今シーズン見逃せない超軽量レインウェア 2017
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今シーズン見逃せない超軽量レインウェア 2018
100gを切ったって?それで、着心地はどうなんだい――。2年ほど前からこのサイトで積極的にフィーチャーしている、驚くほど軽くてコンパクトな超軽量タイプのレインウェアの世界は、つい数年前までの300gを切れば優秀だった時代はどこへやら。今では100gを切っても上のような反応をしてしまうくらい、今年も相変わらずえげつない進化を遂げています。
昨年から引き続きの傾向ですが、軽さだけでなくムレにくさや着心地、動きやすさなど多様なアクティビティに合わせた特徴を兼ね備えた製品が増えてきているのは相変わらず。何よりも今年は昨年にも増して参入ブランド・アイテムの数がハンパない。本格登山ブランドからランニング系ブランドまで、それはそれは多くのブランドから多くの新製品がきら星のごとく現われては妍を競っているというのが今年の最大の特徴といえます。
そんなドッグイヤー的アウトドア・ギア進化の象徴でもある超軽量レインウェアを今年もあれこれチェックし、毎年恒例となりつつありますが注目モデルをまとめましたので早速いってみたいと思います。
ピックアップにあたって大前提の基準はいつもの通りぼくが欲しいと思った(あるいは思わず買っちゃった)かどうかです。
ただ今回はこれまでの「約300g以下」という基準では対象モデルが拡がりすぎてしまうため、超軽量の基準を200g前半あたりに引き下げました。実際のところ近年の一般的な登山向けレインウェアは300g程度でもかなりの性能に達しています。この結果昨年までは超軽量レインウェアとして選んでいたいくつかのモデルは後日発表する本格登山向けレインウェア特集で紹介する予定です。
目次
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“軽さこそ正義”ラン・バイク・レース向け超軽量レインウェア8着
Berghaus ハイパー 100 ジャケット
重量★★★ 防水性★★☆ 透湿性★★☆ 快適性★★★ 機能性★☆☆ 汎用性★★☆
今シーズン一番の目玉は何といっても2016 OutDoor Show、ISPO 2017のふたつの展示会で文句なしのゴールドを受賞した”世界最軽量3レイヤー”防水透湿ジャケット(ブランド調べ)。イギリスを代表する総合アウトドアブランドである彼らの最先端プロダクト開発部隊「MtnHaus design team」によって革新的技術が惜しみなく投入された至高の一品です。
もちろん編集部では発売と同時に入手しました。袖を通した瞬間、果たして期待通りのまるで何もきていないかのような軽さ(Mサイズで97g)としなやかな肌触りに思わずウットリ。前モデル(ヴェイパーライトハイパーシェルジャケット)は85gとより軽量であったものの、2.5レイヤーのため裏地はビニールのような質感に甘んじなければならなかったのでこれは大きな進歩です。これまで以上に革新的な独自素材Hydroshell Elite Proは同社の中でも最も軽量かつ高い透湿性を実現した防水メンブレンであり、スペックこそ公表されていませんが前モデル以上の防水性・快適性は期待できるでしょう。
驚嘆するのは軽さだけではありません。肩周りの自然な着心地とミニマルなデザインを可能にした独特な立体裁断、軽量化のなかでも雨の侵入を極力防いでくれるゴムとフラップのハイブリッドなフードや袖口。内ポケットの追加(前モデルにはまったくなかった)など、世界トップクラスの軽さにしてこの機能性を兼ね備えてしまった今作は、トレイルランや短時間のスピードハイキングなど短時間で活動量の多いアクティビティを好む人にとっては今年一番のおすすめといえるでしょう。
THE NORTH FACE Strike Trail Hoodie(またはStrike Jacket)
重量★★★ 防水性★★☆ 透湿性★★★ 快適性★★☆ 機能性★☆☆ 汎用性★☆☆
昨シーズンあたりからファストパッキングやトレイルランにフォーカスしたラインナップを矢継ぎ早に投入するノースフェイスの最新作は、レースでの使用をも考慮された極薄・超軽量防水シェル。昨年から引き続きの独自素材「HYVENT Flyweight(3レイヤー)」は20,000mmの耐水性、40,000gの透湿性という安心のスペック。さらに今モデルではポケットを排し、袖口のベルクロ、裾やフード調整のためのドローコードなどを限界まで削ぎ落とした結果110gという同社史上最軽量を実現しました。もちろん、3レイヤーのサラサラ裏地は相変わらず快適で着心地は抜群。レースゼッケンが透けて見えるクリアカラーなど、とことんランに特化した特徴はレース志向の人にとってはこの上ない魅力でしょう。
なお昨年紹介したStrike Jacketも引き続き発売されています。こちらもランだけでなくハイキングや街着などにも使いやすいようにバランスを保った超軽量モデルとして広くおすすめです。
Salomon BONATTI PRO WP JKT
重量★★☆ 防水性★★☆ 透湿性★★☆ 快適性★★☆ 機能性★★★ 汎用性★☆☆
