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【完全にナメてた…】Sockwell(ソックウェル)着圧ソックスレビュー:思った以上にアリだった「着圧ハイソックス」。いろいろなタイプを試してアウトドアにおすすめのモデルを探してみた

目一杯長い距離を歩いた日のテントでパンパンになった足が気になりすぎて寝付けず、バックパックの上に足を乗せた状態でようやく眠れたという経験はありますか?ぼくはあります。

一日中荷物を背負って歩く登山やハイキングはもちろん、長い立ち仕事の後や一日中デスクワークで座りっぱなしだったときなどは、このようにどうしても足はむくんでしまいがちです。本来であれば、ふくらはぎの筋肉は血液や水分の循環を促進するポンプの役割を果たし、下半身にたまった血液や水分を体中に巡らせてくれるのですが、長い時間酷使して疲れた下半身はその機能が低下してしまい、結果としてたまった老廃物や水分を送り出すことができず、ふくらはぎがパンパンにむくんでしまうといいます。

そうならないための対策としては、もちろん足を鍛えて筋力を上げることが何よりも重要ですが、同時に対策できるのが、コンプレッション(着圧)効果のある靴下を履くことです。足のむくみや冷えの防止などに効果を発揮するのが「着圧ソックス」。着圧ソックスはふくらはぎなどを適度に加圧することで、その症状を改善したり軽減したりすることができます。

そんな着圧ソックスは現在のところ一般的な山道具専門店にはあまり見かけないのですが、実は数年前に北米の展示会「Outdoor Retailer(アウトドア リテイラー)」で出会ったアメリカのソックスメーカー「Sockwell」は、カジュアルな用途だけでなく本格アウトドアでも十分に応えられる品質のモデルがいくつかあるのを知ったのは最近のこと。

自分でも試したことがない分けではなかったのですが、今回メーカーからいくつかの他の種類も合わせていろいろなモデルを使わせてもらう機会をもらったので、その着圧ソックスの効果や、ラインナップやタイプごとの違いなどを試してみようと思います。

日常に溶け込むデザイン性の高さとアウトドアにも使える機能性を兼ね備えたソックウェルの靴下。

Sockwell 着圧ソックスの主な特徴

お気に入りポイント

気になるポイント

主なスペックと評価

アイテム名 中着圧 [SW27M] TWILLFUL Mens 高着圧 [SW4M]ELEVATION Mens アウトドア [SW78M]STAMPEDE CREW Mens (参考)アウトドア [CT37M] Ascend II OTC Mens
実測重量(g) 76 97 69
生地・素材 メリノウール32%・バンブーレーヨン31%・ストレッチナイロン32%・スパンデックス5% メリノウール31%・バンブーレーヨン31%・ストレッチナイロン30%・スパンデックス8% メリノウール41%・ナイロン39%・アルパカ14%・スパンデックス6% メリノウール41%・ナイロン39%・アルパカ14%・スパンデックス6%
原産国 USA USA USA USA
着圧度 中圧力 15-20mmHg 高圧力 20-30mmHg 中圧力 15-20mmHg 中圧力 15-20mmHg
ロング(膝下) ロング(膝下) ミドル(脛の中間あたり) ロング(膝下)
評価
重量 ★★★☆☆ ★★★☆☆ ★★★☆☆ ★★☆☆☆
快適性 ★★★★☆ ★★★★☆ ★★★★★ ★★★★★
保温性 ★★★☆☆ ★★★☆☆ ★★★★☆ ★★★★★
サポート力 ★★★☆☆ ★★★☆☆ ★★★★☆ ★★★★☆
着圧効果 ★★★★☆ ★★★★★ ★★★☆☆ ★★★★☆
クッション性 ★★★☆☆ ★★★☆☆ ★★★★☆ ★★★★☆
通気速乾性 ★★★☆☆ ★★★☆☆ ★★☆☆☆ ★★☆☆☆
耐久性 ★★★☆☆ ★★★☆☆ ★★★☆☆ ★★★☆☆
ハイキングおすすめ度 ★★★☆☆ ★★★★☆ ★★★☆☆ ★★★★☆

★★★★★素晴らしい/★★★★よい/★★★悪くない/★★良くはない/★ちょっと厳しい

詳細レビュー

まずは多様なバリエーションの中から、自分にピッタリの着圧ソックスを選ぶ

Sockwell(ソックウェル)着圧ソックスは「メリノウールをはじめとした天然素材」と「コンプレッション機能」を特徴とするソックウェルの人気ソックスシリーズ。

健康維持や継続的な使用における足のケア・リカバリーに非常に高い効果があることが認められたことを示す「全米足病医学協会(APMA)認証」を受けているというコンプレッションソックスは、足首から膝に向かって段階的に着圧をコントロールし、筋肉の無駄な揺れを抑えて活動時の足への負荷を軽減。ふくらはぎの筋肉の収縮をサポートし、ダメージや疲労を軽減するなどのケア・リカバリー効果も得られるといいます。

