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SOTO トライトレイル&トレイルテーブル レビュー:「高性能・高コスパ・軽量・コンパクト」を実現した山岳対応ガスストーブ&テーブルセット

荷物を少しでも軽量にしたく、もっぱら一人用のテントを愛用している筆者。テント内は所狭しと装備が並べられ、限られたスペースで寝泊まりをしています。生活に必要な衣食住のすべてを己で背負う登山やハイキングでは装備を最低限にすることで軽量化を図るため、快適性を高める贅沢品は持っていきません。その代表例がテーブルやイスなどのファニチャー類です。

あったら便利だけど、なくても困らないもの。でもやはりもし持っていけるのであれば持っていきたい。例えば山に持っていけるサイズのコンパクトなテーブルがあったとしたら魅力的に思う人は多いはず。限られたテント内のスペースにテーブルなんて置くことはできません。もしこれまでデットスペースだった場所にテーブルを置くことができるとしたらどうでしょうか。

SOTO(新富士バーナー)Trail Table(トレイルテーブル)は、これまでデッドスペースになっていたカセットボンベの上部をテーブルとして活用できる設計になったアイデアの光るテーブルで、そこにCB缶対応のガスストーブTriTrail(トライトレイル)を組み合わせることで無駄なスペースを作ることなく、即座に快適なキッチンシステムをフィールドに作り出すことができます。

魅力的な機能を持つテーブルとガスストーブ、一昔前までCB缶タイプのガスストーブは山岳環境には向いていないという認識を持っていた筆者ですが、それは今や昔の話。で、あることは分かってきているものの、実際に「CB缶」タイプのガスストーブTriTrail(トライトレイル)とコンパクトテーブルTrail Table(トレイルテーブル)を山で使ってみたらどうなのか。を確かめるべく実際にフィールドで使用してきましたので早速レビューしていきます。

SOTO Trail Table(トレイルテーブル)ST-3501の主な特徴

Trail Table(トレイルテーブル)は軽量でコンパクトに折りたたむことができるテーブルです。天板を開くだけで組み立てが完了し、設営に手間がかからず、脚の部分にはCB缶カセットガスがピッタリとハマるように設計されていることでCB缶対応のガスストーブと組み合わせて使用することが可能。SOTOのカセットガスストーブのTriTrail(トライトレイル)とは特に相性がよく、折りたたんだ状態のTrail Table(トレイルテーブル)の中への収まるように設計されています。

重量が135gと軽量でコンパクトに折りたためるTrail Table(トレイルテーブル)は単体での使用も可能で携帯性の高さから山岳向けなだけでなく、アウトドアアクティビティ全般で使用できるテーブルです。

お気に入りポイント

気になるポイント

主なスペックと評価

アイテム名 Trail Table(トレイルテーブル)
重量 (g) 135g(本体のみ)
素材 アルミニウム合金、ナイロン樹脂
耐荷重 2kg
サイズ 幅177×奥行130×高さ80mm(使用時)
収納サイズ 幅55×奥行130×高さ86mm(収納時)
Outdoor Gearzine評価
耐久性 ★★★★☆
収納性 ★★★★☆
使いやすさ ★★★★★
汎用性 ★★★★★
重量 ★★★★☆

詳細レビュー

限られたスペースを有効活用できる

トレイルテーブルは脚の形状が特殊な設計になっており、CB缶がピッタリと収まるようになっています。これによりボンベを覆うようにセットすることで今まではデッドスペースになっていたボンベのスペースが有効活用することができるようになります。

カセットボンベの上のデッドスペースを有効活用

山岳用テントは携帯性を重視するため、テントの前室も最低限のスペースになっているモデルも多く、決して広いとは言えません(広めのモデルもありますが)。特に一人用のテントであれば、寝るスペースを確保するために前室もシューズなど置くため調理などのスペースは限られてしまいます。

