テント泊装備が十分に入り、フィット感が高く背負い心地が良く、多機能でありながら軽量なバックパック。そんな理想を押し込んだようなバックパックを見つけてしまいましたので紹介します。
THE NORTH FACEの新作バックパックSUM 45は軽量でフィット感が高く、背負い心地の良いトレッキングパックで、登山やファストハイク、渓流釣りなどマルチに活躍してくれます。機能面もよかったですが、非常にユニークでスポーティなデザインでありながら、故障のしにくいクラシックな構造になっていたり。とにかくおもしろいバックパックでした。
THE NORTH FACE SUM 45の主な特徴
THE NORTH FACEのSUM 45(サム45)は、疎水性、速乾性、視認性に優れたモノメッシュと、取り外し可能な防水パックライナー(IPX4)を組み合わせた二重構造で、濡れに対する強さを追求したフレームレスのバックパックです。
荷物量に合わせてサイドとトップの2通りの固定が可能なロールトップ式クロージャーを採用し、47L(L-XLサイズ)の容量はテント泊登山にも対応可能。本体重量はS-Mサイズが約940g、L-XLサイズでも約995gで、荷重分散を可能にするウエストハーネスや、スムーズに着脱できる二段構造のマグネット式チェストストラップ、体に引き寄せるためのロードリフターにより、バックパックを安定させて荷重を効率よく分散して背負うことができます。
左右ショルダーハーネスの取り外し可能なボトルポケットやウエストハーネスのポケットに加え、ショルダーハーネス付け根のデッドスペースにもポケットが配置されており、背負ったまま必要なものを取り出すことが可能です。
モノメッシュにより内部の視認性が高く、外からでも収納物を把握できるほか、内部に収納するスタッフサックの色を変えるだけでパックの印象も変わり、中身の見せ方でオリジナルのパッキングを楽しめるバックパックです。
お気に入りポイント
- モノメッシュ素材と使うことで「中身が見える」ユニークなデザイン、視認性の高さ
- フレームレスなのに非常に高いフィット感
- ウエストベルトの位置を変更することで背面長が調整できる構造
- ワンタッチで装着可能なチェストベルト
- 波型の背面パッドによる汗だまりのしにくさ
- 1泊から長期山行に対応できる容量
- 背負ったままでアクセス可能な各ポケット
- デイジーチェーン構造による汎用性の高さ
- 標準装備のバンジーコードにトップベルトによる拡張性の高さ
気になったポイント
- 45リットルサイズの場合、容量に対してショルダー・ウエストハーネスのパッドは薄め。このため肩・腰への負担がやや大きい。ただ、同シリーズの35リットル以下サイズであればこの懸念は解消されるように思う。
- とにかく快適な背負い心地が欲しい重荷の一般縦走や、過酷な環境でのクライミングなどタフな使い方をするアクティビティには不向き
- 良くも悪くも「透け透け」なため、好みが分かれる
主なスペックと評価
| 名前 | SUM 45 |
|---|---|
| 寸法 | S-M:H60×W25.5×D27cm、 L-XL:H64×W25.5×D27cm |
| 容量 | S-M:45L(パックライナー44L) L-XL:47L(パックライナー47L) |
| 重量 | S-M:約940g(本体 約770g、パックライナー 約170g) L-XL:約995g(本体 約820g、パックライナー 約175g) |
| 素材 | 本体:160Dナイロンモノメッシュ、210D Spectra リップストップナイロン パックライナー:70Dモノフィラメントリップストップナイロン |
| 機能 |
|
| 本体価格 (2026年08月現在) |
¥40,700(税込) |
| Outdoor Gearzine評価 | |
| 快適性 | ★★★★☆ |
| 安定性 | ★★★★★ |
| 収納性 | ★★★★☆ |
| 機能性 | ★★★★★ |
| 重量 | ★★★★☆ |
| 耐久性 | ★★★☆☆ |
| 汎用性・拡張性 | ★★★★☆ |
詳細レビュー
モノメッシュ素材と使うことで「見せる収納」的なユニークなデザイン、視認性の高さ
