サイトアイコン Outdoor Gearzine "アウトドアギアジン"

山好きが毎日の相棒にThuleの「Paramount Bike Commute」バックパックを選んでしまう理由:フィールドで培った知恵が息づく、スタイルと機能を兼ね備えたサイクル・コミューター・バックパック

Thule(スーリー)と言えば、スタイリッシュで都会的なライフスタイル・バッグメーカーとして日本では主に認知されているかもしれません。

ただ、Outdoor Gearzine にとっての「スーリー」は単なるバッグメーカーではありません。10年ほど前にアウトドア向けバックパックをリリースして以来、20kg を越える荷物での縦走登山から、過酷な撮影現場での機材運搬、そして大量のカタログ資料やカメラを背負っての慌ただしい展示会巡り―—。僕はこの10年あらゆるシーンでさまざまなスーリーのバックパックを使い倒し、そのたびにその品質の高さと進化を肌で感じてきました。

「デザインが良いのは当たり前。ただそれ以上に『壊れない・ストレスない・裏切らない』」それがスーリーの良さでした。

そんな僕が、今シーズン新たに出会って毎日の生活に欠かせなくなったバックパックが、「Paramount Bike Commute Backpack 20L」です。一見すると洗練されたアーバンな自転車乗り向けのコミューターパックですが、その裏側に隠されているのは、我々が山岳用パックに求めるような「究極のフィッティング」や「過酷な使用に耐えうる堅牢性」「煩わしさを最小化するスマートな機能性」という、極めてテクニカルな思想でした。

今回はそんな「Thuleらしさ」と「アウトドアらしさ」の両方を知るOutdoor Gearzine がこの春から使ってきて、この革新的なコミューターバッグの真価を紐解いていきたいと思います。

Thule「Paramount Bike Commute Backpack」の主な特徴

Thule Paramount Bike Commute Backpack は、スタイリッシュでモダンな外観と、安全で快適に街を移動するために必要な実用性、耐久性を備えた、汎用性の高いサイクリスト向けバックパック。さまざまな体型へのサイズ調節機能をはじめ、パッド入りのショルダーストラップ、通気性の良い背面パネル、そして走行中の安定性を向上させる胸部・ウエストストラップなど、登山などの厳しいアクティビティで採用されている背面システムを備え、自転車・徒歩移動での非常に優れた快適さを提供します。ロールトップ式のデザインは容量の拡張・圧縮を可能にし、丈夫で撥水加工された生地と溶接された縫い目により、雨天時でも中の荷物を濡らさず移動することができます。衝撃に強いパッド入りのラップトップスリーブとタブレット保護ポケット、出し入れしやすいサイドジッパーやモバイル用ポケットなど便利な収納も多数備え、通勤・通学にも最適。反射板や着脱可能なヘルメット・ライティングアタッチメントなど、サイクリストのニーズに応える収納も充実。用途に合わせて20Lと28Lサイズを用意し、荷物の多少に限らず日常を快適・便利・安全に過ごすために最適なサイクルコミューター用バックパックです。

