『ISPO MUNICH 2019』レポート #2 欧州最大のアウトドア・スポーツ用品展示会で出会った注目のギアを紹介【アウトドア・ライフスタイル】
欧州最大の総合スポーツ用品展示会「ISPO MUNICH 2019」で見かけた胸アツ、ギア特集。第二弾はアウトドア・キャンプ・ライフスタイル系ブランドやアイテムを紹介していきます!
毎度のことながら念のため注意:これから紹介する製品はあくまでも欧州市場を対象とした製品発表の場であり、それを現地での取材許可に基づき掲載しています。ここ日本での発売に関してはまったく無関係ですのでご注意ください。
目次
- ISPOで出会った注目のアウトドア・ライフスタイル系アイテム
- THE NORTH FACE Future Light
- HOUDINI Power Air Houdi
- MAMMUT Trion Spine 50
- Gruezi Bag Biopod DownWool Nature
- SAMAYA
- SONY Triporous
- ORTLIEB Atrack ST 34
- 7SPHERE HYDRO_BOT Jacket
- Patagonia Macro Puff hoody
- DAIWA Jacquard Rain Jacket
- Smacircle S1
- TriEye
- QOOL QOOL Box
- KNOG OUTDOOR ライティングシステム
- Light My Fire スポークなど
- LOEWI
- BERG Outdoor SORDO
ISPOで出会った注目のアウトドア・ライフスタイル系アイテム
THE NORTH FACE Future Light
耳の早い人はすでにキャッチしているかもしれません。展示会がスタートしてすぐ、THE NORTH FACEのブースでは、この冬新たに投入する独自開発のメンブレン(防水透湿膜)と、それを採用したハードシェル製品を大々的に発表していました。その名も「Future Light」。ゴアテックスのような孔のあいた膜と違い、ナノレベルで繊維を吹き重ねてシート状にした、水は通さず空気を通す隙間を有したメンブレン。暑くても寒くてもずっと着ていられるハードシェル。さらに今までよりも薄く、多様な生地に合わせて使えるため、防水製品の可能性がより広がる可能性があります。現地で新作ジャケットを触ってみましたが、確かに、これがハードシェルかというくらいに薄く、そしてしなやか。しかも裏地も滑らかな風合いで、着心地はすこぶるよさそうと、第一印象としては申し分ないものでした。
まだ性能面でぶっちゃけどうなのかは未知数ですが、コンセプトを聞く限りかなり期待させる新素材であることは間違いなし。ゴアテックスの牙城がまた少しずつ崩されていくのか、これからまた目が離せません。
HOUDINI Power Air Houdi
さまざまな方面で「同じ性能でもより環境にやさしい素材へのリニューアル」が進むアウトドア業界ですが、今年もまた新たなエコ&ハイテク素材が登場です。Polartec社のPower Airは、従来のフリースと同程度かそれ以上の断熱性を発揮しながら、微細な化学繊維の屑であるマイクロファイバーが抜け落ちるのを削減する、言ってみればフリースの最新型です。日本ではまだあまり見かけませんが、欧州では「マイクロプラスチック」蓄積による環境への影響問題が現在かなりホットな話題のようです。環境も大事ですが、やっぱり服としての色気も重要。その意味で、Houdiniは相変わらずそれらを両立させるようないいものづくりをしてくれます。
MAMMUT Trion Spine 50
まだまだ新機軸があるもんだ。マムートの今シーズン新作バックパックは、体軸の動きにショルダー・ウェストハーネスが連動し、重心がブレにくい新発想のトレッキング向けバックパック。試してみたら、なかなかこれまで体験したことのないよさげなフィット感。これは日本でももうすぐ体験できるかな。楽しみ。
Gruezi Bag Biopod DownWool Nature
日本にいるとまず聞いたことのないブランド、Gruezi Bag(グリエツィバッグ?)はドイツの小さな寝袋メーカー。今年のプロダクト・オブ・ザ・イヤーとなる本アイテムは、生地や中綿、ボタンに至るまで100%天然素材で構成された、環境にやさしい寝袋です。70%ダウンと30%ウールで構成された独自のハイブリッドインサレーション、DownWoolは高い快適性も備え、性能的にも十分。母国の展示会であるという点を差し引いてもすごいや。
SAMAYA
フランスの若きウルトラライト・テントブランド。2.5人用で850g、しかもフレームレスで自立式(空気注入式)という驚きの超軽量・パッカブル仕様。生地は耐水圧20,000mm、透湿性も40,000g/mm/24hと十分なシングルレイヤーテント。しかも4シーズン対応。実際にシャモニなどでテストも行っているというから、これはヤバいとしか言いようがありません。
SONY Triporous
数少ない日本企業ですが、なんと今年はあのソニーが出展していました。しかも製品はヘッドフォンでもなければスマートウォッチでもありません。ソニーが独自に開発した籾殻(もみがら)由来の多孔質炭素素材は、通常の炭素(いわゆる炭)と比べてより優れた吸着機能があり、天然の脱臭・消臭効果が認められているとか。これを混ぜ込んだ繊維が新しい機能を付加することができるのではないかと期待させるものです。ここから数年後には、この素材を活用した新たなアウトドアウェアが登場してきたら胸アツ。
ORTLIEB Atrack ST 34