SUM 45はフロント、サイド、さらには背面までもがモノメッシュ構造になっており、バックパック内部が透けて見える仕様で、これまでの登山用バックパックにはなかった(自分の知る限り)非常にユニークなデザインをしています。
内部が見えるモノメッシュ仕様と聞くと水濡れが心配になりますが、この素材は疎水性・速乾性に優れており、多少の雨であれば中身が濡れるようなことはありません。実際、フィールドテストとして軽い雨の中で2時間ほど歩いてみましたが、内部へ水が浸入することはありませんでした。
モノメッシュ構造は見た目のユニークさだけでなく、バックパック内のどこに何が入っているかを外から把握できる「視認性の高さ」も大きなメリットです。用途別に分類した装備を色の異なるスタッフサックに入れておけば、必要なものを素早く取り出せます。さらに、収納するポーチやスタッフサックの色によってバックパック自体の印象も変わり、自分だけのパッキングを見せる楽しみ方も広がります。
標準装備のパックライナーを使えばさらに防水性を高められる
SUM 45は専用のパックライナーを標準装備しています。渓流釣りやカヌー、ライトな沢登りなどのウォーターアクティビティでは、このパックライナーを組み合わせることで、中身の防水性を高めたうえで水抜けの良いバックパックとして使うことが可能です。
また、本モデルの特徴である「中身を見せるパッキング」を控えたい場面でも、パックライナーを装着すれば単色のシンプルなバックパックとして使えます。好みや山行のスタイルに合わせて柔軟に使い方を選べるのが魅力です。
上半身に吸い付くような非常に高いフィット感。波型の背面パッドによる汗だまりのしにくさ
SUM 45は背面に波型のフォームが入っているだけのフレームレスなバックパックですが、実際にパッキングして背負ってみると、まるでフレームが入っているかのような優れた荷重分散性能力を実感できました。
背面のフォームには表裏で異なる素材が採用されており、背中に接する側は波型形状で汗が溜まりにくい構造です。一方、パックの内側に面する側はやや硬めでしっかりとしたフォーム素材になっており、これがフレームの役割を果たして荷重を適切に分散します。さらに、このフォームをバックパックにセットすると自然なアーチを描く設計になっており、背中にぴったりと沿うことで想像以上のフィット感を生み出しています。
ウエストベルトの位置を変更することで背面長が調整できるユニークな構造、ワンタッチで装着可能なチェストベルト
フレームレスのバックパックは背面長が調節できないモデルも多いですが、SUM 45はショルダーハーネスではなくウエストベルトの位置を変更することで、異なる体格に合わせてフィッティングを調整できる仕様になっています。
ウエストベルトは本体と同じモノメッシュ仕様ですが、腰に接する面の幅が広く設計されているため、しっかりと腰に荷重を分散できる構造です。クッションフォームが入っていないため、重荷を前提とした大型の登山用バックパックに比べれば耐荷重には限界があるものの、実際のフィールドテストで13時間を超える行動をした際にも、肩への負担を十分に軽減できたのは非常にありがたいポイントでした。
チェストストラップは2段構造になっており、マグネットで簡単に着脱できるバックルが採用されています。ランニングパックにも使われている仕様で、上下の位置調整がしやすく、片手でも素早く取り外すことが可能です。
マグネット式と聞いて行動中に意図せず外れてしまわないか懸念していましたが、両手両足を使う岩稜帯や鎖場が連続するようなタフな状況でも一度も外れることはなく、全く心配無用でした。
ウエストベルトやショルダーポケット、コンプレッションストラップはシンプルで壊れにくい構造
SUM 45は最先端を感じさせるデザインですが、各箇所の連結部には故障が起こりにくいシンプルで質実剛健な構造が採用されています。
位置調整が可能なウエストベルトは接続パーツを使わず、「返し」を引っかけることで抜けない仕組みになっており、この構造はウエストベルトだけでなく、左右ショルダーハーネスのポケットやサイドコンプレッションベルトなどにも幅広く採用されています。
マグネット式のチェストベルトと同様に外れることを懸念しましたが、こちらも心配無用、外れることなく使用できました。
1泊から長期山行に対応できる容量
