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Review:MILLET ブリーザー トイ フーディ 秋冬行動着の決定打といっていい。超撥水機能が加わったアクティブインサレーションジャケット

ここ数年、patagoniaのナノエア、The North Faceのベントリックス、アークテリクスのアトムだったりと、行動中に着ていられる保温着ジャケットは有名メーカ然り、各メーカーから続々と発売され、今ではアクティブインサレーションというジャンルとしてすっかり定着しています。

アクティブインサレーションは、基本的には中綿の封入された保温・防寒着ですが、同時に通気性と高いストレッチ性を兼ね備えているため、秋冬のトレイルランニング、アイスクライミング、バックカントリーなどの発汗の激しいアクティビティ中でも、保温性を保ちながら快適に着続けることができるジャケットです。しかし元来あくまでもミドルレイヤーという位置づけから、雨などには弱く、ハードシェル等で濡れから守らなければなりませんでした。

今回レビューしたMILLETブリーザー トイ フーディはそんなこれまでのアクティブインサレーションの常識を覆し、アウター的な使い方でも十分有効な画期的モデル。さっそく、実際に着用してみたレビューをどうぞ。

MILLET ブリーザー トイ フーディの大まかな特徴

ブリーザー トイ フーディは保温力を備えた防寒ジャケットとしての機能に、動きやすさを実現するストレッチ性、汗を外へ逃がす通気性、風を防ぐ防風性、雨をはじく撥水性能を追加した、秋冬行動着として抜群の使い勝手を実現した、次世代型アクティブインサレーションジャケット。表生地にはミレーが独自に開発した、通気性・撥水性能をトレードオフなしに兼ね備えたストレッチ素材BREATHER(ブリーザ)を採用。さらに中綿には保温・通気・ストレッチ性を兼ね備えた高機能断熱素材3DeFX+®を採用しています。平時にはアウターとして十分使える、寒い時期に運動量の多いアクティビティに使い勝手抜群の万能インサレーションジャケットです。

おすすめポイント

気になったポイント

主なスペックと評価

項目 スペック・評価
公式重量 370g
実測重量 382g(EU Mサイズ実測)
素材
  • BREATHER ST SDWR ナイロン100%
  • 3DeFX+® 60・40
ポケット
  • 左胸ジップポケット
  • 左右ジップポケット(ハンドウォーマー仕様)
快適性 ★★★★☆
保温性 ★★★★☆(防風性を考慮すると★★★☆☆)
ムレにくさ ★★★★★
機動性 ★★★★★
機能性 ★★★☆☆
総合評価 ★★★★☆

アイテム外観

詳細レビュー

呼吸して撥水もするジャケット

ブリーザージャケットのキャッチコピーである呼吸する撥水ジャケット。これはミレーの最新技術により実現しました。

メーカーによると、一般的に持続力が高いといわれているシリコン由来の撥水加工を、生地表面を覆ってしまうことなく、つまり通気性を損なうことなく、強力かつ持続性の高い撥水性能を確保したジャケットだとか。細かい仕組みは企業秘密ですが、生地表面でなく糸一本一本に撥水加工を施し、その糸を編み上げた生地がブリーザ(BREATHER)です。

下の写真が多めの水をこぼした状態。糸一本一本がしっかりと撥水しているためか、撥水性能はちょっと試しただけでも強力なことは分かります。しかも洗濯などにも強く、長持ち。

撥水性能は強力で持続力も長い。ファスナーは止水仕様ではないので平置きだと滲みてきますが、通常使用では問題なしです。

フード・袖・裾などのフィット感と着心地

フィットはスリムフィットですが、やや筋肉質の僕でも特にキツく感じることはなく、すっきりしたフィット感です。腕の内側から脇、体幹側面にかけて色違いの生地ですが、素材自体に違いはなく単なるデザインのようです。

中綿が入っているのでやや嵩はありますが、その割にはスッとした印象。

生地にストレッチ性があるから。というのもありますが、特に肩周りは立体裁断のおかげで生地のストレッチ性に頼ることなくフィットしてくれます。

肩周りは立体裁断により無理なくフィットし、機動性も良好。

内側は全面メッシュ生地となっていて、透湿性を損なわせず、肌触りもソフトで快適。

袖口、裾はゴムシャーリング仕様で、冷風などの侵入を防いでくれます。袖は長くもなく短くもなく、ちょうどよい長さ。

袖口はゴムシャーリング仕様で、冷風の侵入をカット。左袖口には3DeFx+®のロゴが入ります。

フードはゴムシャーリング仕様で、ドローコードなどでの調整機能はありません。しかし、首回りの嵩は高めで、ファスナーを上まで閉めれば、口元を隠せるバラクバのようにもなります。フード全体がゴムなのと、生地自体もストレッチが効くので、ジッパーを一番上まで閉めた状態でも着脱に問題ありません。

襟の量は高く、口を覆うことができるので、バラクバがわりにとしても活躍します。

正面のフロントジッパーは、上下両方から開くので、体内に篭った熱を素早く放出させることができます。

フロントジッパーは、上下から開けられるので、体内に熱が篭りすぎた時は、素早く調整可能。

ポケットは胸ポケット×1、左右ポケット×2の合計3つ。胸ポケットのファスナーには、夜間の認識性を高められるように、小さめですが反射板がついています。

夜間の認識度を高めるため、反射板がポケットファスナー上部についています。相手からも、自分でポケットを見つけるのにも役立ちます。

腰のポケット内には起毛素材が配置されていて、ハンドウォーマーになります。起毛素材は風を受けても影響を受けないように、外側に配置しています。

両腰のポケット内部には、起毛素材が使用されていて、ハンドウォーマーになります。

実際使ってみたインプレッション

生地も伸びる、中綿も伸びる。すべて4方向にストレッチが効いているので機動性は抜群、アクティブインサレーションのジャンルでは機動性は非常に高く、動きに対する引っ掛かりやストレスはほぼ皆無です。このジャケットを着たままストレッチなどのウォーミングアップをしても、決して気になることはなさそうです。それくらいストレッチ性があり機動性は高いです。天候の変化による衣類の着脱も減り、ストレスなくアクティビティに集中できます。

高いストレッチ性のおかげで、機動性は抜群。どんな動きでもストレスゼロ!

