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【忖度なしの自腹レビュー】SEA TO SUMMIT リアクターライナー マミーウィズドローコード レビュー:着れるインナーシュラフ!?手足が出せることで用途の枠を越えた便利アイテム

登山でテント泊やキャンプなどアウトドアシーンにおいて快適に眠るため欠かせないのがシュラフ(寝袋)とマットです。しっかりと保温してくれ、地面からの冷気を断熱し、クッション性のあるマットが快適な眠りへの一丁目一番地。

筆者はそれに加えて、睡眠の質をさらに向上するためによくインナーシュラフを使います。

インナーシュラフは肌触りの良さから快適な眠りを助長してくれるだけでなく、保温力をブーストしてくれたり、シュラフを汚れから守ってくれたりと得られる付帯機能の多い便利アイテムです。

SEA TO SUMMITのインナーシュラフ「リアクターライナー マミーウィズドローコード」を使ってみたところ、インナーシュラフとしての機能をしっかりと発揮しつつも用途の枠を越えた超便利アイテムで非常におすすめできるため、レビューしていきたいと思います。

SEA TO SUMMIT リアクターライナー マミーウィズドローコードの主な特徴

身体が発する赤外線を吸収・反射するThermolite®Proが素材に使われたマミー型のインナーシュラフ。3シーズンスリーピングバッグの保温性を最大で6%向上させることができるため、シュラフに暖かさを追加するのはもちろん、シュラフ本体の汚れ防止のシーツとしても使うことが可能。伸縮性の高い生地がシュラフの中で動きを妨げず、気温の高い時期は単体使用ができ、気温が低い時にはインナーとして使用することで年間を通して使用することができます。

おすすめポイント

気になったポイント

主なスペックと評価

項目 SEA TO SUMMIT リアクターライナー マミーウィズドローコード
重量 コンパクト:266g
スタンダード:283g
サイズ コンパクト:幅80×長さ198cm
スタンダード:幅80×長さ216cm
収納サイズ 縦11×横15×奥行7cm
素材 ポリエステル100% Thermolite®Pro50%/Thermolite®EcoMade50%
参考価格(税込) コンパクト:10,780円
スタンダード:11.550円
Outdoor Gearzine評価
快適性 ★★★★☆
断熱性 ★★★☆☆
重量 ★★★☆☆
収納性 ★★★★☆
使い勝手 ★★★★★
耐久性 ★★★☆☆
多用途性 ★★★★★

使用インプレッション

素肌で触れても快適な肌触りの良さ、伸縮性の高い素材で不快感ゼロ

冒頭でも紹介した通り、インナーシュラフの役割は保温力のブーストや、人体からでる汗や皮脂汚れからシュラフ本体を守ること、そして快適な睡眠を助長してくれることです。

一般的なシュラフの多くは生地に撥水性を持たせた生地を採用しているモデルが多く、乾いた状態で触れた時はサラサラとしていますが、汗などかいた状態で素肌が触れるとくっついたり、ベタベタとしたりすることがありますが、リアクターライナー マミーウィズドローコードは非常に肌触りが良く不快感はゼロ。普段着ている衣服と同じような感覚で、直接肌に触れたとしても全く気になりません(むしろ心地よい)。伸縮性の高い100%ポリエステル素材が採用されているため、睡眠中の動きの妨げになりにくく、仮に濡れてしまった際にも乾きやすい速乾性も備えていることから寝ている時のシュラフ内を快適にしてくれます。

中に入ったまま座ったりすることもできるほど伸縮性が高い

薄手なのにしっかりと保温力をブースト

素材にはThermolite®ProとThermolite®EcoMadeを50%ずつ配合させた生地が採用されています。このThermolite®(サーモライト)はアメリカのライクラ社によって開発された生地で、肌触りが良く、速乾性に優れているだけでなく、保温性も備えています。

リアクターライナー マミーウィズドローコードは暖かさをプラスするリアクターシリーズ3モデルの中で最も薄手のモデルです。透けるほど薄い生地ですが、保温力は見た目以上で、中に入るとじんわりと暖かさを感じ、確かに保温力のブーストが期待できる手応え。あくまでもインナーシュラフのため、保温力をあてにしすぎるのは危険ですが、公式によると3シーズン用シュラフの保温性を最大で6%向上させることができます。

冬季など寒さへの不安がある時に用いるのもおすすめですが、夏季であれば単体使用も不可能ではないのがリアクターライナー マミーウィズドローコード。夏季であっても山岳地帯での単体使用はおすすめできませんが、標高の低いトレイルをスルーハイクする時やキャンプなどシュラフがいらない環境であれば単体でも快適に過ごすことができます。

リアクターライナー マミーウィズドローコードの保温力について

実際にフィールドでのテストで、体感でのリアクターライナー マミーウィズドローコードの保温力ですが、シュラフの使用温度(快適温度)にプラス3〜5℃ほど保温してくれる手応えを感じました。

時期によっても大きく異なるのであくまで筆者の体感による目安になってしまいますが、例えば気温がマイナス5℃の環境で、快適温度マイナス5℃のシュラフを使用した際にはぬくぬくと過ごせましたが、同じく外気温がマイナス5℃の環境で下限使用温度が5℃のシュラフでは寒さを感じたため、あくまでもメインのシュラフの保温力が担保された中で効果を発揮してくれるアイテムなことは留意しておく必要があります。

筆者としては快適使用温度の範囲を3〜5℃向上してくれるアイテムであると判断しています。シュラフの使用範囲の限度ある下限温度からさらに保温力を向上してくれるアイテムでないことは理解しておく必要があります。