メイン素材であるメリノウールは天然の吸放湿性、防臭性、快適性に優れた、1年を通じてアウトドアの過酷な状況でも蒸れにくく快適な足周り環境を提供。ちなみにソックウェルは羊毛の調達から製造まですべてをアメリカ国内で行い、混紡している化繊素材もアメリカ製のRepreve®リサイクルナイロンに移行しており、2021年末までにナイロンの総使用量の80%をリサイクルナイロンに変換することを目標とするなどエシカルでサステナブルな活動をベースとしています。

アウトドアによさそうなのは、シーンを選ばず使いやすい「ライフスタイル」とより本格アウトドアに強い「アウトドア」の2種類

自分が数年前にソックウェルのコンプレッションソックスに注目した際、登山・ハイキング向けという理由で深く考えず「アウトドア」シリーズを自腹購入して使っていました。ただ今回コンタクトいただいたメーカーの方からは「ライフスタイルシリーズも十分アウトドアにイケますよ」といったアドバイスをもらい、ハイキングにおすすめなのは一体どちらなのか?自分なりに調査して納得したいという欲望にかられ、それならばと今回は「アウトドアシリーズ」と「ライフスタイルシリーズ」両方使ってみてまとめてレビューしてみることにしました。

ただ、実際に調べてみるとこうしたシリーズの違いは、ソックウェルのコンプレッションソックス選びのほんの入り口でしかなく、そこにはさらに深く広いバリエーションの違いが存在していることが分かりました。このためしっかりと評価して最適モデルを探るには、それらのタイプの違いを知ることが必要です。

ともあれまずはこのシリーズによる違いから見ていきます。両シリーズの基本的な構成は同じですが、細かい点で想定するシーンによる違いがあります。主な違いは以下の2点に集約されます。

まず素材について、「ライフスタイル着圧」シリーズはメリノウールに光沢・柔らかさ・通気性を備えたバンブー(竹)をブレンドしています。これは日常含めてまんべんなく気持ちよく履ける快適さを考慮したチョイス。一方「アウトドア」シリーズはより高い温・湿度調整機能と防臭効果、柔らかさをプラスしたアルパカ繊維をブレンドしており基本的により厚手の生地となっています。こちらはメリノウールの機能性をよりパワーアップすることで幅広い環境変化に対応し、寒さにも強くという配慮がみてとれます。どちらもこれらに加えてナイロンとスパンデックスをブレンドし、必要な強度や伸縮性が付加されています。

またクッション・サポート機能の有無については「ライフスタイル着圧」は日常でのリラックスしたシーンも想定して土踏まずを引き上げるアーチサポートや足底のクッションがまったくない分けではないけど弱め(ウルトラライトクッション)なのに対し、「アウトドア」シリーズは強いストレスと大きな荷重に対応するためはっきりと感じられる程度にサポート・クッション機能が備わっている(ミディアムまたはフルクッション)という違いがあります。

クッションは薄めのライフスタイルシリーズ(左)と中程度のクッション・サポートを備えたアウトドアシリーズ(右)

シリーズによってソックス丈の長さや着圧力の強さも選べる

さらに、「ライフスタイル着圧」シリーズでは着圧の効果の強さの違う「中圧力・高圧力」の2タイプがあります。「よりしっかりと着圧を感じたい」なら高圧力を選ぶとなっていますが、そもそも試してみるまでは自分がどれくらいの着圧力を求めているのか分かりません。ということで今回は高圧力・中圧力どちらも試してみることにしました。ちなみに「アウトドア」シリーズには現在中圧力一択のようですので、ここで迷う必要はありません。

ライフスタイルシリーズにはふくらはぎの圧力の強さで「中圧力」「高圧力」の2種類がある。

そして最後にソックス丈ですが、「ライフスタイル着圧」シリーズの方が膝のすぐ下まである「ロング」丈ほぼ一択に対し、「アウトドア」シリーズの現在のラインナップではロング丈に加えて脛の上部までの「ミドル(いわゆるクルー丈)」の2種類から選べるようです。理想をいえばすべてのパターンを試してみたかったのですが、さすがにそこまでの物理的余裕はなく、ライフスタイル着圧の方がほとんどロング丈であること、アウトドアに関しては現在手元にあった「ミディアム丈/中圧力」があったことから、今回の試着は「ライフスタイル/ロング/中圧力」「ライフスタイル/ロング/高圧力」「アウトドア/ミドル/中圧力」の3種類を比べてみることにします。

