
比較レビュー:登山をするなら一着は持っておきたいレインウェアのおすすめはどれだ!?
レインウェアといえば雨を防ぐだけでなくちょっとした防風、防寒にも役立つ山の必需品ですが、最近では用途やスタイルに合わせてモデルも細分化されています。同じ登山用品店で売られるレインウェアでも、雨にはめっぽう強いが重くて蒸れやすくゴワゴワするものや、桁外れに軽くて快適な代わりに数時間の雨にしか耐えてくれないものなど、しっかりと目的と用途を考えながら注意して選ばないと自分にピッタリの選択が難しいのが現実です。
今流行の超軽量タイプは軽いハイキングやトレイルランには便利ですが、一般的な登山から長期縦走するような本格的な登山、登攀などを想定に入れるのであれば、ある程度しっかりとした作りのレインウェアがいずれにしても必要になってきます。
そこで今回は以前編集部がご紹介したおすすめアイテムから厳選した5つを比較検証してみました。どれも優秀なおすすめもでるであることは間違いないのですが、それぞれに尖った特徴を備えていることから、さまざまな視点から比較してみることで本当にお気に入りの一着が選べるはずです。決して安くない買い物、ぜひご自身のレインウェアアイテム選びの参考にしてみてください。
なお以前特集したレインウェアのおすすめ紹介はこちらを参考にしてみてください。
目次
今回比較したレインウェアについて
まずは純粋にどれもトレッキングから本格登山、登攀まで幅広く対応でき、長時間の使用でも安心感があるという点、ユーザーにとって身近に使用する機会が多くあるであろう一般的なレインウェアの枠であることを前提に、新素材採用モデルやリニューアルモデル、一般から評価の高いモデルを以前ご紹介したモデルの中から5着を選んでいます。
前提
- 生地自体は薄すぎない一般的な登山にも安心感をもって使えるモデル
以下検証モデル
- MAMMUT GORE-TEX Quantum Ultra-Light Jacket
- mont-bell ストームクルーザー ジャケット
- Mountain Hardwear Quasar Lite Jacket
- finetrack エバーブレスフォトンジャケット
- OMM Aether Jacket
まず代表的なGORE-TEX®の新技術GORE® C-KNIT™ バッカ―テクノロジーを採用したMAMMUT GORE-TEX Quantum Ultra-Light Jacketとmont-bell ストームクルーザー ジャケットの2着。どちらも同じ素材を使いながらコンセプトに違いがあります。次にDry Q Eliteを採用しているMountain Hardwear Quasar Lite Jacket。こちらは2.5層ながら生地厚もしっかりしており使える時期がかなり広いモデルです。ストレッチ性に定評のある独自素材エバーブレスを採用したfinetrack エバーブレスフォトンジャケット。そして透湿性はGORE-TEX®を凌ぐといわれたeVentを採用したOMM Aether Jacket。こちらはスピードを意識したモデルで軽さもありながら通常登山にも使える仕様だと判断しました。
以上のそれぞれのモデルの差や違いを中心に、機能や使い勝手といった様々な観点から検証、それぞれの魅力もあわせて引き出してみます。
テスト環境
7月~8月にかけて場所は標高1000~2000m台の山域、天候は雨天下での検証を行い、より現場使用での状況に近づくように努めました。活動内容は登山・ハイク系の使い方を中心に、その中で2~2ヶ所程度の軽めの岩稜や鎖場などでの使用も取り入れました。1着の使用時間は最低1時間は超過させ、動き出し時における発汗量の違いによる印象の差を考慮するため、続けざまの着用テストは極力控え、別日、同じ条件下で別モデルを検証するようにしました(8月中)。下界では撮影や同時比較検証のために意図的に水を長時間(30分以上)かける検証を行っています。
テスト結果&スペック比較表
評価結果 ~タイプ別おすすめ~
総合1位:日本の雨を嫌というほどを知り尽くしているからこそできる快適性の高さ
finetrack エバーブレスフォトンジャケット
総合評価ではMAMMUTかfinetrackか?というところで悩みましたが、finetrackの場合は、どの性能も高い水準でまとまっていることに加えて、縦方向の高いストレッチ性能とこだわりの裁断による稼働の良さ、そして独自のベンチレーションの付加価値から総合的に優秀であるとしました。グリーンシーズンで、間違いなく活躍できることに加えて、登山から登攀まで場所や活動を問わずに広く対応できる性能が大変に魅力的です。性能の評価ではありませんが、皆さん気になるコストも面も優しめで敷居が低く、身近に考えやすい側面もプラス要素でしょう。レインウェアどうしようかな?と感じたらとりあえずこれで、と考えてもいいのではないでしょうか?
