本記事の他に2018シーズンモデルについての記事も公開しています
↓↓↓
今シーズン見逃せない超軽量レインウェア 2018
100gを切ったって?それで、着心地はどうなんだい――。2年ほど前からこのサイトで積極的にフィーチャーしている、驚くほど軽くてコンパクトな超軽量タイプのレインウェアの世界は、つい数年前までの300gを切れば優秀だった時代はどこへやら。今では100gを切っても上のような反応をしてしまうくらい、今年も相変わらずえげつない進化を遂げています。
昨年から引き続きの傾向ですが、軽さだけでなくムレにくさや着心地、動きやすさなど多様なアクティビティに合わせた特徴を兼ね備えた製品が増えてきているのは相変わらず。何よりも今年は昨年にも増して参入ブランド・アイテムの数がハンパない。本格登山ブランドからランニング系ブランドまで、それはそれは多くのブランドから多くの新製品がきら星のごとく現われては妍を競っているというのが今年の最大の特徴といえます。
そんなドッグイヤー的アウトドア・ギア進化の象徴でもある超軽量レインウェアを今年もあれこれチェックし、毎年恒例となりつつありますが注目モデルをまとめましたので早速いってみたいと思います。
ピックアップにあたって大前提の基準はいつもの通りぼくが欲しいと思った(あるいは思わず買っちゃった)かどうかです。
ただ今回はこれまでの「約300g以下」という基準では対象モデルが拡がりすぎてしまうため、超軽量の基準を200g前半あたりに引き下げました。実際のところ近年の一般的な登山向けレインウェアは300g程度でもかなりの性能に達しています。この結果昨年までは超軽量レインウェアとして選んでいたいくつかのモデルは後日発表する本格登山向けレインウェア特集で紹介する予定です。
目次
目次
- “軽さこそ正義”ラン・バイク・レース向け超軽量レインウェア8着
- “軽さと使いやすさの良いとこ取り”バランス重視の軽量レインウェア7着
- そもそも超軽量レインウェアって何がいいの?どんな人に向いているの?
“軽さこそ正義”ラン・バイク・レース向け超軽量レインウェア8着
Berghaus ハイパー 100 ジャケット
重量★★★ 防水性★★☆ 透湿性★★☆ 快適性★★★ 機能性★☆☆ 汎用性★★☆
今シーズン一番の目玉は何といっても2016 OutDoor Show、ISPO 2017のふたつの展示会で文句なしのゴールドを受賞した”世界最軽量3レイヤー”防水透湿ジャケット(ブランド調べ)。イギリスを代表する総合アウトドアブランドである彼らの最先端プロダクト開発部隊「MtnHaus design team」によって革新的技術が惜しみなく投入された至高の一品です。
もちろん編集部では発売と同時に入手しました。袖を通した瞬間、果たして期待通りのまるで何もきていないかのような軽さ(Mサイズで97g)としなやかな肌触りに思わずウットリ。前モデル(ヴェイパーライトハイパーシェルジャケット)は85gとより軽量であったものの、2.5レイヤーのため裏地はビニールのような質感に甘んじなければならなかったのでこれは大きな進歩です。これまで以上に革新的な独自素材Hydroshell Elite Proは同社の中でも最も軽量かつ高い透湿性を実現した防水メンブレンであり、スペックこそ公表されていませんが前モデル以上の防水性・快適性は期待できるでしょう。
驚嘆するのは軽さだけではありません。肩周りの自然な着心地とミニマルなデザインを可能にした独特な立体裁断、軽量化のなかでも雨の侵入を極力防いでくれるゴムとフラップのハイブリッドなフードや袖口。内ポケットの追加(前モデルにはまったくなかった)など、世界トップクラスの軽さにしてこの機能性を兼ね備えてしまった今作は、トレイルランや短時間のスピードハイキングなど短時間で活動量の多いアクティビティを好む人にとっては今年一番のおすすめといえるでしょう。