さすがはマウンテンレースのトップブランド、そう思わせてくれる細かい特徴が印象的だったのがこのBONATTI PRO WP JKT。まず必要以上にシャリシャリしない表地のしなやかさはランニング用としては嬉しい要素。背中に配置されたマチは自由自在の動きを追求したMotionFit構造によるもので、スリムなシルエットながら抜群の動きやすさを可能にしました。額にフィットして水の侵入を防ぐゴム付のフード、夜中でも安心のリフレクター(反射板)、スタッフサック無しでも収納できるパッカブル仕様、止水ジッパーを開けた状態でもばたつきをある程度防止できる胸ボタンなど、とことんランニングに寄せた機能が満載です。
Marmot ZERO Penetrate Jacket
重量★★★ 防水性★★☆ 透湿性★★★ 快適性★★☆ 機能性★★☆ 汎用性★★☆
日本におけるウルトラライトハイキングの重要人物、Hiker’s Depot土屋氏とのコラボなどでここ最近U.L.系の個性的なアイテムが目立つマーモットから、とにかく軽かった前モデルZERO STORMに大幅なバージョンアップを施したこだわりの超軽量レインウェアが登場しました。
独自のMemBrain Strataは2.5層ながら、不思議と気になるほどのペタつき感はありません。耐水圧20,000mm、透湿性20,000gという数値も十分に及第点。何より重量は前モデルからさらに一気に下がって138gと、トップクラスの軽さを実現しています。個人的に一番の見どころはベンチレーションを兼ねたハンドポケット。きちんとポケットとして機能しつつ通気性を確保する絶妙な工夫が思わず「なるほど」と唸らずにはいられません。さらに調節無しにもかかわらずフィット感抜群のフードのつくりもよく考えられてるなと感心してしまいます。
前モデルのやや平凡なつくりから一転してコイツにしかない特徴を備えた個性的なモデルに様変わりした今作は、トレイルランはもちろん、ファストパッキングをはじめとした軽さ重視のアウトドア全般でも十分活躍してくれるはずです。
Patagonia STORM RACER JACKET
重量★★☆ 防水性★★☆ 透湿性★★☆ 快適性★★☆ 機能性★★☆ 汎用性★★☆
パタゴニアのマウンテンレース向けレインジャケットが今年いよいよリニューアル。2.5レイヤーで重さも270gとやや見劣りしていた前モデルから、快適な3レイヤー素材と170gという軽さに一新された今作は十分に最前線に参戦してきたといえるのではないでしょうか。
相変わらず同社のスリムかつストレスフリーな立体裁断は見事であり、微妙にストレッチが効いているため動きやすさも向上しています。袖口は部分的なゴム仕様で軽さとフィットを両立。フードはコードロックによってワンタッチ調節が可能であったり、胸ポケットを裏返して収納可能なパッカブル仕様など、軽さだけでなく総合的な使い勝手を追求する同社の個性が表われています。
MONTANE MINIMUS 777 JACKET
重量★★★ 防水性★★☆ 透湿性★★☆ 快適性★★★ 機能性★★☆ 汎用性★★☆
昨年編集部で行った比較テストで見事総合1位を獲得したモンテイン最軽量の防水シェルは昨年から変更なし。にもかかわらず、やはり依然として実力は頭ひとつ抜け出ています。今年に入ってさらに世界中の多くのブランドに供給されている軽量防水透湿メンブレン「Pertex Shield +」を採用した3レイヤーは、しなやかで心地よい肌触り、発汗時でもサラサラとした肌離れが持続するので快適さが落ちません。ランニングでの腕振りはもちろん、クライミングでも高い可動性を確保してくれる腕の立体裁断も相変わらず素晴らしい。やはりファストパッキングやトレイルランニング、あるいは緊急用としてなど、軽さを追求したい場合の装備と割り切って使えばこれほど心強い味方はいないでしょう。
OMM Aether Jacket
重量★☆☆ 防水性★☆☆ 透湿性★★★ 快適性★★☆ 機能性★★★ 汎用性★★★
2016年秋にリニューアルした、2016 OutDoor Show受賞のマウンテンランニングジャケット。約200gという重量こそ飛び抜けて軽いとはいえないかもしれませんが、その分耐候性・耐久性・機能性を高いレベルで実現した完成度の高さがこのジャケットの何よりのイノベーションといえます。「eVent」はGORE-TEXに対抗した防水透湿メンブレンとして長い実績があり、ウェアが呼吸しているかのような高い透湿性がウリ。そのきめ細かい生地のしなやかさと3レイヤーの快適な着心地、計算された立体裁断によるムダの無いシルエットはレースへのモチベーションを否応なく高めてくれます。フィットしやすいフード、密閉したりサムホールにしたりと自在に調整可能な袖口、まくり上がりを抑えた裾とウェスト周りなど、さまざまな点で独特な工夫が凝らされており、高価にもかかわらず指名買いしたくなる人が多いのもある意味うなずけます。
mont-bell バーサライトジャケット
重量★★☆ 防水性★★☆ 透湿性★☆☆ 快適性★☆☆ 機能性★☆☆ 汎用性★★★
登場して少し時間が経ってしまったとはいえ、まだまだ168gという重量は十分に競争力のある軽さです。ただ正直2017年ともなると透湿性や裏地の快適性、左右のハンドポケットや袖口のベルクロ調節機構などもう少し性能的に向上して欲しいと思ってしまうのが本音ですが、まぁ何よりこのコストパフォーマンスの高さは特筆モノです。トレイルランやファストパッキングなど、ライト&ファストなアクティビティ志向で、まず大きく後悔したくないという人にとっては選びやすいモデルであることは間違いありません。体型も欧米モデルよりもゆったり目なので、それがフィットする人にとってもおすすめです。