限られたスペースしかない状況ではCB缶ボンベ上部のデッドスペースですら使えるようになるとありがたい。小ぶりなサイズのテーブルだから、あってもそこまで快適にはならないのではと斜に構えていた筆者ですが、小さくともテーブルがあるのとないのでは大違い。テント内での生活レベルはグッと高くなりました。しかも「バーナーとテーブル」ではなく、一体型になることで一人用のテントの狭い前室を占領することなく限られたスペースを活用するためテーブルを配置したことによるデメリットは皆無です。

 

大前提として、ガスストーブは換気のいい屋外での使用が基本ですが、山岳地帯での山行においては悪天などによりやむを得ずテントの前室で煮炊きをすることがあります。前室での調理については自己責任のもと、しっかりと換気をしながら行いましょう。

テーブルとしては小ぶりなサイズながらも軽量で携帯性に優れる

山装備でテーブルは必携品ではありません。重量や携帯性の観点から山にテーブルを持ち込むのを断念したり、躊躇してしてしまう人も多いかと思いますが、トレイルテーブルは重量が135g(実測値は136.8g)と軽量で折りたたむことができるため持ち運びやすく携帯性に優れます。テーブルとしては小ぶりなサイズではありますが、テント場で山メシを楽しみたい人、絶景をつまみに晩酌を楽しみたい人、朝食の後に渾身の一杯のコーヒーを淹れたい人にとって135gの重量追加であればテーブルがあるテント生活を諦める必要はないでしょう。135gで軽量ながら耐荷重は2kgあるため作りはしっかりとしており、耐久性も問題ありません。

テーブル単体としても使え、ワンタッチで組み立て可能な手軽さ

トレイルテーブルはCB缶ボンベを覆うようにできる設計になっているため、CB缶対応ストーブとの相性が抜群にいいテーブルで、本来ならCB缶対応ストーブを使うユーザーにおすすめしたいアイテムですが、筆者としては単体での使用もおすすめします。脚は4本ありしっかりと自立してくれ単体使用できるトレイルテーブルはワンタッチで組み立て・収納ができるため超手軽に使用することが可能。組み立てに関しては折りたたんだ天板を持ち上げればいいだけなので1秒もかかりません。収納だって天板を左右に引っ張れば折りたたむことができるため、やはり1秒で収納可能(収納袋に入れる時間は含みません)

単体のテーブルとしても使える

めんどくさがりな筆者にとってガチャガチャと組み立てないといけないタイプのテーブルは苦手で使いたくありませんが、トレイルテーブルほど手軽であればいつもなら休憩時にわざわざテーブルを使わずに済ませていたようなシーンでもテーブルを使おうと思えるほどです。

登山ではテーブルがない生活が当たり前になっていた筆者。地べたに置いたクッカーやボトルなどに砂や砂利などがくっついてしまうことに何の抵抗も持たなかったのですが、それは慣れによる感覚の麻痺だったようで、テーブルがあることで持ち物が汚れないのもメリットと言えるでしょう。

トライトレイルが中にピッタリと収まる

他のブランドのコンパクトテーブルは隙間に入ってしまうほど薄いテーブルもあっため、天板を収納した状態でデットスペースが生まれてしまうトレイルテーブルは単体使用の際にはやや収納サイズが大きいと感じる人も少なくないでしょう。この空間をどのように利用するかはユーザーのアイデア次第ですが、この空間にはこの後に紹介するトライトレイルがジャストフィットします。正確にはゴトク部分がはみ出ますが、バーナーヘッドやイグナイター(点火装置)、調整つまみなどはしっかりとカバーしてくれますので、収納時はストーブのハードケースとして保護してくれる役割も担ってくれます。

使用時だけでなく、収納時も無駄なスペースを生まない作りになっていて、限られた荷物しか持って行けない登山のニーズにマッチした嬉しい設計に

テーブルというシンプルなアイテムながら限られたスペースを有効活用するためのギミックが盛り込まれたトレイルテーブルは汎用性も高く単体使用もでき、また同ブランドのトライトレイルのために作られたといっても言い過ぎではない相性のよさ。続いてそのトレイルテーブルと相性抜群のCB缶対応ストーブ「トライトレイル」の実力をみていきましょう。

