の中の蒸れを解消しやすくしてくれる。

つま先をグッと曲げてもC1_DL MIDはスムーズで抵抗感が少なく、強い踏み込みからの素早い行動がストレスなく行えました。とはいえC1_02Sも曲げようと思えばほぼ同じくらい屈曲し、先述したつま先のメッシュ生地などのおかげで登山靴にしてはかなり柔軟な部類といえます。

前に踏み込んだ時の屈曲しやすさはC1_DL MIDの方が上だが、C1_02Sも極端に硬いという分けではない。

ミッドソールは軽さとクッション性を両立した薄型のEVAフォームを採用し、それに硬質の3Dスタビリティパーツを重ねることで、これが過度なねじれを抑制し、着地に安定感をもたらしてくれます。この組み合わせによって軽くて薄いソールのシューズにも関わらず、勢いよく走ってみても安定した着地と踏み出しができるほどに高い衝撃吸収性と安定性が感じられました。

足場が悪いトレイルでも、繊細な着地と踏み込みに対応してくれるフレキシブルな歩き心地のC1_DL MID。

C1_02Sがゆっくりとしたスピードで悪路も確実に踏みしめるのに適しているとすれば、C1_DL MIDは比較的マイルドなトレイルを横に早く進むときの推進力に優れているというイメージ。

とはいえ、必要な箇所には発泡TPUシートによる補強が施されているため、荒れた路面でもダメージの心配は感じませんでした。

必要最低限の箇所に配置された軽量な発泡TPUシートによる補強。

アウトソールは極端な悪路でも万全の滑りにくさが印象的なC1_02S、軽量ながら推進力とグリップ力のバランスが光るC1_DL MID

テストはちょうど雪解けの季節。残雪の上を歩くところもあれば、所々で深い泥濘の様相を呈しているタフな(テストとしては好都合の)トレイルもありました。全体的にかなり滑りやすいトレイルでしたが、どちらのモデルもさすが日本の登山道を知り尽くしているといえる安心感を見せていたといえます。

雪解け水によって深い泥濘だらけになったトレイルや、岩と土のミックスしたトレイル、残雪に覆われたトレイルなど、春先特有の多様な悪路を歩いてみた。

C1_02Sは適度に粘り強さをもったコンパウンドに、深くて広い溝をもったラグパターン。泥濘でも泥抜けよく常にブレーキがききつつ、安定したグリップ力を提供してくれました。

このアウトソールは2008年に発売された初期モデル『C1』シリーズから採用された「キャラバントレックソール」。同社にそれまであった山岳向けのデザインと平地向けを意識したデザインそれぞれのいいところをミックスし、キャラバントレックソールとして新たに生み出されたといいます。キャラバンシューズの ” 歩きやすさ ” と ” 安定感 ” を高いレベルで実現するにはオリジナルで作るしかないと、ラストに合わせてアウトソールもこのシューズのために独自で開発されました。

このオリジナルアウトソールの開発について突っ込んで聞いてみたところ、テクニカルな山岳向けよりも地面との接地面積が多くなるように、また平地向けよりもタフな地形に対応できるように細部までバランスが計算されたといいます。そうして完成した複雑なラグパターンは、実際、土と砂利交じりの登山道をはじめ本格的な岩稜帯を除く不整地や悪路において全方位でのグリップ力と安定感が感じられました。

 

一方でC1_DL MIDは前への推進力とブレーキ、そして全方向へのグリップを意識しつつ、極限まで軽くすることをどうクリアするかにフォーカスされている印象。浅めのラグということもあってか悪路に特に強いとまでは感じませんでしたが、反面どのような地形でも歩き(走り)やすく止まりやすいといった汎用性の高さは逆に印象に残りました。

より荒れた登山道にも対応するより深いラグのC1_02Sと、フラットな路面でより歩行安定性を高めたC1_DL MID。

またどちらのブーツも防水性能に関しては信頼のGORE-TEXライナーとシュータン・アッパーが一体になったガセットタン仕様のアッパー(下写真)によって、水たまりがあっても無理せず歩けるだけでなく、砂利や小石の侵入も防いでくれます。

くるぶしの上くらいの高さまでカバーするGORE-TEXライナーと、シュータン一体型構造によって防水性も十分。

まとめ:歩行時のあらゆるストレスやダメージを遠ざけ、万人を受け入れる懐の深さをもったパートナー

テストを通じてなるほどキャラバンシューズがロングセラーとして長く受け入れられているのには、確かな理由があったということにあらためて気づかされました。

確かなフィット感とゆとりのバランスが絶妙な足型と細かな調節可能性を組み合わせた優しい履き心地は、幅広い層に対して登山の歩行時に起こるさまざまな不快やストレスから遠ざけてくれます。

実際に履くまでは登山初心者向けと聞いて、正直甘く見ていた自分がいましたが、それは完全に間違いでした。キャラバンシューズをしっかりとフィッティングして正しいサイズで履ければ、誰もがどこまでもストレスとは無縁の快適な履き心地を体感することができるはずです。

さらに今回は定番のC1_02Sの実力の高さだけでなく、新たに加わったラインナップのC1_DL MIDも、キャラバンシューズ由来の快適な履き心地にスピードへの対応力を加え、新しいハイカーにとっても十分魅力的な一足であることも分かりました。

キャラバンシューズと聞いて食わず嫌いしてきた人にこそ一度試してみて欲しい。きっとぼくと同じように目から鱗が落ちる経験をするはずです。

キャラバン C1_02S / C1_DL MIDの詳細と購入について

製品の詳細についてはそれぞれの公式通販サイトもあわせてご確認ください。

モバイルバージョンを終了