Outdoor Gearzine "アウトドアギアジン"

比較レビュー:ベアフット、厚底系……プロのトレイルライターが2018年注目のトレランシューズを履き比べてみた

トレイルライターの奥山です。日常生活では、on かファイブフィンガーズ、夏にはお手製ワラーチもかなりの頻度で履いています。ですが、ロードランやトレイルランの際は、某T社の厚底シューズやVibramソール系のシューズを好んでいます。

幅が若干広めで、外反母趾なため、一度相性が合うと、かなりのスパンで履き続けます。トレランの主なフィールドは丹沢か箱根、鎌倉。大会運営の会社に所属しながら、トレイルライターとしても活動しています。そんな私が今年の新作から昨年人気だったモデルも含め、気になっていた注目モデルを(恐れ多くも)ジャッジメントさせていただきました!

目次

今回の比較候補となったシューズについて

ゼロドロップ、Vibram、厚底系……。

個性豊かなトレランシューズが多くなりつつある昨今。

一足で色々なトレイルや距離に対応できるのが理想的だ。

とはいえ、ロングレース用、マルチなフィールド用、ダメージ軽減用など、シューズの使い分けも、このスポーツの醍醐味の一つ。

今回は、実際に履き続けてみないと、知ることのない、実感コメントを記すことにした。シューズ選びの参考にしていただければ、幸いです。

テスト環境

自分の主なフィールドといえば、丹沢。がれ場や急な登り、下り。アップダウンが多く、パンチの効いたトレイルで知られ、首都圏から好アクセスなフィールド。その丹沢で、主にテストさせていただきました。また、OSJトレイルレース 奥久慈トレイルレースのフィールドや、丹沢最高峰の山荘 蛭ヶ岳山荘周辺でもテスト着用させていただきました。

  1. 重量・・・パフォーマンスはもとより、足上げにも影響するシューズの軽さ。とは言え、足への負担にも影響するので、単に、軽ければいいというわけでもない。
  2. グリップ・・・トレイルランニングで、パフォーマンスにかなり影響するシューズのグリップ。とりわけ、トレイルのコンディションや下りには欠かせない要素。
  3. ラスト・・・日本人の足の大半が幅広型の傾向にある。ラストが合わないと、シューズ選びは始まらないと言っても過言ではないだろう。
  4. アッパー ・・・シューズの先端部分。指周りを保護する役割がある。狭すぎる場合は、合っていない証拠。シューレースを締めると、快適なフィット感が得られれば、OK。
  5. 快適性・・・長時間、シューズを履いていても、快適であることが望ましい。通気性やラストの相性、アッパーの包み込むような感じなど、いろいろな要因から成る。

テスト結果&スペック比較表

総合順位 1位 2位 3位 4位
アイテム LA SPORTIVA AKYRA HOKA ONE ONE SPEEDGOAT 2 MERRELL TRAIL GLOVE 4 E-MESH アディダスTERREX AGRAVIC SPEED
参考価格 17,820円 21,600円 13,824円 14,040円
ここが◎ グリップ力、クッション性、安定性 軽量性、安定性、グリップ力 軽量性、アーチサポート、ホールド感 軽量性、通気性、グリップ力
ここが△ 重量 つま先がやや狭い グリップ力 つま先がやや狭い、安定性
重量 ★★☆☆☆ ★★★☆☆ ★★★★★ ★★★★☆
グリップ ★★★★★ ★★★★★ ★★★☆☆ ★★★★★
ラスト ★★★★★ ★★★★☆ ★★★★★ ★★★☆☆
アッパー ★★★★★ ★★★★☆ ★★★☆☆ ★★★☆☆
快適性 ★★★★★ ★★★★☆ ★★★★☆ ★★★☆☆
スペック
アイテム LA SPORTIVA AKYRA HOKA ONE ONE SPEEDGOAT 2 MERRELL TRAIL GLOVE 4 E-MESH TERREX AGRAVIC SPEED
重量(g) 335(27cm) 278(27cm) 216(27cm) 255(27cm)
アッパー

