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Review:finetrack エバーブレス フォトンジャケット ストレッチ性能だけじゃない、こだわりが光る次世代レインウェア

雨天での行動中に、ちょっとしたことでレインウェアが突っ張って動きずらいな、と感じたことはないでしょうか。そうするとだんだんレインウェアを着ること自体が億くうになって、雨が降ってきてもなんとかギリギリまで雨具を着ないで行動を続けてしまったことありませんか?

レインウェアを着たことがある人ならば、ごわついた着心地が気になったり、腕を曲げ伸ばしたときに突っ張ったりといった窮屈さを感じた経験が誰もが一度はあるはずです。レインウェアは別名「シェル」というくらいですから、昔から重たく堅い殻のようなものでした。登山は想像よりも大きな動きが多いアクティビティですから、ウェアの干渉によるストレスを完全に無くすことは今のところ不可能といってよいでしょう。「重量」「透湿性」と並んで「機動性」の向上は各ブランドが最も研究に取り組んでいる課題のひとつであり、各社はそれぞれより優れた立体裁断や柔らかく伸縮性のある生地の開発など、さまざまな試行錯誤を続けてきました。

そんななか、個人的に受けたここ数年で最も大きな衝撃のひとつが今回紹介するfinetrack エバーブレス フォトンジャケット。丁寧な造りもさることながら、何と言っても驚きなのが独自開発の防水透湿素材「エバーブレス」による高いストレッチ性能です。今や「ストレッチ性の雨具=finetrack 」なんて言葉も出るくらいのポジションを確立しています。そんなレインウェアが今シーズンリニューアルされました。何がどう変わったのか、相変わらずスゴイのか、早速レビューしていきましょう。

大まかな特徴

メンブレン(防水透湿素材)には劣化(加水分解)しにくいポリカーボネート系ポリウレタンの多孔質膜を採用した同社開発の防水透湿素材「エバーブレス」を採用。3層タイプのしなやかな肌触りに加え、生地全体が縦方向への高いストレッチ性によって身体の動きを妨げることなく、行動時も快適な動きやすさを実現しています。独自のベンチレーション「リンクベント」は他のファイントラック製ウェアと合わせて着ることにより、体温調節機能と蒸れへの排出効果を相乗的に高めることが可能です。今回リニューアルに伴い、裁断パターンの見直しによるフィット感の向上、よりスリムなシルエットへの進化、小さな内ポケットに加えて外側に大きめの胸ポケットが追加された収納など、確実により快適・スタイリッシュ・使いやすくなっているといえます。

おすすめポイント

気になったポイント

アイテム外観(身長174cm Mサイズ着用)

前面

背面

主なスペックと評価

スペック
項目 finetrack エバーブレス フォトンジャケット
生地
  • 表:15dストレッチナイロンダブルリップ
  • 裏:15dナイロンニット
  • 中間層:エバーブレスメンブレン
サイズ  S, M, L, XL
カラーバリエーション SO(サニーオレンジ)/NV(ネイビー)/GC(グリーンシトラス)/CB(セリアンブルー) 
重量(実測) 280g
ポケット
  • 左胸×1
  • 右胸大型インナーポケット×1
フード
  • つば部分:形状保持プラスチック
  • フィット調整のドローコード内蔵
耐水性 20000㎜以上
透湿性 10,000g/m2・24hr(A-1法)
付属品 スタッフバック付き
評価
防水性 ★★★★☆
透湿性 ★★★★☆
快適性 ★★★★★
 機動性 ★★★★★
重量 ★★★☆☆
機能性 ★★★★☆
耐久性 ★★★★☆
総合 ★★★★★

詳細レビュー

独自素材「エバーブレス」のスゴさ

長時間着てもストレスのない機能

ストレッチ性は縦方向にしっかりと伸びていきます。伸張性(ストレッチ)がいいということは動きに対して追随する際に抵抗が少なくて済みます。これがこのエバーブレスの大きな魅力です。

