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Review:MILLET ティフォン 50000 ウォーム ストレッチ ジャケット 防水・高透湿・伸縮・保温でもって着心地好し。これ以上何を望みますか?

ハードシェルやレインウェアといったアウトドア用の防水透湿ジャケットは、今や「高透湿・ストレッチ」のオンパレード。とにかく汗抜けのよさと動きやすさをウリにした新モデルをどのメーカーも競い合っている、それが最近のトレンドといえそうです。

ミレーはそんな「高透湿・ストレッチ」なハードシェルを、実に4年くらい前から独自に開発していました。それがこの「テイフォン50000」シリーズ。その高性能・高バランスは当時度肝を抜かれましたが、細かなアップデートが加わったとはいえ、数年たった今でも基本性能で変わっておらず、それでもトップレベルの品質の高さを有しているのだから驚きです。今や定番化した「網シャツ」ことドライナミック™メッシュなどのメッシュアンダーウェアもそうでしたが、相変わらずマーケットを先んじた独自の視点には感心されます。

そのティフォン50000シリーズは順調にラインナップが拡大し、今シーズンにはなんと膝上丈のコートタイプ、中綿にダウンを封入したダウンジャケットタイプとおもしろそうなバリエーションがたくさん登場しています。そこで今回はそのティフォン50000シリーズの秋冬バージョンであるティフォン 50000 ウォーム ストレッチ ジャケットを取り上げてみます。

MILLET ティフォン 50000 ウォーム ストレッチ ジャケットの主な特徴

高い防水透湿性と快適な着心地、動きやすさを兼ね備えたオールシーズン着用可能なハードシェル・レインウェア。耐水圧(20,000mm)と透湿性50,000g/m2/24hというトップレベルの耐候性・快適性を備えた生地は、どんな天候でも衣服内を常に快適に保ちます。柔らかでストレッチのきいた生地、そして立体的な裁断によって心地よい着用感とストレスのない動きやすさを実現。裏地には起毛素材を配置したことで適度な保温性を有し、秋冬の登山やスキーといった低温下でのアウトドアアクティビティに最適なアウタージャケットとなるはず。

おすすめポイント

  • 十分な防水性とトップレベルの透湿性
  • 柔らかでストレスのない着心地
  • 適度な保温性
  • パッカブル

気になるポイント

  • 発汗の激しいアクティビティには起毛裏地がかえって邪魔になる
  • 本格的なスノーアクティビティにはもっと適したモデルがある

主なスペックと評価

スペック
アイテム名ティフォン 50000 ウォーム ストレッチ ジャケット
公式重量520g
実測重量460g(JP Lサイズ)
素材DRYEDGE™ TYPHON 50000 BRUSHED BACK ナイロン100%
耐水圧20,000mm
透湿性50,000g/m2/24h
ポケットハンドポケット×2、チェストインナーポケット×1
フード上・後・前部で調整可能な密着式立体裁断フード
評価
防水性★★★★☆
透湿性★★★★★
快適性★★★★★
機動性★★★★☆
耐久性★★★★☆
重量★★★☆☆
機能性★★★☆☆

アイテム外観

詳細レビュー

アウターに求めるすべてが備わるハイスペック素材「DRYEDGE™ TYPHON 50000」

ティフォン 50000 ウォーム ストレッチ ジャケット(以下ティフォンウォーム)に採用された素材は、DRYEDGE™ TYPHON 50000という3レイヤーの独自素材。今でこそ、アウトドアでは汗による湿気をガンガン排出してくれる抜っけ抜けの高透湿(あるいは高通気)レインウェア・ハードシェルは当たり前になりつつありますが、この素材は4~5年前から登場しているにもかかわらず、現在でもトップクラスの透湿性の高さを突っ走っている、優秀な生地なのです。しかも防水性についても耐水圧が20,000mmあるため、トレランや短時間のアクティビティにとどまらず、本格登山向けとしても十分頼りになる性能を備えています。

優れたスペックの生地「ドライエッジ ティフォン50000」。表生地は雪上での使用も意識してか、うっすらと起毛しており音も静かで撥水性もまずまず。

柔らかでストレスのない着心地、適度な保温性

ゴワゴワと鎧のような冬用ハードシェルの常識は、今や過去のこと。袖を通せばハードシェルとは思えない柔らかな肌触りと着心地の良さを誰もが実感するでしょう。重量はJPLサイズの実測で460gと、オールシーズン向けのハードシェルとしてはまずまずの軽さであることも原因の一つだとは思いますが、気の利いた立体裁断、さらにはメカニカルストレッチ・ナイロンの適度な伸縮によって、上半身の回転や腕振りに対してストレスを感じにくい作りになっていることも大きく影響しているでしょう。GORE-TEXやPertex Shield、Polartec Neoshellといった、様々なメーカーに採用されている生地ばかりが目に入りがちですが、この素材の実力はもっと知られていいと思います。

腕部分を思いきり引っ張ってみたところ、ポリウレタンのような素材を使っていないにもかかわらず思った以上に伸びる。

秋冬メインのハードシェルという位置づけであるため、裏地には起毛した生地を合わせ、これ1枚だけでもある程度の保温性をもつようになっています。ここに関しては判断が分かれるところ。シェル自体に保温性をもたせるということは、低温下でそれほど活動量が多くなければレイヤリングを助けてくれますが、低温下でも発汗の激しいアクティビティであれば、暑いシェルは脱ぎたくなります。今回のティフォンウォームはそういう意味で、一般的なスキーやスノーハイキングならばそれほど気になることはないと思いますが、冬のハイテンポなアクティビティに着ていくならば注意が必要です。

