比較レビュー:曇りでも雪面がクッキリ。噂のスキー・スノボ向けハイコントラストゴーグルを比較してみる。
ここからは、いろいろな視点からこだわりポイント別のおすすめモデルをお伝えします。自分好みのモデルをテスト結果から自分で判断したい場合にご活用ください。かなりマニアックなのでお好きな方もどうぞ。
目次
明るさとコントラストの高いレンズ:OAKLEY
一番気になったハイコントラストレンズの性能比較です。これは正直、ブランド的にも最も力を注いでいる部分とあって、どれも細かい部分で微妙に一長一短があり、総合的に一番抜きんでているモデルがない、非常に悩ましい選択でした。
まず噂のハイコントラスト(どれだけ陰影がはっきりと見やすくなるか)の強さでいえば、OAKLEYが最も顕著にハッキリとしていました。ゲレンデでもハッキリしますが、街中でもこれだけハッキリするのは驚きです。特に原色系は蛍光色のように見えます。SMITHはレンズが明るいのも合間ってコントラストが強く感じます。POC、SWANSも雪上では陰影がよりハッキリと浮き出てきましたが、街中含めて複雑な環境で見てみると、他2つに比べてややマイルドでした。
次にレンズの明るさでいえば、VLTが違うので厳密な違いは出せませんが、感覚的に明るいレンズという意味では、OAKLEYの晴れ間の見え方は最高ですし、コントラストがハッキリしているので、明るく感じます。ちなみにSMITHはトータル的な明るさでは優れていて、特に薄暗いときは明るく見えます。裸眼より明るく感じるくらいです。POC、SWANSも基本的には明るくて見やすく、特にSWANSは裸眼近い色合いで見えるため、装着時の違和感は1番少ないです。
解像度の高さと広い視界:POC
一方、装着したときに視界がクッキリシャープに見えたのがPOC。理由は説明出来ませんが、カメラレンズメーカーのCARL ZEISS社製というレンズは確かに他と比べてハッキリと見えました。なんだかスマホで画質補正した感じです。
最後に視界の広さ。見える範囲にはゴーグルの形状とフレームの形状が大きく影響して来ます。視界が広い方が見やすいのは当然ですが、必要な部分が見やすいほど、使いやすゴーグルといえます。それを踏まえ、平面レンズにもかかわらず圧倒的に広い視界を得られたのはPOCでした。ティアドロップサングラスのように垂れ下がった形状は左右下部の視界が広く、さらにフレームの形状・サイズ的にも広い視界を得やすいものです。
コスパ:SMITH
見やすさ、曇りにくさ、フィット感で高い水準にあり、レンズが2枚ついてこの価格(23,000円)は、コスパが良いとしかいいようがないです。初めてゴーグルを買う、もしくは今使っているゴーグルはもう使えない。そういう場合は間違いなくSMITHをオススメいたします。
また、すでに使えるゴーグルを持っているなら、次の1個には作りの丁寧さからOAKLEYをオススメします。
曇りにくさ:SMITH、OAKLEY
バックカントリーでパウダーを楽しむのには、曇らないゴーグルはとても重要だと思っています。ですので、この「曇りにくさ」は特に興味がある考察項目でした。
実際のスキーだけでなく、お風呂で放置したり、霧吹きをかけてみたりとさまざまなテスト結果から、曇りにくさについては、「SMITH or OAKLEY」このどちらかなら問題なし!曇りにくさ、水分が付いた時の吸収・発散がとても早くて、転んで雪が入ってしまってもリフト一本乗れば、見るのに問題ないレベルまで回復します。POCも内側の曇りにくさは問題ありませんでした。ただゴンドラに乗るとレンズ外側が若干曇りやすい様に感じました。
SWANSに関して。僕はもともとはSWANSに良い印象はありませんでした。ですが、今回の結果を受けて印象が代わり、子供にスワンズのゴーグルを買いました。それくらいSWANSには良い印象を持ったのですが、バックカントリーに使うとなるとSWANSだけはオススメしません。
SWANSは内側に雪が入ってしまうなどで、水滴がつくと、レンズが水分を吸って膨張するので見にくくなります。しかもいったん水分を含むと回復が遅く、その間レンズが歪んでしまいます。こうなると、サブゴーグルが必須です。
快適性:SMITH
(右からSMITH、OAKLEY、POC、SWANS)
個人差もありますが、フィット感・クッション性・通気性などを総合的にみて最も快適だったのはSMITHです。レンズを外してフレームだけで装着してもらうと分かりやすいのですが、他ブランドがパッドのサイド、こめかみの辺りから触れ始めるのに対し、SMITHは中央部から触れ始めます。つまりは鼻に隙間が出来やすく、欧米人に比べて顔のカーブがゆるい日本人にフィットしやすい形状になっています。理由としては、ジャパンフィットの鼻部分がしっかりボリュームアップしていること、フォームパッドも中央とサイドで厚みに違いを付ける、テーパー加工がしてあることが原因です。