お気に入りポイント

気になるポイント

主なスペックと評価

アイテム名 Thule Paramount Bike Commute Backpack (20 / 28 L)
容量
  • 約20L
  • 約28L
実測重量
  • 約1.1kg (20L)
  • 約1.35kg (28L)
素材 420Dナイロン
カラー Black、Soft Green、Nutria
女性モデル ユニセックス
背面長調節
ノートPC用スリーブ
メインアクセス
  • ロールトップ方式(20L)
  • フラップ方式(28L)
レインカバー
  • ×(20L)
  • ○(28L)
ポケット・アタッチメント・パーツ類
  • ロールトップ式のメイン収納
  • サイドジッパーでバッグの奥の中身に素早くアクセス可能
  • ライディングポジションのまま片手でアクセスできるスマートフォン用ポケット
  • サイクルロックやグローブ、レインジャケットなどの収納に便利な、素早くアクセスできるフロントポケット
  • ドリンクボトル用の大型サイドポケット
  • 身の回り品や仕事の必需品の収納に便利なキーリングとインナーポケット付きサイドジッパーポケット
  • 上部に小物収納に便利なジッパー付きポケット(28Lのみ)
  • 最大16インチのラップトップと最大11インチのタブレットを保護するフローティングパッド
  • フロントポケット部分に着脱可能なヘルメット用ドローコード
  • サイクル用ライトループと反射材のディテール
  • 取り外し可能なウエストストラップ
  • スタイリッシュな全面反射コーティング付きレインカバー(28Lのみ)
Outdoor Gearzine評価
快適性 ★★★★★
安定性 ★★★★☆
収納性 ★★★★☆
機能性(使いやすさ) ★★★★★
耐久性・耐候性 ★★★★★
重量 ★★★☆☆
汎用性 ★★★★★

詳細レビュー

堅牢性と耐候性:山岳スペックの丈夫で雨にも強い生地

登山で使うバックパックにとって耐久性が重要であることはすぐに分かりますが、実際には毎日使うバックパックとてそれは同じ。日常用のモデルは瞬間的な厳しさこそ少なかったとしても、毎日、何度も何時間も使い続けるわけですから、蓄積されるダメージで言えば大して変わりません。その意味では毎日のバックパックだからこそ、生地の丈夫さ、作りの確かさも大切な要素です。

Paramount Bike Commute Backpack のメインに採用された420Dナイロンは、基本的には岩場での擦れにも耐えうるアルパインパックに近い剛性を持っています。ちょっとひっかけたくらいではびくともしないほど、摩擦や突き刺し、引っ掻きに対して強さを感じました。

また最もダメージを受けやすい底部には強力なコーティングを施した生地を採用し、高い撥水性も実現。雨の日の自転車でもよく使ってみましたが、中身に影響がある日はまったくありませんでした。濡れたアスファルトや泥の上でも躊躇なく置けるタフさはまさに「道具」としての矜持を感じます。しかもこれらの素材は人々や環境への配慮に関する厳しい国際基準である「Bluesign®認証」を取得しています。

ちなみに28Lサイズにはさらにレインカバーが付属し、最悪の天候でも雨を完全に防ぎ、反射コーティングによって暗くなってからも優れた視認性を発揮します。

フィッティングと安定感:日常向けとしては考えられないほど微妙な調節が可能な高いレベルのフィッティング性能

ここが最もアウトドア好きとして心を掴まれたポイントかもしれません。このバックパックには登山用ザックとしても十分と言えるほどの、体型に合わせたサイズ調節機能が備わっていました。これによって、このクラスの小型リュックではともすれば省略されがちな背面長調整機能により、パーソナライズされた「正しいフィッティング」が可能です。

さらにはショルダーストラップの根元に搭載されたロードリフターストラップによって、バックパックとストラップを引き付けておくことができます(これも登山用バックパックでは常識)。重いノートPCや周辺機器を詰め込んでも、荷物が後・下方に引っ張られたり、重心がブレたりしにくくなっていました。

自分の体型に合わせてハーネス位置をミリ単位で正しくフィッティングされることで、荷重が分散・最適化され、さらに胸とウエストの着脱式ストラップで固定まですれば、荷物が満杯の時や長時間のライドでも疲れ知らず。自転車のペダリング時や急ぎ足の際も、パックが体の一部になったかのような一体感です。

快適な背負い心地:衝撃を吸収し熱を逃がす背面・ショルダーパッド

背面パネルには、衝撃を吸収し空気の流れを促す立体的なパッドを採用。高負荷のライディングや暑い日の通勤時でも、背中のムレを効率的に逃がします。この「不快指数を上げない」設計も、発汗の多い長時間の行動を前提とする登山用バックパックのノウハウが色濃く反映されていました。

