Review:GREGORY STAUT 35 全面リニューアルに見る「新しいグレゴリー」の姿

ハイキングやバックパッキングから街への週末旅行まで幅広いアクティビティに対応した、同社のラインナップのなかでも最もシンプルでオールラウンドに使えるバックパックのひとつ、Stoutシリーズが2017年大きくモデルチェンジしました。このサイトでは、ひとつ前のモデルを「今すぐこのパックを背負って外へ飛び出したくなるような存在感」とまで表現しそのある種の完成度の高さを絶賛してきましたが、それから約2年、今回のリニューアルもいろいろな意味で驚かせてくれました。このパックで春のハイキングから冬山登山、スノーシューイングまでいろいろと試してみましたので、早速レビューしてみたいと思います。

詳細レビュー

アイテム外観

GREGORY(グレゴリー)STAUT(スタウト)35 / 女性向けモデル:AMBER(アンバー)34

前面

背面

側面

主なスペックと評価

項目 スペック・評価
素材
  • 本体:200D×900Dポリエステル 210Dポリエステル
  • 底部:630Dバリスティックポリエステル
  • 裏地:135D高密度エンボスポリエステル
カラー
  • コールグレー
  • ネイビーブルー
  • プレーリーオレンジ
サイズ/背面長
  • ワンサイズ(41~56cm)
容量
  • 35リットル
重量
  • 1,130g
バリエーション
  • スタウト30
  • スタウト35
  • スタウト45
  • スタウト65
  • スタウト75
女性向けモデル
  • アンバー28
  • アンバー34
  • アンバー44
  • アンバー60
メインアクセス トップ/ボトム
ハイドレーション対応
レインカバー
ポケット・アタッチメント
  • クイックリリース・バックルが表面についたフロント・ストレッチ・スタッフポケット
  • ボトムアクセスジッパー
  • クイックリリース・バックルがついたボトムストラップ
  • 両サイドにメッシュサイドポケット
  • サイド・コンプレションストラップ
  • 独立したツール&トレッキングポール用ループ
  • デュアルジッパー・ヒップベルトポケット
  • ジッパー式セキュリティーポケットとキークリップが付いた固定雨蓋
その他 小物入れとしても使用できるレインカバー・インテグレーション
快適性 ★★★★☆
安定性 ★★★☆☆
収納性 ★★★★☆
使い易さ ★★★★☆
耐久性 ★★★★☆
重量 ★★★★★
総合点 ★★★★☆

何が変わった?前モデルからの主な変更点

今回のリニューアルではコンセプトの見直しによってさまざまな部分で前モデルと性格の大きく異なる部分があります。このためまず全体的にどう変わったのか大まかに整理しておきます。

項目 新モデル 旧モデル
背面長調節 可能 不可能
サイズバリエーション ワンサイズ 2サイズ
重量 1.13kg 1.41kg(Mサイズ)
使用素材 軽量・高耐久素材 高耐久素材
バックパネル パネル状の軽量素材 金属フレームによる硬質素材
フロントポケット ストレッチ生地 非ストレッチ生地
サイドポケット 入口が伸縮するメッシュ生地 非ストレッチ生地?
アタッチメント類 デイジーチェーンほぼ無し トップ・フロントに多数のデイジーチェーン

ここがスゴイ

「ラグジュアリー」から「軽快」へのシフトチェンジ

前作から大幅なアップデートがおこなわれた新モデルの最大の特徴は「軽い」ということ。35リットルという中型サイズでおおよそ1kgというのは一昔前ならばウルトラライト系のバックパックでもよく見かけていたレベルのスペックです。お店に並んでいる他ブランドのモデルを持って比べてみれば、その規格外の軽さにびっくりすることでしょう。前モデルは多少重たくても分厚い生地に豊富なクッションと、タフでラグジュアリーな背負い心地の良さが最大の特徴でした。ある意味「これぞグレゴリー」といえるようなつくりをしていただけに、この路線変更にはまったく驚かされました。

ただ軽く(薄く)なったことでこれまでの強みがまったく失われているかというとそこはさすがグレゴリー、新しい高密度のポリエステル素材が薄くしなやかながら十分な耐久性を確保。軽い冬山での使用も特に無理があるということはありませんでした。

調整可能なバックパネル

今回の大きな変更点のもうひとつは何といっても背面パネルの全面的な改訂でしょう。ベースとなる部分は旧モデル同様、背中を囲むように配置された硬質ワイヤーによってパックの荷重を腰に伝える構造で、適切なカーブによって背中に気持ちよくフィットしてくれます。大きく変わったのは背中および腰に当たる部分の素材(詰め物)の質・量で、厚めのウレタンで高いクッション性のあった旧モデルから、細かい凸凹とメッシュによって軽さと通気性を高めた新モデルへと変更、背負い心地はまるで別物です。新しくなったモデルは背面の剛性とクッション性、いわゆるラグジュアリー感は失われたものの、軽量化や背中全体へのフィット感、背中のムレやすさが改善されていることは確かです。

