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SEA TO SUMMIT エンバー7C レビュー:荷物を極限まで軽くしたいハイカーにおすすめ。携帯性と保温力を両立させた高品質・超軽量キルト型シュラフ

装備は「できるだけ軽く」をモットーに低山からアルプスまで歩く筆者。

食料や燃料などを除いた装備の重量を5Kg以下にすることをUL(ウルトラライト)と呼びますが、昨今ではULへの関心が高まり、各ブランドから軽量なギアがラインナップされています。

中にはシンプルさを求め、必要な機能まで取っ払い、軽さを追求した「尖った」アイテムも。

今回紹介するのはシュラフとしては尖ったアイテムのシートゥサミットのキルト「エンバー7C」です。

エンバーは通常の寝袋とは違い、一枚のキルトで、ジッパーもなければフードもありません。シンプルなシュラフと言えますが、使い方はアイデア次第で無限。シンプルな見た目からは想像できない汎用性の高さです。

この記事ではエンバーの特徴や機能をお伝えしつつ、実際に使ってみて感じたことをレビューします。

Sea to Summit エンバー7C の主な特徴

Sea to SummitのEmber(エンバー)シリーズはスルーハイカーやサイクルツアラーなど「軽量」「コンパクトさ」の携帯性を重視しつつ、保温力も両立させたい人に向けて作られたキルトです。

スリーピングマットと組み合わせて使う事を前提とし、背面部分を取っ払ってしまい、ダウンを上部に集結させることで少ないダウン量でも保温力を担保するシュラフです。

中綿のダウンにはRDS認定を受けた高品質な850FPのウルトラドライプレミアムグースダウンが使用され、撥水加工されたダウンは弱点である「水濡れ」を克服しています。

生地には10デニールの極限まで軽い極薄ナイロンシエルが使われています。またボックスキルト状にすることでダウンのかたよりを防いでいるので、場所によって保温力の差が生まれないようになっています。

エンバーをはじめ、Sea to Summitのシュラフにはスナップボタンが付いており、シュラフ同士を連結する事が可能なので、保温力をブーストさせることも可能です。

キルト型なので冷気が進入しやすい弱点はありますが、それを防ぐために5箇所の連結ループと足元、首元にはドローコードが設けられ、冷気の侵入を防いでくれます。

最上級のダウン、極薄の生地を使用することで重量は450gを切る軽さを実現。「携帯性」と「保温力」の両立を実現させたハイスペックキルトです。

お気に入りポイント

  • 携帯性に優れた軽さ・コンパクトさ
  • シンプルな一枚のキルトだからできる汎用性の高さ
  • 撥水加工された濡れに強い850+FPプレミアムグースダウン
  • 3シーズンの使用がメインだけど、冬は保温力のブーストとして使える
  • 必要に応じて取り外しが可能なストラップ(より軽量にする事が可能)

気になるポイント

  • シュラフとしての「安心感」はマミー型に軍配
  • スリーピングマットに接続した状態だと出入りが面倒
  • 圧縮機能付きならもう少し大きめに作って欲しい収納バック
  • マミー型のスパーク7Cの方が軽量であるという事実

主なスペックと評価

アイテム名Sea to Summit スパーク 7C(レギュラー)
適応身長最大185cm※ロングモデルは198cm
収納サイズ10 × 15 × 24cm
ダウン

850+ウルトラドライプレミアムグースダウン

(RDS認定)

生地素材

極薄の撥水10デニールナイロンシェル

公式重量423g
ダウン重量200g
公式下限温度7℃ (ISO23537)
寸法上から120 / 150 / 87cm
付属品
  • 圧縮収納袋
  • 保存用収納袋
Outdoor Gearzine評価
快適性★★★★☆
断熱性★★★☆☆
重量★★★★★
収納性★★★★★
使い勝手★★★★★
耐久性★★★☆☆
多用途性★★★★★

詳細レビュー

携帯性に優れた「軽さ」「コンパクトさ」

エンバー7Cを収納した状態で、500mlのペットボトルと比べてみるとコンパクトさが分かります。

さらに、付属の収納バックにはコンプレッション(圧縮)機能もついているので必要に応じてさらに圧縮することができ、よりコンパクトになります。

容量5Lのバックは収納するのが大変に感じるほど小さいですが、収納時のサイズが小さくなるので携帯性に優れています。

エンバーにはレギュラーとロングモデルがありますが、レギュラーサイズでの適応身長は185cmまでと余裕があるサイス感ながら、重量は423gと450gを切る軽さです。

シュラフは装備の中でも上位に入る「重たい」ギアですので、シュラフがここまで軽いと、装備のベースウエイトに与える影響は大きくなります。

シンプルな一枚のキルトだからこそできる汎用性の高さ

キルト型の最大のメリットは「携帯性」ですが、汎用性の高さもキルトだからこその魅力です。

マミー型の寝袋でも軽量で、コンパクトなモデルはありますので、むしろ汎用性の高さこそがキルト型のシュラフを選ぶ理由になるのではと筆者は考えています。

スリーピングマットを連結させて使えば限りなくマミー型の寝袋と同じように使用することができ、テント内で座っている時にはブランケットとして膝にかけたり、寒ければ肩から羽織ってくるまったりすることができます。