残雪期もOK、登山~長期縦走、登攀までもとめる本格派なら
MAMMUT GORE-TEX Quantum Ultra-Light Jacket
総合的にこちらもかなり優秀です。こちらの強みは残雪期などの少し肌寒い環境での使用に最適である点と登攀を考慮した立体裁断、深く広いフードなど機能的には少し尖った部分もありつつ、汎用性も維持しながら登山から登攀まで幅広い活動において充分真価を発揮してくれるモデルでしょう。しなやか過ぎず適度に硬く着用時の安心感もあり、長期縦走などタフさが欲しい時には着ていて非常に落ち着きます。シビアな環境での安定感は1番と言っていいでしょう。コストはかかりますがその分の価値はあります。本格思考な岳人におすすめです。
コスパNO.1、迷ったらとりあえずコレで間違いなし
mont-bell ストームクルーザー ジャケット
重量も軽く、フードやカフ構造も丁寧で、サイズ調整のドローコードなど、性能バランスが非常によく、そしてそれだけの機能がありながら価格面が非常に抑えられています。GORE® C-KNIT™ バッカ―テクノロジーを使い、着心地もよく標準的な装備はしっかり押さえて、この価格はそうそうありません。現実問題としてレインウェアは価格を抑えると、どうしても性能は犠牲になることが多く安かろう悪かろうに陥りがちですが、このウェアは違います。日本のアウトドアにおいて安くていいものを造り続けているモンベルの象徴的なモデルであるといえます。以前、安物を買って失敗して次はもっといいモノを買わないと・・でもお金はかけたくないんだけど・・とワガママを考えている方ならこれで間違いなしです。
機能とスタイルにこだわり、長い季節使いたければコレ。デザインも◎
Mountain Hardwear Quasar Lite Jacket
生地は厚めで暑い時期にはちょっと相性の悪さがありますが、その反面、肌寒い季節、残雪期や秋の冷たい雨から寒い風などもしっかりガードしてくれます。そして低い冬山での使用まで対応してくれる器用さと純粋な収納機能も多く、暑ければポケットのベンチレーションを使い換気もできて生地自体も適度にストレッして動きやすいため、活動内容も範囲も広くカバーしてくれます。2.5層レイヤーで比較の中では着心地が気になってしまうところではありましたが、それも単体で考えればあまり気にならない程度でしょう。デザイン性もよく長い季節をこの1着で使いまわしたいならこれがベストでしょう。
抜群の軽さと透湿性、究極の軽快さを求めるなら
OMM Aether Jacket
スピードをコンセプトに比較の中では1番軽量で性能面も尖ったモデルです。あと少し軽ければ超軽量レインの部類に入るようなウェアなので、汎用性は他のモデルには劣りますが、基本的な登山にも十分使うことができるクオリティです。このウェアの強みは、その軽さと激しい動きへの対応力の高さ、そしてeVentをつかった高い透湿性能にあります。ギアの軽量を図りながらある程度の性能を求めたい上級者、登攀時に無駄を省きたい本格派にはその軽さと完成度の高さからおすすめです。またはトレランから登山を始めて、できたらどちらにも使えるレインが欲しいな、なんて方にもこれが1番でしょう。