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ランに、スイムに、リラックスに
夏になると何かと便利なサンダル。何といっても軽くて素足のまま脱ぎ履きしやすく、濡れてもすぐに乾く。最近ではさらにソールもより堅牢・高グリップになって、長時間歩いても疲れにくいアウトドア向けモデルが当たり前になってきました。
海水浴やプールはもちろん、登山やキャンプ・BBQでのリラックスシューズとして、あるいは旅行に携行したり、日常生活でチョイ履きしたりなど、夏のあらゆるアクティブなシーンで大活躍してくれるサンダルですが、今回紹介するサロモンの新作シューズは、大雑把に言わせてもらえば「サンダルをサロモン流に進化させた」ようなユニークな靴です。
元々「スイムラン」と呼ばれる新種のアドベンチャーレースのために作られたランニングシューズですが、よくよく特徴を知ってみると履いてよし、走ってよし、泳いでよしの、夏のライトなアウトドアでなかなか使えるシロモノであることが分かりました。
そこで今回は、このサロモンのサンダル&ウォーターシューズラインナップのなかでもスタンダードモデルであるXA AMPHIBと、エントリーモデルのCROSSAMPHIBIAN SWIFTを試してみて、これまでにない特徴を備えた2足の魅力を紐解いていきたいと思います。
大まかな特徴
XA AMPHIBは、2人一組でトレイルランとオープンウォータースイムを途切れなく繰り返してゴールを目指す新しい競技「スイムラン」でのパフォーマンスを考慮して昨年開発・発売されたS/LAB XA AMPHIBを一般化したウォーターシューズ。軽量・柔軟なアッパーはあらゆる動きを妨げず、抜群の通気性・水抜けによって濡れても驚異的な速乾性を発揮。水中と陸上を行き来するアクティビティで常に快適・軽快に過ごすことができます。水辺でのトレイルランニングやアクアスロンなどの競技はもちろん、カヤックやラフティング、SUP、河原でのキャンプ、海水浴など、真夏のあらゆるアクティビティにフィットします。同ラインナップの最軽量モデルCROSSAMPHIBIAN SWIFTならさらにコンパクトにパッキングでき、夏のアウトドアだけでなく旅行でも重宝するマルチパーパスシューズとして使い勝手抜群の一足です。
おすすめポイント
- 軽量で柔軟なボディ
- 素足で履いても快適なアッパーとインソール
- 優れた排水システムによる通気性・速乾性
- 足裏感覚を掴みながら楽しく走れるアウトソール
- CROSSAMPHIBIAN SWIFTの使い勝手の良さ
気になったポイント
- 泥・苔生したトレイルでのグリップ力
- ややタイトなラストと浅いヒールカップ
主なスペックとOGZ独自評価
項目 | スペック・評価 | |
---|---|---|
アイテム名 | XA AMPHIB | CROSSAMPHIBIAN SWIFT |
重量 | 244g(258g 27cm片足実測) | 210g(208g 27cm片足実測) |
スタックハイト | 19mm/13mm (6mm ドロップ) | 19mm/13mm (6mm ドロップ) |
アッパー生地 | 排水ウィンドウ/スキンガード構造のTPU素材 | 速乾性と通気性を備えたメッシュ/砂よけメッシュ |
ソール | 湿潤牽引性 Contagrip®/シッピング | 湿潤牽引性 Contagrip®/シッピング |
快適性 | ★★★★★ | ★★★★☆ |
重量 | ★★★★☆ | ★★★★★ |
グリップ | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
プロテクション | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ |
安定性 | ★★★☆☆ | ★★☆☆☆ |
多用途性 | ★★★★★ | ★★★★★ |
総合点 | ★★★☆☆ | ★★★☆☆ |
詳細レビュー
軽量で柔軟なボディ
重量は公式244g(27cmで実測 258g)と、トレランシューズの中でも軽い部類に入り、持ってみて明らかに「軽い」と感じられる重さです。さらに特徴的なのは、それなりに厚みのあるソールでありながらもかなりの柔軟性があること。折りたたむとめちゃくちゃコンパクトになります(下写真)。
このためもちろん、いわゆる硬いシャンクの入った高反発なスピードシューズではありませんが、靴を履いているという違和感が少なく自然な履き心地が可能で、ベアフット系シューズのようにより裸足に近い感覚で装着することができます。
素足で履いても快適なアッパーとインソール
