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一度着たらもう戻れない!さらに快適になったメリノウールのベースレイヤー(インナー)おすすめ10着

寒さが一段としみる季節、やっぱり今年もメリノウールが恋しい

昨年に引き続き、今年ももちろん、やります。

古くから山の定番ウェアとして親しまれてきたウールがさまざまな改良を経て、今では1年中使える魔法の肌着として多くの支持者を獲得するにいたった「古くて新しい」メリノウール素材のベースレイヤー。従来のウールにあったチクチク感がなくなり、肌触りが気持ちよくて着心地抜群、適度な伸縮性で動きやすく、汗をかいても暖かさをキープ、さらに天然の防臭効果付き。冬の肌着として必要な機能をまんべんなく網羅した品質の高さは、アウトドアのようなシビアな環境ではもちろん、冬の日常着(アンダーウェア)としても大活躍。常に快適、重ね着不要、暖房不要で、冬の生活必需品と化している人も続出しています。

メリノウールの機能を活かしつつ、ひと味加えたハイブリッドモデルが熱い

昨年から今年(2016年)の新作モデルを俯瞰してみると、どうやら近年ではメリノウール自体の質を競うのでなく(既に質の競争では頭打ちレベルまで来ている?)、繊維の作り方から生地の編み方まで、さまざまなレイヤーでの技術革新競争の時代に突入している模様。

もちろんメリノウール100%のアドバンテージはまだまだ健在ですが、そうしたハイブリッド型モデルはメリノウールの長所を殺さずに、弱点を補ってくれるという意味でどれも非常にチャレンジングであり魅力的です。そして肌着という性格上、ただ機能だけが優れていればよいというわけではなく、着心地やフィット感、デザインなど衣服としてのデリケートな部分も含めて、ベースレイヤーに求められる点は山ほどあります。

今回はそうした多くの野心的な新モデルを含めた2016年モデルのなかから編集部の選んだおすすめ10着を紹介します。冬のアウトドアでの快適さが一変する重要な装備。勢いで決めてしまう前に、ぜひこちらを参考にしてみてください!

ベースレイヤーについてはこちらの記事もおすすめ

目次

編集部のおすすめメリノウールベースレイヤー

Arc’teryx SATORO AR ジップネック シャツ LS

保温性★★★ 快適性★★★ フィット★★★ 汗処理★★☆ 普段使い★☆☆

アークテリクスが今期発表したハイブリッド型ベースレイヤーは強度に優れたナイロンコアフィラメントにメリノウールの繊維を巻き付けた新開発素材「Nucliex STR」を採用。これによりメリノウールの快適な肌触りと保温・消臭作用を存分に活かしながら中心部のナイロンによる高い耐久性を両立させることに成功しています。確かに薄くてしなやかな繊維の肌触りは見事というほかない仕上がりで、縫い目の凹凸も極力抑えられ着たときの感触はウール100%のモデルとまるで変わらない快適さです。さらにポリウレタン繊維の伸縮性によって身体の線に合わせたフィット感も抜群。メリノウールの長所を最大限に引き出した新次元のハイブリッド・ベースレイヤーといえるでしょう。※クルーネックタイプもあり。

SmartWool NTSマイクロ150パターンクルー

保温性★★☆ 快適性★★★ フィット★★★ 汗処理★★☆ 普段使い★★★

年間通して使えるメリノウールを選べと言われれば、迷わずこの1着を選ぶでしょう。良質なメリノウール100%だからこそできる、きめ細かくしなやかな肌触り、高い調温性、縫い目の凸凹を抑えたフラットロックシーム、肩に当たらないように計算された縫い目位置による快適な着心地とフィット感など、細部にまで行き届いた品質の高さは、袖を通した人の誰もが納得するはず。長く使い続けても毛玉やへたりがほとんどない耐久性の高さやコストパフォーマンスも含めて、欠点がほとんど見当たりません。最もベーシックで年間通して使いやすいのは150g/m2の薄手タイプですが、真冬に向けて250g/m2の厚手モデルも揃えれば言うことなし。※ジップネックタイプもあり。

