機能性と素朴な美しさの心地よい融合
北欧デザインが好きすぎる。あの自然の素朴な美しさ・愛らしさを大切にした、カラフルでやさしいデザイン。それでいて無駄をそぎ落としたシンプルで機能性の高い計算されたフォルム。北欧の優れたプロダクトに出会うたびに、そこに一貫して流れている「ミニマルな美しさと機能性(使い易さ)の融合」という哲学が見事に昇華したその姿にほれぼれしてしまいます。80年以上の歴史を誇るノルウェーの老舗アウトドアブランド、ノローナのプロダクトにはそうした北欧ブランドがもつ素晴らしい哲学がしっかりと息づいています。それでは早速このシンプルで機能的、スタイリッシュなレインウェアについてレビューしていきましょう。
ビティホーンを含めたおすすめレインウェアの徹底比較レポートは「比較テスト:登山にランに大活躍の超軽量レインウェアを着比べてみた【2016年版】」から
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詳細レビュー
アイテム名(価格)
NORRONA(ノローナ)bitihorn dri 1 Jacket(ビティホーン ドライワン ジャケット )(参考価格:32,400円)
正面・背面(写真の配色は2014年モデル)
主なスペックと評価
ビティホーンを含めたおすすめレインウェアの徹底比較レポートは「比較テスト:登山にランに大活躍の超軽量レインウェアを着比べてみた【2016年版】」から
評価 | |
---|---|
防水性 (20点) |
16 |
透湿性 (20点) |
17 |
快適性 (20点) |
17 |
重量 (10点) |
9 |
収納性 (10点) |
9 |
耐久性 (5点) |
2 |
使い易さ (5点) |
3 |
デザイン (5点) |
5 |
価格 (5点) |
2 |
総合点 | 80 |
スペック | |
生地 | dri 1 |
レイヤー | 2.5 layer |
カラーバリエーション | Electric Blue Rebel Red Bamboo Green Cool Black/Bedrock |
重量 | 214g (size L) |
ポケット | 2(胸) |
ピットジップ | あり |
フード | 小さめだが、ヘルメットが無理というわけではない |
収納方法 | 特になし |
ここがスゴイ!
あらゆる面で配慮された快適性の高さ
トレイルランニングをはじめとしたよりアクティブな活動にも適応するべく開発されたこのジャケットには、激しい行動による不快感を解消するための工夫が山ほど取り入れられています。まずゴアテックスを凌駕する透湿性の高さを誇る独自素材 dri 1(ドライワン)と、大胆に開かれたピットジップは、相当の汗かきでも安心。裏地はしなやかでさらっとした肌触り、汗をかいてもベタつきを極力感じさせません。その上、ストレッチ性のある表地により、身体を自然に曲げ伸ばしでき、ごわつき・突っ張りがまったくありません。ここまで徹底した着心地の追求には出会ったことがありません。
徹底した軽量・コンパクト設計
214gという重量をただの軽さと思ってはいけません。確かにもっと軽い超軽量レインウェアは存在していますが、そうしたジャケットの多くは必要な機能を(泣く泣く)省いていたりします。一方このアイテムのようにピットジップを付けたり、ポケットも2個付けて214gというのはどこを探しても見当たらず、この仕様には驚きしかありません。
デザイン的にもアクセントになる2種類のポケット
アシンメトリーでいかにも北欧らしい遊びの効いた胸ポケットは、小さい方にはキーやスマホが、大きい方にはマップがすっぽりと入る大きさです。
ワンアクションで調節可能なフード
フードの調節は一般的なレインウェアと異なり、写真にあるような後頭部のドローコードのみで調節できます。柔軟性が低いのかと思いきや、これがしっかりと頭~顔のラインにフィットしました。
その他基本的なパーツの品質の高さ
タブ付きベルクロ調節カフスはぼくのような細い手首でも密閉できるほど広範囲に調節可能です。
裾は両側に設置されたドローコードで調節可能。風雨の浸入や体温のロスを防ぎます。
ここがイマイチ
耐久性
この手の超軽量ジャケットの宿命ですが、相当薄く作られているので鋭利な物体には要注意です(長期にわたって使い続けられるかどうかについては未確認)。
価格
創業以来、革新的な技術と斬新なデザインへのチャレンジを続けながら、一貫して家族経営で職人の手作業による製品開発にもこだわり続ける同社の製品は、日本ではちょっと普通に手の届かない価格が多く残念。ただ少なくとも、長く愛着を持ち続けられるデザインと高い性能は、その価格に見合っていない訳ではまったくありません。
まとめ:どんな活動におすすめ?
優れた防水・防風・透湿性により夏のトレイルランニング、サイクリング、トレッキングはもちろんのこと、内側の防寒着次第では冬にだって使える、それくらいに汎用性の高いジャケットです。ただフードはヘルメットを前提には作られていないようですので、クライミング系の活動には注意が必要。実際のところより安価な競合製品が存在しているのは事実ですが、製品の価値とは機能だけではもちろんありません。機能も、デザインも妥協しない、その製品の背景としてのブランド哲学も含めたその全体としての魅力にこだわる人にとって、この製品はきっとあなたの好奇心と探究心を満たしてくれるでしょう。