比較レビュー:メリノウールのベースレイヤーを20着以上着比べてみて分ったこと

ディテールの違いではっきり分かれる着心地と使い勝手

厳しい冬に備えて夏毛から冬毛へと変化するライチョウのように、ここ数年ですっかりぼくの冬毛として手放せなくなってしまったメリノウールのベースレイヤー。コットンに迫るしなやかな肌触り、寒すぎず暑すぎない安定した保温力、突出した防臭抗菌性は、アウトドア・日常といったシーンを問わず大活躍。みなさんのなかにも同じようにメリノウールの虜になってしまった人はたくさんいるのではないでしょうか。それが証拠にここ数年でメリノウールを用いたベースレイヤー(アンダーウェア)は一気に増えてきています。

各メーカーのリリースするアイテムは当然のことながら厚さをはじめ仕立て、袖・首回りの形、素材の混紡具合など、大小さまざまな点で異なります。このためたとえ同じ「メリノウール100%」のモデル同士であっても着心地や使い勝手などがまるっきり同じというわけではありません。

そこで今回のレポートでは昨年から20着以上のモデルを試着、そのなかから気になった最新12着を比較し、結果をまとめました。ここからメリノウールのベースレイヤーを選ぶ際に気をつけたいポイントについてお伝えできればと思います。

すぐに結論が知りたい方はこちらから結果へジャンプ

比較アイテムのピックアップにあたって

基本的にはメリノウール100%、または50%以上の混紡製品をピックアップしました。

寒い季節にメインで活躍できるベースレイヤーを想定しての選出ですが、中厚~厚手のモデルは当然厳冬期の高山にはめっぽう強いものの、それ以外のシーンではオーバースペックになりやすいため、年間通して使い勝手の優れた薄手のモデルを中心にチョイスしています。薄手モデルは上手く合わせれば重ね着も容易なため、数着もっていても無駄にならずおすすめです。

なお、ピックアップしたモデルには生地の厚さや、袖の長さ、襟の有無、フードの有無などのバリエーションをもったシリーズ製品がありますが、評価する上ではそうしたバリエーションに関してあえて補正はせず、試着したモデル自体の評価をしています。このため例えば同シリーズの生地厚モデル、フード付きモデルはより暖かくなる反面、汗の拡散能力や速乾性が落ちるなどの変化が必然的に起こり得ます。こうした差異については逐一言及していませんので、それぞれ結果を補完して読んでください。