SOTO TriTrail(トライトレイル) ST-350の主な特徴

TriTrail(トライトレイル)はCB缶を使用するガスストーブで携帯性を重視したシングルストーブです。バーナーヘッドがすり鉢状になっていることで燃焼効率、耐風性を高め、マイクロレギュレーター機能を搭載し「CB TOUGH」シリーズのカセットガスと組み合わせることでOD缶モデルと同様に高地かつ低温下でも安定した火力を提供してくれます。点火装置が備え付けられていることでライターを使わずにワンタッチで点火が可能で、ゴトクには熱伝導の低いチタンが採用されていることで軽量化を図るだけでなく、使用後の火傷のリスクも低減してくれる効果があります。

低重心で安定感の高いゴトクは直径が112mmあることで2、3人用の調理にも対応可能。本体重量は135gでSOTOのCB缶カセットガスボンベ対応のストーブのラインナップの中で最も軽量なモデルです。CB缶を使用するストーブながら携帯性と燃焼効率、耐風性が高められていることで登山用のストーブとしてOD缶と同等レベルのパフォーマンスを発揮してくれるストーブです。

お気に入りポイント

気になるポイント

主なスペックと評価

アイテム名 TriTrail(トライトレイル)
タイプ 一体型
出力(kcal/h)
  • 2.6kW (2,200kcal/h) (ST-711・ST-712使用時)
  • 2.6kW (2,200kcal/h) (ST-760使用時)
  • 2.6kW (2,200kcal/h) (ST-700使用時)
重量 (g) 135g
素材
  • バーナー/器具栓つまみ/ゴトク:ステンレス
  • ゴトク:チタン
  • ボンベホルダー:樹脂
  • 収納ポーチ:タイベック
ゴトクサイズ(Φ mm) 約112mm(ゴトク部の実測値)
耐荷重 2kg
サイズ 幅138×奥行156×高さ111mm (使用時・本体のみ)
収納サイズ 幅112×奥行 47×高さ113mm (収納時)
着火装置 あり
300ml沸騰タイム 129秒(ST-711・ST-712使用時)
Outdoor Gearzine評価
燃焼力 ★★★★☆
耐風性 ★★★★★
タフさ(寒冷使用) ★★★★☆
燃焼効率 ★★★★☆
収納性 ★★★☆☆
使いやすさ ★★★★☆
汎用性 ★★★★★
重量 ★★★☆☆

詳細レビュー

「CB TOUGH」シリーズの登場により低温環境・山岳使用が可能に

CB缶(カセットボンベ)は基本的には一般家庭での使用を想定し作られており、標高の高い場所や山岳地帯での使用には向かないというのが筆者の認識でした。

そんなCB缶に対する常識を覆したのが「CB TOUGH」シリーズです。従来のCB缶より高耐圧のボンベを使用することでOD缶と同じイソブタン、ノルマルブタン、プロパンの3種の混合を可能にし、山岳地帯での使用や低温環境の対応を可能にしています。ラインナップは一般的なCB缶のサイズに加え、一回り小さいサイズもラインナップすることで山行の規模に合わせてチョイスも可能に。

CB TOUGHシリーズはボンベの大きさが2種類からチョイスできる

「CB TOUGH」シリーズの登場により、CB缶対応のガスストーブの使用域は格段に広がったと言えるでしょう。そしてさらにありがたいことにOD缶よりもリーズナブルな価格になっていて経済面でも魅力的になっているのもポイント。

レギュレーター搭載で低温環境に強く、耐風性の高い「すり鉢状」のバーナーヘッド

低温環境に強いCB TOUGH缶ですが、トライトレイルが低温環境で使えるのはボンベの力だけではありません。マイクロレギュレーターが搭載されていることにより連続使用や低温でボンベの冷えによる火力低下を抑えてくれます。低温でガスの内圧が下がった状態でもバーナーに送り込むガス量を調整してくれ、外気温に影響されることなく火力を維持してくれます(ただし、ガス缶がどんどん冷え続け、燃料が気化できないほど冷えてしまった際にはレギュレーターが搭載されていても火力は落ちます)