THE NORTH FACE Strike Trail Hoodie(またはStrike Jacket)
重量★★★ 防水性★★☆ 透湿性★★★ 快適性★★☆ 機能性★☆☆ 汎用性★☆☆
昨シーズンあたりからファストパッキングやトレイルランにフォーカスしたラインナップを矢継ぎ早に投入するノースフェイスの最新作は、レースでの使用をも考慮された極薄・超軽量防水シェル。昨年から引き続きの独自素材「HYVENT Flyweight(3レイヤー)」は20,000mmの耐水性、40,000gの透湿性という安心のスペック。さらに今モデルではポケットを排し、袖口のベルクロ、裾やフード調整のためのドローコードなどを限界まで削ぎ落とした結果110gという同社史上最軽量を実現しました。もちろん、3レイヤーのサラサラ裏地は相変わらず快適で着心地は抜群。レースゼッケンが透けて見えるクリアカラーなど、とことんランに特化した特徴はレース志向の人にとってはこの上ない魅力でしょう。
なお昨年紹介したStrike Jacketも引き続き発売されています。こちらもランだけでなくハイキングや街着などにも使いやすいようにバランスを保った超軽量モデルとして広くおすすめです。
Salomon BONATTI PRO WP JKT
重量★★☆ 防水性★★☆ 透湿性★★☆ 快適性★★☆ 機能性★★★ 汎用性★☆☆
さすがはマウンテンレースのトップブランド、そう思わせてくれる細かい特徴が印象的だったのがこのBONATTI PRO WP JKT。まず必要以上にシャリシャリしない表地のしなやかさはランニング用としては嬉しい要素。背中に配置されたマチは自由自在の動きを追求したMotionFit構造によるもので、スリムなシルエットながら抜群の動きやすさを可能にしました。額にフィットして水の侵入を防ぐゴム付のフード、夜中でも安心のリフレクター(反射板)、スタッフサック無しでも収納できるパッカブル仕様、止水ジッパーを開けた状態でもばたつきをある程度防止できる胸ボタンなど、とことんランニングに寄せた機能が満載です。
Marmot ZERO Penetrate Jacket
重量★★★ 防水性★★☆ 透湿性★★★ 快適性★★☆ 機能性★★☆ 汎用性★★☆
日本におけるウルトラライトハイキングの重要人物、Hiker’s Depot土屋氏とのコラボなどでここ最近U.L.系の個性的なアイテムが目立つマーモットから、とにかく軽かった前モデルZERO STORMに大幅なバージョンアップを施したこだわりの超軽量レインウェアが登場しました。
独自のMemBrain Strataは2.5層ながら、不思議と気になるほどのペタつき感はありません。耐水圧20,000mm、透湿性20,000gという数値も十分に及第点。何より重量は前モデルからさらに一気に下がって138gと、トップクラスの軽さを実現しています。個人的に一番の見どころはベンチレーションを兼ねたハンドポケット。きちんとポケットとして機能しつつ通気性を確保する絶妙な工夫が思わず「なるほど」と唸らずにはいられません。さらに調節無しにもかかわらずフィット感抜群のフードのつくりもよく考えられてるなと感心してしまいます。
前モデルのやや平凡なつくりから一転してコイツにしかない特徴を備えた個性的なモデルに様変わりした今作は、トレイルランはもちろん、ファストパッキングをはじめとした軽さ重視のアウトドア全般でも十分活躍してくれるはずです。
Patagonia STORM RACER JACKET
重量★★☆ 防水性★★☆ 透湿性★★☆ 快適性★★☆ 機能性★★☆ 汎用性★★☆
パタゴニアのマウンテンレース向けレインジャケットが今年いよいよリニューアル。2.5レイヤーで重さも270gとやや見劣りしていた前モデルから、快適な3レイヤー素材と170gという軽さに一新された今作は十分に最前線に参戦してきたといえるのではないでしょうか。
