山での天候の急変は日常茶飯事ですから、山に入るのであればどんな場合であっても安全のためにレインウェアは携帯すべきものです。たとえトレイルランのようにすぐ山を下りることができ、できる限り荷物を軽くしたいとしても、そこに例外はないといってよいでしょう。
ただそうはいってもある程度の大きな崩れが予想されていない場合には、携帯することに対する理想と合理性とのジレンマを感じてしまうのは皆同じ。誰もがどうしたって「軽く」行きたくなってしまうものです。
ただ本来200gを下回るような”超”が付く軽量レインウェアには、その代償として、機能や性能面で相応の”割り切り”は致し方ないというのが一般的でした。ではもし、100gを切るほどの超軽量で、防水透湿機能も十分にあり、おまけに快適な着心地も提供してくれるレインウェアがあるとしたらどうでしょうか?そんなわがままをかなえてくれるというのが、今回紹介するberghaus ハイパー 100 ジャケットです。
大まかな特徴
イギリス発の老舗総合アウトドア・ブランドであるberghausが擁する先進的プロダクト開発チームMtnHaus design teamによるこのモデルは、彼らの最新技術が惜しみなく投入された”世界最軽量3レイヤー”防水透湿ジャケット。高い防水性と透湿性を兼ね備えた自社素材Hydroshell Elite Proを採用し、重量は97g(SizeM)という破格の軽さを誇ります。加えて動きやすい立体裁断と快適な裏地の肌触り、ミニマルでいて機能的な袖口やフードなど、細部へのこだわりも忘れていません。トレイルランをはじめとしたエンデュランス系アクティビティや、スピードハイキング、ファストパッキングを好む人にとってはピッタリの逸品です。2016 OutDoor Show、ISPO 2017にてゴールド受賞。
おすすめポイント
- とにかく軽い
- 裏地が滑らかで快適な着心地
- 高いフィット感と動きやすさで行動中のストレスが少ない
- 手のひらに収まる携帯性
- しっかりとしたシームテープや袖・フードの作り等で防水性も十分
気になったポイント
- 生地が薄くデリケートなため耐久性(長持ちという意味で)は不安
- ファスナーの開閉が若干硬い
アイテム外観(身長174cm EU規格Sサイズ着用)
主なスペックと評価
スペック | |
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項目 | berghaus ハイパー 100 ジャケット |
生地 |
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サイズ | S, M, L |
カラーバリエーション | Dark Grey |
重量(実測) | 97g (M12サイズ) |
ポケット |
|
フード | 伸縮性フード(ヘルメット非対応) |
耐水性 | 非公開 |
透湿性 | 非公開 |
付属品 | スタッフサック |
評価 | |
防水性 | ★★★☆☆ |
透湿性 | ★★★☆☆ |
快適性 | ★★★★☆ |
機動性 | ★★★★★ |
重量 | ★★★★★ |
機能性 | ★★★☆☆ |
耐久性 | ★★★☆☆ |
総合 | ★★★★☆ |
詳細レビュー
着心地・機動性
フィット感が強く体の動きにしっかり追随。激しい動きにもストレスが少ない。羽織る際も引っかかることもなくスムーズです。
ファスナー
前面のファスナー内側にはフラップがあり防水性も確保されています。
羽織る時に気になりましたが、ファスナーの動きがもたつく場合があります。ジャケットではファスナー自体の硬さとシェル生地の柔らさとのバランスが悪いと開閉が悪くなる傾向があり、こういったケースはこのシェルに限らずよく見られます。ファスナーをしっかり押さえて動かせば問題ありませんが、そうした意識をしないでサッとできていたら完璧だったと惜しいところです。
独自の防水素材と防水性
大雨の天候の中で使用してきました。裏地の肌触りもよくシームシーリングも丁寧。それにしてもよくこんなに丁寧なシームで100gを切れるなと改めて感心しました。表地の防水性、撥水性もよほど長時間でない限りは良好です。
またいたるところに水と風の進入を止めるフラップ構造になっています。走る時に、このこだわりの造りはなかなか嬉しいところ。
フード
裁断技術のおかげで頭にしっかりフィットしてきます。変化に富んだ天候にも確実に対処してくれるうえに、激しく動いてもズレもほとんどなく、これくらいの方がかえってフードは快適でしょう。
実際かぶると、このように頭を隙間なく覆ってくれます。
携帯性
これは驚き!手のひらに収まり切るこのサイズ。
また専用の収納袋も行動中は内側のファスナー付きポケットにしまっておけます。個人的には紛失の心配がなくなって非常にありがたいです。
まとめ:どんな活動におすすめ?
やはりトレイルランレースをはじめとしたエンデュランス系競技での使用にはむしろこれしかないといっていいくらいにおすすめです。防水性も機能も高い水準、なおかつ何といっても100gを切るこの軽さはもう反則級でしょう。他にも軽量を求める、軽いことが優先、長所になる活動との相性は抜群です。
その他の活動については着心地もよく使い勝手は抜群なのですが、軽量であるので生地の薄さ、しなやかさから受ける印象として何年も着続けられるかというと、耐久面では不安が残ります。気軽に頻繁に使うというよりもここ一番の超軽量ギアとして温存しながら使っていった方が長く活躍できるでしょう。生地の薄さ、フードや身丈のフィット感を考えると長所を最大限に発揮できる場面は限定的な性格が見てうかがえます。ご自身の活動性質と合わせ、この季節のこのケースなどケーススタディを繰り返しながらマッチする状況下をご自身で判断していければ、これほど便利なウェアも無いはずです。驚くほど小さく携帯も苦になりませんから、非常用や予備装備としての位置づけも大いにアリだと考えます。
この軽さとこの性能、これから先どのような進化をまた見せてくれるのか楽しみです。