もっぱら山しか興味のない人間にとって、他のアクティビティから生まれた良アイテムは、意外と盲点を突いていることがよくあり、学びが大きいもの。今回でいえばサイクル系からアウトドア・トラベル系へと広がっていったドイツのORTLIEB新作バックパックがそれです。ハイキングにも使えるしっかりとした背面とハーネスを備えたバックパックとしてだけでなく、背中側から縦にガバっとジッパーで開いて容易にパッキングできるトラベルバッグとしての側面もあわせもち、しかも防水仕様で荷物をしっかり守ります。これ以上ない、旅の味方ってやつです。
7SPHERE HYDRO_BOT Jacket
昨年も出てましたが、さらに実用化に近づいていました、防水透湿アウター。これのすごいところは、電子制御のHYDRO_BOTメンブレンが衣服内の湿気を一般的な防水透湿素材よりもかなり効率的に排出することができるというところにつきます。聞いた限りでは画期的なことであるのは間違いないのでしょうが、果たしてどれだけ「実際の行動に」効いてくるのか想像がつきません。着心地とかも良くなかったら本末転倒だし。ともあれ、ヤバい技術であることは確かです。
Patagonia Macro Puff hoody
ちょうど2年前、華々しくデビューしたPatagoniaのダウンライクな超軽量化繊中綿、マイクロ・パフから新しいラインナップが追加。その名も「マクロ・パフ」。名前からご想像通り、より中綿をリッチに封入することで保温性とふわふわ感が増したモデルです。これまで若干保温力が足りないかなと感じていたので、個人的にかなりの朗報です。もちろんこれまでの軽量・パッカブルな特徴は引き継いでいるので、より高性能ビレイパーカーとして本格的な冬山にも使いやすくなったといえます。
DAIWA Jacquard Rain Jacket
日本の釣り具メーカー、ダイワは、実はかなり前からISPOに参加し、高機能アウトドア向け製品を作り続けていました。そして今年、異なる織り方の生地をシームレスに繋げる技術で耐久性と軽量性、デザイン性を同時に実現したレインジャケットで、ついにISPOでアワードを受賞。あらためてダイワブースでその他の製品などもチェックしましたが、はっきり言って、アウトドア専門店に売られていても可笑しくないものばかり。きっと今後サイトでも取り上げていくと思います。
Smacircle S1
一足早く家電見本市CESでも話題のようでした、バックパックに入ってしまうほどの超小型折りたたみ電動バイクを試乗してみました。乗り心地は最初こそ制動感覚に戸惑いますが、すぐに慣れるし、最高速度が時速約20km、航続距離も約20kmと実用性も抜群。狭い日本ではセグウェイなんかよりも全然現実的。日本でもこれ、乗れるようになるといい!
TriEye
ドラゴンボール世代にとって、スカウターてのは夢なわけですよ。そこには無条件でアガる何かがあります。ゴールド受賞のサイクリング向けサングラス、TriEyeは、スカウター部分がいわゆるサイクルメーターではなく、後方を確認できるリアビューモニターになっています。なるほど、ハンドルにバックミラーやリアカメラがついているよりも、これなら数段スマートです。
QOOL QOOL Box
今回のISPOでゴールドを受賞した、メイド・イン・ドイツのクーラーボックス。無骨で控えめなルックスですが、断熱性能が桁違い。全面に配置された、宇宙船等でも採用されている真空断熱パネルは、従来の断熱材よりも10倍の断熱力。例えばこれで、最大でも40缶あまりのビールを5日間、ずっとキンキンに冷やしておくことができるといいます。当然、電力などの助けなくです。
KNOG OUTDOOR ライティングシステム
イギリス人デザイナーが立ち上げたオーストラリア生まれのブランド、KNOG。汎用性のある電源ユニットとさまざまなLED部分を付け替えるだけで、ランタンにも、ヘッドライトにも、フラッシュライトにも、自転車用ライトにも、スマホ等の充電器にもなる、スマートなライティングシステムが面白い(写真はUSB充電可能な超小型ヘッドランプ)。
ライティングが必要なシーンってアウトドアでは多々ありますね。これまで結構バラバラにそろえていたのですが、こんな風にスマートに揃えるのもありです。
Light My Fire スポークなど
カラフルで便利なアウトドア・キャンプ小物が愛らしい北欧スウェーデンのブランド、Light My Fireは、これからすべての材料をサトウキビなどの自然由来の素材から作られたプラスチックに切り替えることを発表していました。ここでも、エコでなければもはや生き残れない欧州市場の影響が顕著に表れています。日本は別の市場だから関係ないと言っていられる日は、あとどれだけ残っているでしょうか。
LOEWI
ドイツのメディカル・テクノロジーベンチャーによる出来立てほやほやのサービス。まず血液採取キットを購入し、自分の血液を送るとWEB・スマホ上で自分の健康状態を手軽に管理できるだけでなく、足りない栄養素などを細かくアドバイス。おもしろいのはそこから不足部分を補うためのサプリなど栄養補助製品が定期的に届けられるという仕組み。自宅でできる採血キットと、郵送して病気の診断などを行うサービスはすでに日本でもいくつかあるらしいですが、ここまでやれているのはちょっと探した限りでは見たことがありません(法的な制約などもあるかもしれませんが)。
BERG Outdoor SORDO
何とも素朴なルックスのブーツは、今年のISPOプロダクト・オブ・ザ・イヤー。ポルトガルの新興アウトドアメーカー、BERGが開発した新しいレザーブーツは、100%生分解可能な素材で作られた、つまりすべてが土にかえるブーツ。理論上では6カ月すれば、すべてが地中に分解されていくとか。別の意味で、すごい未来がもうすぐそこに来ています。