容量が45L(L-XLサイズは47L)のSUM 45は、軽量な装備で揃えればテント泊装備を担いだ2泊以上の山行にも対応できる収容力を備えています。バックパック本体の重量は自分が使用しているL-XLサイズで約995g(本体 約820g、パックライナー 約175g)あり、同容量の一般的な登山用バックパックと比較しても十分に軽量なモデルです。
スペック上の容量としてはテント泊に対応可能ですが、ショルダーハーネスのパッドは薄手で、ウエストベルトもモノメッシュ仕様のため、過度な重荷を想定した構造ではありません。
そのため、テント泊装備をパッキングする際は、軽量化を意識したギア選びや必要最低限の装備に絞り込む工夫が必要です。実際にフィールドテストでテント装備一式に撮影機材、食料、水を合わせて約12kgを背負って行動してみましたが、このくらいの重量ではまだ体への痛みは生じませんでしたが、さらに重たくなった場合は少し不安を感じたのが正直な感想です。容量だけで判断せず、軽量な装備であることを前提としている登山やファストハイク向けのバックパックであることを鑑み、自身のパッキングスタイルと照らし合わせて見る必要があります。
背負ったままでアクセス可能な各ポケット
休憩時にもいちいちバックパックを下ろさず、背負ったまま過ごすことが多い自分にとって、「背負った状態で必要なものを取り出せるか」はバックパック選びの極めて重要なポイントです。SUM 45はこの点において、パーフェクトと言える使いやすさでした。
左右のショルダーハーネスには700mlのボトルが入るポケット、ウエストベルトには左右それぞれにパワーストレッチポケット、さらに大容量のサイドポケットを備えています。バックパックのフロント部に取り付けられたバンジーコードは行動中のウェアを取り付けておくことができます。そして極めつけは、首の付け根あたりに配置されたストレッチポケットです。背負ったままでも直感的に手が届き、行動食などを入れておくのに非常に便利でした。
サイドポケットは容量が非常に大きく、1Lのボトルを2本収納したうえでレインウェアまで収まるほどです。この優れた収納力のおかげで、行動中にわざわざメインコンパートメントを開ける必要がなく、非常に効率よくパッキングや補給が行えました。
デイジーチェーン構造による汎用性の高さ。バンジーコードにトップベルトによる拡張性の高さ
SUM 45は、状況に応じた汎用性の高さも備えています。フロント部分にはバンジーコードが取り付けられていますが、デイジーチェーン構造になっているため、ヘルメットホルダーの装着をはじめ、アイデア次第でさまざまな装備を外付けするのに役立ちます。
また、トップストラップ(トップベルト)はV字構造を採用しており、長さにゆとりがあるためクローズドセルマットなどの大きなギアもしっかりと固定できます。使用しないときは取り外しも可能で、山行スタイルや季節による装備の増減にも幅広く対応してくれる設計です。
まとめ:ユニークで斬新な構造に、無駄を省いた合理的なギミックが満載。シンプル軽量スタイルでのさまざまなアクティビティにおすすめ
名作と呼ばれるバックパックはいくつも存在しますが、このSUM 45も遊び心を感じるデザインのユニークに加え、徹底的な使いやすさや背負いやすさから名作の一つとしてなと連ねるのではないかと感じるバックパックでした。
軽量化を優先したいけど、フレームレスのバックパックでは肩が痛くてストレスを感じている人や、素早く行動するファストハイキングに適したバックパックを探している人はぜひ一度背負ってみてほしいバックパックです。
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執筆:Yosuke.C(ヨウスケ)
不便にならない程度に「できるだけ軽く」をモットーにバックパックひとつで行動する人。
春から秋にかけては山奥のイワナを追いかけて渓流へ釣りに。 地上からは見ることのできない絶景を求めて山を歩き。 焚火に癒されたくてキャンプ。 白銀の山で浮遊感を味わいにスノーボード。
20年以上アウトドアを嗜み、一年中アウトドアを自分流に楽しむフリーランスのライター。数十以上のアウトドア系WEB媒体での記事執筆経験をもとに、自身の経験や使ってみて良かった道具を発信していきます。