NORRONA Wool Round Neck

保温性★★☆ 快適性★★★ フィット★★★ 汗処理★★☆ 普段使い★☆☆

北欧ブランドのなかでも機能面において特に妥協のない製品づくりが好印象のノローナ。17.5マイクロンという最高レベルの極細ウール繊維が濃密に織られているからこそできる、しなやかで肌触りのよい着心地はSmartwool以来の衝撃(米国の某雑誌情報ではSmartwoolも17.5マイクロン)。どちらも極上の着心地であることは間違いありませんが、こちらはウール100%にこだわらず、6%混紡されたナイロンがほどよく強度を与え極細繊維の弱さを補っているところが逆に潔い。さらに170g/m2という生地厚は秋冬のアンダーウェアとしては厚すぎず薄すぎずの絶妙なウェイト。ピッタリとしたフィット感も含めて、ハードなウィンタースポーツに乗り出すなら、今年はこっちを選ぶかも。※ジップネックタイプもあり。

Patagonia キャプリーン・エア・クルー

保温性★★☆ 快適性★★★ フィット★★★ 汗処理★★★ 普段使い★★★

独自に開発した生地「キャプリーン・エア」は、パタゴニア地方から調達された極細のメリノウールとキャプリーン(化繊)を高度な紡糸技術によってジグザグの溝が這うようにしながらシームレスに編み上げた斬新な混紡素材。これが理想的な嵩高構造を作り出し、重量当たりの保温性が劇的に向上しただけでなく、空気の通る溝が通気性を向上させ「温かくて汗抜けも良い」という革新的なベースレイヤーを可能にしました。機能面だけでなく柔らかくて縫い目のない心地よい肌触りと高い伸縮性によるフィット感は、身体に吸いつくようにフィットしながら決して窮屈な感じをさせない極上の着心地。これまで体験したことのない快適さを味あわせてくれます。※画像はメーカーサイトより引用。より保温性の高いフード付モデルもあり。

Rab Merino Plus 160 Long-Sleeve Crew

保温性★★☆ 快適性★★☆ フィット★★★ 汗処理★★★ 普段使い★☆☆

多数の孔をもつ活性粒子である炭素をポリエステル繊維の表面に付着させる「37.5テクノロジー」を採用したウール・化繊混紡モデル。肌面の汗は毛細管現象と表面張力により身体の表面から素早く吸い上げられ、結果としてドライ感とウェアの速乾性を実現し、メリノウールの保温力を活かしながら運動時の快適さを最大限に引き上げる工夫がなされています。スリムな作りにもかかわらず身体の線に沿った裁断や適度な伸縮性によって動きやすさも抜群。縫い目の位置はバックパックに干渉しないように工夫されています。その汗処理能力の高さから、寒い時期でも特にクライミングやラン、バックカントリーなど運動性の高いアクティビティに最適。※ジップネックタイプもあり。

Teton Bros. Power Wool Grid L/S

保温性★★★ 快適性★★★ フィット★★☆ 汗処理★☆☆ 普段使い★★★

この新しい中厚丸首ベースレイヤーに使用されているメリノウールと化繊のハイブリッド素材「Polartec Power Wool」は繊維同士を混ぜるのではなく、直接肌に触れる内側にメリノウールレイヤー、外側に化繊レイヤーという二層構造になっているのが大きな特徴。ウールのもつ快適性・保温性・防臭性と、化繊のもつ透湿性・耐久性という双方のメリットを両立させています。特に裏地のウール面は15.5マイクロンという超極細繊維が起毛しているため空気の層を作りやすく、軽量にもかかわらず着た瞬間から感じられる温かさが魅力。その上この起毛はグリッド状の凹凸があることによって通気性もしっかりと確保されムレにくく、高いレベルでバランスの良さを生み出しています。その他、背中側の裾が長めになっているなどの雪向けの仕様はバックカントリースキーヤーには嬉しい。