暑ければ布団のように使うことで蒸れることもなく快適に眠れ、寒さに応じてドローコードとストラップを使い、下半身だけはしっかりと覆うこともできます(逆に下半身だけ出すことも可能)

ハンモックとの相性がいいキルト

筆者はキャンプでハンモックもよく使いますが、ハンモックで寝る時もキルト型は活躍してくれます。ハンモックは空中に浮いた状態なので、マミー型のシュラフに入ろうと思うと想像以上に大変(出る時も同様)ですが、キルトであれば横になった後にかけるだけなので楽です。

撥水加工された濡れに強い850FPプレミアムグースダウン

エンバー7Cは公式下限温度は7℃になっています。

使用されているダウン量は200gで、多くないのにも関わらず、これだけの保温力を確保することができているのはキルト型の特徴であるのと、ダウンの「質」にほかなりません。

キルト型は寝た時に潰れてしまう背面(又は地面と設置している部分)を取っ払い、その分のダウンを上部(地面と触れていない部分)に持ってくることにより、通常のマミー型よりもダウンが集結している状態になり、ダウン量以上の保温力を発揮してくれます。

それともう一つ、850+FPのウルトラドライプレミアムグースダウンを使用していることが少ないダウン量でも保温力を確保してくれている理由です。

ダウンは通常、ロフト(膨らんだ羽毛)と呼ばれるところにデッドエアーを溜め込み保温力を発揮します。重量当たりの断熱性(品質)を示す「フィルパワー(FP、嵩の高さ)」でいうと、600以上で高品質、800以上あれば最高級といわれているダウン。

エンバーで使用されているダウンは、持続可能な方法で調達され(RDS 認定)、ロフトの高さも850+ FPを誇ります。

しかも羽毛の種類もダックダウンに比べ、より大きな羽根で高品質なグースダウンを使用しており、品質を数値で表すFPに目が行きがちですが、使用している羽毛も最高級です。

そしてダウンには撥水加工が施され、通常よりも濡れにくく(湿気を吸いにくく)なっているため、ダウンの弱点でもある「水濡れ」も克服していて、テント内の結露や汗による濡れから保温力が低下することを防いでくれます。

ウエアとの併用で広がる使用温度域

エンバーをはじめとするキルト型のシュラフは、フードがついていないので、ウエアとの併用が不可欠です。

筆者が実際に使ってみて感じたのは、ウエアのチョイスを何にするかによって公式下限温度よりも低温環境での使用も可能だという実感でした。

寒さへの耐性は人によって異なるので参考程度になってしまいますが、アンダーウエアのみの場合、10℃以下になると冷えを感じますが、上下ダウンウエアを着て、フードをかぶればで5℃以下の環境でも使用することが可能になってきます。

エンバーにウエアを組み合わせることで本来の使用温度の幅を広げることができます。

3シーズンの使用がメインだけど、冬は保温力のブーストとして使える

単体での公式下限温度は7℃、使用に適しているのは春〜秋の3シーズンですが、軽量・コンパクトで携帯性に優れることと、一枚のキルトとしての汎用性の高さから、冬には保温力のブーストとして活用することもできます。

Sea to Summitのシュラフにはスナップボタンが付いているのでシュラフ同士を接続することができますし、他ブランドの寝袋を使用していたとしても、キルトを体に巻きつけたりすることで保温力を向上できます。

冬用のシュラフは大量のダウンが封入されている分、高い保温力ですが、価格も高価になります。

3シーズン用のシュラフとエンバーを組み合わせることで冬の使用にも対応できます。

必要に応じて取り外しが可能なストラップ(より軽量にする事が可能)

スリーピングマットと連結させるためのストラップは全てスナップボタンで止まっているため、取り外しが可能です。

これにより、暑い季節など、保温力よりも通気性や蒸れにくさを重視したい時にはストラップの数を減らすことでその分より軽量化できますし、寒さが気になる季節にはしっかりと全てのストラップを使用することで冷気の侵入を防ぐことができます

実際にフィールドで使ってみると、スリーピングマットの上にのせるだけでOKなマミー型の寝袋に比べ、セットアップの手間はありますが、これは何度か使っていくうちに慣れてくるので手間に感じるのは最初だけでした。

まとめ:「携帯性」と「保温力」の両立。そして「キルト」の汎用性の高さはユーザーによって使い方は無限大

3シーズンの山岳での使用や、標高の低いトレイルのスルーハイク、テントの他にハンモックでのキャンプなど、寝方も多様化される中で汎用性の高いキルトは確実に選択肢の一つに入ってくるアイテムです。

「携帯性」と「保温性」の両立、そして汎用性の高さはこれからのULハイキングや登山などファストパッキングのスリーピングギアのスタンダードになっていくと筆者は感じます。

最後にお伝えしておきたいのが価格です。海外ブランド製品でありながら驚くほど低価格。とはいってもここまでのお手頃価格は8月までで、輸入代理店であるロストアローの異次元の割引キャンペーンが終わってしまうとこの低価格も終わってしまうかもしれませんので気をつけましょう。