Review:GREGORY BALTORO 65 2年ぶりのアップデート。驕らず前へと歩き続ける、バックパックの最前線

2015年にリリースされた前モデルは、世界中の名だたるアワードを総ナメにし、大容量バックパックの王様としてその名を広く世に知らしめたGREGORY BALTORO(以下、バルトロ)(女性モデルはDEVA(ディバ))が約2年ぶりのアップデート。前モデルからマイナーチェンジとなった今回は、基本的な特徴はそのままに、細かい部分での改善が加えられた形です。

前作の特徴や魅力については、以前当サイトでも紹介しています。基本的な部分は前モデルのレビュー「Review:GREGORY BALTORO 75 からバックパックの使いやすさについて考えてみる」を参考にしていただくとして、今回はその細かいアップデートによって新しくなった点を中心にレビューし、試用した際のインプレッションを書いてみます。

目次

2018年版GREGORY BALTORO、新しくなって何が変わった?

正直、ルックスは良くなったよね

世界第2の高峰、K2峰を望む長大な氷河の名を冠したバルトロは、その名の通りヒマラヤトレッキングをはじめ大荷物での数日~数週間にわたるトレッキングを想定して作られた大型バックパックです。

最新作を見てまず分かるのは、正面ポケットの仕様が変わったことによるフォルムの変化。前モデルの、正面が縦に開くジッパー式の大型ポケットは荷物が入っていなくてもやや膨らんだデザインでしたが、今回そこがメッシュポケットになったことで、全体的にスリムなフォルムを保つようになりました。多少クセがなくなったとも言えなくないですが、より万人受けしそうというか、個人的には素直にカッコいいと思いました。

一通り全体を眺めてみても、それ以外で見た目での大きな変更点はなく、結果的には同ブランドの他の登山向けバックパックたちと同じようなルックスになったようです。

背面素材の見直しと大胆な削ぎ落しによる軽量化で背負い心地はどうなった?

バルトロといえば、適切な荷重分散をとことん追求した背面システムと、どんな体型でも快適に背負えるよう考え抜かれたフィッティング機能が特徴。極上の背負い心地と世界中のハイカーから絶賛された背面システムは変更なく、ある種の完成の域に達しているといってもいいかもしれません。

背面フレームとパッドの形状に関しては変更がない一方、クッション・パッドの材質には大胆なメスが入りました。素材が変更され、中身には大胆な肉抜きが施されました。より通気性が高まり、全体の重量も約200g(当サイト比)軽量化をしています。

最新モデルでは素材変更と肉抜きが施された背面(左)

実際に背負ってみると、確実に背中の熱はこもりにくくなり、肩やヒップベルトにたまった汗はより蒸発しやすくなっています。その違いは暑い時期になればなるほど、如実に感じられました。

肌に触れる部分がメッシュで不快感をやわらげ、肉抜きした部分には空気の流れが生まれ、夏での快適性は向上。

安定感抜群のA3サスペンションによる背面システムは相変わらず文句なし。腰から肩にかけて、背中全体に荷重がしっかりとかかるようになっています。背面長とショルダー・ヒップベルトの大きさを自分の体型に合わせて調節することができるだけでなく、それらは行動中も身体の動きに合わせて追従してくれます。

ショルダー・ヒップベルトの大きさを変えるだけでなく、位置も調整できるなど、細かくフィッティングすることができる。

しっかりと腰にパックが乗るように、パッド部分に滑り止めを効かせるなど、大容量ならではの配慮は本当に行き届いています。

腰部分は滑り止めが張ってあり、荷重を乗せやすい。裏には当たりを調整する取り外し可能なパッドが収められている。

ただ一方でちょっと残念に思った点も。背中・肩・ウェスト部分に使用されていたパッドの材質が変更されたことで、前モデルにあった、低反発ベッド並みに心地よいクッション性は若干失われてしまっています。あくまでも相対的な話ですが、個人的には前モデルのラグジュアリー感が気に入っていただけに惜しいところです。個人的には冬など通気性が気にならない季節については前モデルの方がより快適な気がしました。

