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NEMO テンサー™ エリート レビュー:軽さも寝心地も最強クラス。そのうえ強さも使いやすさも妥協ナシ。3シーズン用のエアマットでこれ以上何が望めるよ?

スリーピングマットは種類もいくつかありますが、快適な寝心地を求めるのであれば空気を入れて使用する「エアマット」が選択肢に入ってきます。エアマットと一括りにしても中の構造や断熱素材の量によって使える環境域は大きく変わり、軽量でコンパクトなモデルから-30℃の環境で使えるものまでさまざま。

今回は、その中でも特に「軽さ」を優先させたいハイカーにぴったり、軽さと快適さ、耐久性、使いやすさを兼ね備えた NEMO の新作マットレス「テンサー™ エリート」を紹介します。

手のひらに収まってしまうほどコンパクトで軽量。それでいて極上の寝心地も、その重量からは考えれない十分な耐久性の高さもあきらめない。グラム単位での軽量化に挑戦しているハイカーにとっては要注目の最新スリーピングマットをフィールドで使用してきましたのでさっそくレビューしていきます。

NEMO テンサー™ エリート の主な特徴

テンサー™ エリートNEMOのラインナップの中で最も軽量なエアマット。このために開発されたカスタムメイドの10D CORDURA®︎ナイロンを採用することで、R値2.4の断熱性で240g(レギュラーサイズ)を実現。収納サイズも握りこぶし大ほどに軽量コンパクト。マット内部には伸縮性の低い素材を使用したトラス構造によりエアマット特有のフワフワした感覚を低減し、7.6cmあるマットの厚みが地面の凹凸を感じることもなく安定した快適な寝心地を提供してくれます。素早くエアの出し入れが可能な大口径のフラットバルブと付属の専用ポンプサックによってわずか2.5回ですばやく設営することが可能。テンサーシリーズとしては唯一、160cmのショートサイズも選択可能で、軽さを求めつつパフォーマンスにも妥協したくないシビアな軽量ハイカーにとって最適なを提供します。

お気に入りポイント

  • 圧倒的軽さで超コンパクト
  • 地面の凸凹を感じない快適性に静かな寝心地
  • 3シーズンなら申し分なしの断熱性
  • エアマット特有のフワフワ感がないバッフル構造
  • たった2.5回で膨らむ付属のポンプサック

気になるポイント

  • 滑りやすい生地で傾斜があると落ちやすい

主なスペックと評価

アイテム名NEMO テンサー™ エリート レギュラーマミー
サイズ183×51cm
収納サイズ14×φ8㎝
厚さ7.6㎝
重量240g
表面素材10D CORDURA®︎ナイロン
断熱素材アルミナイズドフィルム x 1枚
R値2.4
季節対応3シーズン
付属品
  • 専用スタッフサック
  • コンプレッションストラップ
  • パッドポンプ
  • リペアパッチ
Outdoor Gearzine評価
快適性★★★★☆
断熱性★★★☆☆
重量★★★★★
収納性★★★★★
使い勝手★★★★★
耐久性★★★★☆
汎用性★★★★★

詳細レビュー

圧倒的軽さ、びっくりするほど超コンパクト

何よりもうれしいのは、全身をカバーできるレギュラーサイズで重量が240gと目を疑いたくなるほどの軽さです。160cmのショートサイズならなんと215g。このレベルの断熱性を考えると、この軽さは異次元といっていい。

収納袋やストラップ、パッドポンプなどを含めた実測重量は314gですから、実用的な重量として比較しても間違いなく世界最軽量クラス。

ここまで軽量に仕上がっているのにはいくつかの理由がありますが、まずは表面に使われている生地。極薄10D(デニール) CORDURA®︎ナイロンが採用されることで極限まで軽量化が図られています。