エアメッシュ+TPU マイクロライトスケルトン+ フレックスガード(ライナー:ノンスリップメッシュ)

エンジニアードメッシュ エンジニアードメッシュ テキスタイルとシンセティックのアッパー
アウトソール FriXion XT mix + インパクトブレーキシステム Vibram® Megagrip Vibram Continentalラバー
スタックハイト 9mm 4.5mm 0mm 8mm

評価結果 ~タイプ別おすすめ~

MERRELL TRAIL GLOVE 4 E-MESH

ベアフットトレイルランナーなら絶対に履いてほしい軽量シューズ

ココが◎

ココが△

まず、手に取って、驚いたのが、その軽さ。それもそのはず、216g。ごく一般的なトレランシューズよりも約50gもダウン。ベアフットランニングや裸足感覚で走れるシューズだからだろうか。インソールは、比較的ベアフットしやすいように、アーチ(土踏まず)をサポートしてくれる感じ。初心者でも意識せずに、自然とベアフットフォームで楽に走れると言っても過言ではないだろう。ベアフットランニングを取り入れたいランナーには最適は一足だ。シューズのつま先部分は、若干ふっくらとしており、足の指を動かしやすい。アッパーのホールド感はかなりいい。アッパーは通気性を考慮したメッシュタイプ。シュータンと一体化したアッパーで、シューレースを締めると土踏まずのアーチを引き上げながら、足を包み込むようにジャストフィットする。優しく足の甲を包み込む感じだ。シューボックスは広め。指が動かしやすいため、母指球あたりに自然と体重移動できる。残念な点。アウトソールのグリップは若干弱め。トレイルの下りには、少々テクニックを要する。前足部に採用された「トレイルプロテクトパッド」は足を保護してくれるが、グリップ力はランニングシューズとさほど変わらない。とはいえ、ファストハイクなどにも、ぴったり。

HOKA ONE ONE SPEEDGOAT 2

走るマシュマロになれる!?バリエーション対応の軽量厚底シューズ

ココが◎

ココが△

厚底系のパイオニアHOKA ONE ONE。マルチに使えるトレランシューズがこれだ。足入れしてみた感じは……。アッパーが若干きつめなので、靴下は薄めがベターだ(奥山調べ)。トレイルで軽くジョグしてみる。重さを感じさせないばかりか、着地や蹴り出しの際にも、厚底感を感じさせない。正直、軽い。自然な足運びができることに驚いた。ローリング的な足の出しやすさ、下りの際、安定のグリップ力だ。より深く、多くの溝を刻んだVibram®アウトソールが、アップダウンが激しいトレイルで、オールマイティーなグリップ力を実現している。さすが「走るマシュマロ」と称するHOKA ONE ONE。新しいラストはやや幅広。ミッドソールが足をしっかりとホールド。トゥーボックスも安定性を重視している。前作スピードゴートの進化系「SPEEDGOAT 2(スピードゴート 2)」。フィット感、安定性、耐久性は文句なしの完成度だ。タフなロングトレイルでこそ、心強い相棒となってくれるだろう。ぜひ、厚底の未経験者に、この完成度を実感してほしい。

アディダスTERREX AGRAVIC SPEED

足幅細身ランナー限定!?グリップ力は登りも下りもかなりの強者

ココが◎

ココが△

あのアディダスからのアウトドアシリーズ「TERREX」。そのシリーズのトレランモデルが、「AGRAVIC SPEED」。重さはちょっと軽めの255g。足を入れてみると、やや細身のラストだ。奥山の幅広な足にはちょっとタイト気味。足幅が狭いランナーにはもってこいだが。アッパー部分には、通気性の高いメッシュとリップストップアッパーを採用している。通気孔を設けたEVA素材の履き口、メッシュカバーを備えたシュータンと、通気性と軽量化にかなり貢献している。かかと付近のデザインがやや深め。人によっては、かかとが抜けやすいかもしれない……。隙間から砂利などが入ってくる可能性が高い(泣)アウトソールには濡れた路面でも抜群のグリップ力を発揮するContinentalラバーを採用。グリップ力は登り下りで、威力を発揮する。安定性が高めで、体重移動がとてもしやすい。優れたグリップ力は賞賛すべき点だが、やはり、かかと部分の改善を望む。

LA SPORTIVA AKYRA

オールマイティー高し!!安定のグリップとアーチサポートは、MOW病みつき!