軽量・コンパクトで携帯性に優れる

収納袋も合わせた重量は296gで300gを切る軽さ

スタンダードサイズで本体重量は283gで、非常にコンパクトに収納可能なため、持ち運びやすくなっています。メインシュラフに283gプラスすることで保温力のブーストにシュラフの保護、心地よい肌触りを得られるのは大きなメリット。またテント泊に限らず、山小屋泊の際も持っていきやすいサイズで、山小屋泊では基本的に手入れされた布団が用意されていますが、シーツを使うことでより安心して使うこともできます。

算出された向上温度「6%」が分かりにくい

気になったこととして、3シーズン用シュラフの保温性を向上させるこの6%という数値がやや分かりにくいこと。冬季の山岳地帯ではインナーシュラフの保温力をあてにするのは危険なため、あくまでもメインであるシュラフが環境にマッチしている上での保温力のブーストになることが前提になりますが、使用温度が表示されているシュラフに対して6%という表示に変わってしまっているため算出しにくくなっており、このインナーシュラフを使うことでどのくらいの保温効果が見込めるのかがパッと想像できないのが難点。

筆者は旧モデルである「サーモライトリアクター」も使っていましたが、旧モデルは向上温度として最大8℃と明確に表記してくれたいたので目安にしやすかったです。明確な数値を表示してしまうことで安易にそれを信じてしまうのは危険なのは理解した上で、やはりユーザーとしては保温力の表示については同じ単位で表示してくれていた方が分かりやすく、道具選びの目安にもしやすいと感じました。

旧モデルの8℃向上も最大値での向上温度であり、保証された数値ではありません、新モデルのリアクターライナー マミーウィズドローコードも複数回の使用によって快適使用温度から3〜5℃なら安定して向上が見込めると筆者は結論づけました。

手足が出せることでインナーシュラフに入ったままで歩けるし調理もできる便利さ

リアクターライナー マミーウィズドローコードを見た時に瞬時に購入を決めたのが手足が出せるようになっていたことです。通常のマミー型シュラフは一度中に入ってしまうと手足を出すことができませんが、リアクターライナー マミーウィズドローコードは手足が出せることによりシュラフに入るというよりもシュラフを「着る」という感覚に近く、テント場でテントの設営を終わった後は寝るまで着たまま過ごすことができます。

伸縮性が高いため、あぐらで座ることも問題なくできますし、両手が出せることで調理や食事も可能。腰までまくり上げれば歩くこともできますから、トイレだって着たまま行くことができます。

着用した状態の見た目は賛否あるかもしれませんが、いちいちシュラフから出た時に一緒にインナーも脱がなくていい分、テント場では快適に過ごすことができました。

気になった点としては、寝ている時に足元にあるドローコードを絞った状態にすることで多少の違和感があること。生地そのものはしなやかで快適ですが、ドローコードによって絞られた状態では固くなりコブ状のものがあるのをを感じます。寒さに心配のない時はドローコードは解放した状態で使うことで解決できますが、寒さに不安があり、万全の状態で最大限の保温力を発揮させたいようなシーンではやや気になるでしょう(気になって眠れずストレスになるほどではありませんが)。ちなみに、足元の違和感が嫌だと思う人はドローコードのないモデルもあります。

ドローコードを絞った状態だとコブのようになり寝ていてすこし気になる

入り口のカラーが違うことで迷わずに入れる

目立ちやすいイエローカラー特徴ですが、ジッパーはないため、出入りするのは基本的に頭部から潜り込むような形になります(足元から着るように入るのも可能)その際に入り口部分のカラーが違うことで入り口がどこかが認識しやすくなっており、入る時に入り口がどこかを煩わしさはありません。手を出せる箇所にはボタンが設置されているためボタンを外すことで出入りがしやすくなっています。細かいポイントですが、ユーザーが使いやすくなるように工夫されていることが感じ取れます。

メインカラーがイエローで入り口がブラックになっているため見つけやすい

洗濯機で洗える手軽さ

インナーシュラフにはメインシュラフを汗や皮脂による汚れから守る役割もありますが、気軽に洗濯ができるため衛生面もメリットがあります。メインで使うダウンシュラフや化繊シュラフも洗濯は可能ですが、質量が大きく、使用するたびに洗うには手間がかかります。それに対し質量が小さく、自宅の洗濯機に放り込んで通常コースでガシガシ洗えるのがリアクターライナー マミーウィズドローコード。使うたびに洗濯をしたとしても、手間にはならず、いつもキレイな状態で使用することができます。

まとめ:メインシュラフにプラス1することで、山での睡眠はワンランクアップする!

軽量であるとはいえ、なくても困るものではないインナーシュラフは衣食住を背負って歩く登山やハイキング、旅において嗜好品といえるかもしれません。ですが、得られる快適さや便利さ、扱いやすさをを考慮すると装備に加える価値は十分にあります。リアクターライナー マミーウィズドローコードを使って山での睡眠の質をワンランクアップさせてみてはいかがでしょうか。

Yosuke(ヨウスケ)

不便にならない程度に「できるだけ軽く」をモットーにバックパックひとつで行動する人。

春から秋にかけては山奥のイワナを追いかけて渓流へ釣りに。 地上からは見ることのできない絶景を求めて山を歩き。 焚火に癒されたくてキャンプ。 白銀の山で浮遊感を味わいにスノーボード。

20年以上アウトドアを嗜み、一年中アウトドアを自分流に楽しむフリーランスのライター。数十以上のアウトドア系WEB媒体での記事執筆経験をもとに、自身の経験や使ってみて良かった道具を発信していきます。

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