収納・アタッチメントにはトレンドに合わせて細かい見直しが入る

前のレビューでも触れたとおり、グレゴリーのバックパックを王様たらしめているのは、ときおり「ロールスロイス」と形容されるような快適フィッティング性能だけでは決してありません。これから挙げる、細部まで行き届いた収納機能、パーツ使いの絶妙さ、質の高さ、それらを合わせた総合的な完成度の高さこそがこのバックパックの真骨頂であるといえます。バルトロは一歩一歩ディテールの地味な改善を積み重ねることで、さらに高みへと到達しました。

そのひとつは前半でも触れた、フロントの大型収納です。前モデルの縦に開くジッパーポケットは、メッシュのストレッチポケット+左右のジッパーポケット、計3つのポケット変更されています(下写真の左)。

以前までの大型ジッパーポケット1つ(右)だったフロント収納は、メッシュポケット+左右ジッパーポケット(左)へ。

新しいストレッチメッシュのフロントポケットは地図やレインウェアなどの比較的かさ張らないものから、行動食やボトルなどのボリュームのある道具まで、相当幅広いギアを収納できます。ストレッチが利いているため荷物も揺れにくく固定力があり、出し入れもしやすい。

ジッパーからバックルになったことでアクセスは容易になった。

さらに左右のジッパーポケットにもサンダルやエアマット、グラウンドシート、頑張ればタープや・シェルターなど、パッキングの順番的に最後の方になるギアも収納可能。前モデルの大容量フロントポケット自体も使い勝手が悪くなかっただけに、このアップデートはサプライズだったし、さすがです。

フロント両サイドのポケットは縦長で、グラウンドシートやサンダルなどが収納可能。

ただすべての面において進化した、というわけでもありません。前モデルまでのナイロンリップストップ生地の方が相対的に耐久性は高かったため、今回のメッシュポケットもそれなりの耐久性を備えているとはいえ、地面にこすりつけすぎるとほころびやすい点は指摘しておきたい(下写真)。他ブランドも含めて、最近流行りのフロントメッシュストレッチポケット全般にいえることではありますが。

メッシュポケットは柔らかく引っ掛けやすい生地なので、ほころびには注意。

また、前回のレビューでも個人的に必要性を感じないと指摘していたサイドポケットが無くなっていました(下写真)。実質的にはサイドにあったポケットがフロントに移動したと考えられそうですが、今回の方が使い勝手は確実に上がったといえます。

前作までのサイドのジッパーポケット(上)が最新モデルでは省略された(下)。

その他、整理・出し入れがしやすいトップリッドには、四隅にストラップを通すためのループが追加されました。これも前回のレビューで指摘していたのですが、どうやらその声が通じたようです。やっぱりテントマット等の設置場所をトップ・ボトム・サイドと選択できるのは地味にうれしい。

トップリッドの四隅に、ストラップを通すループが追加(○囲み拡大部分)。

前回から相変わらず、ギアを収納しやすくする多彩なアタッチメント、パッキング・出し入れのしやすさを極めた収納は健在です。下写真は天蓋を開けなくても中の荷物にアクセス可能な、U字型大きく開くフロントジッパー。

荷物の多い太陽量パックでは、これくらい大胆に開閉できると、パッキングやアクセスが各段に楽になる。ただし、当然重量は増えてしまう。

サイドポケットは前作同様、左右非対称。右がウォーターボトルを、左がポールなどの長物を収納するのに便利な形状になっています。ヒップベルトポケットも右が防水、左がメッシュ仕様に。防水ポケットはもはや最近の大型スマホが収まるサイズではありませんが、アップデートは次回以降に持ち越されてしまいました。

メイン収納内部にハイドレーションポケットとして配置され、取り出すとアタックザックにもなるサブパック。こちらも前作から特に変更はありません。

まとめ:あらためて、どんな活動におすすめ?

