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NEMO テンサーオールシーズン レビュー:ますます欠点が見当たらない。さらなる高みへと進化し続ける至高のエアーマット

アウトドア用のマットレス(スリーピングパッド)といえば、テントでの睡眠の質を左右する縁の下の力持ち。地面の凸凹をフラットにしてフカフカの寝心地を提供し、秋冬の低温下でも地面の冷気を遮断し、1年を通じてテント泊での快適さを提供します。

そんなマットレス中でも飛び抜けた完成度の高さを誇っていたNEMO(ニーモ)のエアーマット「テンサー シリーズ」が今シーズンリニューアル。前モデルのひとつ「テンサーアルパイン」をレビューした時もその高いレベルでバランスのとれた完成度の高さに驚かされましたが、今回のアップデートではそこから断熱性、快適性、重量、コスパと、ほぼすべての要素で進化。ますますとんでもないマットになっていました。この春テント泊で実際に使ってみることができましたので、さっそくレビューしていきます。

NEMO テンサーオールシーズンの主な特徴

NEMO テンサーオールシーズンは、真冬の山岳でも対応できるR値5.4という高い断熱性を備え、一年を通じた登山やキャンプ等に対応するエアー注入式のスリーピングパッド。内部の断熱フィルム構造を改善することで断熱性は大幅に向上、さらに寝返りによるカサカサ音も抑え、驚くほどの静音性を実現。表面には従来モデルよりも強度を高めた20Dナイロン、底面は40Dナイロンと耐久性も向上。オリジナルのスペースフレームバッフル構造とソフトで柔らかな肌触りに加え、9cmとボリュームアップしたマット厚によって寝心地もますます快適に。さらに従来モデルよりも軽くなり、丸めて小さく畳めるコンパクト設計によって収納性も〇。付属のポンプサックでエアー注入も簡単。エアーマットに求められる要件のほぼすべてにおいてトップクラスのパフォーマンスを実現した完成度の高いマットレス。「テンサーシリーズ」は対応温度域によって「トレイル・オールシーズン(本モデル)・エクストリーム」の3タイプがあり、用途によってマミー型・レクタングル型が用意されています。

お気に入りポイント

気になるポイント

主なスペックと評価

アイテム名 NEMO テンサーオールシーズン レギュラー マミー
サイズ 183×51cm
収納サイズ 25.5×φ10㎝
マット厚み 9.0cm
公式本体重量 400g
表面素材
  • トップ:20D 100%リサイクルナイロン(bluesign®認証)
  • ボトム:40D ナイロン(bluesign®認証)
断熱素材 Thermal Mirror™ フィルム(2枚)
R値 5.4
対応季節(参考) 4シーズン
付属品
  • 専用スタッフサック
  • コンプレッションストラップ
  • パッドポンプ
  • リペアキット
Outdoor Gearzine 評価
快適性 ★★★★★
断熱性 ★★★★★
重量 ★★★★☆
収納性 ★★★★☆
使い勝手 ★★★★☆
耐久性 ★★★★☆
汎用性 ★★★★★

詳細レビュー

断熱性:冬山でも安心、大幅に向上したトップクラスの重量対断熱性

今回のアップデートによって大幅に進化した部分のひとつは、マットレスの基本性能とでもいうべき「断熱性」の部分です。構造的には前モデルと同様、内部にThermal Mirror™(サーマルミラー)と呼ばれる反射アルミニウムフィルムが2枚挿入されている構造ですが、その配置を見直すことでより体温を効率的に反射させ、断熱性の向上を実現しています。

バルブから中を覗くと、しっかりとした構造は確認できませんが、金属フィルムが挿入されているのが確認できます。

これによってマットレスの断熱性は、世界的な基準であるASTM規格のR値で「5.4」に向上。この数値は本州の山岳であれば1年中問題なく使用できるほど十分な暖かさといえ、前モデル(テンサーインシュレーテッド)がR値4.2でギリギリ冬山には厳しいかというラインだったことを考えると、この違いは小さくありません。

しかもこの進化によって重量が増えたかというと、その逆。重量は何と「410 → 400 g」へと若干軽くなっています。

試しに3〜4月の長野県、夜は0〜5℃程度という環境で一夜を明かしてみましたが、地表付近は冷たく手をつくこともためらわれますが、一方マットの上はじんわりと暖かく地面の冷たさはまったくと言っていいほど感じられませんでした。身体から発せられる熱だけでここまで快適になるのか(逆に言うとこれまでたくさんの熱が逃げていたのかと)と感心させられます。

快適性:一度寝転んだらもう二度と起き上がれないくらいに柔らかくて深くてフラット、そして静かな寝床

自分が初代テンサーシリーズからずっと気に入ってきた部分でもある寝心地の良さも、ありがたいことに今回さらに進化しています。

フォルムは基本的に角を省略し、足元に向かって微妙にテーパードされたマミー形状。

エアーマットのバッフル構造(空気の詰まった部屋)というと、かつては一般的にチューブ状のバッフルの並びが「縦か横か」という違いでしかありませんでした。そんななかでNEMOは「スペースフレームバッフル」と呼ぶ独自のハイブリッド構造を採用。いわばそれは縦型・横型の良い所取りとも言える特徴をもち、表面がフラットでありながらグラつきや滑りやすさを軽減し安定したサポートを提供してくれます。