シームテープでしっかりと防水された裏地は起毛生地によってある程度の保温性も確保。

細部に気の利いた高い機能性

さすがは長年本格ハードシェルを作り続けてきただけある老舗ブランドの代表モデルだけあって、細部へのバランス感覚は見事。例えば収納袋などの余分なパーツを省きつつ、フードにくるめてコードロックを引っかければ収納できるパッカブル仕様は、このシリーズ昔からの便利機能。

クルクルと丸めてフードにIN。コードロックを引っかければ25cmほどの円筒形に収納可能。

内ポケットは左胸の裏地に。スマホや昭文社の登山地図が入る大きさ。

内ポケットはスマホや地図は入るが、スキーグローブは難しそう。

フロントジッパーは耐久性と防水性、凍結に強い滑らかなビスロンジッパーでウィンターシーズンでも安心。ダブルジッパー仕様のため、上下から解放することができます。下からジッパーを開放することよってウェアのバタつきを抑えながら換気したり、腿を上げやすくしたりと、自分なりの着こなし方が可能です。

フロントはビスロンのダブルジッパー。暑いときには上下を開けて、換気性を高めつつバタつきを抑えるといった便利な使い方ができる。

左右2つのハンドウォーマーポケットは止水ファスナーで防水性もしっかり。山岳向けジャケットでのお約束通り、ヒップベルトやハーネスをしていても干渉しない高めの位置に配置されています。

ヒップベルトやハーネスをしても利用できるような高めの位置に配置されたハンドウォーマーポケット。

袖口は伸縮ゴム+ベルクロ。スキーグローブをしながらすんなり袖を通せるほどの広さはないため、本格スキー用というわけにはいきませんが、調節しやすさと密閉性の高さはばっちりです。

伸縮ゴムとベルクロによって調節しやすい袖口。

ヘルメットの上から被れる大きなフードは、頂点のベルクロ、後頭部と頬の左右のコードロックによってしっかりと頭に合わせることができます。つばの大きさも十分で、激しい風雨にも問題なく対応してくれそうです。

ヘルメット対応の大きなフードも調節によってしっかりとフィッティング可能。

秋のハイキングで実際に着てみた

気温5℃前後の丹沢を歩いてみました。薄いレインウェアであればベースレイヤーとの間にもう1枚インサレーションやフリース等を着たいところですが、このジャケットの保温性と、同じミレーのドライナミック™メッシュアンダーウェアのおかげでその必要はありませんでした。つまりことのときは「メッシュアンダーウェア+ベースレイヤー(メリノウールと化繊の混紡)+ティフォンウォーム」という組み合わせ。

ドライナミックによる抜群の汗処理能力と保温性、ティフォンウォームによる透湿性と耐候性・保温性の組み合わせは、秋冬のハイクで最小限で最高の快適さを提供してくれる。

歩き始め以外では登りも下りも、そして風が通り抜ける場面でもまったく寒さを感じることなく、防寒着の必要性はありませんでした。シェル自体の防風性と保温性によって冷気を遮り体温を逃がさず、さらにドライナミック&ベースレイヤー&ティフォンウォームの3レイヤーによる「汗のバケツリレー」が完璧に機能してくれたため、汗冷えも起こらなかったのが大きな要因です。さらに気温が下がる真冬であれば、これまた当サイトでも度々紹介している高機能インサレーション「ブリーザー トイ フーディ」などを合わせることで、より低温下での運動時でも脱ぎ着の必要ない、万全のレイヤリングが可能です。

フィッティングに関しては中に厚手の衣類をレイヤリングしても窮屈にならない程度にゆったりはしているものの、シルエットはそこまでやぼったくないのがいいですね。カラーリングも、今年のハニーマスタードは個人的には当たりで、年々よくなってきている気がします。

ハイク中はフロントのジッパーを上下からほぼ全開にすることで、前からの風で換気しつつ、ウェアのバタつきを抑えていました。そこまで激しい運動でなければ、これである程度脱がなくても十分に快適な行動は可能です。ただ本気で汗をかいたらやはり裏地の温かさが邪魔になるので、さすがに脱ぎたくはなると思います。ピットジップが好きな自分にとってはそれがあればよかったなと思わなくもなかったり。

まとめ:紅葉狩りからスキーやスノートレッキングまで。必要な機能を高いレベルで備えたハードシェル

 

春夏向けの「ティフォン50000ストレッチジャケット」と比べて生地に厚みが加わり、さらに裏地も起毛トリコットになったことによって透湿性が阻害されていないか心配されましたが、気温が低くなってからの使用であったこともあってか、汗抜けの良さは十分に堪能できました。防水透湿・ストレッチ・適度な保温、そして柔らかな着心地と欠点のない優等生ハードシェルは、期待通り秋口のハイキングに必要なアウターの役割をすべて満足いくように果たしてくれました。春夏秋はハイキング、冬はスキーや低山トレッキングという人ならば、紅葉シーズンから残雪の春まで大活躍してくれる最適なハードシェルといえます。

ひとつ注意するとすれば、冬はトレッキングよりもスキーツーリングやアイスクライミングといったより負荷の高いアクティビティがメインだという人にとってはやや汎用的な作りのため、不可能ではないものの、各アクティビティ向けのハードシェルと比べれば物足りなさを感じてしまうかもしれないということでしょう。ただ、そうしたモデルは価格的にも手が届きにくいため、一歩一歩山の世界に染まっていくなかで初めて冬の世界に足を踏み入れるという人にとっては、ぜひともおすすめしたい一着といえます。

今回紹介した「MILLET ティフォン 50000 ウォーム ストレッチ ジャケット」の詳細はMILLETの公式HPから。