薄い生地が使用されていることで心配なのがパンクのリスクですが、優れた強度とグラム単位での軽量化を追求したCORDURA®︎ナイロンはテンサー™ エリートのためにカスタムメイドされたオリジナル生地。「テンサーシリーズ」は昨年のアップデートによりポリエステルよりも伸縮性が高いナイロンを採用し、また溶着強度を高める製法に切り替えたことで生地表面の強さはもちろん、過度な圧力がかかった際に溶着部分が負荷に耐えられず、わずかに剥がれることによるスローリーク(空気が漏れること)が発生しにくい設計になっています。テクノロジーの発展が進んでいる現代では生地が薄い=耐久性が低いという考えはもう古いのかもしれません。(軽量なエアマットにおけるエア漏れの原因で多いのは実は表面のキズではなく、過度な圧力がかかった際、溶着部からわずかに剥がれることで発生することが最も多いそうです)

とは言え、テンサー™ エリートに限ったことではなく、扱いに注意が必要なのはエアマット全体にいえることです。砂利の上に直接敷くなどはせず、パンクしないよう下に保護マットを併用するなどの注意と対策は忘れずに対応しましょう。

3シーズンなら申し分なしの断熱性

掛け布団の役割をしてくれるシュラフ(寝袋)に対し、敷布団の役割を担い、地面からの冷えを断熱してくれるのがスリーピングマットです。一般的に寒さへの対策はシュラフがメインになるかと思われがちですが、筆者の経験上ではシュラフと同等か、それ以上に重要なのがスリーピングマットです。というのもこれまで寒さで眠れなかった夜を数えきれないほど体験してきた筆者が眠れなかった一番の原因は「地面からの冷え」だからです。

体が地面と接地する箇所はシュラフの中綿が潰れ、保温力が発揮できなくなるため、地面からの冷えによる断熱を一手に担うのはスリーピングマット。シュラフのスペックが足りない場合、持っている衣服を着込むことで寒さを凌ぐことができますが、地面からの冷えは手の施し用がありません。よって地面からの冷えを甘くみてはならないというのが筆者の教訓です。

テンサー™ エリートは断熱性能を表す「R値」が2.4(ASTM規格)あります。市場に出回るのエアマットの中ではR値は高い方ではありませんが、R値2.4もあれば氷点下にならない環境なら問題なく使用することができます。

R値を算出するASTM規格は数値に対して明確な対応温度が公表されているわけではないため、あくまでも余裕を設けた上で目安として考える必要がありますが、実際に気温が5℃ほどの環境で寝てみたところ全く地面からの冷えは感じなかったため、アルプス登山のハイシーズンにあたる7月〜9月であれば単体で問題なく使うことができる手応えでした。北アルプスの有名なテント場「涸沢ヒュッテ」の最低気温の平均値が7月が8.8℃、8月が9.5℃、9月が5.2℃ですので、実体験で得た感覚はある程度信憑性があると思います。(寒さへの耐性は人によって異なるため、参考値として目安にしてください)

エアマットの構造には断熱材が封入されているタイプや層を形成し対流を抑制しているもの、断熱材と層構造の組み合わせたものなどさまざまですが、テンサー™ エリートは層を形成させ断熱するタイプのエアマット。サーマルミラー断熱フィルムが一枚使用され、空気の層を作り出すことで断熱性が確保されています。

地面の凹凸を感じさせない、十分な厚みとフラットな表面

長くクローズドセルタイプ(空気を入れる必要がない折り畳み式)のマットレスを愛用してきた筆者。一昔前のエアマットは特有の寝心地に苦手意識がありましたが、それを払拭してくれたのがNEMOのエアマットが採用している「エイペックス™バッフル構造」です。マット内部に伸縮性の低い素材を使用し、三角形を組み合わせて形成されるトラス構造を採用したことで、エアマット特有のフワフワ感がなく、安定したサポート力のある寝心地が得られます。実際に横たわると厚さが7.6cmもあるため、地面のデコボコを感じることなくフラットで快適な寝心地を実感できました。