Icebreaker Oasis LS Crewe Stripe

保温性★★★ 快適性★★★ フィット★★☆ 汗処理★★☆ 普段使い★★★

スマートウールと並んでメリノウールのトップブランドのひとつであるアイスブレーカーの定番シリーズは200g/m2という秋冬シーズンに十分な厚さと、すこぶる滑らかな肌触り、そしてアウトドアにも日常にもイケる絶妙なフィット感と、普段使いまで含めた使いやすさという点では今でもかなり上位にあると密かに思っています(詳しくはこちらのレビューを参考に)。嬉しいのはその豊富なラインナップ。カラーバリエーションも豊富です。ストライプモデルも今年は昨年の柄に加えて太めのストライプ柄が追加されました。※ジップネックタイプもあり。

Houdini Activist Crew

保温性★★☆ 快適性★★★ フィット★★☆ 汗処理★☆☆ 普段使い★★★

とことん着心地にこだわるならば、フーディニのメリノウールを外すわけにはいきません。昨年はシルクを混ぜ合わせたAirborn Crewを紹介しましたが、今年のイチオシはさらに柔らかく、耐久性と速乾性を高めたエコ素材「テンセル」との混紡モデル。軽さ、肌触り、ストレスのない着心地という意味でのパターニングの良さはもちろん、透湿性が向上したことで日常はもとよりスキーやバックカントリーなどの激しいウィンタースポーツにも使いやすくなっています。生地の独特な風合いや色遣いもこのブランドならでは。※ジップネックタイプもあり。

ibex ウーリーズ 1 クルーストライプ

保温性★★☆ 快適性★★☆ フィット★★★ 汗処理★★☆ 普段使い★★☆

ニュージーランド産の極細な良質メリノウールを使用し、厳しいアウトドアから日常生活までさまざまなシーンにメリノウールの可能性を拡げていく、メリノウール・アパレルメーカーのibexは、生活に溶け込むシンプルかつスタイリッシュなシルエットやデザインが数多く揃っています。こちらの定番モデルはウール100%にもかかわらず伸縮性に富んだラグランスリーブの作り(フォームフィット)がフィット感抜群。実はibexにはネルソンロングスリーブという17.5マイクロン繊維を使用した着心地抜群のモデルがあるようですが、あちらは比較的ゆったりめ(レギュラーフィット)な着心地のためどちらかというと日常使いに適しています。このためスポーツでの使用を優先すると今だにこちらの定番モデルがおすすめかと。※ジップネックタイプもあり。

mont-bell スーパーメリノウール L.W.ラウンドネックシャツ

保温性★☆☆ 快適性★★☆ フィット★★☆ 汗処理★★☆ 普段使い★☆☆

特に文句のつけようがない一定以上の機能性と、驚くほど手頃な価格。これ以上に分かり易いメリットがあるでしょうか。何かが突出しているわけではないものの、メリノウールのもつ特性である「しなやかさ」「調温(保温)性」「防臭性」などはしっかり備えているので、これで十分なのではないか・・・ということは以前レビューしたとおりで、(個人的にはシルエットが残念ではあるものの)インナーとして割り切るのであれば非常にお買い得なことは間違いありません。ちなみに1年使い続けてみた結果、耐久性もそれなりなので毎年買い替えるというイメージはもっておいた方がいいです。※中厚・極厚モデル、ジップネックタイプもあり。

まとめ

もはやアウトドアのベースレイヤーとして完全に定着した感のあるメリノウールですが、今年もまだまだ新しい仕組みで使いやすくなってきているところが相変わらず目の離せないおもしろい分野です。なにより他の山道具と違って日常生活にも十分に役立ってくれるところが厄介で、新モデルが出るたびについつい試しにと手に入れてしまいます汗。とにかく、冬の生活には欠かせないピースのひとつとなったメリノウールを未体験の方は、これを機にぜひ試してみはいかがでしょうか。