今回は提供品のライフスタイルシリーズ2種(中・高圧力)と自前のアウトドアシリーズ(ミディアム丈・中圧力)の3種類を実際に履き比べ。

実際履き比べてみた ~履き心地・快適性~

ソックウェルが使用しているメリノウールは、ロッキーマウンテンで自由放牧した羊毛、しかもソックス用の糸としてはかなり細いといわれている20ミクロンの繊維を使用しているとか。足を通してみて、何よりもまず3モデルとも上質なメリノウールの作り出す心地よい肌触りにホッとします。化繊にあるようなギシギシとした感覚はではなく、しっとりと滑らかでほんのり暖かい風合いは季節を問わず安定した快適さを提供してくれます。フラットな縫い目によってつま先のゴロつき感もまったくなし。

縫製はとても丁寧で、縫い目のゴロつきは皆無。着圧以前にフィット感は抜群だ。

3つのモデルを履き比べてみると、ライフスタイル着圧シリーズの方はバンブー(竹)がブレンドされていることからくるドライで爽やかな触感がより強く感じられ、通気性もよくちょうど真夏という時期あったにもかかわらず、平地でも多少我慢すれば暑すぎて履けないということがありませんでした。一方でアウトドアの方はアルパカがブレンドされています。メリノウールとよく似た繊維構造であるアルパカは、ウールよりもスケールと呼ばれる表面のうろこが少ないため、よりしっとりと滑らかで心地よい肌触りが感じられました。ただ密に編まれて厚みもあるため保温性は明らかに高く、真夏の下界では厳しいかなと。とはいえ、ウールの天然の調温機能によってベースとしての快適性は備えており、いくら暑いからといっても靴の中が汗まみれになるような惨事には決してならないのがウールのいいところ。しかも臭いの元になる最近の繁殖を抑えてくれるため、どれだけ長時間履いてもずっと清潔です。

荷物を背負って歩いてみると、やはりクッション性の高いアウトドアタイプは厚みを増したかかとのクッションによって衝撃吸収性は高く重荷をもって歩くような登山でも不安なく履ける印象でした。また足の底から土踏まずを引き上げるようにサポートが働き、アーチサポートもしっかり効いています。ただ、ライフスタイル着圧シリーズがまったくペラペラで話にならないわけでもなく、足全体をズレずに包み込み、多少のクッションも有しています。ローカットシューズで軽い荷物のウォーキングやハイキングまでならばむしろちょうどいいくらいでしょう。参考までに、日帰りの岩場の多いルートで5kg程度の荷物を背負って登山しましたが、その時はライフスタイル着圧シリーズで十分でした。

写真には見えていないが、パンツの下には2種類の着圧ソックスを履き比べている。

着圧ソックスの威力は? ~実際に走って感じたクッション・サポート・疲れにくさ~

さて注目の「着圧」効果について実際に歩いてみての印象ですが、実は想像と実際のギャップが一番大きかったのがこの部分でした。

その要因のひとつに、自分がこれまで試してきた着圧ソックスがクルー丈(脛中間あたり)までだったということが大きいかもしれません。実際以前から所有していたアウトドアシリーズのミドル丈ソックスでは、確かに着圧は感じたものの、そこまでのサポート感や疲労軽減感は正直なところ感じなかったからです。ところが、今回初めて履いてみたロング丈のコンプレッションソックス(ライフスタイル着圧)では、コンプレッションソックスのメリットがかなりはっきりと感じられます。

その前にひとつ覚悟しておきたいのは、コンプレッションソックスは履くときが大変。ハイソックスの場合は特に丈が長いので足首から先がなかなか履けません。靴下の口から足首までをまとめてグイっとまず足を通さないと、履くのはほぼ不可能です。慣れるまでは引っ張りすぎて破れないかと思う程強く引っ張って履きますが、それでも何ともないのは逆に生地の耐久性もしっかりしているということでもあります。

着圧のハイソックスは履くのが何気に大変。ある程度まとめてまず足を通してから脛部分を上げて履いていくのがコツ。

まず履いた瞬間から感じられたのは、テーピングを巻いたかのようにふくらはぎをがっちりと支えてくれる感覚。ふくらはぎを加圧することで筋肉の無駄な揺れを抑え、足への負荷を軽減してくれるということのようですが、それがこんなにも歩行に安定感を与えてくれるとは思ってもいませんでした。このはっきりとした歩き(走り)やすさは、ハイソックスでないとここまではっきりとは味わえません。

高圧力の着圧ソックスははじめこそ窮屈な感じがしたが、今ではこれくらいないと物足りないくらい。登山のようなハードな運動には特に強すぎるということはないだろう。

締め付け具合について、中圧力・高圧力どちらも試してみましたが、そこまで強い圧力は感じられず、高圧力の方も強いなと感じたのは最初の1回だけで、それ以降はむしろしっかり長く動く前提であれば高圧力くらいの方が効き目が感じられる気がします。もちろん好みにもよりますが、圧力を加えられているのがふくらはぎ部分だけなので、例えば着圧タイツなどに比べれば圧迫感も少なく、個人的にはこちらの方が長く着続けられる気がします。