収納性と使い勝手:細部まで使い勝手が考慮された収納類

拡張・圧縮しやすいロールトップ式メイン収納(20Lモデル)

荷物が増えれば拡張し、少なければ絞り込む。今回試した20Lモデルのロールトップ式メイン収納は、防水性と容量の可変性を両立させる、登山における最も合理的かつオーソドックスなスタイルの一つです。

メインコンパートメントへのサイドアクセスジッパー上下両方から開くことができ、わざわざロールトップを解く手間を省きます。ロールトップ式の弱点を上手く補完するこのそつのなさも、僕がスーリーをお気に入りにする理由のひとつです。

ノートPC収納も一筋縄ではいかない神仕様

内部には最大16インチのノートPC、タブレットを収納するスリーブとカード類などの小物を入れるメッシュポケットが配置。特にノートPCスリーブは、バッグの底から数センチ浮いた状態(SafeEdge構造)で固定されているので、バッグをドサッと地面に置いた際、中のPCが直接衝撃を受けることがありません。この「万が一」までも想定した配慮はさすがカメラバッグまで手掛けるスーリーならではといえます。※下画像は公式から引用。

その他日常使いからサイクリストまで納得の収納

正面向かって右サイドにはドリンクボトルがすっぽりとおさまる深めのマチつきポケット。左サイドには内部がペンやキー、モバイルバッテリーやカード類等を小分けできる仕様になったジッパーポケット。短めの折り畳み傘を入れておくこともできます。

フロントには素早く出し入れ可能なフリップ式の深めのポケットが配置され、サイクルロックやグローブ、財布、レインジャケットなどの収納に便利です。

またここには着脱式のドローコードをセットすることができ、ヘルメットやレインジャケットなどを固定することもできます。

底面のループにはライトを固定しておくことができます。パック自体にもリフレクターが施されているので、夜間の運転での危険を軽減してくれます。

最後は僕が最も膝を叩いた便利なスマートフォン用ポケット。ライディングポジションのままでも片手で出し入れができる絶妙な位置(右腰あたり)に配置されたベルクロ式のポケットにはスマートフォンがちょうどおさまるサイズ(下写真左)。ワイヤレスイヤホンなんかをここに入れるのも便利でした(下写真右)。最近の大きくなったスマホはポケットに入れるとどうしてもゴツくてストレスだったのですが、こいつがそのイライラを見事に解消してくれました。ただ僕の6.8インチの大型スマホにカバーをかぶせると、大きさ的にはギリギリ。もう少し深ければ最高です。

10年来の愛用者としてどうしても言いたい「惜しい」ポイント

10年来のファンとして、あえて「もっとこうであれば完璧だった」という点も言わせもらうと、PCスリーブがロールトップの開口部からしかアクセスできない点は少し気になりました。以前使用していた前モデル (?) にはあったパック上部のジッパーアクセスがなくなってしまったのが惜しいところです。細部まで突き詰められた収納は素晴らしいのですが、カフェでサッとPCを出したい時、空港のセキュリティチェックで素早く出し入れしたい時、サイドジッパーから直接スリーブに手が届けば、より「現代のコミューター」として隙のない逸品になった気がします。

まとめ:「本当にいいものを、長く使いたい」というアウトドア好きの毎日を支える相棒

不満点を差し引いても、このバックパックが持つ「フィッティングの精度」と「圧倒的な堅牢性」は、他ブランドの追随を許しません。そして前作からさらに進化した収納類も数多く追加され、ますます今の生活に寄り添った実用性を備えるようになりました。それらを総合して考えると、これこそスーリーが長年培ってきた「運ぶ」ことへの誇りとプライドが自転車通勤という大切な日々のなかで見事に結実したアイテム。山を知る者が街で選ぶべきは、ファッションとしてのリュックではなく、本当に(使って)いいものであり、信頼して長く使えるもの、つまりこの「Paramount Bike Commute」のようなんじゃないかとしみじみ思うわけです。

モバイルバージョンを終了