Review:NEMO テンサーアルパイン 断熱性・寝心地・重量と三拍子そろった4シーズン対応スリーピングマットは向かうところ敵なし

晩春から夏、そして秋口でのテント泊ではそこまで深く考えることのない「寒さ」。しかしこれからの季節は、道具と天候・気温が合わないと、危険が伴いクリティカルなものになってきます。行動中であれば、多少寒くても運動量を増やすなどすれば、なんとかやり過ごせるかもしれませんが、一番寒くなる夜〜朝方にかけての行動「睡眠」ではそうもいきません。ブルブル震えながら眠ることになるし、下手すれば眠ることすればままならない…ということにもなりかねません。睡眠が減ると、翌日の行動にも影響し、特に長期間のハイクでは死活問題にまで発展します。

そんな重要な道具である寝具ですが、スリーピングバックだけでなく下に敷くマットも非常に重要。あまり重要視されませんが、敷くだけで保温性・快適性が格段に違ってきます。それにも関わらず、世の中には様々な種類の、様々な気温に合わせた、様々なマットが存在し、どれがどうなのかわからないという人も多いのでは。今回レビューするNEMOテンサーアルパインは、難しいことを考えずにとりあえず選んでおけば、とりあえず気軽に選んだ以上の見返りが期待できるハイスペックマットレス。実際に使うであろう低温での使用も含め、レビューしてみました。

テンサーアルパインの大まかな特徴

NEMOテンサーアルパインは、使用温度が-29℃-23℃と、真冬の山岳でも使用できるよう設計され、軽量性・静音性・快適性に優れたエアーマットレスです。軽量に仕上げるため、表面生地には20Dポリエステルを採用し、収納のコンパクトさにも寄与しています。内部は、独自の3層構造にインサレーションを配置することで、地面からの冷気を遮断しつつ、体の発熱は逃さず効率よく保温性・快適性を確保しています。エアーマットではスタンダードになりつつあるポンプサックを使って膨らますバルブシステムも採用することにより、設営・撤収を素早く行うことができるようになり、空気量の微調整も簡素化されました。マット厚は8cmとボリュームもあり、エアーマットに求められる要件全てにおいてバランスの高いモデルです。用途によってショートサイズ(S)、レギュラーサイズ(R)が用意されています。

おすすめポイント

  • 軽量・コンパクト
  • 高い断熱・保温性
  • 設営・撤収が楽
  • 静音性

気になったポイント

  • 表面・裏面が滑る
  • 耐久性

主なスペックと評価

項目スペック・評価
カラーオレンジ
サイズS:122×51cm
R:183×51cm
収納サイズS:7×20cm
R:8×20cm
マット厚み8.0cm
公式重量
(本体のみ)
S:307g
R:475g
実測重量R:473  + 収納袋16g + ポンプ62g + ストラップ
表面素材20デニールポリエステル
参考使用温度−29℃ 〜 −23℃
R値非公開
インサレーション素材Thermal Mirror™ metalized film
付属品
  • スタッフサック(収納袋) 
  • Vortex ポンプサック
  • ベルクロストラップ
  • リペアキット
快適性★★★★★
設営・撤収の容易さ★★★★☆
断熱性★★★★★
重量★★★★☆
収納性★★★★☆
汎用性★★★★☆
総合評価★★★★★

詳細レビュー

独自構造による断熱性・保温性

NEMOのマットレスのR値は非公開なので、R値による他のメーカーと比較はできませんが、メーカーの推奨使用温度は−29℃〜−23℃と、もはや日本国内であれば年中どこでも使用できるようなスペックです。軽量化のためか表面生地こそ20Dの薄いポリエステルを使用していますが、内部はThermal Mirror™ metalized filmというアルミを蒸着させたフィルムを3枚配置させ、地面からの冷気の対流を押さえ込み断熱性を高め、体からの発熱も反射させ保温性を向上させることにより、厳冬期でも問題なく使用できるように設計されています。

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バルブから中を覗くと、しっかりとした構造は確認できませんが、金属フィルムが複雑に幾重にも折り重なっているのが確認できます。

マット自体はスペースフレーム™バッフル構造というNEMOの独自構造を採用し、局所に荷重が集中しても底つきを抑えてくれます。せっかく優れた内部構造によって断熱性・保温性が優秀でも、肘などをついた時に底つきが起これば地面からの熱を直接感じやすくなり、せっかく保温されている暖かい空気を逃してしまうので、特に過酷な環境で使うマットレスには必須と言っても良い構造です。

クッション厚は8cmとかなりのボリュームで、十分なクッション性を提供してくれます。それに加え上記のスペースフレームバッフル構造による底つきの抑制、左右に動いた時にバランスを保たせるために周縁側に少し厚みを保たせるなど、クッションの快適度も高く、耐寒性だけでなく、快適性にも注力し、それを高いレベルで実現させています。

マット厚は8.0cm。かなりのボリュームです。

NEMOでもついに採用されたバルブシステム

NEMOでは、このモデルから新しいバルブシステムとポンプサックを採用しています。やはり設営・撤収の圧倒的なスピードアップと快適性はかなり向上しています。

付属のポンプは本体と同じ素材で作られています。表面に英語ですが取説がプリントしてあります。

これまでのバルブは、一度空気を入れてしまえさえすれば微調整は楽でしたが、膨らませるのにまず一苦労。そして撤収時は完全に空気を抜ききるのも時間がかかりました。特に高標高で使うことが多くなりがちなモデルなので、重労働である高標高での送気をしなくてよいという点は、かなりの高評価でしょう。そのバルブシステムのおかげで、空気量の微調整も簡単になっています。