またマイクロレギュレーターは低温時だけなく、高温時も燃料の噴出を制御してくれるため、常に安定した燃料供給を可能にしてくれます。

すり鉢状になったバーナーヘッド

トライトレイルのバーナヘッドはすり鉢状になっていて、点火すると炎を一点に集約するような形状になります。これによりクッカーに当たる炎の無駄を最小限にし、燃焼効率が高められています。さらにヘッドの周りには風の影響を直接受けにくくする構造になっているため、風の強い環境でも性能が下がりにくく、およそ1~3mの風が吹く中でのテストでは300mlのお湯を約120秒で沸かすことができました。無風状態でテストした際には約100秒だったため、誤差は許容範囲内。トライトレイルの出力は2.6kW (2,200kcal/h)で、SOTOのラインナップするガスストーブと比較してみると高い方ではありませんが、バーナーヘッドの形状と、レギュレーター搭載により高いパフォーマンスを発揮してくれました。

OutdoorGearzineではこれまでもガスストーブのピックアップ特集をしてきましたが、その際に最強ストーブ候補として挙げたのが同ブランドのOD缶シングルストーブ「ウインドマスター」。そのウィンドマスターと同じ構造になっているため耐風性が高いのもうなずけます。耐風性の高さと低温環境での使用が可能になったことで山岳利用でも問題なくおすすめできるストーブです。

ライターを持っていなくても点火できるイグナイターがついていることでクッカーを載せた状態でも容易に点火させることができ、また火力調節もトロ火から強火まで調節しやすいため炊飯などにも向いていて、お湯戻しの調理を主とするUL志向のハイカーからガッツリと山メシを楽しみたい派の人まで幅広く対応し、使いやすさもバッチリ。なお、イグナイターは標高の低い場所では問題なく作動しますが、標高の高いエリアではうまく作動しないこともあるため、ライターは必ず携帯しましょう。

CB缶対応のストーブとしてはコンパクトに収納可能

トライトレイルの公式重量は135g(本体の実測は131.4g)で、SOTOがラインナップするCB缶対応ガスストーブの中で最軽量。ラインナップ中、トライトレイルに次いで軽量なモデル「レギュレーターストーブ ST-310」と比較してみるとなんと59%(195g)も軽量化されています。

ゴトクを折りたたむことでコンパクトになり、携帯性にも優れ、先述したとおり、トレイルテーブルの中にピッタリと収まります。山岳使用を前提として作られているOD缶対応のガスストーブに比べればやや重く、収納サイズも大きいのは事実ですが、経済的に魅力なCB缶対応であることや、低重心で安定感が高いこと、操作性や耐風性を考えると実用性は高く、山岳使用を目的とした際に装備に加えるのも問題ないでしょう。

まとめ:限られたスペースを有効活用できるトレイルテーブルとトライトレイルでテント泊を快適に!

トレイルテーブル&トライトレイルを紹介しました。一般的な家庭使用を想定され作られたCB缶(カセットボンベ)対応のガスストーブは技術の発展や進化によりOD缶ガスストーブとの実力差は確実に縮まっています。一般家庭での使用からキャンプ、そして登山とニーズの高いCB缶ガスストーブが山岳使用ストーブのファーストチョイスになるような日もそう遠くないかもしれません。登山では背負える装備は限りがありますが、トレイルテーブル&トライトレイルで快適なテント生活を実現しましょう。

Yosuke.C(ヨウスケ)

不便にならない程度に「できるだけ軽く」をモットーにバックパックひとつで行動する人。

春から秋にかけては山奥のイワナを追いかけて渓流へ釣りに。 地上からは見ることのできない絶景を求めて山を歩き。 焚火に癒されたくてキャンプ。 白銀の山で浮遊感を味わいにスノーボード。

20年以上アウトドアを嗜み、一年中アウトドアを自分流に楽しむフリーランスのライター。数十以上のアウトドア系WEB媒体での記事執筆経験をもとに、自身の経験や使ってみて良かった道具を発信していきます。

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