ココが◎

ココが△

クライミングシューズでも確固たる地位を築いている「LA SPORTIVA」が誇る AKYRA(アキラ)。足を入れてみて、まず実感するのがヒールカップ。アーチがサポートされ、しっかり快適にホールドされる。指先のボックスは広めで、足幅広めの方にもちょうどいい。指が動かしやすく、足裏全体を使って走れる感じだ。ソールにはTrail Rocker™システムを採用。固めと柔らかめのパターンが適切に配置されているため、あらゆるトレイルコンディションでも頼れるグリップ力だ。路面の衝撃を吸収し、摩擦力を高めて傾斜地でのグリップ力を高める「インパクトブレーキシステム」と、安定のプロテクションも心強い。長時間、履いていても、アッパーが湿気の蒸発性に優れているため、シューズ内は快適。ロングディスタンスなトレイルランに理想的なモデルの一つと言えよう。オールマイティーなシューズを求めているランナーにはもってこい。ただ、欲を言うと、もう少し軽量化して欲しかった。

まとめ

総合的に高評価だったのが、LA SPORTIVA AKYRA(アキラ)。快適さ、アーチサポート、ヒールカップ、アッパー、日本人特有の幅広足にあった木型、そして、何よりもマルチに対応するグリップ力。どれも高得点だった。重さが若干割増だが、ロングレースであれば、全くの合格ライン内だ。HOKA ONE ONE SPEEDGOAT 2は、長年の厚底シューズのパイオニアだけあって、かなり改良されてきている。着地からの蹴り出しがとてもスムーズで、厚底特有のクセを感じさせない形状と軽量には驚いた。ミドルから、ロングレースに向いている。アッパーがもう少し、高ければ、快適さは増すはず。MERRELL TRAIL GLOVE 4 E-MESHは、日頃からファイブフィンガーズを愛用しているため、かなり期待していた。確かに、軽量モデルで、木型が幅広ゆえに、かなり快適。アーチサポートも心地よく、自然とベアフットランニングが楽しめる。ビブラムソールだが、そのグリップ力はもう少し、改良するべきだろう。特に雨天時のトレイルの下りには、かなり心許ない思う。最後にアディダスTERREX AGRAVIC SPEED。軽さと Continentalラバーを採用したアウトソールはかなり評価できる。トレイルの下りでも、上りでもその特長を実感せざるを得ない。残念なのが、木型とヒール部分。かなり細身のタイプなので、ユーザーは限られる。また、ヒール部分の切り込みが深すぎて、かかとが浮く感じは否めない。隙間から砂利などが入りやすい。今回のテストでは、LA SPORTIVA AKYRA(アキラ)とHOKA ONE ONE SPEEDGOAT 2が、買い狙いのシューズとして、マークした。とはいえ、相性があった上で、軽量好みのユーザーなら、MERRELL TRAIL GLOVE 4 E-MESHアディダスTERREX AGRAVIC SPEEDとをオススメしたい。

奥山賢治

Trailist (トレイルフォトライター・大会運営スタッフ・きこり見習い・山小屋サポーターなど)。フリーのトレイルライターとして、トレイルラン関連の媒体で、記事執筆をしています。大会運営スタッフとしての所属は北丹沢山岳センター→パワースポーツ(今ここ)。コース整備がきっかけで、修了したのは森林整備基本研修及び演習林実習コース(つまりは、きこり見習い)。時折、丹沢最高峰の蛭ヶ岳山荘でお手伝いをしています。

レビュアー募集中

Outdoor Gearzineではアウトドアが大好きで、アウトドア道具についてレビューを書いてみたいというメンバーを常時募集しています。詳しくはこちらのREVIEWERSページから!

トレイルランニングについてはこちらの記事もおすすめ

モバイルバージョンを終了