バルブの中央を押せば、少しずつ空気が抜けるので、中の空気量を微調整できます。

そしてこのバルブシステムはマット面に対してフラットなので、寝るときにも収納時にも気になりません。NEMOユーザーにとっては待ち望まれていたものでしょう。

新しいバルブシステムは、完全にフラットになるので、就寝時も片付け時も気になりません。

実際に使ってみたインプレッション

今回は冬に使用することも考慮し、気温は1℃付近と、20℃付近の2つの環境で使用してみました。まず断熱性・保温性は非常に高く、外気温1℃程度の朝方にポジションを変え頭を移動させると、それまで体と接触してなかった部分は冷たく思わず冷た!と呟いてしましたが、体と接触していた面はホカホカ。これくらいの気温では地面からの熱は全くと言っていいほど伝わってきませんでした。自分の体から出ている熱量のすごさを思い知らされます。逆に20℃程度の環境では、寝ていると徐々に暖かくなってきてじわっと汗をかくほどです。気持ちよく使えるのは、秋〜冬〜春くらいかもしれません。夏は高山でなら活躍してくれそうです。

さすが8cmの厚さだけあり、クッション性は高く快適。しかしフカフカで快適というよりは、適度な反発感があり高反発マットレスのような寝心地で、嫌な感じは全くありません。金属フィルムを使用しているモデルは、動くとカサカサとフィルム同士が擦れ合う異音が寝心地を左右することがありますが、このテンサーアルパインはそれも全くなく、快適でした。ただ、肘などをつくと地面にまでは着きませんが、結構沈み込みマット内の空気のバランスがバラけます。横臥状態で寝るのには向いてない様です。表・裏面共に滑り止め加工がないので、やや斜度が入った場所で使うと結構滑ります。実際やや斜めの場所で寝たところ、ふと目を覚ますと足がマットからはみ出てることがありました。這い上がる時も局所的に体重をかけるとバランスが崩れるので、眠い時はそれが結構面倒でした。

NEMOでは初めてポンプを使って膨らませるバルブシステムを採用しています。まずバルブがフラットになるのが良いですね。これまでのバルブは飛び出ていて、収納する時や寝る時にやや気になりがちだったので、これで心置きなく気にしないで眠ることができます。

バルブは蓋・逆止弁の2重になっていて膨らます時や空気量を調整する時は逆止弁をつけて使用します。付属のポンプを接続すれば3回ほどでパンパンに膨らますことができ、空気量の微調整も簡単にできます。Sea to Summitでも試しましたが、こちらは2回でパンパンになったので、比べるとやや手間は多いですが、自分で吹き入れていたことを考えれば圧倒的な労力減です!撤収時はバルブを全部外せば一瞬で空気が抜けます。寝ながら外せばほんの一瞬です。

蓋をとれば脱気は一瞬です。

重量は今回レビューしたレギュラーサイズ(R)で実測473gと、同レベルの機能性を持った他メーカーのスリーピングマットと比べると非常に軽量で、収納サイズも8cm×20cmと500ml缶より一回り大きい程度。他にも同程度の機能性と重量のマットもありますが、価格が高価になることから、このNEMOのテンサーアルパインは同程度のマットの中では一つ頭抜け出した存在です。

収納サイズは非常にコンパクト。500ml缶より一回り大きいくらいで、太さはほぼ同じです。

しかし、軽量・コンパクトさを実現するために、20Dのポリエステルを使用しています。実際使ってみるとわかるのですが、生地の薄さを感じるので耐久性に不安が残ります。長期間の縦走などの際には、リペアキットは持っていくのが良さそうです。もう一言あるとすれば、ポンプです。本体が473gなのに対し、ポンプが60g以上あります。もちろんポンプはあれば非常に便利なのですが、なくてはならないものでもありません。これに対してSea to Summitは、収納袋兼用や、ドライサック兼用としています。軽量化のためにかなりの努力をしているはずなので、もう一工夫あれば重量を気にするUL志向のハイカーの食指ももっと動きそうです。

ポンプ薄いので、本体と一緒に収納可能です。

まとめ:こんな人におすすめ

−30℃手前にまで対応しておきながら、スタッフサックを入れても500gを切る軽量性、そして厚め8.0cmながら変にフワフワせず安定感も高く作られ、快適性も犠牲になっていません。真冬はもちろんのこと、春秋は背中は十分暖かいので、軽量なシュラフで対応すれば、より軽量化に役立つ道具になるかもしれません。これだけの断熱・保温スペックなので夏の使用は迷うところですが、低山では暖かく蒸れる感じはしますが、高山では気持ちよく寝られそうです。

とにかく真冬でも使えて軽くて快適なものが欲しい!というワガママハイカーにはうってつけのモデルです。マットに最も必要な要件である寝心地・保温性の双方を、高いレベルで実現しています。長期間ハイクする人にとって、寝具の選択、特に重量と保温性・快適性のバランスは非常に重要です。同レベルのマットレスを検討している人には高機能で、それに対するコストパフォーマンスも高く、買って後悔することはなさそうです。

ポンプで膨らませられるようになったのも、大きなポイントです。NEMOのマットは好きなのにポンプ仕様じゃないからなあ…という人も少なからずいたはず。そんなユーザーも取り込む4シーズン対応マットレス テンサーアルパイン。今は向かう所敵なしのハイスペックマットレスかもしれません。

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