内部にはサーマルミラー断熱フィルムが一枚入っていますが、それでも横になった際のガサガサとした不快な音は皆無。雑音を気にすることなく寝返りをうつことができました。

滑りやすい生地で傾斜があると落ちやすい

気になった点としては使用されている表面、裏地の素材が非常に滑りやすく、傾斜がある場所ではマットから滑り落ちやすいということ。基本的にはテントはフラットに整地された場所に設営すれば問題にはなりませんが、ハイシーズンの混み合うテント場など傾斜のある場所でしか設営できない場合には注意が必要です。

エアマットには生地表面に滑りにくくなる加工を施しているモデルや、実際に滑り止め加工されているモデルもありますが、テンサー™ エリートはその類の加工はされていません。フラットで安定した場所以外で幕営する際には何らかの覚悟や対処が必要でしょう。

驚くほど簡単に素早く空気が入る付属のポンプサック

エアマットに付属するポンプサック

空気を注入し使用するタイプのマットは広げればOKなクローズドセルマットと違い、どうしても使える状態にするために手間がかかります。そのため設営(撤収)の容易さは軽視できないところ。テンサー™ エリートは驚くほどすばやく設営することが可能で、それを可能にしているのが付属している「ボルテックス™ ポンプサック」です。

ボルテックス™ ポンプサックは独特の空気吹き込み口をしており、一見小さな口にもかかわらず、開口部から少し離れた位置(20cmくらい)から軽く息を吹き込むだけで、ポンプの周囲の空気を巻き込んで一気にポンプ内の空気を満タンにすることができます。あとは口を閉めてエアマットにその空気を押し込むだけ。レギュラーサイズでたった3回(厳密には2.5回)でパンパンに膨らませることができました。しかもこの仕組みは湿気の多い呼気が少なくて済むため、劣化にも強いと一石二鳥。

これによってエアマットで一番億劫な作業であるセッティングの手間と時間を大幅に削減してくれました。

逆流防止のエアバルブで空気の調節も簡単

径が大きくて注入・排出が非常にスムーズな逆流防止弁には中心部に指一本で空気の量を調節できるようになっており、簡単に固さを調節することが可能。空気を入れすぎてパンパンになってしまったエアマットも横になった状態で空気を調節できるため、ユーザーのベストな硬さに合わせることができます。

撤収の時にはバルブを開放することで一気に空気が抜け、あとは折り畳めばOK。付属のコンプレッションストラップを使えば収納袋に入れなくとも丸めた状態にできるため、収納袋すら削りたいカリカリのULハイカーにとって嬉しいソリューションでしょう。ちなみに、収納袋は7.7g、コンプレッションストラップは3.0gです。

まとめ:「軽さ」と「快適さ」を求めるハイカーにとってはまさに待望の一枚!

NEMO テンサー™ エリートを紹介しました。

3シーズンの使用であれば断熱性が高いマットは必要ありません。断熱性能はほどほどですが、極圏まで軽量化されたテンサー™ エリートは装備はULに、快適性は犠牲にしたくない人にとってまさに最適なスリーピングパッドといえます。以前はこのレベルの軽量エアマットとして、サーマレストのウーバーライトがありましたが、実力的にはそれに勝るとも劣らない力作。実質そのモデルが手に入らない現在、間違いなく超軽量3シーズンエアマットではこれ一択と言ってもいいかと思います。

長距離を歩く登山やハイキングでは睡眠の質は体力の回復において非常に重要です。ポケットサイズになるベッドを相棒に山へ冒険に出かけましょう!

Yosuke(ヨウスケ)

不便にならない程度に「できるだけ軽く」をモットーにバックパックひとつで行動する人。

春から秋にかけては山奥のイワナを追いかけて渓流へ釣りに。 地上からは見ることのできない絶景を求めて山を歩き。 焚火に癒されたくてキャンプ。 白銀の山で浮遊感を味わいにスノーボード。

20年以上アウトドアを嗜み、一年中アウトドアを自分流に楽しむフリーランスのライター。数十以上のアウトドア系WEB媒体での記事執筆経験をもとに、自身の経験や使ってみて良かった道具を発信していきます。

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