その他、OAKLEYも比較的日本人にフィットしやすい形状と、当たる部分のクッション性などから装着感は高いです。一方POCはアジアンフィットながらまだフレームのカーブがややきつく、頬にあたりやすいフレーム形状的にも隙間はできやすく、フィット感には人を選ぶ可能性が高いと思います(その分鼻パッドは厚いためそこまできついクセではありませんが)。
国産のSWANSはどうなんだ?と思われる方も多いでしょう。SWANSもカーブはゆるいのですが、実は鼻パッドが薄いです。薄い分(特に鼻部分)人によっては合わない可能性もあります。
まとめ:テストで分かった、自分にピッタリのゴーグル選びのコツ
SMITH、OAKLEY、POC、SWANSと、どれもトップブランドだけあってとても良い商品でした!考察もとても楽しかったです。
今回の結果を踏まえてゴーグル選びでいえることは、
- フィッティング
- レンズ選択
が重要だということ。最後にこのレビューを通じて分かった選び方のコツを共有しておきたいと思います。
1:フィッティング
フィッティングについては、ゴーグル選びにフィッティングが重要だと、これまでもいわれてきました。ただ、「フィッティングってどこを見れば良いの?」と感じるのでは無いでしょうか?僕も鼻の隙間くらいしか意識したことがありませんでした。ですが今回テストして、フィッティングにもいくつかポイントがあることが分かりました。
- フレームサイズ・大きさは自分に合っているのか?
- フレーム・フォームのカーブが自分の顔にフィットするか?
- 鼻に隙間ができないか
- フォームの硬さ、素材の感触に嫌な感じはしないか?
これからゴーグルを選ぶ時には、高いものから安いものまで色々と触ってみてください。高くてもフィッティングが合わなければ意味がありません。
5~6個のブランド、モデルを試せば、なんとなくわかると思います。特にフレームサイズや大きさについては、大きいレンズが流行りだとしても大き過ぎては子供っぽいですし、ヘルメットをかぶるならヘルメットとの相性もあります。大きすぎるとヘルメットにゴーグルが下げられてしまってフィットしません。
自分がそのモデルを好きか嫌いか?が一番重要だとは思いますが、「こっちとこっちどちらも良いけどどうしよう?」と思った時に今回の結果を思い出していただけたらと思います。
2:レンズ選択
レンズ選択は個人的には明るめをおすすめします。VLTでいえば、35%~50%くらいです。基本的には、晴れから曇りをカバーするレンズになります。
個人差がありますが、25%だとレンズカラーが濃過ぎて、逆に見にくい気がします。外国人、特に欧米人向けのレンズは日本人には暗すぎるようです。
外国人、特に欧米人はサングラスをしますよね。あれはファッションもありますが、単純に眩しいんだそうです。欧米人の方が目の色素が薄いので眩しさに弱いんです。
また日本は雪が良く降ります。1~2月は雪が降ったり曇っていることが多いので、実はそれほど濃いレンズは必要ないと僕は考えています。
今回のレンズでいえば、
- SWANS RIDGELINE-U (ULTRAレンズ VLT 35%)
- POC Retina Big Clarity (Spektris Rose Gold VLT 35%)
あたりが使い勝手が良いようです。
もちろん個人差がありますので、絶対はありません。事実、僕は明るいレンズでも平気なので、レンズ的にはSMITH Cromapop Storm Rose Flash lenz 50%が1番好みです。
ただこれだと、晴れると明るすぎて眩しくて困る!という意見もあります。
明る過ぎては目にも良くありませんし、疲れてしまいますので、実際に平均的なレンズカラーを考えると35%位が無難だと思います。もし予算に余裕があるのであれば、今回のモデルにはありませんでしたが、今はハイコントラストでなおかつ調光タイプというレンズもあるので、それがおそらく最強でしょう!
使い方やメインで使うシーンによっても、ベストなゴーグルは変わってくると思います。バックカントリースキーヤーの視点でお伝えすると今回のような結果になります。
あなたのゴーグル選びにお役に立てば幸いです!
濱口 誠
会社員を辞めスキー場に籠った時、パウダーを楽しむ仲間を見てパウダーライディングに興味を持つ。その後、スキーショップの店員を経て家業の蕎麦屋へ。夏は蕎麦屋。冬はスキーヤーとして活動することが目標。
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