相変わらず同社のスリムかつストレスフリーな立体裁断は見事であり、微妙にストレッチが効いているため動きやすさも向上しています。袖口は部分的なゴム仕様で軽さとフィットを両立。フードはコードロックによってワンタッチ調節が可能であったり、胸ポケットを裏返して収納可能なパッカブル仕様など、軽さだけでなく総合的な使い勝手を追求する同社の個性が表われています。
MONTANE MINIMUS 777 JACKET
重量★★★ 防水性★★☆ 透湿性★★☆ 快適性★★★ 機能性★★☆ 汎用性★★☆
昨年編集部で行った比較テストで見事総合1位を獲得したモンテイン最軽量の防水シェルは昨年から変更なし。にもかかわらず、やはり依然として実力は頭ひとつ抜け出ています。今年に入ってさらに世界中の多くのブランドに供給されている軽量防水透湿メンブレン「Pertex Shield +」を採用した3レイヤーは、しなやかで心地よい肌触り、発汗時でもサラサラとした肌離れが持続するので快適さが落ちません。ランニングでの腕振りはもちろん、クライミングでも高い可動性を確保してくれる腕の立体裁断も相変わらず素晴らしい。やはりファストパッキングやトレイルランニング、あるいは緊急用としてなど、軽さを追求したい場合の装備と割り切って使えばこれほど心強い味方はいないでしょう。
OMM Aether Jacket
重量★☆☆ 防水性★☆☆ 透湿性★★★ 快適性★★☆ 機能性★★★ 汎用性★★★
2016年秋にリニューアルした、2016 OutDoor Show受賞のマウンテンランニングジャケット。約200gという重量こそ飛び抜けて軽いとはいえないかもしれませんが、その分耐候性・耐久性・機能性を高いレベルで実現した完成度の高さがこのジャケットの何よりのイノベーションといえます。「eVent」はGORE-TEXに対抗した防水透湿メンブレンとして長い実績があり、ウェアが呼吸しているかのような高い透湿性がウリ。そのきめ細かい生地のしなやかさと3レイヤーの快適な着心地、計算された立体裁断によるムダの無いシルエットはレースへのモチベーションを否応なく高めてくれます。フィットしやすいフード、密閉したりサムホールにしたりと自在に調整可能な袖口、まくり上がりを抑えた裾とウェスト周りなど、さまざまな点で独特な工夫が凝らされており、高価にもかかわらず指名買いしたくなる人が多いのもある意味うなずけます。
mont-bell バーサライトジャケット
重量★★☆ 防水性★★☆ 透湿性★☆☆ 快適性★☆☆ 機能性★☆☆ 汎用性★★★
登場して少し時間が経ってしまったとはいえ、まだまだ168gという重量は十分に競争力のある軽さです。ただ正直2017年ともなると透湿性や裏地の快適性、左右のハンドポケットや袖口のベルクロ調節機構などもう少し性能的に向上して欲しいと思ってしまうのが本音ですが、まぁ何よりこのコストパフォーマンスの高さは特筆モノです。トレイルランやファストパッキングなど、ライト&ファストなアクティビティ志向で、まず大きく後悔したくないという人にとっては選びやすいモデルであることは間違いありません。体型も欧米モデルよりもゆったり目なので、それがフィットする人にとってもおすすめです。
次ページ:”軽さと使いやすさの良いとこ取り”バランス重視の軽量レインウェアへ
“軽さと使いやすさの良いとこ取り”バランス重視の軽量レインウェア7着
Rab FLASHPOINT JACKET
重量★★☆ 防水性★★☆ 透湿性★★☆ 快適性★★☆ 機能性★★☆ 汎用性★★★