比較テストアイテム

Patagonia Merino Air Hoody

SmartWool NTSマイクロ150パターンクルー

SmartWool NTSミッド250パターンジップT

Amazonで詳細を見る SmartWool NTSミッド250パターンジップT

Icebreaker オアシス LS クルー

Icebreaker エアロ LS クルー

berghaus メリノウール 150 ハーフジップ ロングスリーブ

Rab MECO 120 LONG SLEEVE TEE

ibex ウーリーズ150 クルー ストライプ

Houdini Airborn Crew

mont-bell スーパーメリノウール L.W.ラウンドネックシャツ

HAGLOFS ACTIVES MERINO II ROUNDNECK

DUCKWORTH MAVERICK CREW

テスト環境

2015年9月~11月にかけて複数回の山行で使用(いくつかのテストでは14着すべてを同日に着替えながら行動し、比較)したり、日常生活で使用。

実地テストによる詳細評価

総合順位 1位 2位 3位 3位 5位 6位 7位 8位 9位 9位 11位 12位
アイテム Patagonia Merino Air Hoody スマートウール SW64024 M\'s NTSマイクロ150パターンクルー カデットブルー ネイビー M【Mens】SmartWool NTSマイクロ150パターンクルー icebreaker(アイスブレーカー)M Oasis LS Crew オアシスロングスリーブクルー男性用 IT61302 ブラック MIcebreaker オアシス LS クルー smartwool(スマートウール) M\'s NTSミッド250パターンジップT オリーブヘザー/ブライトオレンジ MSmartWool NTSミッド250パターンジップT 【ポイント10倍!2015/11/20/10:00?12/4/9:59】berghaus MERINO WOOL 150 HALF ZIP LS BASELAYE...berghaus メリノウール 150 ハーフジップ ロングスリーブ (ラブ)Rab(ラブ) MeCo120 LS Tee QBT11 Redwood レッドウッド SRab MECO 120 LONG SLEEVE TEE アイベックス(IBEX) Mウーリーズ150クルーストライプ Myko/Seq 0120S-6957 Sibex ウーリーズ150 クルー ストライプ 幅広いシーンで使いやすいシンプルなデザインアイスブレーカー Icebreaker エアロ LS クルー メ...Icebreaker エアロ LS クルー HOUDINI(フーディニ) Men\'s Airborn Crew 272024 Bleached Black LHoudini Airborn Crew (モンベル)mont-bell スーパーメリノウール L.W.ラウンドネックシャツ Men\'s 1107263 BK ブラック Lmont-bell スーパーメリノウール L.W.ラウンドネックシャツ (ホグロフス)HAGLOFS 603095 ACTIVES MERINO II ROUNDNECK MEN 603095 2C5 TRUE BLACK MHAGLOFS ACTIVES MERINO II ROUNDNECK DUCKWORTH MEN’S MAVERICK CREW
ここが◎ 暖かく、快適な肌触りとフィット感、デザイン すべてにおいて高いバランスの良さ デザイン、快適な肌触り 保温性、心地よいフィット感 しなやかな肌触り、動きやすさ 高い汗処理能力と保温性のバランス デザイン、心地よいフィット感と保温性 速乾性、軽くてサラサラとした肌触り しなやかな肌触り コストパフォーマンス、速乾性と保温性のバランス しなやかな肌触り、保温性 普段着に最適なゆったりした着心地とデザイン
ここが△ 耐久性、夏には暑すぎる、価格 特に無し カラーバリエーション 夏には暑すぎる、速乾性 特に無し 保温性 若干のチクチク感 保温性 保温性、価格 デザイン 丈のバランスとフィット感、価格 スポーツには適さないフィット感、価格
保温性
(25)
18 17 16 19 16 13 16 13 12 14 14 12
フィット
(20)
14 14 12 14 13 12 13 12 10 12 11 8
快適性
(20)
14 12 14 12 13 12 10 11 14 10 10 12
吸汗発散性
(15)
12 12 11 10 12 14 11 12 10 12 11 12
速乾性
(10)
11 11 9 8 10 12 10 11 9 11 10 10
耐久性
(10)
6 8 8 8 8 7 7 7 8 7 7 5
デザイン
(10)
9 8 9 8 6 6 8 6 8 5 6 9
総合(100) 84 82 79 79 78 76 75 72 71 71 69 68
スペック
生地 メリノウール51%、キャプリーン(ポリエステル)49% メリノウール100% メリノウール100% メリノウール100% メリノウール100% メリノウール65%、ポリエステル35% メリノウール100% メリノウール90%、ナイロン10% メリノウール75%、シルク25% スーパーメリノウール92%、ナイロン8% メリノウール100% メリノウール100%
参考重量 186g
(Small)
155g
(Small)
200g
(Small)
247g
(Small)
170g
(Medium)
137g
(Small)
177g
(Large)
142g
(Small)
164g 145g
(Large)
165g
(Small)
175g
(Large)
参考価格 19,440円 8,640円 11,340円 13,068円 9,504円 10,800円 10,044円 10,584円 17,280円 4,731円 14,580円 13,500円

保温性

メリノウールの最も優れた点のひとつは常に適度な暖かさを保ってくれる、天然の調温機能。この項目では一般的に、メリノウールの割合が100%に近いほど、また当然のことながら厚手になればなるほど保温性は高いということが言えます。その意味ではメリノウール100%で250g/㎡の厚みをもつスマートウール NTSミッド250パターンジップT の保温性は予想通りでした。しかしウール約50%の混紡、さらに薄手でありながら驚くべき保温性の高さを見せていたのがパタゴニアの Merino Air Hoody。肌にピッタリとフィットして余分な冷気をシャットアウトしつつ、独自縫製技術による凸凹の表面が肌と生地の間に絶妙な空気の断熱層を作り出し、ウールのもつ保温力を最大限に引き出してくれます。

フィット

ウェアの快適さを決める要因はさまざまありますが、この項目では主に着たとき、動いたときの締めつけ感やつっぱり感の有無など、どれだけ自然にストレスなく感じられるかという点に着目しています。ここでも Patagonia Merino Air Hoody はパターンのちょうど良さはもとより、緩すぎず締めつけすぎない絶妙な伸縮性によって他にはない快適な着心地を実現しています。それ以外ではやはり SmartWool も相変わらず洗練されたフォルムと動きやすさ。また今回新たな発見としては berghaus の各アイテムも、ややタイトめでスッキリとしたフォルムと適度な伸縮性で上質なフィット感を提供してくれています。

