Review:mont-bell トレントフライヤー ジャケット 激しく便利なのは相変わらずだけど
コストパフォーマンスでいけばトップクラス
トレントフライヤー ジャケットは、日本を代表するアウトドアギア・ブランドであり、コストパフォーマンスにかけては右に出るメーカーはいないと(ぼくのなかでは)いわれるモンベルが提供する超軽量レインウェア。今回も「重量・性能・価格」の三拍子が揃った優等生ジャケットに仕上がっています。それでは早速レビューをしていきましょう。
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詳細レビュー
アイテム名(価格)
mont-bell(モンベル)トレントフライヤー ジャケット
正面・背面
主なスペックと評価
トレントフライヤーを含めたおすすめレインウェアの徹底比較レポートは「比較テスト:登山にランに大活躍の超軽量レインウェアを着比べてみた【2016年版】」から
評価 | |
---|---|
防水性 (20点) | 18 |
透湿性 (20点) | 16 |
快適性 (20点) | 16 |
重量 (10点) | 9 |
収納性 (10点) | 7 |
耐久性 (5点) | 2 |
使い易さ (5点) | 2 |
デザイン (5点) | 2 |
価格 (5点) | 4 |
総合点 | 76 |
スペック | |
生地 | GORE-TEX Paclite[表:12デニール・バリスティック エアライトナイロン・リップストップ] |
レイヤー | 2.5 layer |
カラーバリエーション | セルリアンブルー(CEBL) エバーグリーン(EVGN) ゴールデンオレンジ(GDOG) グラファイト(GRPH) レッドブリック(RDBR) |
重量 | 215g |
ポケット | 1(胸) |
ピットジップ | あり |
フード | 小さめだが、ヘルメットが無理というわけではない |
収納方法 | スタッフサック |
ここがスゴイ!
このカテゴリ中では高い防水性と、ピットジップによる活動時の蒸れにくさ
トレントフライヤーは、何といっても他社モデルにはない防水性の高さが秀逸。あらためてゴアテックス・プロダクトの防水性能の高さを教えてくれます。極限まで薄く(コンパクトで)軽い素材に加え高い透湿性を目指して開発された超軽量レインウェアでは、オールシーズン向け雨具に比べるとどうしても防水性能は控えめにならざるを得ないのですが、このモデルで採用されているゴアテックス(GORE-TEX Paclite)通常のレインウェアに引けをとらない非常に高い防水性を発揮してくれます。他素材のジャケットは激しい降雨では数十分もすれば撥水力が落ちていくのが目に見えて分かるのに対し、このモデルはかなり長い時間撥水性を保ち、生地への染み込みを防いでいました。
さらにこの軽さを実現しながら、2015年モデルからは、通気性を大幅に向上し、より快適な行動に不可欠なピットジップも装備しており、晴天でも雨天でも内側の湿気を上手にコントロールすることができます。
ゴアテックスを採用した超軽量レインウェアでは最高クラスの軽量・コンパクト性
標準的な GORE-TEX Paclite は太さ20D(デニール)のナイロンを用いていますが、このモデルでは何と12Dで作られており、全体の重量は215gと驚くほど軽い(ゴアテックスのレインウェアでは2015年1月現在世界最軽量)。この軽さは糸の太さだけでなく、スマートソーイングという軽量でしなやかな縫製技術も駆使することによって実現しているとのこと。今でこそもっと軽くてコンパクトな防水ジャケットも見られるようになりましたが、数年前からこのスペックを実現できていたことは正直スゴイ。
袖口のフィット感
細かい部分ですがタブ付きベルクロ調節カフス部分にはゴムも付いているため、風雨の侵入を防ぐだけでなくより手首にフィットして快適。
マップも入る胸ポケット
唯一のポケットには何とかぎりぎりマップが入りました。もちろんスマホなどはもっとスムースに入ります。
ここがイマイチ
カラーリング
「これは、、嫌がらせ?」こう思ってしまったのは、2015年モデルのカラーバリエーションを見たときのこと。ビビッドな色遣いと、胸ポケットの激しいコントラストは好き嫌いがあるのかもしれないですが、ちょっとなんとも言えないです。
フード
完璧と思われた機能面ですが、フードについては他社競合と比べると相対的に気になりました。つばの長さが短く、全体的にも覆い方が若干浅いのです。つばが小さいと前からの雨が顔に入ってきやすく、側面が浅くても雨が横から入ってきやすくなります。調節は後頭部と両頬部分のドローコードで行う仕様ですが、特に顎部分はフィットしにくく感じられました。
裏地の肌触り
GORE-TEX Paclite の優れた防水透湿性は誰もが認めるところですが、肌触りだけはどうしても好きになれません。他の素材に比べてどことなくペタペタとビニールっぽい感触がして、さらに汗をかいた時にはその不快感は倍増します。とはいえトレントフライヤーの裏地は他ブランドのPaclite製品と比べるとこころなしか若干表面が凸凹している気がするので、そこまで不快感を感じることはないのも事実ですが。
まとめ:どんな活動におすすめ?
日本人にとって最もポピュラーなブランドの、最も信頼のおける防水透湿素材で開発されているトレントフライヤー ジャケットは、山登りを始めたばかりの、まだ日帰りのハイキング程度で十分という活動範囲であれば非常に手堅い選択肢です。軽くて携行が楽、そして機能・価格も問題なしということで、多くのハイキング初心者におすすめできます。もちろんサイクリングやトレランなどのアクティブな活動にも、または街中でバッグに潜り込ませてみても良いでしょう。ただしデザイン、肌触りといった快適さなどの個人差がある部分については自信をもっておすすめできなかったのも事実。そこが気になるという方は、最終的にはお店で試してみることをおすすめします。
補足
もうひとつぼくが気になっている問題があります。それは2015年に全面的にリニューアルした同社のベストセラー・レインウェア「ストームクルーザー ジャケット」の大幅な機能向上による、このモデルの存在意義についてです。2015年モデルのストームクルーザーは3レイヤーの軽量・快適なゴアテックス「GORE C-ニットバッカーテクノロジー」を採用したことにより、かなりの軽量(257g)コンパクトなギアに生まれ変わりました。価格的にも2万円そこそこで、スペックを見る限りではもうモンベルの雨具はストームクルーザーでいいじゃないかと。それについての検証結果は後日、場所をあらためてレポートしてみたいと思います。→ストームクルーザーについてレビューしました!