当サイトでの比較テストでは2015・2016年と続けて総合1位を獲得した、軽さ(185g)・耐候性・機能性・デザインを高次元で兼ね備えた、文句なしにおすすめの1着。それなりに高価ですが、あのTJARでレインウェアとして携行しているランナーが多数見られたことからもその信頼性の高さが伺えます。今では超軽量メンブレンのスタンダードともいえる3層の「Pertex Shield +」による極薄生地は防水・透湿・耐久性のバランスがよく、実際に昨年のテストでも比較的激しい天候にもよく耐えてくれました。フードの調節も後頭部と顔の左右との3点で細かく調整可能など、他のモデルに比べて登山での使用も十二分にきめ細かく考えられています。スリムに絞られた身幅は激しい動きのなかでも擦れにくく不快感を軽減してくれます。
OUTDOOR RESEARCH HELIUM HYBRID HOODED JACKET
重量★☆☆ 防水性★☆☆ 透湿性★★☆ 快適性★★★ 機能性★★☆ 汎用性★☆☆
超軽量レインウェアというジャンルの黎明期から軽量の「Ⅱ」、高機能の「HD」とバリエーションを増やし続けているヘリウムシリーズに今年新たなラインナップとして加わったのがこの「HYBRID」。信頼性抜群の「Pertex Shield+」による軽量かつ高い透湿防水性能をそのままに、脇下部分に撥水性のあるソフトシェルを配置し、スリムなシルエットを保ちながらこれまで以上に高い機動性と通気性を実現しました。ソフトシェル部分は厳密な意味で防水ではないため「レインウェア」とはいえないのかもしれませんが、イメージとしては少し肌寒く天気は不安定、ソフトシェルではちょっと不安、かといってレインウェアを着ていくのもかさばる、そんなときにこれを防風・防水ジャケットとして羽織ったまま行動するなんてのがピッタリきます。持っていると色々なシーンで選択肢を増やしてくれる、ある意味便利なジャケットといえそうです。
MAMMUT AEROSPEED JACKET
重量★☆☆ 防水性★★☆ 透湿性★★☆ 快適性★★☆ 機能性★★☆ 汎用性★★☆
昨年登場した前モデル(DRYTECH FREEFLIGHT JACKET)が名前も新たに早くもリニューアル。実際に着てみた感じでは生地や裁断などは前モデルとほとんど変わらず、相変わらずマムートらしいスタイリッシュなシルエット、ムダにシャリシャリしない表地、全体的にしなやかな生地感には好感がもてます。では一体どこが変更されたのかというと、大きくは左右のハンドポケットが付いたという点です。これに伴って若干重量は増加しており、トレイルランなどのアクティブな用途にとってはマイナスとなりそうな変更といえます。ただ逆に穏やかなアクティビティや日常使うジャケットとして考えると使い勝手は向上とも考えられるので、この辺は使う人の目的によって評価が分かれるところでしょう。
karrimor beaufort 3L jkt
重量★★☆ 防水性★☆☆ 透湿性★★★ 快適性★★☆ 機能性★☆☆ 汎用性★★☆
イギリス発祥のアウトドアブランドkarrimorが今シーズンからスタートさせたファストパッキング向けの軽量モデルシリーズ「aerial series」から。これまで特にこの分野での実績はあるとは言えないにもかかわらず、耐水圧15,000mm、透湿50,000g、3レイヤー、微妙にストレッチするなどかなりの高機能生地を採用し、重量も180gとそこそこ。スペック的にはトップ集団に見劣りしないレベルの優秀さです。試着したところ身幅はそれほどタイトなわけではなく、ポケットも左右のハンドポケットという仕様からランよりもハイキングに向いていると感じました。抜群の透湿性能に加えて襟元のボタンが前面ジッパーを開けていてもバタつきを押さえてくれるため、ベンチレーションに関してもよく考えられています。
Teton Bros. Breath Jacket
重量★☆☆ 防水性★☆☆ 透湿性★★★ 快適性★★★ 機能性★★☆ 汎用性★★☆