鎖場や岩場などでしっかりと伸びてくれます。

ですがそれだけではなく生地も柔らかく裏地の着心地も良く長時間の着用も快適でした。

防水・透湿の面でも長時間(雨天6時間程度)使用しました数ある防水透湿素材と大差なく十分です。

動きやすさへの追求

進化した裁断パターン

ストレッチ抜群の生地にくわえて「トルネードスリーブ」という独自の立体裁断で妥協なく動きやすさの追求がなされているのが裁断の細かさから見てわかります。羽織るのも楽。肩や肘の動きにも抵抗なくスムーズ。登山や岩稜歩き、クライミングにも最適です。

使いやすいファスナーと他のギアと干渉しない配置

止水ファスナーも操作しやすく、リニューアル後に加わったフロントポケットも地図やトポ、コンパスをすぐに出すにはちょうどいい位置にあります。細かいところですがこうした気配り、こだわりがファイントラックらしく好きなところです。

ちょうどイイ大きさのフード

大きすぎず小さすぎないまさに「ちょうどいい」大きさのフード。つばも形状保持され、フィット調整もできるので防水性と視界の両方を維持できています。

つばも視界を遮らない長さです。

うしろには調整用のドローコードが内蔵されています

リンクベントでより快適な体温調節が可能

同社独自のベンチレーション機能がこの「リンクベント」

ザックを背負っていても操作が干渉することないように配置されています。同社の一部ウェアにはまったく同じ配置でリンクベントがあるので、それらを着重ねてもベンチレーションが常に体の近いところにアクセスできるので体温調節や蒸れを逃がす能力は非常に高いです。

リンクベント気になる部分

上方向に口が開いてしまう

使ってみると意外だったのが口が上向きに空いてしまうところ。ザックを背負っているとウェアのたるみもあいまってガバッと景気よく口が開きます。風だけの時は問題ないですが、雨の時はそうはいきません。本来ベンチレーションは稜線に上がる前にはきちんと確認して閉めておくのが一般的ですが、うっかり開けたまま雨風の強い場所に進んでいかないようにしたいものです。

開けた状態で視線を下げるとこのように上向きに口が開いてしまうのがわかります。

ベンチレーション効果を最大限に発揮するには条件が必要

常に体に一番近いところにアクセスできるリンクベントですが、ただ残念ながら中間着も同社のものでないとその実感は得られません。最大限の機能を発揮するには同じ機能があるモデルをそろえる必要があります。同社のウェアはどれも性能が高く面白いものばかりなので、もしこれからウェアをそろえる方や買い替えでご検討されている方は、中間着もセットで考えるといいでしょう。

まとめ:どんな活動におすすめ?

シンボリックな高いストレッチ性能に目が行きがちですが、実はフードの作りやポケット、リンクベントの位置など非常に強いこだわりが感じられる機能が多くみられます。登山のような歩く系から登攀のようなクライミング系の活動まで実に幅広く対応してくれること間違いなしです。動きやすさにフォーカスしながら実は造りのきめ細やかさから、オールラウンドに活躍してくれる完成度の高い全対応型レインウェアです。

使用に最適な季節は春から秋にかけてのグリーンシーズン、生地自体はしなやかで若干薄めにできていますので、表地に強いストレスがかかるシーンや季節の使用には注意や配慮が必要でしょう。

使いどころや季節さえマッチすればこれほど便利でつかって面白い性能を持ったレインウェアもそうありません。初めてレインウェアを買う初心者から買い替えを考えている経験者にも、機能面だけでなくコスト面での負担も大きくないのでどちらにとっても選択肢として充分魅力的な候補になるはずです。これで雨が降っても億くうだからとレインウェアをギリギリまで着なかったことも少なくなりそうです。極端な例ですが計画を中止したり足が遠のいていた人が今度は逆に雨の日に出かけたがってしまう、そんな変わり者にさせてしまう魅力と機能にあふれるレインウェア。使って損はなさそうです。

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