見ているだけで、パックを背負って飛び出したくなる存在感
最近のグレゴリーが世に送り出すパックは、一言でいうとどれも「背負って楽しい」パック。その理由は、機能性はもちろんのこと、背負った瞬間に感じる妥協のない快適さへのこだわり、あるいは誰もが身につけたくなる洗練されたデザイン。いずれにしても、彼らの製品には、長年培ってきたブランドしか醸し出せない、アウトドアすることの果てしない魅力と、刺激的な興奮を呼び覚ましてくれるような誘惑があるように思えてなりません。そうした魅力はこのStout 35 にもハッキリと受け継がれています。2015年のお気に入りパックであるこのモデルを早速レビューしていきましょう。
なお、Stout 35 を含めたバックパックの比較評価についてはこちらのページで紹介しています。
詳細レビュー
アイテム名(価格)
GREGORY(グレゴリー)STOUT(スタウト)35(参考価格:20,520円)
主なスペックと評価
項目 | スペック・評価 |
---|---|
Fabric | Polyester/multidensity foam |
Color | マリーンブルー Shadow Black Maple Orange |
size/背面長 | M=46-51cm、L=51~56cm |
容量 | M=35L、L=37L |
重量 | M=1.41kg、L=1.44kg |
バリエーション | 45/65/75L |
快適性 (20点) |
18 |
安定性 (15点) |
14 |
収納性 (20点) |
17 |
使い易さ (20点) |
17 |
汎用性 (15点) |
12 |
デザイン (5点) |
5 |
価格 (5点) |
2 |
総合点 | 85 |
ここがスゴイ!
大型パックに引けをとらない圧倒的な快適さと安定感
これまで多くの30リットル台のパックを背負ってきましたが、ここまで心地よく背負えたパックははじめて。その快適さを生み出しているポイントは3つあります。
まずは背面フレーム。強靱・柔軟・軽量なワイヤーが背中を囲むように配置され、隙間をつくらず背中に自然にフィットします。そして背中の当たる部分には、適度な通気性と柔軟性をもったパッドで覆われています。このパッド、さすがにメッシュ構造の背面と比較すれば通気性は劣りますが、硬すぎず柔らかすぎず、今のところは不快な感じは全くないです。
2つめ、ヒップベルトは他社アイテムと比較してこのサイズのパックにしてはかなり贅沢なクッション。長時間の歩行でも余分な負荷がかからず、よく腰骨が当たって痛くなりがちなぼくにとってはこの上なく有り難い特徴です。
3つめのポイントはショルダーベルト。よく見ると他社アイテムと比較してベルトのカーブが大きいのが分かります。これがさらにフィット感を増し、脇部分の摩擦を軽減してくれます。
これらの特徴によって生み出される圧倒的なフィット感は、重たい荷物を背負った時に特によりはっきりと感じられるでしょう。小さめのパックでは半分諦めてしまいがちな、肩にはほとんど負担がかからず「腰で背負える」という感覚は、誰もが納得する快適さを与えてくれます。もちろんアクティブな行動に対してもこのフィット感は容易には揺らぎません。しっかりとしたホールド力が長時間続きます。
行動を邪魔しない、ユーザーにやさしい機能あれこれ
ヒップベルトには余裕を持った大きさのポケットが左右両方についています。
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ハイドレーションチューブの取り出し口は首の後ろ部分、中央から2方向に引き出せるように配置されています。ショルダーベルトに固定するためのバンドも着いています。個人的にはこの位置に取り出し口があることで(両サイドにあるよりも)チューブの流れを自然に口にもっていくことができるため便利。
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両サイドにはよくあるネットではなく、パックと同じ生地でつくられたポケットがついており、落下防止に2本のストラップで留めるようになっています。これらはより耐久性があり、サイズ的にも比較的大きなギアが収納できます。
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フロントにはレインカバーが収納されたジッパーポケットと、両脇のストラップを伸ばすことである程度大きく開けられるポケットがついています。ここには地図やちょっとした上着、行動食、ウォーターボトルなど、すぐに取り出したいようなアイテムを入れておくのにとても便利です。
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前面の両サイドにあるトレッキングポールやピッケルのアタッチメント。位置もちょうどよく、取り付けやすさも及第点。
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Goal Zero のソーラー充電器が取り付けられるデイジーチェーン。もちろん他のアイテムを取り付けてもぜんぜん大丈夫。
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ここがイマイチ
下部にしかないフロントアクセス
前面のジッパーを開閉することで簡単にパック内部のアイテムを取り出せるようにするフロントアクセス機能ですが、このモデルでは下部(写真)のジッパーのみ、あくまでもスリーピングバッグなどの取り出しを想定していますので、ちょっと物足りなさを感じます。とはいえこうしたフロントアクセスが無いモデルもあるなかで、ここまで求めるのは若干厳しい気がしますが、あえて指摘するならば、ここが大きく全体を開閉できるジッパーであればなお良かったかと。なおメーカーサイトには前面をがばっと開けることができるフロントアクセスジップパネル搭載となっていますが、実際には35・45リットルサイズにその機能はついていませんので注意。
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サイズの大きすぎるレインカバー
どういう意図か分かりませんが、このパックに付属しているレインカバーは異常にデカい。なぜかは不明ですが、はっきりいって風などに煽られそうで使い物にはならないレベル。
まとめ:どんな活動におすすめ?
このパックは非常にベーシックな作りですので、利用範囲には制限がありません。ハイキングや、バックパッキングにも、クライミングやスキーツアーにも問題なし。いくらでも使い倒してください。初心者からベテランまで、すべてのユーザーが納得のいく非常に優れたパックであることは断言できます。それでいてこのパックには、エッジの削り取られた無個性な表情ではない、はっきりとした「顔」をもっています。カメラで例えるならばライカのような、あるいはクルマで例えるならば BMW のような。このパックであることで、アウトドアをすることが楽しくなる、アウトドアを楽しむことに集中させてくれる、そんな姿勢を感じることのできるギアであり、”こだわる”人にはすべからくおすすめです!