ここが◎(太字は今モデルでの新しい部分)

  • 幅広い体型にフィットする調節性
  • 動きのなかでも安定する、計算された荷重分散
  • 通気性と速乾性が向上し、真夏のトレッキングにも快適に
  • さらにディテールにこだわった多彩な収納機能と、ストレスのないアクセスしやすさ

ここが気になった(太字は今モデルで新たに感じた部分)

  • 腰まわりの潤沢なパッドによる優れたクッション性は相変わらずだけど、前モデルに比べると微妙に硬く
  • フロントのメッシュポケットは耐久性がやや不安
  • ヒップベルトポケットは最近の大画面スマホが入らない

ここであらためて言うまでもなく、バルトロ(ディバ)は大きな荷物を背負って長時間歩くために必要な快適さと使いやすさについて、徹底的にユーザー目線で考え抜かれた、相変わらずぶっちぎりに完成度の高いバックパックでした。多くのバックパックブランドがベンチマークにするのもうなずけます。

全体を通してさらに隙が無くなったといえる今回のアップデートでは、肉抜きされた背面やメッシュポケットといった最近のトレンドが多く取り入れられ、洗練さが増した印象。一方で、「快適さとはこういうことだ」といわんばかりの極上の背負い心地と独自の使いやすい収納を誇っていた、古き良きバルトロがどストライクだったファンからすると、少し流行りにすり寄った感じがしないでもなく。高いクオリティは間違いないものの、独自性という点は少し後退した気がします。

いずれにせよ、ハイキングからトレッキング、長期縦走、バックパッキング旅行、スノースポーツなど、幅広いアクティビティに対応し、モダンなアウトドア・アクティビティからクラシックな登山まで、これ1つでむこう5年間は極上のアウトドア・ライフを満喫できるに違いありません。

GREGORY BALTOROの主なスペックと評価

スペック
項目 GREGORY BALTORO 65
カラー
  • ダスクブルー
  • フェラスオレンジ
  • オニクスブラック
サイズ(背面長)
  • S/M/L
容量(リットル) 65
重量(実測) 約2,400g(ショルダーM/ヒップベルトMサイズ実測、レインカバー込)
バリエーション
  • 65L/75L/85L
  • 60L/70L/80L(女性モデル(DEVA))
メインアクセス トップ・フロント・ボトム
背面システム レスポンスA3(オートマティック・アングル・アジャスト) サスペンション
背面長調整 ◯(購入段階で男女別の背面長が3つのサイズ展開、ショルダーハーネスにも3つ、ヒップベルトには5つのサイズがあり、合計15種類の組み合わせの中でパーツを選択可能 ※ショルダーハーネス、ヒップベルトのサイズ交換は「テクニカルフィッティングディーラー」対象店舗のみにて対応)
ハイドレーション対応
レインカバー 付属
収納・機能
  • 個人の体型に合わせて自動で角度調節がされるオートフィット機能がついたショルダーハーネスとウエストベルト(歩行時も体の動きに追従)
  • 給水リザーバー用スリーブは超軽量リムーバブル・デイパックへと変化します
  • TPUコーティング、密閉型のヒップベルト・コンパートメントは耐候性に優れたYKKアクアガードのジッパー式クロージャーを採用
  • レインカバーは、外側のバーティカル・ジップ・ポケット内側のメッシュ・コンパートメントに収納。このポケットは天気の良い日にはアクセサリー収納としても使用可(レインカバー付属)
  • サイドに配された、人間工学に基づくボトル/アクセサリー収納用ポケットは、メッシュの口紐付きで細かいアイテムをまとめてしまえます。グレゴリーの人気パーツ
  • アイスアックス/トレッキングポールを留める、取り外し可能なショックコード
  • フロントU字ジップ・パネル搭載のトップロード型(雨蓋式)で、上から下まで開口し、メインコンパートメントのアイテムへの素早いアクセスが可能
  • スリーピングバッグ・コンパートメント:外側からアクセスできるコンパートメントで、内部に取り外し可能な仕切りを搭載
  • 取り外し可能なEVAシム(ランバーチューン)により、腰の形状に合わせて2段階で調節でき完璧なフィット感が実現します。
評価
快適性 ★★★★☆
重量 ★★★☆☆
安定性 ★★★★☆
収納性 ★★★★★
調節性 ★★★★★
使いやすさ ★★★★★
総合 ★★★★★

バックパックについてはこちらの記事もおすすめ

山仲間にシェアしよう!

131 Shares

最新ギア情報をゲットしよう!