2016年から継続のモデルですが、ずば抜けた透湿性と着心地・動きやすさのバランスに優れたPolartec Neoshellを採用した超軽量レインウェアというのは、それだけで今でも依然として魅力十分です(Neoshell製品もっと出てくれないかなぁ)。このモデルは同社の夏用スタンダードであるTsurugi Lite Jacketを、さらにランやファストパッキング向けに削ぎ落とし、極限まで軽量化を推し進めたモデルで、よりオールマイティな使い勝手のよさをとるならばTsurugi Lite Jacketの方がしっくりくるかもしれません。ともあれコイツはNeoshell による透湿性能の高さはもちろん、斜めに開く前面ダブルジッパーと脇下のスリット状ベンチレーションによって高い換気性能も兼ね備え、より発汗量の多いアクティビティに使いやすくデザインされており、低山や真夏でもムレ知らずの快適さを約束してくれます。毎度ながら色合いとシルエットも素敵。
NORRONA bitihorn dri 1 Jacket
重量★☆☆ 防水性★★☆ 透湿性★★☆ 快適性★★☆ 機能性★★★ 汎用性★★☆
ノローナ独自素材である、2.5レイヤーの dri1 を使った超軽量レインウェアの2017年も新色追加のみで性能は据え置きのようです。相変わらずこの独特なルックスと機能は未だにオンリーワンのポジションにあるといえます。超軽量、着心地抜群、豊富なポケット類、通気性抜群のベンチレーションなど、現状考えうる軽量レインウェアに必要な機能を独自のアプローチで突き詰めたオリジナリティ溢れる一枚です。
MONTANE MINIMUS JACKET
重量★☆☆ 防水性★★☆ 透湿性★★☆ 快適性★★☆ 機能性★★★ 汎用性★★☆
ファスト&ライトを標榜するMONTANEのスタンダードな超軽量レインシェルは発売から2年ほど経ち今年も特に変更なしですが、スペック的に見劣りしてきたとしても総合的なつくりの良さは相変わらず輝いているということで今年もピックアップ。PERTEX Shield +は軽さを重視した防水透湿素材として近年多くのメーカーが採用している、今や定番の素材。他社のモデルと比較して優れているのは、表面のざらつきをあえてつくることでバックパックが背負いやすくしていたり、優れた立体裁断の着心地、十分な大きさの胸ポケット、しっかりと雨風を防ぐように考え抜かれたフード・口元のガード部分など、そのディテールのきめ細かさにあります。ベンチレーションが欲しいところではありますが、この軽さと引換えならば十分アリです。
そもそも超軽量レインウェアって何がいいの?どんな人に向いているの?
超軽量レインウェアとは?
もちろんこれまでも軽いレインウェアはたくさん作られてきました。ただ、当時はまだ肌触りがベタベタしていたり、ムレやすかったりなど課題も多く、軽いとしてもまだまだ使いにくかったのが実情でした。それがここ数年、トレイルランやファストパッキングなどの活動量が多く短時間のアクティビティの普及によって、多くのブランドや素材メーカーがそれらに適した、軽くて透湿性の高い防水透湿素材を使ったジャケットを次々と開発しはじめました。その結果、現在では軽いだけでなく、目的やスタイルに合わせて快適さや使い勝手などが異なるさまざまなモデルが数多く選べる状況が生まれています。
1.とにかく軽さ・薄さがハンパない
従来の登山向けレインウェアの重量は約400g~500g前後。一方で超軽量タイプと位置づけられるレインウェアの多くは上着だけで200g代前半かそれ以下。今では100gを切るモデルもめずらしくなく、350mlの缶ジュースより大分軽いです。
2.しなやかで動きやすく着心地も快適