さらに新たに追加された背面長の調節機能は、並のモデルならば無くてもしょうがないかなと思いますが、グレゴリーとなれば別。とことん完璧なフィット感を目指すグレゴリー信者にとっては待ち焦がれた機能で、今回のリニューアルでの最も大きな前進といえます。背面にあるマジックテープをはがし、ハーネスを自分に合った位置に移動させるだけで、誰もが背面長を正確にフィットさせることができます。なお、65/75Lモデル(アンバーは60L)はさらにヒップベルトの長さも調節可能です。

最新の実用的な収納機能が満載

ポケットやアタッチメントなどの収納機能に関しても多くの見直しが入りました。まずフロントに配置されたメッシュの大型ポケットは、前モデルにあった伸縮性のない分厚いポケットよりもスッキリとしたデザインになり使い勝手も向上したといえるでしょう。

同じくサイドにあった伸縮性のないポケットも、使い勝手はそのままにメッシュで入口が伸縮するポケットに変更されました。

左右のヒップベルトには余裕のある大きさのポケットが1つずつ。

天蓋はより大容量で入口も大きく使いやすいポケットになりました。

メイン収納における荷物の出し入れはグレゴリーの他のもでるにも採用されている開けやすくて閉めやすい仕組みのドローコードを採用。下写真の左右両端を引っ張るだけでスムーズに口を開くことができます。

アタッチメントに関しては、特別気の利いたものがあるわけではないものの、しっかりと基本を抑えつつ使いやすいという印象。下の写真のようにフロントの左右に配置されたおなじみのポールループはポールの先端を引っ掛けやすいような小さなループ(緑)とアックスなどを括り付けやすい大きなループ(青)が2種類あるため、取り付け方を悩まずに使いやすい。

内部にあるハイドレーションホルダーからチューブを通す穴はパックの背面中央についており、左右どちらにもチューブを流すことができます。

パックの底には下の写真のようにスリーピングパッドを取り付けても十分余裕がある長さのバックル付のストラップが配置されています。

ここがイマイチ

強度と安定感が落ちたヒップベルト

個人的な好みの問題もあるかもしれませんが、今回のリニューアルで最も不満だったのは新しくなったヒップベルト。背負い心地の快適性をできる限り損なわずに軽量化や通気性向上を実現しようとしたチャレンジは認めるものの、35Lモデルに関してはヒップベルトの強度が弱く荷重をきっちりと腰に載せにくくなっている気がします。また軽さと通気性と引き替えにクッション性も低下しているため、以前感じられた「荷重を腰で受け止める」という重荷を背負うための伝統的な構造ではなくなっています。この淡泊さに関してだけは重い荷物になればなるほど、前モデルの贅沢な腰回りが懐かしく思い出されます。

削減された天蓋・フロントのデイジーチェーン

バックパックの外側にカラビナやストラップなどを通すためのデイジーチェーンは、さまざまなギアを取り付けるのに何かと便利なアタッチメントで、以前であれば、ソーラーパネルを取り付けられるようなデイジーチェーンは35Lクラスでもついていました。それが今回は35Lサイズはとことんシンプル化・軽量化が図られたのかバッサリと削ぎ落とされてしまっています。

まとめ:どんな活動におすすめ?

ここまでお伝えしてきたとおり、堅牢で贅沢なクッションと重荷での安定性を備えた前モデルのような、従来の意味でグレゴリーらしさを体現していたバックパックはここにはありません。正直これについては賛否両論あるでしょう。今回のドラスティックなシフトチェンジからは、過去の伝統を守りながら新しいユーザーに応えていこうという同社の決意と苦悩がにじみ出ていると言えなくもありません。しかしそれらを経て新しく眼の前に見えているのは、使う人を選ばず、旅行からロングトレイルまでより多様で現代的なアクティビティに気軽に持ち出せるような汎用性と柔軟性を備えた、グレゴリーのラインナップ中最もオールラウンドなアウトドア用バックパックです。その完成度はこれからさらに高まっていくことを期待したいところです。

ところで、一見似た特徴をもった同ブランドのZulu 40とこちらのどちらを選ぶのがよいか、経験の少ないユーザーは迷うかもしれません。どちらもハイキング初心者にとって使いやすい特徴を備えた汎用性の高いモデルですが、Zuluは特に背面パネルをメッシュのトランポリン構造にしており夏場の山歩きには適している一方、冬山や沢といったハイキング以外のアクティビティではStoutの方が適しているといえます。

なお容量は30~75Lまで豊富にラインナップされているところもこのモデルの汎用性の高さを物語っています。日帰りや小屋泊まりを主体に考えるならばこの35Lがおすすめですが、1泊以上でテントをもっていくならば45L以上、3泊以上であれば60L以上のモデルがよいでしょう。

GREGORY(グレゴリー)STAUT(スタウト)35

GREGORY(グレゴリー)AMBER(アンバー)34

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