この柔らかさに加えて、相変わらず信頼性抜群のフィット技術が数々盛り込まれているため、素足で履いた時の心地よさ、フィット感は抜群です。正直、走るためよりも普段のリラックスのためにこのシューズを履いてもいいと思えるくらいでした。
優れた排水システムによる通気性・速乾性
アッパー素材には、何でもあのテニスメーカーのWilsonとテニスシューズを共同開発した際に開発された技術が活用されたTPU素材のメッシュを採用。高い機動性と安定性を保ちながらも軽量・柔軟・高耐久を実現し、水抜けと走りの安定性を両立しています。
そしてここがこのシューズの最大の特徴。細かく水抜き穴の開いた樹脂のような表面とメッシュが組み合わさったアッパーは見た目通り抜群の通気性と水抜けを可能にし、保水性もほとんどないため陸に上がるとあっという間に乾いてくれます。
もちろん普通のサンダルであれば水抜けなんて関係ないのでしょう。ただアッパー全体をしっかりと保護してくれている「安心感」と普通に走れるという「機動性」は、サンダルはもちろん、これまでのウォーターシューズにすらなかったメリットです。
実際に通常のトレイルランニングシューズと今回の2モデルを水に浸して前後の重量を比較してみます(下写真)。上段が水に浸す前、下段が浸した後ですが、保水具合は真ん中のXA AMPHIBが最も低く、比較としたSENSE RIDEの約1/2程度。いかに水を吸わない(=疎水性が高い)シューズかということが分かります。
足裏感覚を掴みながら楽しく走れるアウトソール
ソールの厚さはかかと19mm、前足部13mmと厚くもなく薄くもなく。ソール全体の柔軟性も相まって、意外と地面の凹凸を直に感じられ、裸足感覚の心地よさがあります。キャンプや日常でもシンプルに履いていて気持ちがいい。ドロップも6mm程度なので、かかとのクッションもある程度ありながら、フォアフットっぽいナチュラルなランニングが可能な構成といえます。
CROSSAMPHIBIAN SWIFTの使い勝手の良さ
XA AMPHIBの弟分であるCROSSAMPHIBIAN SWIFTは、ソールは同じながらもアッパーの構造がよりライトになり価格を抑えたエントリーモデル。本気で走ることを考えなければ、使い勝手はこちらの方がよいかもしれない。
サンダルというよりもウォーターシューズにより近いボディは、さらに軽いことに加えて下写真のようにかかとを惜しげもなくつぶして履け、これが超絶便利。めちゃくちゃコンパクトにパッキングできるのでアウトドアだけでなく、旅行でのサブシューズとして気軽にカバンへ詰め込んでしまうことができます。
気になったポイント
泥・苔生したトレイルでのグリップ力
水の中でのグリップは問題なかったのですが、やはり本気でトレイルを走ろうと思うともう少しタフな地形(湿った)でも安心できるグリップ性能が欲しくなります。まぁ、その辺は同ラインナップにおけるハイエンドモデルで、最高クラスのグリップ力を誇るPremium Wet Traction Contagrip®を採用したS/LAB XA AMPHIBを履けっていう話になるのですが。
ややタイトなラストと浅いヒールカップ
スイムも考慮したシューズゆえ、靴全体は水中で脱げにくいようにタイトなフィット感、さらに泳ぎやすいようにヒールカップがやや浅い作りになっています。これが人によっては違和感を感じるかも。ただヒールカップが浅いとしても甲部分の締め付けによって脱げやすいということはないのですが、走りの安定感としては(トレランシューズに比べれば)相対的に高くはないという印象です。ただ、もちろんサンダルとして考えれば走りやすさは格別なので、その辺りはいろいろなサンダルで走ったことのあるランナーの印象では違うかもしれません。
まとめ:こんな人におすすめ
ランニングシューズのもつ機動力と安定性、サンダルのもつ水際性能と気軽さを兼ね備えたXA AMPHIBとCROSSAMPHIBIAN SWIFTは、スイムランというニッチな活動だけに使うには勿体なさすぎる汎用性を備えたシューズといえます。ランニングシューズとしてのガチな性能は控えめですが、その分価格も手ごろになり、スイムやランからウォータースポーツ・キャンプ・普段使いまで、夏のあらゆるシーンに活躍する準備が整っています。
夏はやっぱり素足でいたい、とはいえサンダルではなくシューズのスタイルと快適さ、安心感が欲しい。そんな夏のシーンは案外と多いもの。最近のアウトドア系サンダルはモノがいいのは確かですが、価格もそれなりであることも否めません。これから夏本番にかけてウォータースポーツにチャレンジしたい人だけでなく、使えるサンダルを探していた人も、選択肢に入れてみてはいかが?
製品の詳細について、また問い合わせ等はSALOMON公式サイトをあわせてご確認ください。