またクッションの厚みも「8 → 9 cm」とボリュームアップしたことで、十分なクッション性がさらに快適で底つきしにくいものとなりました。

自分の経験上、スリーピングパッドの厚さは寝心地に大きな違いをもたらしますが、ここまで厚みがあれば凸凹の地面の上で横向き寝をしても身体が地面に触れるといった心配もありません。一度寝転んだらもう二度と起き上がりたくなくなるほどの快適さ。

さらに驚きなのは、金属系フィルムを使用している際にどうしても避けられない、カサカサとしたノイズがこのモデルではまったくと言っていいほど聞こえず、音の静かさはフィルムが入っていないといっても分からないほど。これならパートナーを気にせず安心して寝返りをうつことができますね。

使い勝手:吹き込みやすくて素早いセッティングが可能な専用ポンプサックがいい

エアーマットをセットするためには空気の注入が不可欠ですが、このモデルには前モデルから引き続き、独自のバルブシステムと専用のポンプサックを採用し、セッティングのわずらわしさを軽減し、スピーディな注入を可能にしています。ちなみにこのバルブシステムはマット面に対してフラットなので、寝るときにも収納時にも邪魔にならないという、気遣いの感じられるありがたい作りです。

バルブは2重になっており(写真左)、膨らます時は逆止弁付きの上蓋のみ開放し(写真右)、空気を抜くときは上下の蓋両方を開ける方式。

特にこのポンプサックは、あえて空気を吹き込む口が小さくなっているのが特徴。他社の空気入れと違い、ポンプサックの入り口から20cmほど離れて息を軽く(特に意識して力を入れずに)吹くだけで、またたく間にポンプ内に空気が満たされるようにデザインされています。これまで膨らませるための重労働がどこよりも軽減されています。

付属のポンプを接続すれば3回ほどで完全に膨らますことができ、空気量の微調整も簡単にできる

新しいテンサーオールシーズンは、より耐久性を高めるために 20D のトップ生地と 40D のボトム生地で作られている

重量は今回レビューしたレギュラーサイズ(R)で実測400gと、同レベルの機能性を持った他メーカーのスリーピングマットと比べると軽量な部類に入る軽さです。ただ収納サイズ25.5×10cmと1リットルのナルゲンボトルより一回り大きい程度で若干大きめ。ここだけが唯一このマットレスで気になった点です。

本体とポンプサックなどの付属品をまとめて丸めて収納すると、ナルゲンボトルよりやや大きいサイズにまとまった。個人的にはあと一歩コンパクトなら歓喜していただろう

まとめ:こんな人におすすめ

NEMO テンサーオールシーズンは、現在市場にある同レベルの断熱性を備えた春夏秋冬向けエアーマットのなかでは、ベストな選択肢のひとつです。それは2024年時点での競合製品同士を比較してみると明らか(下表参照)。断熱性だけでなく、フラットで深く安定した床面、静かな寝心地、底面の耐久性、セッティングの容易さ、そして重量など、あらゆる点でトップクラスのパフォーマンスを備えているといえます。

唯一気になることと言えば、難癖になるかもしれませんが、夏の使用で考えるとややオーバースペックで重量も軽いとは言えなくなること、また競合製品に比べてわずかに畳んだ際にかさばることですが、その分得られているR値の高さや丈夫さという安心感や汎用性を考えればそこまで不満になることではないでしょう。真夏の低山であろうと秋冬のテント泊であろうとシュラフをより軽量にすることができるため、結果として快適さと装備の軽量化を実現することができます。

またそもそもテンサーシリーズはこのモデルの他、温暖な気候向けの軽量な「テンサートレイル(R値2.8)」、極寒向けの「テンサーエクストリームコンディションズ(R値8.5)」といったラインナップが揃っているので、特定の季節を優先する場合はこれらの製品を選ぶ方が幸せになれます。

いずれにせよ、登山やハイキングからファストパッキングなど軽快なアクティビティ、バイクパッキング、そして冬山登山と、アクティビティや季節、場所を選ばずここまで幅広く満足できるマットレスはなかなかありません。ビギナーからベテランまで、誰に対しても自信を持っておすすめできる一本です。

(再掲)オールシーズン対応マミー型エアーマットの主要モデル比較 2024

アイテム名 Nemo テンサーオールシーズン レギュラーマミー (参考①)Rab Ultrasphere 4.5 (参考②) Therm-a-Rest ネオエアーXライトNXT (参考③) EXPED ULTRA 5R M MUMMY
サイズ 183×51cm 183×51cm 183×51cm 183×52cm
収納サイズ 25.5×10cm 18×9cm 23×10cm 23×12.5cm
厚み 9.0cm 8.0cm 7.6cm 7.0cm
表面素材(耐久性) トップ:20D 100%リサイクルナイロン(bluesignⓇ認証)
ボトム:40D ナイロン(bluesignⓇ認証)
20D TPUコーティングポリエステル 30D リップストップナイロン 20D リップストップ ポリエステル
本体重量 400g 370g 370g 445g
R値 5.4 4.3 4.5 4.8
通常税込価格 ¥29,150 ¥20,900 ¥39,600 ¥30,800
静穏性
バルブシステム 2WAYバルブ 2WAYバルブ 2WAYバルブ 1WAYバルブ×2
付属品
  • 収納袋
  • ポンプサック
  • リペアキット
  • 収納袋
  • ポンプサック
  • リペアキット
  • 収納袋
  • ポンプサック
  • リペアキット
  • 収納袋
  • ポンプサック
  • リペアキット
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