ごわつきがなくしなやかな着心地。腕を通してすぐに分るサラサラとした裏生地の肌触り。これまでのレインウェアではそんなものだと諦めていた着心地は、超軽量レインウェアでは驚くほど改善されています。以前までの(軽いだけの)レインウェアでは、どうしてもそのツルツルとした肌触りが汗をかいた時の不快感として残ってしまいました。それが2015年リリースされたGORE-TEX® C-KNIT™ バッカ―テクノロジー(以下C-KNIT)をはじめ、裏生地をラミネートではなくしっかりとした生地を貼った、いわゆる3レイヤー構造が主流となりつつあり、超軽量にもかかわらず肌触りは常にサラサラで快適になりました。その他動きやすさを重視したストレッチ生地を用いたモデルなども登場し、軽いだけでなく発汗の多いアクティブな活動を無理なくサポートしてくれるのも大きな特徴です。
3.汗をかいてもドライを保つ高い透湿性
元々トレイルランやサイクリングなどの(短時間に激しい動きで、大きな荷物を持たない)アクティビティを想定して生まれた超軽量レインウェアの多くは、従来の一般的なレインウェアよりも相対的に高い透湿性能を持った素材・構造になっています。このため超軽量レインウェアは激しい動きや真夏の行動でも快適さを保ち、その意味では快適さと対候性能を両立させた最適なアウターとなってくれます。
ちなみに透湿性能に関して、eVentやPertex、Neoshell、GORE-TEX®などの素材メーカーはもちろんですが、各アウトドアブランドも独自に高機能素材を開発し、ますます多様な性能と特徴をもった生地の製品が作られています。そのうえウェア自体の透湿性は生地の厚みやベンチレーションの構造によっても左右されるので、今後ウェアの快適さのカギを握るのは素材の善し悪しだけでなくウェアの作り全体を見ていく必要があるでしょう。
4.急な雨風にも耐えられる防水・防風性能
最近のモデルはこれほど薄く軽くなったにもかかわらず、通常の雨風に耐えるには十分な防水性能を備えています。耐久防水性能を数値で測定する際に使う「耐水圧」という数値で見ると、例えば軽量素材として代表的な Pertex Shield+ の耐水圧は20,000mm です。大雨を防ぐのに必要な耐水圧が10,000mm といわれていますから、日帰りや低山の登山では十分「使える」実力です。ただし念のため補足ですが、長期縦走や雨の多い地域、2,000m級以上の山での暴風雨では必ずしも十分とはいえないので、これ1着でどんな登山にも使えるとは考えない方がいいです。あくまでも日帰りハイキングやトレイルランなどの穏やかな環境や短期間の激しいアクティビティを前提に考えた方が良さそうです。
5.あり得ないほど小さくなる高い収納性
これだけの特徴を備えながら、畳む際には手のひらに乗るくらいまで小さくなってしまいます。トレイルランやサイクリングなどはもちろんのこと、ファストパッキングや一般的な日帰り登山など、できる限り荷物を切り詰めたいすべての人にとってこの小ささはメリット以外の何ものでもありません。
6.快晴時に着たままでその後脱ぎ着の必要なし
しなやかで動きやすく、そのうえ高い防水透湿性、防風性を実現しているということは、もはや雨具という枠に収まらない使い方ができることをも意味しています。つまり常時アウターとして、ウィンドシェルのような利用が期待できるということ。例えば肌寒い朝に着始め、樹林帯でのキツい登りや稜線上での急な強風でも、もちろん突然の雨でも脱ぎ着の必要なし。そうなれば特別ものぐさな人でなくとも時間節約という大きなメリットを享受できるのは何ともありがたいことです。
7.街着にも、多様なアウトドア・アクティビティにも最適
元はといえばランニングやバイクなどの激しい運動を想定して発展していったウェア。活用の幅が広がった現在でもさまざまなアウトドア・アクティビティに最適です。スタイルやデザイン的にも細身で動きやすい、スタイリッシュなものが多く、ランニング時のアウターとしても街着としても違和感なく着られてしまうので、これ一枚でかなりの着回しが可能。きっとヘビロテ間違い無しです。