快適性

ここでいう快適性とはシンプルに肌触りや生地のごわつきの有無、ウェア自体の軽さなど、主に触覚に訴える部分を中心に比較評価しています。ここでの王者は、以前からそのきめ細かで柔らかな肌触りは折り紙付きの Icebreaker オアシス LS クルー。基本的にウール100%のものはどれも柔らかくなめらかな肌触りで甲乙付けがたいのですが、紙一重の差で Icebreaker が気持ちよく着られます。それ以外、Patagonia Merino Air Hoody は独自編みの生地が別次元で心地よさを実現しているといえますし、その他 Houdini Airborn Crew のシルクを織り込んだしなやかな生地も個性的で捨てがたい魅力をも持っています。

吸汗発散性

大量の汗をかく登山を前提に作られたベースレイヤーは、どれだけ汗を効果的に吸収し、素早く外に発散(蒸発)させられるかという性能が特に重要になってきます。この汗処理能力に関していえば、メリノウールは化学繊維と比較すると若干分が悪く、比較結果はよりメリノウールの割合が低い方が汗処理能力は高くなります。Rab MECO 120 LONG SLEEVE TEE はメリノウールの保温性に速乾・透湿・防臭機能を付加した独自素材 MeCo による高機能ベースレイヤー。保水性のあるウール100%では、大量にかいた汗がどうしてもウェアに残ってしまいがちですが、MeCo のような化繊混紡素材であれば水分を含みにくいため、汗をかいても肌は比較的サラサラのままでいられます。

今回の比較まとめ

今回の比較で分かったメリノウール製品の見極め方のポイントをまとめ、最後にこの比較テストの結果として編集部おすすめモデルをご紹介します。

  • 大前提としてはメリノウール100%でより厚手のものの方が保温性と快適性は高い
  • 首周りがジッパー式であればより温度調節しやすく、フード付きならばより保温性が高い
  • ウール100%同士でも紡績方法や編み方で肌触りや動きやすさが違うので、最善は試着して確かめるのがおすすめ。
  • 基本的には混紡素材の場合、保温性と快適性は劣るが運動時の快適さや速乾性は高いので、冬でも激しい運動を想定するなら混紡タイプの方がおすすめ。
  • さらにアイテムによっては強みを維持しながら弱点を補っているような優れた混紡モデルもある。それについては上記の比較表や、以下編集部が挙げるおすすめモデルを参考に。

冬のアクティビティ全般におすすめ: patagonia Merino Air Hoody

今回のベスト・オブ・メリノウールベースレイヤーは2015年シーズンにデビューした新作 Merino Air Hoody。メリノウールの優れた点である保温性・着心地の良さを保ちながら、化学繊維並みの高い汗処理能力と速乾性を実現した、非常に完成度の高いウェアです。そんな抜群の機能性を備えながら、日常でも問題なく使えそうな気の利いたデザインも実は隠れた評価ポイント。基本的に中厚めのラインナップなので夏場には弱いですが、秋~残雪までの時期にかけては大活躍してくれるでしょう。丸首・フード付きの2タイプあります。

1年を通した総合力なら間違いなくNo.1: SmartWool NTSマイクロ150パターンクルー

年間通して使えるメリノウールを選べと言われれば、迷わずこの1着を手に取るでしょう。メリノウール製品の専門メーカーとしてこの業界をリードしてきた実績と信頼は今年もまったく揺らぎません。薄くて軽いにもかかわらず安定した保温性をもち、なおかつきめ細かくしなやかな肌触り。絶妙なパターニングでフィット感抜群、ストレスなし。1年間遣い続けてもへたらない耐久性と、機能的には欠点がありません。これでもさらにカラーバリエーションを欲しがってしまうのが人間の業の深さです。今回厚さの違うモデル(250)も試してみましたが、最もベーシックで使いやすいのはやはりこの150。もちろん厚手モデルも使い分けられれば言うことなし。(詳細レビューはこちら

運動性の高いアクティビティにおすすめ: Rab MECO 120 LONG SLEEVE TEE

最後におすすめするのは、冬でもより運動時の快適さを重視したいという場合に選びたい Rab MECO 120 LONG SLEEVE TEE。まず今回比較した中でも特に薄手(120g/㎡)の素材であることはもちろんですが、ウールの割合も65%であるため、確かにメリノウール100%に比べれば、保温力や肌触りのしなやかさは若干劣ります。ただ、汗をかいたときのサラサラ感と抜群の速乾性は化繊と比較しても遜色なし。冬でも特に運動性の高いアクティビティ(ランニングやクライミング)にはこちらの方がより使い勝手がよいのではないかと思い、条件付きベストとしてピックアップしました。厚みも120・140・165とバリエーションもあり、活動する時期と場所によって調節できるのも安心です。※2016年11月現在最新モデル「Merino Plus」にリニューアルしました。

Rab Merino Plus 160 Long-Sleeve Crew【2016年新作】

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