中綿には、TORAYの3DeFX+Rを採用。3DeFX+Rは保温性はもちろんのこと、コイル状の極細糸で構成されているため、中綿自体にストレッチ性があり、繊維も密でないため通気性も確保されています。

中綿のTORAY 3DeFX+®は、もちろん低温下で止まっていてもホカホカと暖かくなるような保温力抜群という種類のものではありません。その特性を考慮したとして、中綿量は厚すぎず、薄すぎずのボリューム。肌寒い程度の時には十分な保温力、震える寒さのなかでは動きのなかで体を冷やさない程度の保温力を発揮してくれます。通気性もあるため、汗だらだらになることはありません。特にフロントファスナーは下からも開けられるので、例えばペースアップした場面では、下からファスナーを開けておけばよい具合に換気してくれます。止まっても、適度な保温力が冷えを抑えてくれるでしょう。ただし通気性を確保したうえでの防風性なので、ずっと風に当たるたるような状況で動かずいれば少しずつ冷えてきてしまいますので、そこはさすがに気をつけましょう。いずれにせよ、冬は暖かめのベースレイヤーを下に着ておけば、よほどの寒さや標高の高い山地に行かない限りこれだけの装備で十分こなせそうです。

撥水性は非常に高く、僕がこれまで着たことのある撥水性ジャケットのなかトップレベル。水をバシバシ弾くのは当たり前として、それが長時間持続し続けてくれます!これには最初は、防水なんじゃないのか?と疑うほど。さすがに雨の勢いが強いと徐々に滲みてはくるのですが、ある程度の雨ならなんの心配もいりません。これまでのアクティブインサレーションは、ミッドレイヤーとしての役割が高く、ある程度撥水性能はあっても、悪天時は上にレインジャケットを羽織ることを前提としていました。しかしこのブリーザー トイ フーディは、そんな前提を覆してくれるほどの性能を持ち合わせています。

フードにも中綿が封入されているので、完全にかぶって仕舞えば本体のようにしっかりと頭全体を温めてくれます。フードはややゆとりのある大きさで、ツバのついたキャップを逆に被っていてもすっぽり覆ってくれます。ヘルメットは上から被るタイプです。ゆとりこそありますが、ゴムシャーリングがついているのでドローコードなどで調整せずともフィット感は良好。風で煽られてもバタつくことはありません。

キャップのツバを後ろに向け被っても、フードはすっぽり被れますが、それはストレッチ性のおかげ。フィット感は良好です。

今回レビューしたカラーはオレンジ。確かに山中で使うには目立って安全面ではよいかもしれませんが、デザイン面ではもう少し色合い的に洗練されてもいいか(他カラーのBLACKとHONEY MUSTARDは本格以外のシーンでも使えそうではありますが……)。他にはファスナーを開くと右側にMILLETのロゴがこれでもか!というくらいアピールしてくるのも好き嫌いが分かれるところか。もう一つ、袖口がサムホール式であれば、より冬場のアクティブ系ウェアとして完成度が増したかな?という気がしています。これも好みが別れそうですが。

フロントジッパーに沿って、怒涛のミレーマークが….

まとめ:保温だけじゃない!三拍子おまけにもうひとつ揃ったインサレーション

これまでにレビューしてきたアクティブインサレーションの中にも、とても良いモノはありました。確かに今回紹介したブリーザー トイ フーディもミッドレイヤーとして使用するのであれば、とてもよいジャケットというくらいの評価で終わってしまうところです。

しかしこのジャケットの良さは、これまでレイヤーを重ねる必要があった機能性をまとめて備えてしまうという多機能性にあります。ハードなアクティブティに対して確かな保温性、そして通気性を備えていて、それらの動きを妨げないストレッチ性もある。そして気候の変化には、ウィンドシェル・レインシェルなしでも問題なく対応できる。これらが、これまでのアクティブインサレーションにはない、新たな一面を加えてくれた、とても頼もしいマルチ・ファンクショナル・インサレーションです。もちろん幅広い機能性を備えているとはいえ、すべての役割を完璧に備えているわけではありません。行程によっては、それに即した万全な装備を準備する必要はありますが、ある程度の難易度・長さのルートまでであれば、秋〜冬〜春まで便利に使えることは間違いありません!

ちなみにブリーザーシリーズには、保温力とスタイルによって「中綿なしのウィンドシェルブリーザー ライト ジャケット」「中綿量が倍以上封入されたブリーザー ウォーム ジャケット」がラインナップされています。自分の目的やアクティビティに合わせてジャケットを選べば、今年の冬は服を選ぶストレスからも解放され、いっそう快適に楽しめるのではないでしょうか。

今回紹介した「MILLET ティフォン 50000 ウォーム ストレッチ ジャケット」の詳細はMILLETの公式HPから。

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