中・高圧力を履き比べてみたが、どちらもしっかりと着圧効果は感じられ、個人的にはそこまで大きな差はないと感じた。

もうひとつの驚きは、むくみ防止をはじめとした疲労軽減効果。これもハイソックスでふくらはぎ全体を加圧したことでこれまで以上に実感できました。

心臓から一番遠くて低い位置にある足周りは、どうしても血流が悪くなりがちです。だからこそふくらはぎの筋肉が収縮することによって足に滞っている血液を心臓の方へと押し戻す重要な役割を担っており、ふくらはぎが「第二の心臓」とも呼ばれる所以です。このふくらはぎの収縮を助けてくれるのがソックウェルの「段階着圧」というわけです。全米足病医学協会(APMA)認証を受けた適切な段階着圧は、筋肉の働きを助け、パフォーマンスを向上してくれるだけでなく、ダメージを軽減(疲れにくく)してくれるといいます。

果たして、日帰りの登山をそれぞれで1回ずつ、途中で履き替えたりして比較しながらの登山を1回ほどしてみたのですが、(もちろん疲労はありますが)普段なら感じるはずの足のむくみや疲労感、重たい感覚は確かに少なく、ソックスを脱いでみると歩く前の通常時に近い状態で、何とも不思議な感覚です。

なお試しに「片足をコンプレッション効果のないアンクル丈のソックス」「もう片足をロング丈のコンプレッションソックス」歩いてみたところ、行動中の安定感などは当然左右で大きく差を感じることができたものの、さすがに左右で疲労感に大きな差を感じるほどの差は感じられませんでした。着圧による疲労軽減効果はそんな単純なものでもないらしい。

試しに「片足をアンクル丈のソックス」「もう片足をロング丈のコンプレッションソックス」歩いてみましたが、右足はくっきりとソックス跡が残っているのが分かる。

まとめ:登山に着圧ソックスは個人的にかなりアリ。その時は何はともあれ「ロング丈」がおすすめ

今回の試用での発見は何より「ロング丈コンプレッションソックス」のインパクトです。クルー丈のコンプレッションソックスを試していたときには、鈍感な自分にとっては正直「こんなものかぁ」程度の印象しかなかったのですが、ハイソックス×高圧力のモデルを履いて山を歩いてその印象はさらに大きく変わりました。これはこれまでになく気持ちいいし、疲れない、と。加えてソックウェルの場合、ただ着圧効果のあるソックスというだけでなく、上質で快適な天然素材をはじめサステナブルな素材使いと、あか抜けたデザイン、丁寧な縫製と、ソックスとしての質もめちゃくちゃ高いというのも非常にポイント高しなのです。

最後にそれを踏まえて、今回感じたその他の要素に関してのシーン別おすすめをまとめておきます。

着圧に関しては正直好みもあると思うのですが、丸一日の登山は思ったよりもハードな運動であることを考えると、ソックウェルの高圧力は決して強すぎるというレベルではないと感じました。フルに歩く日帰りルートや泊りの登山をやるというような自分くらいのそこそこ登山者なら、可能な限り「高圧力」を選んで問題ないと思います。逆にそこまでハードに追い込まない、日常使用+キャンプや半日ハイク程度であれば中圧力がちょうどいいでしょう。

サポート・クッションに関しては、メーカーの方が言ったように登山するなら必ず高クッションでなければならないということもなく、軽い荷物で歩くならライフスタイルシリーズでも全然いけるとは思いました。つまりは靴下にどれくらいの荷重をかけるか(+好み)によるといえます。体重も荷物も軽い、足裏感覚を大切にしたいならば「ウルトラライトクッション」で十分なケースが多いでしょうし、大柄な人や重荷を背負う人、より柔らかい接地感が好きな人は「ミディアム・フルクッション」などできる限り高クッションのモデルを選ぶといいでしょう。またこれらのクッション性の高いモデルは厚みが増しているので、当然秋冬向けなどできるだけ暖かいものを望んでいる人にもおすすめです。

ちなみに個人的に今回のテストの結果、これからの秋冬アウトドアに向けて今一番履きたいのはアウトドアシリーズのハイソックス/中圧力/ミディアムクッションの[CT37M] Ascend II OTC Mens です。上質な快適さとデザイン性、そして機能性を備え、古さと新しさを融合したモダンなアウトドア・ソックス、まだ体験したことがないという人はぜひ。

「Sockwell 着圧ソックス」の詳細と購入について

ソックウェルの最新製品情報や、各製品の詳細については「Sockwell 公式サイト」をご覧ください。

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